▼私は「窓から見える」や「五時のアオイ」のような、精神的に抉ってくるゲームが好きだ
とても幸福とはいえないであろう登場人物たちの考え方が知りたいし、
末路がどうなるかを、現実とゲームの境界線のこちらから覗くことに、
一種の快楽のようなものがあるからだと思う
まあ言ってみれば、「怖いもの見たさ」に近いかもしれない
ネガティブなストーリーというのは、
最強キャラの主人公が暴れまわるだとか、
くっつくことが分かり切っている予定調和のラブコメ、なんて作品よりも、
実は読者を引き付けるパワーを持っている
▼ギャルゲーや乙女ゲーでは、もう明らかに相手の気分を害するような選択肢が、時に出る(「お前のをしぼらせろ」、みたいな)
これを選んでも好感度なんて上がるわけないだろという選択肢が、時に出る
まるで開発者のお遊びのような、プレイヤーへの悪趣味な煽りのような…
そんな選択肢が、出ることがある
あれを選ぶことに、一種の快感を覚える
つい好感度を上げる事も忘れ、選びたくなる、黒い魅力がある
…
この主人公は、もしかしたら常にそんな選択肢を選んでいるのではないか、という…
…そんなプレイ感覚を「夏空のクオリア-Qualia of the Summer Sky-」に覚えた
▼…「夏空のクオリア-Qualia of the Summer Sky-」は悲惨な主人公と悲惨な家族の物語として始まり、プレイヤーに爪痕をのこす
私はこのゲームを忘れないだろう
理由には、「衝撃的なシーンが多い」こともあげられる。
恐らくフリゲでは初めて見たのだが、母娘の〇〇〇という、フリーゲームでは類を見ない、過激な描写もある
▼さも主人公が愚かだったり、後味の悪いゲームであるかのように書いたが、そんなことは決してない
主人公は懸命に生きているし、すべてはただの不運にすぎない
クリア後には感動か別の何かか……晴れやかな夏空を見たかのような気分にもなる
▼「夏空のクオリア-Qualia of the Summer Sky-」は非常に優れたゲーム作品といえる
カットできない独特の間で進み、見せるシーンも多い。絵と音と文を使ったインタラクティブ作品、といったほうがいいかもしれない
評価B+
75点
アイキャッチの「在りし日の記憶」などプレイヤーが切なくなる演出が多く、細部まで拘りが見えました
本作はどんでん返し系のゲームでもあります。どれが伏線なのか、考察しながら読むのも面白いかもしれません
「夏空」「巣立ち」「夢」とは、一体何を表しているのか……
是非あなたの目で、確かめてください
【1年前の良作、ピックアップ】
「鼓草」「TOWER of HANOI」「愛の監禁ごはんはXXXチャーハン」に続き紹介する、1年前の良作フリーゲームは……
「かいきみなづき 半」
ブログでも何度も取り上げているが、怪奇現象や怪異をテーマにした一作
横文字どころかカタカナすら使わず物語を表現するフリゲは、これと前作「はざまたそがれ」くらいでは?
怪しい個性ギラつく名作
【このカテゴリーの最新記事】