2017年07月10日
映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」の感想…もうちょっと「過去を乗り越えた感」があったら良かったとは思うけど良作。
今日は映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」の感想です。
以前、レンタルDVDを借りたけど観れなかったタイトル。
「dTV」で何か無いかなと探していたら出てきたので観てみました。
観る前に原作の小説「完全なる首長竜の日」を読んだ人から、
話の一番のキモの部分をネタバレされてはいたのですが、
それでも一応は気になっていた作品です。
映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」は2013年公開の黒沢清監督作品。
気になっていた一番の理由は黒沢清監督作品だから。
黒沢清監督作品は以前、このブログでは映画「セブンスコード」の感想を書きました。
映画「スウィートホーム」はなんとかDVD化して欲しいなあと今でも思います。
自分が高校生の時に映画「CURE」を観て、ハッキリ言えば当時よく分からなかった。
ただ、作品の不気味さとか、後味の悪さが引っかかっていまして、
その後の作品も、やっぱ「何か残る」作品を作る監督だなあと。
そんな黒沢清監督ですが、この映画のキャッチコピーが、
「きみを救うため、ぼくは何度でもきみの“頭の中”へ入っていく。」だったので、
なんかラブストーリーっぽい映画をやるんだなと思った。
観てみれば全然ラブストーリーじゃなかったのですが、これも配給会社の問題かな。
まあキャストを見たら、そっちで売ってく方がお客さんは入ったんだろうけど。
という事でキャストですが、
主人公の藤田浩市を演じるのは佐藤健。
映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」が好きな男の佐藤健ファンが近くにいるので、
間違いなくこの映画も観ていると思うので感想を聞いてきたいと思います。
佐藤健の目の印象なのか、普段の時の差というかボーっとしてる感じの表現は何かハマりますよね。
浩市の彼女で自殺未遂をして昏睡状態の和淳美を演じるのは綾瀬はるか。
この映画では綾瀬はるかじゃなきゃダメだったかと言われると、そうでもない気がするが、
ところどころ主張の激しい胸に目がいってしまうのは彼女の魅力と言わずに何という。
以前、感想を書いた映画「海街diary」の役がしっかりしすぎていたぐらいで、
どちらかというと今回みたいな不安定な女性の方が綾瀬はるか感はある。
それだけ女優として成長しているという事でもあるのかもしれないですが。
その他、オダギリジョーや染谷将太、中谷美紀、小泉今日子などが脇を固めます。
外科医の米村を演じる堀部圭亮は、なんかどんな役でも存在感あるなあと関心します。
簡単に導入部分を書くと、
藤田浩市は一年前に自殺未遂によって昏睡状態になっている彼女の和淳美を助けるため、
「センシング」という技術で和淳美の意識に入る治療を行なっていた。
和淳美の意識の中で会話をして、なんとか目を覚ますきっかけを探す浩市。
しかし和淳美はとても不安定な精神状態だった。
そんな中、昔に和淳美が浩市にあげた首長竜の絵が見たいと言われる。
心の当たりの無い浩市は戸惑うものの、目を覚ますきっかけになればと、
現実世界で和淳美にもらった首長竜の絵を探してみるのだが…という感じ。
さて、映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」の感想ですが、
ところどころ気になる部分もあるけれど、良い映画だと思います。
特に映画のタイトルでもある「リアル」という言葉ですが、何がリアルなのか。
映画を最後まで観た時に「どこからどこまでがリアル」なのか、
観る側がいろいろ物語を解釈したり考えたりできる、
そんな映画的な楽しみができるというのは非常に好感が持てました。
基本的に映画は夢というか精神世界というか、
「現実ではないところ」が舞台になるので、
ネタバレになってしまうのであんまり詳しく書かないけど、
それおかしいじゃんってのも、ある程度成り立ってしまうので難しいですが、
車を運転している時の不自然なまでの合成の映像。
観終わった後は、「なるほど、だからか」とも思うけど、観ている時は若干違和感だった。
その他、銃で撃ったあとの飛び散り方がおかしいとか、子どもが船運転できるんかとか、
色々普通の映画演出ではありえないとは思うけど…まあ夢だからなあ…。
あ、でもモリオはよく分からんよね、なんで船戻してくれたのか。
その後の展開も、結局お前は何がしたかったのかって思いました。
えっ、アレが欲しかっただけなの?
まあ精神世界の話だから、結局その人の精神の問題なはず。
…ネタバレせずに書くのは難しいけど、
過去に起きた事故が心に引っ掛かっていたのは分かるけど、
それを乗り越えるというか、解決したのが何なのかが良く分からない。
あの首飾りは何のメタファーだったのか…多分過去の事故のメタファーなのだが。
その首飾りをアイツにあげるということは、どういう精神的成長なのか。
少しだけネタバレだけど、あの首飾りを拾おうとして今の状態になった。
つまり、過去の事故が何年も経った今でも心の奥に引っ掛かっていた…というのは分かる。
しかし、あの首飾りを捨てれば(あげれば)解決するってのは何か成長とは違う気がする。
首飾りを捨てる(あげる)という行為そのものが「過去を乗り越えた」という事なんだとは思うけど、
その前のやりとりの「俺は戻る」って言葉を言うシーンの方がよっぽど乗り越えてる感がある。
もうちょっとクライマックスに明確な「過去を乗り越えた感」のある展開だったらなあと。
そんな訳で、もやもやっとした部分もありますが、
基本的には作りは丁寧に作ってあるし良作の映画だと思います。
ファーストカットで部屋の外と内にいる画の1カットだけで、
二人は別々のところにいるんだという心理的な状況説明はさすが。
光の不自然さとかもね。
あと、ミドルサイズの画の1カットが長回しで撮られているシーンとか観ると、
無駄にカット割らないのはなんか個人的に好きでした。
演出で言えば、絶対あの綾瀬はるかのおっぱいもわざとだと思うんだけどなあ。
いや、全然おっぱいは見えないんだけど、そこに確かにあるという事だけは分かる。
何を言ってるのか分からないと思うし、全く映画とは関係ない部分なんですけどね。
あと開いている扉の外がなんか気になるとか、
フィロソフィカルゾンビの不気味さとか、やっぱホラーテイストはうまいなと。
そう言えば基本的に暗い画作りではあった。
ちなみにフィロソフィカルゾンビってそういう事じゃないだろっては思うけど、
まあ劇中だけの話なので、それはそれで良しとしておこうと。
で、なんと言っても幻覚で見える死体の恐さ。
普通に恐いよって思う。
画だけで言えば、断然映画「劇場版 零〜ゼロ〜」よりもホラー。
だから、あっちは実はホラーじゃなくて、こっちは実はホラー…ホラーとまではいかないか。
原作はミステリー小説なので、ラブストーリーっぽいキャッチコピーで売るのはどうなのかなと思う。
あと佐藤健の「バカだよなあ」ってところに「ああ、バカだ!」って突っ込んだのは自分だけじゃないはず。
どうでも良いこととしては、リアルってタイトルロゴのやすっぽさ。
dTVでみた際の右下にでている「TBSオンデマンド」って透かしの主張具合とか、
映画とは別の気になるところもありました。
個人的に首長竜の出てくるシーンは映画としての盛り上がりのためのサービスシーンだと思うけど、
そういう物理的な盛り上がりよりも、
画的には抑えめであっても、もう少し精神的なやりとりがこの映画のクライマックスであって欲しかったとは思う。
以前、レンタルDVDを借りたけど観れなかったタイトル。
「dTV」で何か無いかなと探していたら出てきたので観てみました。
観る前に原作の小説「完全なる首長竜の日」を読んだ人から、
話の一番のキモの部分をネタバレされてはいたのですが、
それでも一応は気になっていた作品です。
映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」は2013年公開の黒沢清監督作品。
気になっていた一番の理由は黒沢清監督作品だから。
黒沢清監督作品は以前、このブログでは映画「セブンスコード」の感想を書きました。
映画「スウィートホーム」はなんとかDVD化して欲しいなあと今でも思います。
自分が高校生の時に映画「CURE」を観て、ハッキリ言えば当時よく分からなかった。
ただ、作品の不気味さとか、後味の悪さが引っかかっていまして、
その後の作品も、やっぱ「何か残る」作品を作る監督だなあと。
そんな黒沢清監督ですが、この映画のキャッチコピーが、
「きみを救うため、ぼくは何度でもきみの“頭の中”へ入っていく。」だったので、
なんかラブストーリーっぽい映画をやるんだなと思った。
観てみれば全然ラブストーリーじゃなかったのですが、これも配給会社の問題かな。
まあキャストを見たら、そっちで売ってく方がお客さんは入ったんだろうけど。
という事でキャストですが、
主人公の藤田浩市を演じるのは佐藤健。
映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」が好きな男の佐藤健ファンが近くにいるので、
間違いなくこの映画も観ていると思うので感想を聞いてきたいと思います。
佐藤健の目の印象なのか、普段の時の差というかボーっとしてる感じの表現は何かハマりますよね。
浩市の彼女で自殺未遂をして昏睡状態の和淳美を演じるのは綾瀬はるか。
この映画では綾瀬はるかじゃなきゃダメだったかと言われると、そうでもない気がするが、
ところどころ主張の激しい胸に目がいってしまうのは彼女の魅力と言わずに何という。
以前、感想を書いた映画「海街diary」の役がしっかりしすぎていたぐらいで、
どちらかというと今回みたいな不安定な女性の方が綾瀬はるか感はある。
それだけ女優として成長しているという事でもあるのかもしれないですが。
その他、オダギリジョーや染谷将太、中谷美紀、小泉今日子などが脇を固めます。
外科医の米村を演じる堀部圭亮は、なんかどんな役でも存在感あるなあと関心します。
簡単に導入部分を書くと、
藤田浩市は一年前に自殺未遂によって昏睡状態になっている彼女の和淳美を助けるため、
「センシング」という技術で和淳美の意識に入る治療を行なっていた。
和淳美の意識の中で会話をして、なんとか目を覚ますきっかけを探す浩市。
しかし和淳美はとても不安定な精神状態だった。
そんな中、昔に和淳美が浩市にあげた首長竜の絵が見たいと言われる。
心の当たりの無い浩市は戸惑うものの、目を覚ますきっかけになればと、
現実世界で和淳美にもらった首長竜の絵を探してみるのだが…という感じ。
さて、映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」の感想ですが、
ところどころ気になる部分もあるけれど、良い映画だと思います。
特に映画のタイトルでもある「リアル」という言葉ですが、何がリアルなのか。
映画を最後まで観た時に「どこからどこまでがリアル」なのか、
観る側がいろいろ物語を解釈したり考えたりできる、
そんな映画的な楽しみができるというのは非常に好感が持てました。
基本的に映画は夢というか精神世界というか、
「現実ではないところ」が舞台になるので、
ネタバレになってしまうのであんまり詳しく書かないけど、
それおかしいじゃんってのも、ある程度成り立ってしまうので難しいですが、
車を運転している時の不自然なまでの合成の映像。
観終わった後は、「なるほど、だからか」とも思うけど、観ている時は若干違和感だった。
その他、銃で撃ったあとの飛び散り方がおかしいとか、子どもが船運転できるんかとか、
色々普通の映画演出ではありえないとは思うけど…まあ夢だからなあ…。
あ、でもモリオはよく分からんよね、なんで船戻してくれたのか。
その後の展開も、結局お前は何がしたかったのかって思いました。
えっ、アレが欲しかっただけなの?
まあ精神世界の話だから、結局その人の精神の問題なはず。
…ネタバレせずに書くのは難しいけど、
過去に起きた事故が心に引っ掛かっていたのは分かるけど、
それを乗り越えるというか、解決したのが何なのかが良く分からない。
あの首飾りは何のメタファーだったのか…多分過去の事故のメタファーなのだが。
その首飾りをアイツにあげるということは、どういう精神的成長なのか。
少しだけネタバレだけど、あの首飾りを拾おうとして今の状態になった。
つまり、過去の事故が何年も経った今でも心の奥に引っ掛かっていた…というのは分かる。
しかし、あの首飾りを捨てれば(あげれば)解決するってのは何か成長とは違う気がする。
首飾りを捨てる(あげる)という行為そのものが「過去を乗り越えた」という事なんだとは思うけど、
その前のやりとりの「俺は戻る」って言葉を言うシーンの方がよっぽど乗り越えてる感がある。
もうちょっとクライマックスに明確な「過去を乗り越えた感」のある展開だったらなあと。
そんな訳で、もやもやっとした部分もありますが、
基本的には作りは丁寧に作ってあるし良作の映画だと思います。
ファーストカットで部屋の外と内にいる画の1カットだけで、
二人は別々のところにいるんだという心理的な状況説明はさすが。
光の不自然さとかもね。
あと、ミドルサイズの画の1カットが長回しで撮られているシーンとか観ると、
無駄にカット割らないのはなんか個人的に好きでした。
演出で言えば、絶対あの綾瀬はるかのおっぱいもわざとだと思うんだけどなあ。
いや、全然おっぱいは見えないんだけど、そこに確かにあるという事だけは分かる。
何を言ってるのか分からないと思うし、全く映画とは関係ない部分なんですけどね。
あと開いている扉の外がなんか気になるとか、
フィロソフィカルゾンビの不気味さとか、やっぱホラーテイストはうまいなと。
そう言えば基本的に暗い画作りではあった。
ちなみにフィロソフィカルゾンビってそういう事じゃないだろっては思うけど、
まあ劇中だけの話なので、それはそれで良しとしておこうと。
で、なんと言っても幻覚で見える死体の恐さ。
普通に恐いよって思う。
画だけで言えば、断然映画「劇場版 零〜ゼロ〜」よりもホラー。
だから、あっちは実はホラーじゃなくて、こっちは実はホラー…ホラーとまではいかないか。
原作はミステリー小説なので、ラブストーリーっぽいキャッチコピーで売るのはどうなのかなと思う。
あと佐藤健の「バカだよなあ」ってところに「ああ、バカだ!」って突っ込んだのは自分だけじゃないはず。
どうでも良いこととしては、リアルってタイトルロゴのやすっぽさ。
dTVでみた際の右下にでている「TBSオンデマンド」って透かしの主張具合とか、
映画とは別の気になるところもありました。
個人的に首長竜の出てくるシーンは映画としての盛り上がりのためのサービスシーンだと思うけど、
そういう物理的な盛り上がりよりも、
画的には抑えめであっても、もう少し精神的なやりとりがこの映画のクライマックスであって欲しかったとは思う。
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