そんな彼には二人の彼女がいた。
10年付き合っている幼馴染のつくし。
絶賛売り出し中の若手女優、桜花。
二人と付き合い楽しくのうのうと生きる翼は、ある日つくしに詰め寄られる。
「私達、結婚しないの?」
夢と現実との狭間に生きる青年は、果たしてどのような選択をするのか。
………
ドラマチック二股ノベル!
▼「ウマ娘 プリティーダービーを攻略し瞳の先にあるゴールを目指す 193周目 ウマプテンプ」に書いたので、プレイの経緯、所感は割愛
「ドラマチック二股ノベル」とかいう畜生なジャンルが銘打たれた本作…(公式サイトはこちら)
まず隠しエンドであるAnotherEndを含め、7つのエンディングをフルコンプした感想としては…
ストーリーの牽引力が凄いゲームだったね……
マジでやめ時を失うよ…
2人の彼女の間で、揺れる主人公…
果たして彼は、どちらを選ぶのか…
それとも、選ばないのか…
選ばないなら、何を選ぶのか…
…といった恋愛を中心とした二股ドラマが実に面白く、
久しぶりに一つの呼吸も置かず、一気にフルコンプまで駆け抜けてしまった
二者択一の物語といえば「鼓草」があるが、この題材って卑怯だよね。
上手くプレイヤーを引っ張れば、絶対面白いもん
「僕と君と彼女の話」はそこに30まで売れない役者を続けている、才能無き主人公の痛々しいドラマが加わって、一瞬たりとも目が離せなかったね…
▼ヒロインの魅力もなかなかだった。
20歳から30歳まで10年もつきあっている幼馴染のつくしと、そんなつくしより10歳も若い、若手女優の桜花の比較が見事だね
つくしはいかにもといった感じの、前時代的な「恋人に尽くす女性」。
黒髪ロングで、おとなしい。
桜花はそんなつくしと真逆で、芸能界で活躍する派手な女性…
勿論お金も地位も持っている
…これだけだとプレイヤーは愛のあるつくしを選びそうだけど、桜花も強がってはいるが脆いところがあり、芸能界に染まり切った自分にはない純粋さを持つ主人公に、「あなたは私のよすがなの」と少し依存している
こうやって揺さぶられると、プレイヤーは主人公と同じく、彼女を選べないわけ
だから主人公の翼君にはかつてないほど感情移入していたな。
▼フラグ立てがシンプルなので、7つのEnd回収はとても簡単。
特に次の選択肢までスキップできるJump機能が非常に優秀。
お陰で120分かかるところを、80分程度に抑えられた。
何度も同じシーンを見なくて済むのも、気分的に楽。
フリゲもここまで進化したかと、余りの快適さに唸ったね(類似機能自体は、前にもあったかもしれないが)。
▼つくし、桜花ごとにgood、normal、badで3種のEndが存在する。
つくしEndは恋愛要素が高いが、桜花Endは主人公の人生そのものといった描写で、かなり毛色が違う
好きなのはつくしgoodとnormal、印象的なのは桜花goodとnormalかな
私は怖い物見たさで初回は浮気相手の桜花ルートに進んだのだが、「桜花goodEnd」との表記を見るまで、それがgoodEndだと確信できなかったよ。主人公は回り道したけど、自分の足でちゃんと歩けたんだね
このEnd……普通のゲームだとbadかnormalじゃないかな。
ネタバレはしないので、是非あなたの目で桜花goodEndを見届けて欲しい。
恐らくあなたの想像とは違うところに、物語は着地するだろう。
恋愛ゲームというよりは、チュンソフトのサウンドノベルのようだ。
つくしもか弱そうに見えて、芯が強いんだよね。
優しかった彼女がヤンデレのように豹変するBadEndでも怖かったが、「次は殺すから」と威圧してきたり、35歳までに芽が出なけりゃ夢は諦めろと、誓約させられたりね。
流石に男一人を養ってるだけあって、強かさがある。
キャラデザは可愛いが、こういうところに30歳のリアルな女性を感じた。
▼そして6つのエンディングを消化すると見ることが出来るAnotherEnd……
ここでは数々の伏線や「おや?」と思うような引っかかり、謎が紐解かれ、「僕と君と彼女の話」という「何視点で君と彼女は誰だよ」というタイトル回収が行われるが………
(ストーリーの核心に触れるネタバレがあるので、評価だけを読みたい場合はここをクリック・タップし、「JUMP」してください)
……久住の仕掛けたテレビ番組の脚本、演出だったってオチ…
ぶっちゃけ蛇足じゃないっすかねえ…?
だってさあ、不安になってたつくしはまだしも、桜花は完全に、翼を騙してたわけでしょ?(桜花が翼を「純粋」といってたのは、自分にコロっと騙されたことへの含みもありそう。純粋といいながらも、翼が自分を利用しようと企む本性を見抜いてたし)
……桜花はもう散々ブチギレて、翼にひどいことをいったり、靴を舐めさせたりしたわけじゃん?
本編のあれこれが、お前どの口で言ってんだよってなるよねえ…
久住(元ネタは「クズ」っぽい)の存在といい、どうにもこの結末に「ゲーム(THE GAME)」を思い出してしまった。一連の事件が全部壮大なドッキリだったというオチの映画ね…
AnotherEndとはいうが、まあぶっちゃけ正史ではない何かのパラレルと思いたいくらいだよ
ただ「悪趣味」なだけじゃないかと…
しかしつくしが都合よくレストランに現れたことや「二股がバレそう!」という展開がなかったことから、
やはり仕組まれた正史だったんだろうな…
評価B+
75点
良作だが、それ以上にあなたの価値観を問う問題作!
オールクリア後の読了感はあまりよろしくなかったし気に入ってませんが、
このゲームを「主人公の数ある人生の、分岐の物語」と見做している人は、私とはまた別の評価をすると見ています
私は恋愛7、人生3くらいに見ていた所為か、この評価感想になりました
プレイヤーの価値観に訴える要素が非常に強いので、評価というより、結末に対する感情は大きく分かれるでしょう
是非あなただけの結末を見つけてください
最後になりますが……私が愛した女性は………
つくしです
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