しかも彼氏は、グループに好意を持っていた子もいる、水泳部のイケメン、原くん
彼氏のために水泳部のマネージャーにもなったむっちゃん
主人公たちは悔しさからかプールを覗くのだが、次第にイケメンの彼氏が出来たむっちゃんではなく、自分たちの友達を奪った原くんに嫉妬していると気づく
ここまで来ると、定番としてはこの物語はむっちゃんと和解するまでのひと夏の話なんだろうなーと思われるも、舞台はいきなり夏が終わり秋、卒業、大学時代の就職活動へと飛ぶ
そこで再会したのはかつての友達のアヤナと、むっちゃんの彼氏だった原くん
20過ぎればただの人。イケメンのモテ男子だった原くんも、就職活動で連敗するただの男になり下がっている
むっちゃんが親友2人を切った理由が、原くんの命令によるものだというのがマジで原くん最低だな、なのだが、実は原くんがその後むっちゃんにフラれており、むっちゃんも元友達とヨリを戻してないってのがリアルすぎて怖い
(原くんがフラれた理由が最後まで謎なのだが、後書きによるとむっちゃんが他に好きな人が出来たから、ってのが更に怖い。だが魚の食べ方が汚かったことが原因だと読む)
つまりむっちゃんにとって2人はもうとっくに過去であり、最初から取るに足らない人間で、友達ですらなかったんだろうな
もしくは今後の人生で要らないと踏みもう完全に断ち切ったか
2人も地味なむっちゃんを一段低く見ているし、そんな状態で友情は築けないのだが、メイクをどろどろに溶かすまで必死に就職活動に明け暮れる2人は彼氏もおらず、原くんも失恋のダメージをかかえ未だに独り身
そんな3人を他所に、むっちゃんは順風満帆な人生を歩み、既に婚約者もいて大学卒業後に結婚を控えてる、しかも既に妊娠している、ってのが生々しすぎる
むっちゃんは嫌な人間というより、間違いなく魔性の女として描かれているんだろうな。
JK時代に毎日たい焼きをとっかえひっかえしてたのも伏線だったように思う
文章も上手く、原くんがプールから顔を上げると真っ先にむっちゃんを探す、という一文が非常に印象に残った
最後は飲んだくれた3人が街でこの世の不条理やむっちゃんへの愛を叫びながら終わるのだが、むっちゃんが電話で話だけ登場しながらも、再会まではいかないのも非常に上手い。
このもうすぐ大学卒業という、遅れてきた痛々しい青春に拍車をかけている
嫌な人目線の嫌な話、登場人物が皆嫌な奴、という触れこみだが、瑞々しい青春の中に痛々しさがあって非常に面白かった
欠点をあげるなら大学生の3人の顔が高校生と全く変わってないことかな。
勝ち組と負け組を象徴するように、2人がもっと汚くなってればよりリアルで痛々しかった
でも可愛いままなんだもん、メイクが落ちてるって描写なのに顔が女子高生のままだし、違和感が酷いね。
評価B
75点
良作です。たった15分でこれだけストーリーをまとめたのは凄い。
百合未満となっているが前半はまだしも、後半は百合っぽさは全くない。
音楽と絵も綺麗です。実写背景もマッチしてる。
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