2020年05月13日
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」の感想…良い部分も分かるんだけど自分には合わなかった。
今日は映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」の感想です。
先に書きますが岩井俊二監督作品は自分に合わない。
ただ後輩におススメの映画を1本あげるとしたら何って聞いたら、
この映画を言われたので嫌な予感はしたが観なくてはいけないかなと。
という訳でPS4のNetflixで鑑賞。
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」は2016年公開の岩井俊二監督作品。
日本の監督でダメな監督と言ったら間違いなく英勉監督の名前を出すが、
自分に合わない監督と言ったら岩井俊二監督の名前を出す。
代表作は映画「リリイ・シュシュのすべて」や映画「スワロウテイル 」になるのかな。
これらの映画を好きな人もいるのは分かるけど、どうしても自分には合わなかった。
言葉にするのは難しいが、
そこまで難しくない事を必要以上に難しく語ってるだけじゃん…みたいな。
いやいや、ちょっと悪意ある書き方になってしまいましたが、
そんなような印象を持っていて、
めちゃめちゃこういう映画が好きな人に嫌な顔をされています。
原作は岩井俊二監督が書いた同名の小説。
もちろん…未読です。
映画のあらすじですが、
SNSで出会った男と付き合う事になり結婚まで順調に進んでいた。
結婚式をやる事になり招待するゲストを話し合っていた際に、
彼よりも呼べる親族が少ない事に悩み、
同じくSNSで知り合った人のつてで何でも屋の安室と会う事になったのだが…みたいな感じかな。
キャストですが、
主人公の皆川七海を演じるのは黒木華。
彼女の魅力だけは物凄く伝わった。
生着替えとか最高だったなあ…というのは冗談で、
色んな黒木華の表情が綺麗に映し出されています。
ある仕事で知り合う女優里中真白を演じるのはCocco。
ネタバレになるので詳しく描きませんが、
女優ってよりはやっぱり歌手だよなあ…歌上手いもん。
なんでも屋の安室行舛を演じるのは綾野剛。
目に力があって良い俳優だと思うし、
今回の「役」に凄く適した人だと思う。
その他、地曵豪、原日出子、和田聰宏などが出演しています。
さて、映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」の感想ですが、
最初にも書いたみたいに自分には合いませんでした。
ただ、今まで観た岩井俊二監督作品の中では1番良いなと思った。
ネタバレはしない様に書いていきますが、
まず「リップヴァンウィンクル」が何なのかと。
自分はたまたま先日観ていたPSゲーム「トワイライトシンドローム」のゲーム実況にて、
ちょうど「リップヴァンウィンクル」という話題が出ていて、
ふと気になって調べていたので知っていました。
それまでは聞いた事がなかったのですが、
この「リップヴァンウィンクル」という印象的な名前が、
どう映画に関係してくるのか楽しみにしていました。
が、確かにある事で状況というか、世界が変わる…って見方も出来ますが、
明らかに自分の体験によって自分が成長しているので、
なんとなくリップヴァンウィンクルとはリンクしてない様な気がするんですよ。
だから、なんとなく語呂で決めた感がしてしまった。
ただストーリーは詳しくは書きませんが、
分かりやすいエモーションが用意されているので、
映画として楽しめなくはない作りだった。
何故、こんな歯切れの悪い書き方なのかと言えば、
これも詳しくは書きませんが綾野剛の演じる安室という男の存在。
何でも屋であり、彼のせいでそもそもの出来事が起こった訳で、
結果的に主人公の七海にとって成長につながったとは言え、
確実に感情移入できない事を彼は劇中でしている。
だから、どれだけ結果が良くても彼の言葉を聞いてしまった観客として、
コイツを信用する事は出来ないし、
映画のラスト付近で七海が彼にお礼の言葉を言っている様は滑稽にしかみえない。
いや、結果論な事もあるだろうが、
どうしても中盤の出来事は一線を越えている訳で。
主人公がこの物語を通して成長した、良かったねって、
単純には共感できない。
で、これが小説だったらダブルミーニング的に、
色々な考え方が出来る要素もあると思うのだが、
映画だとどうしても「目に見える演出」があるので、
「ここは感動的なシーンですよ」って映し方になってしまう。
そういうシーンが出れば出るほど、「はぁ?」って思えてしまう。
例えば真白の母親のシーンはお金のやり取りが全て終わった事を、
わざわざ描いてからある演出がされている。
これは自分の利益しか考えていない男だった安室が、
「自分には利益にはならないこと」をやっている、
つまり「善意的に行動している」と見せている。
先ほども書いたが小説なら、安室はどういう心境なのだろうと、
色々考察したりすることが出来るのだが、
映画はこういう「制作側の演出」があるため、
考える余地もなく「この時の心境はこうだ!」となってしまう。
という訳で納得いかないんだよなあ。
あと画が観ずらいシーンが時々気になる。
三脚でがっしり撮影している部分は何も問題はないのだが、
ところどころカメラを動かしている。
最初は出会ったばかりの2人だから不安だから意識して手振れさせてるのかな、
…って思って観ていたのだが、
それにしてもカメラワークが上手くない。
上手く無いっていうかムカつくカメラワークなんですよね…。
ウェディングドレスの時のジンバル使った画とか。
撮影以外の美術や小道具の演出に関しては良くて、
パーティー後の散らかった感じとかしっかり作っていたし、
ある家で直接は触れないけど、
子供の頃に描いたと思われる画がさりげなく飾ってあったり、
そこをさりげなくやってるのは凄く好感が持てた。
そうそう、あの母親の「娘の気持ちを分かろうとする行動」は良かった。
そこは単純に良かったのに個人的には綾野剛で台無しなんだよなあ。
思い返せば、親の描き方は結構良かったなあ。
空気の読めない母親に、親父の「親だもん」ってセリフとか。
あと3時間という尺はちょっと長すぎる。
案外飽きさせない様に物語に定期的に波を付けてはいるのだが、
それでも3時間は長すぎる。
キャバ嬢の同級生とかそこまで意味あった?
結婚式のシーンでの子役とか使ってやる演出は必要あった?
ここまで金かけたのにって意味なのか、
代理出席と同じく「目に見えている上っ面が大事」という意味で使ったのか。
そもそもこの映画を観ると結婚式ほど滑稽なものは無いですよね。
そして、一次関数とか社会に出たら何に使うのって疑問とか、
全く物語に関係ないじゃん。
そこでちゃんと答えられないなら教師として失格だろ。
そう、結構色んなシーンで「そうはならない」って思えてしまうのも、
映画に共感が持てないところ。
黒木華をダメな教師として描きたいのは分かるけど、
マイクを使った生徒からのイジメみたなシーンとか、
岩井俊二はどんなけ今の高校生が性格悪いと思ってるんだろうか。
そもそもマイクって繋がなきゃ音でないけど、
配線できる仕組みになってるなら別にマイク使っても良いんじゃねって思うし。
あと、実際に結婚するまでにお互いの性格は分かるだろ。
あまりにもお互いに人として信頼関係が無さ過ぎる。
ネットで買い物ができるように、あっさり彼氏は手に入るかも知れないが、
結婚はある程度適齢期を過ぎた二人だったら分かるけど、
そんな歳でもないのにどうやって結婚までいったんだよ。
この、「ネットで買い物ができるように」という事と、
映画の中盤で出てくる「幸せは簡単に手に入っちゃいけない」は、
対比として描いているのだろうけど、
物語全体を考えると苦労したけど幸せになってない、
というかやっぱりここでも安室という存在が邪魔なんですよ。
アズナブルなのに安室かよというツッコミはしたくなりますが、
そんな事よりも最終的にアイツが不問なのがスッキリしない。
もちろんスッキリする映画を作っている訳ではないのだろうが、
最初に仮名で名乗ってるのを観て、
なるほど、これは最終的に実名を伝えるんだろうなって思っていたのに、
最後まで七海には心を開かない。
先ほどかいた中盤でのある一線を越えた事だけでも致命的なのに、
結局はあいつに転がされるだけ転がされただけじゃねえか。
主人公は結果的に変わる事が出来たのでよしとしよう、
という見方も出来なくはないけど、
やっぱりこれで良い話げに映画を作られてもなあ…って。
ランバラルの友達なんでってセリフは面白いけど、
結局ランバラルは誰なのか七海は知らないままだしさ。
「100万円いらないんですか、100万円」ってのはパワーワードだったけど。
そんな感じかな。
映画冒頭の人に溢れた街中から始まって、
最終的にどんな環境で終わったかと思うと、
人がいるけど孤独だし、
人はいないけど充実しているって対比はありだと思う。
だから、今までの岩井俊二監督作品に比べると楽しめた1本ではあるけど、
総合的にはやっぱり自分には合わないんだろうなと思った。
好きな人を否定したい訳じゃなくて、
やっぱり「自分には合わない」んだろうなと。
先に書きますが岩井俊二監督作品は自分に合わない。
ただ後輩におススメの映画を1本あげるとしたら何って聞いたら、
この映画を言われたので嫌な予感はしたが観なくてはいけないかなと。
という訳でPS4のNetflixで鑑賞。
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」は2016年公開の岩井俊二監督作品。
日本の監督でダメな監督と言ったら間違いなく英勉監督の名前を出すが、
自分に合わない監督と言ったら岩井俊二監督の名前を出す。
代表作は映画「リリイ・シュシュのすべて」や映画「スワロウテイル 」になるのかな。
これらの映画を好きな人もいるのは分かるけど、どうしても自分には合わなかった。
言葉にするのは難しいが、
そこまで難しくない事を必要以上に難しく語ってるだけじゃん…みたいな。
いやいや、ちょっと悪意ある書き方になってしまいましたが、
そんなような印象を持っていて、
めちゃめちゃこういう映画が好きな人に嫌な顔をされています。
原作は岩井俊二監督が書いた同名の小説。
もちろん…未読です。
映画のあらすじですが、
SNSで出会った男と付き合う事になり結婚まで順調に進んでいた。
結婚式をやる事になり招待するゲストを話し合っていた際に、
彼よりも呼べる親族が少ない事に悩み、
同じくSNSで知り合った人のつてで何でも屋の安室と会う事になったのだが…みたいな感じかな。
キャストですが、
主人公の皆川七海を演じるのは黒木華。
彼女の魅力だけは物凄く伝わった。
生着替えとか最高だったなあ…というのは冗談で、
色んな黒木華の表情が綺麗に映し出されています。
ある仕事で知り合う女優里中真白を演じるのはCocco。
ネタバレになるので詳しく描きませんが、
女優ってよりはやっぱり歌手だよなあ…歌上手いもん。
なんでも屋の安室行舛を演じるのは綾野剛。
目に力があって良い俳優だと思うし、
今回の「役」に凄く適した人だと思う。
その他、地曵豪、原日出子、和田聰宏などが出演しています。
さて、映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」の感想ですが、
最初にも書いたみたいに自分には合いませんでした。
ただ、今まで観た岩井俊二監督作品の中では1番良いなと思った。
ネタバレはしない様に書いていきますが、
まず「リップヴァンウィンクル」が何なのかと。
自分はたまたま先日観ていたPSゲーム「トワイライトシンドローム」のゲーム実況にて、
ちょうど「リップヴァンウィンクル」という話題が出ていて、
ふと気になって調べていたので知っていました。
それまでは聞いた事がなかったのですが、
この「リップヴァンウィンクル」という印象的な名前が、
どう映画に関係してくるのか楽しみにしていました。
が、確かにある事で状況というか、世界が変わる…って見方も出来ますが、
明らかに自分の体験によって自分が成長しているので、
なんとなくリップヴァンウィンクルとはリンクしてない様な気がするんですよ。
だから、なんとなく語呂で決めた感がしてしまった。
ただストーリーは詳しくは書きませんが、
分かりやすいエモーションが用意されているので、
映画として楽しめなくはない作りだった。
何故、こんな歯切れの悪い書き方なのかと言えば、
これも詳しくは書きませんが綾野剛の演じる安室という男の存在。
何でも屋であり、彼のせいでそもそもの出来事が起こった訳で、
結果的に主人公の七海にとって成長につながったとは言え、
確実に感情移入できない事を彼は劇中でしている。
だから、どれだけ結果が良くても彼の言葉を聞いてしまった観客として、
コイツを信用する事は出来ないし、
映画のラスト付近で七海が彼にお礼の言葉を言っている様は滑稽にしかみえない。
いや、結果論な事もあるだろうが、
どうしても中盤の出来事は一線を越えている訳で。
主人公がこの物語を通して成長した、良かったねって、
単純には共感できない。
で、これが小説だったらダブルミーニング的に、
色々な考え方が出来る要素もあると思うのだが、
映画だとどうしても「目に見える演出」があるので、
「ここは感動的なシーンですよ」って映し方になってしまう。
そういうシーンが出れば出るほど、「はぁ?」って思えてしまう。
例えば真白の母親のシーンはお金のやり取りが全て終わった事を、
わざわざ描いてからある演出がされている。
これは自分の利益しか考えていない男だった安室が、
「自分には利益にはならないこと」をやっている、
つまり「善意的に行動している」と見せている。
先ほども書いたが小説なら、安室はどういう心境なのだろうと、
色々考察したりすることが出来るのだが、
映画はこういう「制作側の演出」があるため、
考える余地もなく「この時の心境はこうだ!」となってしまう。
という訳で納得いかないんだよなあ。
あと画が観ずらいシーンが時々気になる。
三脚でがっしり撮影している部分は何も問題はないのだが、
ところどころカメラを動かしている。
最初は出会ったばかりの2人だから不安だから意識して手振れさせてるのかな、
…って思って観ていたのだが、
それにしてもカメラワークが上手くない。
上手く無いっていうかムカつくカメラワークなんですよね…。
ウェディングドレスの時のジンバル使った画とか。
撮影以外の美術や小道具の演出に関しては良くて、
パーティー後の散らかった感じとかしっかり作っていたし、
ある家で直接は触れないけど、
子供の頃に描いたと思われる画がさりげなく飾ってあったり、
そこをさりげなくやってるのは凄く好感が持てた。
そうそう、あの母親の「娘の気持ちを分かろうとする行動」は良かった。
そこは単純に良かったのに個人的には綾野剛で台無しなんだよなあ。
思い返せば、親の描き方は結構良かったなあ。
空気の読めない母親に、親父の「親だもん」ってセリフとか。
あと3時間という尺はちょっと長すぎる。
案外飽きさせない様に物語に定期的に波を付けてはいるのだが、
それでも3時間は長すぎる。
キャバ嬢の同級生とかそこまで意味あった?
結婚式のシーンでの子役とか使ってやる演出は必要あった?
ここまで金かけたのにって意味なのか、
代理出席と同じく「目に見えている上っ面が大事」という意味で使ったのか。
そもそもこの映画を観ると結婚式ほど滑稽なものは無いですよね。
そして、一次関数とか社会に出たら何に使うのって疑問とか、
全く物語に関係ないじゃん。
そこでちゃんと答えられないなら教師として失格だろ。
そう、結構色んなシーンで「そうはならない」って思えてしまうのも、
映画に共感が持てないところ。
黒木華をダメな教師として描きたいのは分かるけど、
マイクを使った生徒からのイジメみたなシーンとか、
岩井俊二はどんなけ今の高校生が性格悪いと思ってるんだろうか。
そもそもマイクって繋がなきゃ音でないけど、
配線できる仕組みになってるなら別にマイク使っても良いんじゃねって思うし。
あと、実際に結婚するまでにお互いの性格は分かるだろ。
あまりにもお互いに人として信頼関係が無さ過ぎる。
ネットで買い物ができるように、あっさり彼氏は手に入るかも知れないが、
結婚はある程度適齢期を過ぎた二人だったら分かるけど、
そんな歳でもないのにどうやって結婚までいったんだよ。
この、「ネットで買い物ができるように」という事と、
映画の中盤で出てくる「幸せは簡単に手に入っちゃいけない」は、
対比として描いているのだろうけど、
物語全体を考えると苦労したけど幸せになってない、
というかやっぱりここでも安室という存在が邪魔なんですよ。
アズナブルなのに安室かよというツッコミはしたくなりますが、
そんな事よりも最終的にアイツが不問なのがスッキリしない。
もちろんスッキリする映画を作っている訳ではないのだろうが、
最初に仮名で名乗ってるのを観て、
なるほど、これは最終的に実名を伝えるんだろうなって思っていたのに、
最後まで七海には心を開かない。
先ほどかいた中盤でのある一線を越えた事だけでも致命的なのに、
結局はあいつに転がされるだけ転がされただけじゃねえか。
主人公は結果的に変わる事が出来たのでよしとしよう、
という見方も出来なくはないけど、
やっぱりこれで良い話げに映画を作られてもなあ…って。
ランバラルの友達なんでってセリフは面白いけど、
結局ランバラルは誰なのか七海は知らないままだしさ。
「100万円いらないんですか、100万円」ってのはパワーワードだったけど。
そんな感じかな。
映画冒頭の人に溢れた街中から始まって、
最終的にどんな環境で終わったかと思うと、
人がいるけど孤独だし、
人はいないけど充実しているって対比はありだと思う。
だから、今までの岩井俊二監督作品に比べると楽しめた1本ではあるけど、
総合的にはやっぱり自分には合わないんだろうなと思った。
好きな人を否定したい訳じゃなくて、
やっぱり「自分には合わない」んだろうなと。
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