理由は、読書ブログを立ち上げたにも関わらず、丁度そのタイミングで、忙しくて本を読む時間がなくなったのと、現在の出版業界から良作がどんどん減っており、単純に読書への探究心が落ちていたから
フリーゲームは大体すぐクリア出来るけど、本はやはり時間が掛かるからね…(速読は好きではない)
以前は月に15冊は読んでいたが(ラノベなら1日5冊なんて日も)、今では月にほんの数冊…
そんな訳で、衰退する出版業界。
本を余り読まない人が全く読まなっただけではなく、読書家ですら本を見限り始めたという背景もある
小説の題材も出尽くしており、特に密室トリックとなると更にネタギレで、もう新しい物は作れない
と思っていたのだが、これは中々斬新だと久々に感心したのが今回紹介するマツリカ・マトリョシカ。
ということで、初めて書評を書きます(今更かよ)。
さて、繰り返すが、もう密室トリックは出尽くしているので新しいモノは一切書けない
とさえ思っていたが、本作は多少なりとも新機軸を切り開いた、これは凄い。
多少というのは、トリック自体は単純でありがちな「糸」を使った物なのだが(だから完全に新しいとまではいえない)、その内容が変化球であるということ。
そしてその変化球の曲がり方が見たこと無い球種だぞ、ということ
本作はコージーミステリなので人は死なない。
なので密室殺人ではなく「密室殺トルソー」と銘打っているのだが、なんと女子高生の胸ポケットと、スカートにはポケットが1つしかない(左ポケットしかない)ことをトリックとして利用している。
これには驚かされた。
恐らく多くの男性読者がプリーツスカートにはポケットが1つしかないこと、入口が異様に狭い事を知らないのではないか。
まさかそれを密室トリックのネタにするとは思わなかった
当然、制服のプリーツスカートでしか出来ないトリックだ
プリーツスカートは襞の構造上、右ポケットを作ると手を上ではなく前から入れる構造になってしまうため、敢えて右ポケットが作られていないそうだ
説明すると大変長くなるしこの記事の本題はそこではないので、トリックの詳しい説明は割愛するが、私の主張したいキーポイントは、密室を作るトリックその物ではなく、その副次的な要素(それも女子高生の制服)で新しさを作る着眼が凄いということだ。
実際、女子高生が主人公やヒロインの推理小説、ライトミステリ数あれど、その大部分がただ作者の若いキャラを書きたいという歪んだ欲望や、萌えオタを狙ったものだろう。
だが本作はそこだけに留まらず、女子高生だからこそ出来るトリック、女子高生だからこそ着ることのできる制服を、推理小説として見事に昇華している。
これ、史上初、前代未聞じゃないか
因みに本作のヒロインマツリカは、女子高生ではあるものの留年している設定なので、厳密には似非JKである。そこも皮肉。
トリックにも感心し、非常に面白い小説。だが内容はラノベに近い。
トリックの説明シーンが余りにも解説者口調でグダグダだったので、もっとスマートにして欲しかった。
評価B+
70点
刊行ペースが遅いので、半年に1冊で出して欲しい。
マツリカ・マジョルカ(シリーズ1作目)
価格:1,620円 |
価格:691円 |
マツリカ・マハリタ(シリーズ2作目)
価格:1,620円 |
価格:777円 |
マツリカ・マトリョシカ(シリーズ3作目)
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