「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」1巻2巻を読んでみました。
主役は金田一じゃなくて犯人。この題材は「金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼」以来、本当に久々ですね
まず最初に言っておくと、私は「金田一少年の事件簿」が大好きでした。
過去の単行本は全巻持っているし、アニメは全話見たし、小説も読んだし、映画も見たし、ゲームも買ったし、ドラマ版は初代の堂本剛版のファンには不評な松本潤版、更に不評なホスト金田一の亀梨版も見ています。
堂本剛も言ってるように、あれはあれで「マツジュンの金田一少年」としてまあまあ面白かったですね。亀梨も見た目の割に普通の少年っぽかった。あれが金田一かはともかく
むしろあれは、今は亡きKAT-TUNのメンバーが明らかなバーターで出て来るほうが酷い違和感があった
本題に入る前に、少し時代を振り返ります。
当時はマガジンの「金田一少年」とサンデーの「名探偵コナン」が連続でゴールデンタイムに放送されていたという、今ではありえない、まだ漫画やアニメの景気がいい、凄い時代。視聴率2ケタなんて当たり前。
そもそも現在は「コナン」も、数年前に放送された「金田一少年」も、ゴールデンタイムを下ろされてしまった。これは時代の変化だなあと思った
今ではゴールデンタイムのアニメ自体が減ったので、アニメ=深夜アニメという風潮だが、当時はゴールデンタイムにアニメがやってるのが当たり前の時代で、なんとアニメの再放送がゴールデンタイムにやっていたという、今思えばとんでもない時代
本題に戻すと、そんな「金田一少年」が大好きだった私は、原作者コンビが「探偵学園Q」の連載を終え(打ち切りっぽい)、復活して以降の「金田一少年」も最初は読んでたんだけど…
これ、なんか違うなあと、切ってしまったんですよ。大好きな漫画だったのに
地獄の傀儡師との戦いとか気になる要素もあるけど、大幅な作画の劣化やマンネリストーリーなど、ああ、これはもう私が好きだった「金田一」はどこにもないんだな…
ということで数年間シリーズを完全放置し、今に至るわけです。
そして今回、別の作者のスピンオフとはいえ、本当に久々に「金田一少年」を読みました。それも、船津紳平という、聞いた事すらない作者です
どんなものかと思えば…
これがなかなか面白い
併せて「金田一37歳の事件簿」も読んでいるが、これもなかなか面白い。だがまだ2話しか連載されていないので、単行本になったら改めてレビューします
まず驚いたのが作画レベルの高さ。初期の原作に絵を似せているんだけど、1巻はまだ描き慣れてないが、2巻ともなると原作と間違える人もいるんじゃないか?というシーンさえあるほど上達してるんですよ
そうそう、原作初期はこういう絵でした。実写風のタッチ。キャラがちょっと太くて、女性キャラもムチムチしてる。
蝋人形城殺人事件のマリアとか、可愛く描けてる
さとうふみやが昔の絵は恥ずかしいと言ってるが、いやいやいや、今の絵のほうが余程恥ずかしいよ。頼むから昔の絵を描いてくれ…
次に最大の特徴である、「金田一少年」の矛盾点や強引かつ理不尽な点を笑いに変えた、高度なギャグ
トリックって金がかかるとかいう名言
いやあこれが本当に面白い。声に出して笑った
常々「金田一少年」はエンタメとしてはアリだが、ミステリとしては矛盾だらけだよな…と思っていたが(「金田一少年の推理ミス」なんて本まである)、これには本当に大爆笑した
ただ矛盾点を指摘するだけじゃなくて、頑張れば何とか実証出来るんだぞ!
ということを、かなり強引なコジツケで無理矢理描写しているので、金田一愛ありますね
ボウガンの矢なんて飛んでこないぜ?という名シーンを別の作者とはいえ、復刻してくれたのも嬉しかった。ドラマ版にもある、好きなシーンなので。
ただギャグは1巻こそ面白かったが、2巻はちょっとマンネリした感があるかな。
ネタはほぼ同じ。これをワンパターンか、様式美と見るかは読者次第
毎回、エピソードの繋ぎとして、失敗した犯人がどうすれば金田一を倒せるか?っていうネタフリをするところから繋げるんだけど、これ、ネタギレがかなり早くなるパターンですね。
もうちょっと自由に話を広げてもいいと思う
最終的に作者は「金田一少年」ではなく、自分との戦いになりそう
かなり面白い漫画でした。久々に昔の「金田一」を読み返したくなるほどには。
評価B+
75点
しかし作者はまだ(年齢の情報が無いが恐らく)30前後の若手だろうから、原作者コンビとは親子程年の差がありそうだけど、20年以上長期連載している(インターバルもあるが)漫画を、子供の時それを読んでいた作者がスピンオフするのも、なんかドラマチックなモノがありますねぇ…
でも、消えた金成陽三郎がシレっと出てきたことが一番衝撃だったかもね…(キバヤシ、さとうとの絡みはないが…)
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