2010年12月21日
メル・アンド・ティムの逆襲
既視感という言葉があります。
はじめての出来ごとにもかかわらず、以前に体験した記憶があるという感覚です。
デジャヴと言われるものですね。
私は、このMel And Timの同名アルバムを聴いて、まさにその感覚にとらわれたのでした。
1. Keep The Faith
2. Same Folk
3. Oh How I Love You
4. Yes We Can-Can
5. I Would Still Be There
6. Making Love Is My Thing
7. It's Those Little Thigs That Count
8. Aint No Love In My Life
9. That's The Way I Want To Live My Life
10. Forever And A Day
このアルバムは、72年にバリー・ベケットとロジャー・ホーキンスの制作により、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオで吹き込まれ、73年ないしは74年頃にリリースされたようです。
ほとんどの曲をPhillip Mitchellが書いており、ミッチェル・ワールド全開の、ムーディーかつジェントル、そして適度にサッドな雰囲気の曲が、これでもかと続きます。
このアルバムを聴いた私は、2度めを聴く前、早くも、どうも聴いたことが有るような気がすると思い始めていました。
多分、このミッチェル独特の曲調が、そう感じさせるのだろうと思いましたが、とりあえず気になることを確認してみました。
まず、フィリップ・ミッチェルの2枚の未発表曲集、Just The BeginningとPick Hit Of The Weekの収録曲をチェックします。
この2枚は、優良リイシュー・レーベル、グレイプヴァインから04年と06年に出されたもので、サザン・ソウル・ファンにとっては、同社から出されたGeorge Jacksonの同趣旨の作品集とともに、宝もののようなアイテムです。
いずれも、ソング・ライターである彼らが、シンガー向けに作成した、本人歌唱によるデモ集でした。
2枚を確認しましたが、ここには今回のMel And Tim収録曲の本人盤はありませんでした。
そこで、今度は、ミッチェルがプリンス・フィリップ・ミッチェル名義で出したアルバムを引っ張りだしてきました。
78年のMake It Goodと、79年のTop Of The Lineです。
しかし、うすうす予想し始めていたいたとおり、こちらも該当なしでした。
では、なぜ「聴いたことがある」と感じたのでしょう?
やはり、ミッチェルの作風そのものが、共通の匂いのようなものを発していて、それを感じただけなのかも知れません。
私は、あきらめて再度聴き通すことにしました。
素晴らしい音楽だと思います。
南部録音ではありますが、フィリー・ソウルのグループものを思わせる、スムースで胸に迫るような感じがたまりません。
ストリングスが甘すぎないのが、南部の音なんでしょうか。
しかし、逆にいうと、あまりデュオである必要性が感じられない楽曲であり、編曲です。
サム・アンド・デイヴのような、ガッツ溢れる掛け合いなどとは全く別のタイプの曲になっています。
リード・シンガーと分厚いムーディーなコーラスがあれば充分という感じで、ソロ・シンガーか、ソウル・グループに、より適した曲のように思えてきました。
そこで、同じくフィリップ・ミッチェルが書いてヒットした、Starting All Over Againを収録した同名アルバムを、久しぶりにおさらいしてみることにしました。
そして、私は気が付いたのでした。
私が所有しているアルバムは、92年にリイシューされたもので、4曲のボーナス・トラックが追加されています。
その4曲こそ、今回のアルバムに収録されている、Same Folk、Yes We Can-Can、It's Those Little Thins That Count、Forever And A Dayなのでした。
ライナーによれば、この4曲は、Starting All Over Again収録曲と同時期の72年4月に録音されたと記されています。
この4曲が、2枚の先行シングルの両面なのかと思いましたが、確かに3曲はシングル曲ですが、Yes We Can-Canは違うようです。
これからいくと、今回のアルバム収録曲も、全て同時期に収録された可能性も考えられます。
アルバムStarting All Over Againに参加しているドナルド・ダック・ダンの名前が、今回のアルバムには見当たりませんが、眼につく違いはその程度です。
もちろん、プロデューサーも同じですので、もしかすると、アルバムMel And Timは、Starting All Over Againのヒットで、急きょ組まれたアウトテイク集だったのかも知れません。
Starting All Over Againが、サム・アンド・デイヴや、ジェイムズ・アンド・ボビー・ピューリファイのカバー曲や、ダグ・サーム盤で大好きになった、ドン・アンド・ファンのWhat's Your Nameなど、他人のヒット曲を入れた、会社の売らんかなという姿勢が見えるのに対して、今作はあっさりと地味なラインナップになっていることからも、そんな想像をたくましくしてしまうのでした。
真相は、英文ライナーの中にあるのかも知れませんが、それを読み下す気力も能力もない私としては、ただひたすら、魅惑のミッチェル・ワールドに浸るのみなのでした。
関連記事はこちら
メル・アンド・ティムのおさらい
はじめての出来ごとにもかかわらず、以前に体験した記憶があるという感覚です。
デジャヴと言われるものですね。
私は、このMel And Timの同名アルバムを聴いて、まさにその感覚にとらわれたのでした。
Mel And Tim
1. Keep The Faith
2. Same Folk
3. Oh How I Love You
4. Yes We Can-Can
5. I Would Still Be There
6. Making Love Is My Thing
7. It's Those Little Thigs That Count
8. Aint No Love In My Life
9. That's The Way I Want To Live My Life
10. Forever And A Day
このアルバムは、72年にバリー・ベケットとロジャー・ホーキンスの制作により、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオで吹き込まれ、73年ないしは74年頃にリリースされたようです。
ほとんどの曲をPhillip Mitchellが書いており、ミッチェル・ワールド全開の、ムーディーかつジェントル、そして適度にサッドな雰囲気の曲が、これでもかと続きます。
このアルバムを聴いた私は、2度めを聴く前、早くも、どうも聴いたことが有るような気がすると思い始めていました。
多分、このミッチェル独特の曲調が、そう感じさせるのだろうと思いましたが、とりあえず気になることを確認してみました。
まず、フィリップ・ミッチェルの2枚の未発表曲集、Just The BeginningとPick Hit Of The Weekの収録曲をチェックします。
この2枚は、優良リイシュー・レーベル、グレイプヴァインから04年と06年に出されたもので、サザン・ソウル・ファンにとっては、同社から出されたGeorge Jacksonの同趣旨の作品集とともに、宝もののようなアイテムです。
いずれも、ソング・ライターである彼らが、シンガー向けに作成した、本人歌唱によるデモ集でした。
2枚を確認しましたが、ここには今回のMel And Tim収録曲の本人盤はありませんでした。
そこで、今度は、ミッチェルがプリンス・フィリップ・ミッチェル名義で出したアルバムを引っ張りだしてきました。
78年のMake It Goodと、79年のTop Of The Lineです。
しかし、うすうす予想し始めていたいたとおり、こちらも該当なしでした。
では、なぜ「聴いたことがある」と感じたのでしょう?
やはり、ミッチェルの作風そのものが、共通の匂いのようなものを発していて、それを感じただけなのかも知れません。
私は、あきらめて再度聴き通すことにしました。
素晴らしい音楽だと思います。
南部録音ではありますが、フィリー・ソウルのグループものを思わせる、スムースで胸に迫るような感じがたまりません。
ストリングスが甘すぎないのが、南部の音なんでしょうか。
しかし、逆にいうと、あまりデュオである必要性が感じられない楽曲であり、編曲です。
サム・アンド・デイヴのような、ガッツ溢れる掛け合いなどとは全く別のタイプの曲になっています。
リード・シンガーと分厚いムーディーなコーラスがあれば充分という感じで、ソロ・シンガーか、ソウル・グループに、より適した曲のように思えてきました。
そこで、同じくフィリップ・ミッチェルが書いてヒットした、Starting All Over Againを収録した同名アルバムを、久しぶりにおさらいしてみることにしました。
そして、私は気が付いたのでした。
私が所有しているアルバムは、92年にリイシューされたもので、4曲のボーナス・トラックが追加されています。
その4曲こそ、今回のアルバムに収録されている、Same Folk、Yes We Can-Can、It's Those Little Thins That Count、Forever And A Dayなのでした。
ライナーによれば、この4曲は、Starting All Over Again収録曲と同時期の72年4月に録音されたと記されています。
この4曲が、2枚の先行シングルの両面なのかと思いましたが、確かに3曲はシングル曲ですが、Yes We Can-Canは違うようです。
これからいくと、今回のアルバム収録曲も、全て同時期に収録された可能性も考えられます。
アルバムStarting All Over Againに参加しているドナルド・ダック・ダンの名前が、今回のアルバムには見当たりませんが、眼につく違いはその程度です。
もちろん、プロデューサーも同じですので、もしかすると、アルバムMel And Timは、Starting All Over Againのヒットで、急きょ組まれたアウトテイク集だったのかも知れません。
Starting All Over Againが、サム・アンド・デイヴや、ジェイムズ・アンド・ボビー・ピューリファイのカバー曲や、ダグ・サーム盤で大好きになった、ドン・アンド・ファンのWhat's Your Nameなど、他人のヒット曲を入れた、会社の売らんかなという姿勢が見えるのに対して、今作はあっさりと地味なラインナップになっていることからも、そんな想像をたくましくしてしまうのでした。
真相は、英文ライナーの中にあるのかも知れませんが、それを読み下す気力も能力もない私としては、ただひたすら、魅惑のミッチェル・ワールドに浸るのみなのでした。
関連記事はこちら
メル・アンド・ティムのおさらい