北海道・美瑛町にあるペンションで働く事になった元料理人見習いの主人公。
そこに滞在していた男性は物腰柔らかで優しい雰囲気だが、なにやら訳アリなようで…?
「癒し」をテーマにした、観光ありグルメあり恋愛ありの女性向けADVです。
全四章からなる物語のうち、第一弾は春の章・桜庭隼人編。
北海道・美瑛町の四季折々のイベントや風景、旬のグルメをハートフルなストーリーと共にお楽しみください。
▼久しぶりに一目でこれは絶対面白いぞ!と直感したが、直感通り。
まず絵が良いんだよな。
「女性向けADV」とあるように、本作は男性向けではないのだが(「女性向け=男性向けではない」とも限らないが)、俺が乙女ゲームを数十本やってきた中で、面白かった乙女ゲームは全部絵がナチュラルなのよ
変にゴテゴテしていない、良くも悪くも飾り気が無い画風
レビューしたフリゲでは「鼓草」「フサの大正女中ぐらし」が解りやすいでしょ(どっちも同じ絵師だが…)。
…
「男でも面白い乙女ゲーム」の条件ってこれでしょ。絵が自然であること。
女性は気づかないだろうけど、そのくらい乙女ゲームや少女漫画の絵は男から見て癖があるのよ。
だから男が読んでも面白いと謳われた少女漫画って、絵に癖がない。「君に届け」とかさ。
体型も目のサイズも過度にデフォルメされてないし、適度に実写的。
…
そんな感じでまず絵の印象が非常によかった。
背景(お手製っぽいが、素材?)との相性も抜群に良い
▼絵の話や余談が長くなったが、そろそろストーリーや乙女ゲームとしてのレビュー感想に入ろう。
まあズバリ…
「北限のアルバ〜春の章〜」は…
男女の距離感の描き方が良かったね
攻略対象キャラクターである隼人が、馴れ馴れしくないんだよ。
乙女ゲームのいわゆるヒーローって、馴れ馴れしい奴が多いでしょ。
いきなり距離を詰めてくる
あれね…
女性からすると疑似恋愛でモテて気持ち良いんだろうけど、男としてはただただ気持ち悪いのよ
大して仲が良いわけでもない男に「おもしれー女」なんて絶対言われたくない
実際、そういう乙女ゲームは面白くないことが多い
ところがこのゲームのヒーローである隼人は29歳という年齢もあるのか落ち着いているため、非常に物腰が柔らかい。
主人公のお祖母ちゃんであるソメからも好かれているし、お年寄りに好かれるのは好人物
ここがとても重要で、男の俺でも全く嫌悪感が無かった(だが少し違和感のあるシーンはあった。レビューからは敢えて省くが、いずれ小話に書くかもしれない)
▼そして作風がいいんだよな。
北海道は大好きな土地なのだが、この北の大地で恋愛と言うより共同生活…
ゆっくりとしたやわらかな時間をともに過ごす中で、男女が仲良くなるリアリティ…
温かい料理に、心まで温かくなる…
和やかな食事をし、お互いの存在を意識する…
…そこがとてもよかった
主人公と隼人は、いかにもな愛の言葉はささやかない。
ギャルゲーや乙女ゲーに付き物の、衝撃的展開もない。
あるのは決まって、日常的な言葉のやりとりだ。
そこに艶っぽさはないが、生活は彩られ、お互いに居心地の良さを感じるようになる…
…燃えるような恋愛も結構だが、
これこそが長い時をともにする異性にとって、もっとも重要ではないか
「北限のアルバ〜春の章〜」は、そんなゲーム
評価B+
70点
久しぶりの乙女ゲーレビュー…
今回も完全男性目線…というより最早「俺目線」でレビューしました(「男性」と言っても色々だから)。
男性諸君はもちろん、女性にもおすすめですよ。
ゲームをクリアする頃には……いやするまでには、君も隼人を好きになる。
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パーツに筋肉がついている(喉仏なども描かれている)…
清潔感のあるイケメンではあるが、現実離れした美形ではない…(乙女ゲーにありがちな無駄に目と顎の尖ったキャラではない)
…などの特徴を持ったキャラクターデザインですね。
「冬の章」だけ漫画的なのは、何か理由があるのかも…1人だけ目も青いし。
「北ルバ」は「海咲ライラック」も連想しました。年齢差カップルであることや、おじさんが田舎にやってきた理由も同じ(「海咲ライラック」に比べると9歳差なんて年齢差ですらない。ヒロインも成人だし)。
広島を題材にした創作は森橋ビンゴのラノベ小説のイメージでした。
なんとなく良作の共通点が見て取れます。
登場人物がほぼ三人にしぼられてますし二人の交流がメインなのでお話に集中できました
大抵の乙女ゲームは変な横やりが入るので
キミまで700キロとかも同じ系統のイラストですねえ