▼今更ながら僕と君の夏休みをプレー中。
やろうと思った動機というか、なぜこれまでやらなかったかというと、はっきりいって2chのVIP発ということで、バカにしてたから
でも4ch発のゲームであるかたわ少女があまりにも面白かったのでネット掲示板のゲームも良作があるのではないかと思ったから(もっとも、かたわ少女のことはバカにしてなかったが)
ただこのゲームの評価がやけに高い事は知っていた
そんな人による、現在からの視点によるレビュー感想を徒然と書いてみる
今更このゲームをやる人は少ないだろうから、ある意味貴重なレビューになると思う
▼まず特筆すべきは、かつてないほど2ちゃんねるスラングやアニメネタ、パロディを多用したゲームであるということ。
そして開発着手が2007年、それから3年開発で2010年配信ということで、まあ当然なんだけど、ネタが非常に古い
現在の2ちゃんねる、ネット界はなんJが主流に取って変わったが(でもなんJはあくまで野球ネタだし、ゲーム開発もしないから、VIPとは違うか)近年ブームの淫夢ネタが当然ながら、ない。
野獣先輩ではなくくそみそテクニックや阿部さんがホモネタのメインだったり、物凄く時代を感じた。
ネットネタ、オタクネタの乱発については、余りにも臭い内容だが、私は意外な程、そこまで違和感がなかった。
理由は、あれからネット業界、サブカル業界も徐々に変化し、ネットの垣根が無くなったことが言えるだろう。
アニメやオタクが当時に比べ、市民権を得たことがいえる。
今では、邦画はアニメしかヒットしないしね(一応いうと私はアニオタでは全くないので、著名人の発言などから見た、客観的な分析)
リア充なんて言葉も今じゃ一般的になったし、オタク系のラノベ、アニメではこのゲームと同じくらいのネットネタ、アニメネタがある
2010年なら俺の妹がこんなに可愛いわけがないが強烈だったが、ネットカルチャー、オタクネタの頻度はそれらの作品と大体同程度であるので、悪く言えばこのゲームの独創性が開発が長引いたせいで霞んでしまった
リアルタイムでやっていたら、もっとインパクトがあったかもしれない。でもそれらの作品と違い、本作はオタクネタを乱発してこそいるが、主人公がネット、アニメ好きの少年程度の個性に抑えられていて、ヒロインが全員非オタなのが良かった。ここが決定的に違う
▼グラフィック
まず目につくのが、やはりキャラデザ。OPの時点で違和感が酷かったが(でもこのOP自体はあり得ないほどいいデキ)キャラデザの方向性だけではなく、画力に落差がありすぎる。
紗耶と楓は少年誌的で上手いし可愛いが、ももが余りにも酷い。他のキャラも、もう何系のキャラデザかも不明
公式HPの絵はそこそこ描けているが、実際の立ち絵は落書きみたい
並ぶとギャップも酷いので、これはもう少しなんとかして欲しかった
▼音楽
意外なことに(?)音楽がとてもいい。しかも全て自作だというのだから、驚きだ。
主題歌まであるし、王道の青春っぽい音楽。AIRに似た曲があるので、参考にしたのかもしれない
いや音楽はマジでいい…びっくりだ。
▼パロディ
前述したが現在では非常に古いネタばかりなので、今遊ぶと時代を感じ、逆に面白い。当時のユーザーなら尚更楽しめる。開発者も言ってるが、逆に知らないとサッパリ笑えないと思う。主人公の日記の表紙がひろゆきのAAで笑えたが、これも歴史が古い
そもそも本作はぼくのなつやすみのエロゲー版として開発されたのだが(略称がぼくなつと僕夏って紛らわしいな、検索するとどっちも出ちゃうし)、
ぼくなつっぽさは全然なかった。
せいぜい共通点は日記くらいで、ぼくなつのぼくくんの純粋な文章とはまるで違うけど、かなり笑えた
1ページで手抜きする主人公もね
しかも開発者によると大人の事情でエロはカットされてしまったらしい。名残でR16くらいだと言っているが、エロ要素がほぼなかったのが残念(正直)。セックスしたと思われる個所すらない
▼システム環境
シーンを丸ごとスキップ出来るし、オマケでシーン頭にジャンプ出来たり、非常に有能。フリゲとは思えない。ただ前の選択肢に戻るがそのセーブデータではなく、プレイ状況そのものに依存しているのが厄介だった。
攻略に関してはヒロインとの対話で選択肢が一切出ず、選べるのは移動場所のみ。これはヒロインとコミュニケートしている感が薄いので悪手
▼シナリオ
ギャグも笑えるし、ネットネタを多大に挟みつつも意外なことに王道ラブコメ。
最初なのでストーリーのコアを知るためにもメインヒロインの紗耶から攻略したのだが、本当に有り得ないことに、綺麗な青春物語でとても面白かった。
前半と打って変わって後半はネットネタがほぼなく、少し残念だが、アホな日記もなくなる。右上のモナーとダディクールが浮いていたほどだ、もうVIPが全然関係ない(そういえば俺の妹とかも後半はオタクネタが全然関係なかった)
EDでヒロインたちと別れるシーンでは、不覚にもグっときてしまった。
そして多分楓の絵師が描いてるので紗耶と楓以外のヒロインが、突然の美化。グっときながらも笑ってしまった
ピンポンパンポーン♪というアナウンスの音が、まるで前奏のようにナイスタイミングだね(BGM扱いでもないのに)。
「またねっ!」で半泣きだわ
このシーンで流れる音楽が、またいいんだわ。
▼だが本当に感心したのはここからだった。
紗耶から手を握られた際にこっそり渡された手紙を船の上で読み、そこで初めて、素直になれない彼女の本心を知る。(それがVIPクオリティ!のAAに噴く。しかもURLつき。シリアスシーンだしこれはいらなかったかもね)
主人公は必ず帰ってくると誓う
そのままエンドロール
なんだこの、サクラ大戦3みたいな別れの美学は…ちょっと泣けるやんけ
スタッフロールでは、紗耶との思い出の写真が映し出されていく
そして最後の1枚が、ロングヘアでスカートを履いた、まさに女の子に成長した、紗耶。こちらに向かって笑顔で手を振っている。これには正直驚いた。
フリゲでまさかこんな粋な演出をするとは。もう映画じゃん
そしてその後のエピローグでは、紗耶からの「最後の手紙」。
主人公の中の紗耶が、あの夏の思い出で止まっているのがポイント(今度は普通の封筒で良かった)
この後、先程の写真のシーンにつながることを予想しながら読み進めていくのだが、
それがまさかのアニメーションムービーとは予想外。
ひとり寂し気に主人公を待つ紗耶
主人公の存在に気づく
こちらに向かって笑顔で手を振る、女の子らしく成長した紗耶
セピア調になり
Fin
……って…
うわあ…なんやこれ…
ものごっつ綺麗なエンディングやんけ…(半泣き)
沙耶の成長って、こういうことね(胸も少しだけ大きくなったしな)
もう別れのシーンから再会まで、全てが完璧過ぎる
主人公はなんで来るのにまた1年もかかってんだよとか、ってことは大学は違うのかとか(EDで進路の話もしたのに)、女の子になった紗耶はどんな性格なのかとかまあ疑問も多いが
もうね、アホかと、バカかと。
余りの青春ストーリーに、ちょっと感動しちゃったよ。
▼まさかの連続でとても驚かされた。前半のアホな内容からこんな感動的なEDが待ってるとはとても想像できなかった。この記事でも、何度あり得ないとか、まさかとか書いてるんだろうね、本当に不意打ちの良作だった
ただピークはスタッフロールの写真だったので、エピローグはもっと違う見せ方がよかったと思った。
期待度が低かったこともあって、とても良作だ。VIPだからという偏見は完全にいらないフィルターだった。
90点の良作
▼逆にダメなところを纏めると
・表情パターンが多い割にポーズが少なすぎる。紗耶が終盤泣くシーンは、お前なんで腕組みしながら泣いてるんだよってシュールさで笑っちゃった(ちゃんと普通のポーズで泣くシーンもあるのに)
・SDキャラの雰囲気が実際の絵を再現できてない。紗耶、なぜ茶髪?最初誰かと思ったよ
・フラグ管理が非常に適当で、雑過ぎ。出てこないキャラの名前が出たり、知り合いという設定だったりする。EDにいきなり出てきた豪三郎にはマジでお前誰だった
・紗耶の部屋に入りたかった。引っ張った癖に、まさか入れないまま終わりだとは。多分バッドエンドで紗耶が隠れていたのは、灯台下暗し的に自分の部屋だと思うんだが…
・グッドエンド、バッドエンドの分岐フラグが意味不明。ももと会っているとグッド、あやめと会っているとなぜかバッドになるのだが、それが一切ストーリーに結び付いていない。これは攻略出来ずに困ったユーザーが数多くいるだろう。開発者が計算通りの反応だと書いてるが、何が計算か意味が分からない
・公式サイトのブログが、海外からの荒らしに酷く荒らされている(悲)。コメントが数千件もあるので、うお、すげえ人気じゃん!って思ったら全部荒らしスパムで、ファンのレスが一つもなくて心底がっかりした。それが削除されてないのは管理人も面倒臭いのだろう。次の記事からこっそりコメント閉鎖されてるし、bbsも荒らされたまま
今遊んでもお勧めの良作です。
それが、VIPクオリティ!(やはり、古いな…)
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