舞台は福岡で、ヒロインと夜の福岡をぶらつくのがプロローグ
しかし、なぜ福岡?
作者名から察するに、製作者が福岡の人間だからというだけが理由っぽいが、地元民のオッサンキャラでさえ方言じゃないし、かなりミスマッチというか、意義を感じない
首都高っぽい道路(実際に福岡にあるんだろうか?)も出るし、普通に東京でいいだろう
クレジットされてないが学校の背景写真も、東京の東大和市立第二小学校だしね。
http://blog.goo.ne.jp/yamato2shou/e/c09552827a4a9fd5a8f086ca0c3613b6
わざわざ地方を舞台にするからには、最低でも福岡を感じさせる要素が欲しかった。
ヒロインのセリフひとつにしたって、「そう?じゃ、食べようよ」じゃなくて「そげか?んだば、食べるばい!」って言うとかね
じゃあそんなアヘアヘ明太子ゲームを…
んだば、ここからレビュー本題ばい!
タイトル画面やメニュー画面など、90年代〜2000年代初頭のドラマや、初代PSのシンプルシリーズを思わせるゲームデザイン
溢れ出る初代PSクオリティ
ヒロインの絵は結構可愛い。素材だが、デフォルトかな
ラブプラスのミノタローの左手描きっぽい。目を細めて見ると、アトリエシリーズの岸田メルっぽくもある
(凄い内股やな)
それらを踏まえ、まず最初に言っておくと、演出がかなり弱い。
素材だからできない、というのではない。ただ立ち絵を背景に合わせるだけで、演出的な事を何一つやってない。シーンに合わせて画面を揺らすとかブラーをかけるとかね。
ゲームノベルを謳っているが選択肢も分岐もなく、完全に1本道で見るだけのゲーム
にも関わらず全てが実写背景と(現実のスポットが舞台で、背景が実写のフリーゲームは珍しいので、そこは評価するが)立ち絵のみ。
しかもポーズがたったの一種類しかなく、一切変わらない。
アレッ!?キミ、かなり微動だにしないけど、肩こらないの?
背景が変わるだけで全てこの絵の連続なので、ヴィジュアル面が非常に安っぽく、シーンごとに絵を入れるような工夫がほしかった。(立ち絵がフリー素材でも、一枚絵を描いてるゲームもちゃんとあるし)
これだとぶっちゃけゲームにする必要性もない。極度に動きがなくて、最早紙芝居ですらない
テキストにただ絵と音楽を乗せただけなんだよね
眠っている茜が涙を流すシーンとか、普通なら絵を使うところだろう。山場なんだから
でも、画面真っ暗なんだよね。
あだち充の漫画みたいに、停電したのかな?
だがシナリオは短編ながらに完成度が高く、伏線や叙述トリックの使い方が上手い。
茜の正体が同じ顔をした妹だというのは、ゲームセンターで電話を使うシーンあたりで気付いたが、ベタながらにこの設定の昇華が凄い
伏線を2重に張っているのが非常に巧みで、2段オチを使う、余りないタイプのストーリー展開
茜がラジオのチャンネル操作(主人公の愛車も何故か随分古い車種だし、普通ラジオはダイヤルって言わない?)をミスるシーンが、最初は病気のせいということにされるが、2段オチとして、目が悪いため裸眼ではよく見えてない妹だったという結末は、お見事(じゃあなんで他のシーンでは普通に見えてるんだよって矛盾もあるが)
ヒロインが病気で脳死状態になったり、ショッキングな展開もあるが、クリアしてみればハートフルなゲーム。
携帯小説が好きなら結構感動できそうな話で、妹はエピローグでは随分性格が大人しくなっていたが、青年と少女の成長物語としても中々良かった
姉のほうが死亡し(茜は死んではいないが)、顔が同じ妹がヒロインとして登場したり、PS2のメモリアルソングに設定が似てた
妹が将来的な恋人になるのかなあ…でも主人公は恋人を忘れられないのかなあ…
とどちらとも取れるストーリーでゲームは終了するが、茜から託されたし、何より、前半、妹を恋人の茜だと思い込んでいた時間は、完全に恋人同士だったんで、あっさりと違和感なく前者になりそうな気がした
終盤の妹との会話シーン、セリフが最後だけ「茜」になってるのはどう解釈すればいいんだろうか。そこがわからなかった。
むしろあのシーンは、明確に茜と妹が分かれたシーンなのに
作者の九州壇氏は30代なのにこれが5年ぶりのゲーム製作で、しかも5年前が学生だったという…。
特殊な環境下の人っぽいが、次回作にも期待したい
評価:余りにも画面に動きや花がないので、そこは、もうすこし頑張って欲しい
だがシナリオはよく書けており、短編ながらに良作。75点
最後に1つ、ツッコミを。このゲームの紹介文
舞台は、秋の福岡。
なんとなく眠れない夜を過ごしていた俺は、彼女をドライブに誘う。
彼女は苦笑しながらも了承してくれた。
こうして、僕と彼女の一夜の物語が始まった。
願わくばこの先に、彼女の笑顔がありますように。
■このゲームの特徴をリストアップ
コンセプトは「眠れない夜を、貴方とともに」。
たくさんの夜景写真が、物語を彩ります。
やることがあるわけではない。でも、なんとなく眠りたくない。
そんな方にお勧めです
いや、絶対そんな内容のゲームじゃないだろ
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確かに製作者HPのアクセスカウンタなどを見るにかなりマイナーな感じですが、ぶっちゃけこのふりーむコンテスト自体が物凄い受賞作品の多さなので、下手な鉄砲数うちゃ当たるなのが現状で、受賞はトップクラス以外のその他は、余り受賞に意味はありません。
DL数が低いのならそれが原因でしょう。
ちなみに初代ラハですら2万だと製作者が言ってたと思います。あれもシリーズごとにDLが下がっていくし、ユーザーを掴み続けるのは至難の業ですね。
ダウンロード数どのくらいやろ
ふりーむにもレビュー全然ないし
このブログは、昔流行ったテキストサイトを意識しています。
上善如空気(サイト名忘れてたから、久しぶりにググった)もそうでしょう。
R25には懐かしく、キッズには新鮮ってのを狙ってます。
テキストサイトのゲームレビューの特徴として、「どんなクソゲーもバカゲーも面白おかしく論う」、というのがあるので、読者にそう思ってもらえたなら執筆、ブログ製作は成功でした。
説明文へのツッコミも狙い通りの反響が、それも作者から受けられて非常に満足しています。
ただこの眠れない夜になどは結構良作なので、面白おかしく書いても、なんか普通ですよね。
当ブログのクソゲーレビューはどれも短文で淡白なので(やっぱりつまらないだけのクソゲーになんて興味ないし)、今後はクソゲーを独自の切り口で持ち上げられるようにします。逆にかたわ少女とかは名作なのでつい真面目な長文になっちゃう
管理人のレビューの文章のがウィットに富んでて面白おかしく
リズム良く読ませる文章だな(笑)
転生学園の空気サイト思い出すわ
何か凄い裏があると思っていました
この紹介文の書き方は一番上手いと思いました
今後も的確な指摘ができるレビューを心がけます!
おっしゃるとおり、紹介文はわざと書いたところもあるんです。
ただ、あまりにも的確すぎるツッコミで、書いた張本人だというのに思わず笑ってしまったのでした。
なお、最後の名前が茜になっていた件ですが。
こちらは、わざと書いたわけではありません(笑)
ご指摘頂いたところ修正しておきます。
この度はありがとうございました!
おっしゃるとおりで、紹介文はわざと書いたところもあるんです。
ただ、あまりにも的確すぎるツッコミでしたので、
書いた張本人だというのに思わず笑ってしまったのでした。
なお、最後が茜になっていた件ですが。
こちらはわざと書いたわけではありません(笑)
ご指摘の部分、修正しておきます。
ありがとうございました!
今の今まで、この紹介文は製作者氏があえてフェイクとして書いたものだと思ってました。
「眠れない夜にやってね〜」といいながらも、実際には、眠れない夜にプレーし、感情移入すると、「鬱で眠れなくなる」というのが狙いの、「眠れない夜に(なる)」というシニカルさで、タイトルにも二重の伏線があって、面白いなと。
でも特に関係なかった模様ですねw
セリフの名前欄が変わってる事も余り意味はなかったんでしょうか
次回作も是非遊ばせて貰います!
この度は「眠れない夜に」をレビューして頂き、誠にありがとうございました!
作者としてはたいへん参考になりましたし、次回作も頑張ろうという気持ちになりました。
心より感謝申し上げます。
なお、最後のツッコミは、まるで他人事のように吹き出してしまいました。確かに、おっしゃる通りですね(笑)
以上、地味なゲームにも関わらず、こうして丁寧に書いて頂けたことが嬉しく、ご挨拶させて頂きました次第です。
スマシガオさんの今後のご活動も応援しております。
今後ともよろしくお願いいたします。