この作品は2012年公開ピクサー・アニメーション・スタジオ制作のディズニーCGアニメーション映画だ。エンディングにスティーブ・ジョブスへの追悼文があり、彼が亡くなってもう4年経ったことを気付かされた。
メリダは古代スコットランドいある王国の一人娘で母王妃から厳しく躾けられていたが、弓矢が得意なお転婆娘だった。国安泰の為に有力な3領主の息子と娘の結婚話を進める母にメリダは反発して候補選びの弓矢競技を台無しにしてしまう。母と大喧嘩して城を飛び出したメリダは森の奥で魔女と出会い、母を変える魔法のケーキを作ってもらうが、それを食べた母は大熊になってしまう。母を元の姿に戻そうと森に向かったメリダと母熊は、2日目の朝までに魔法を解かないと本当に熊になってしまうという魔女の伝言を知って…というストーリー。
『ホームシアタージャパン2014ウィンター』のエプソンブースで本作を3D映画として屈指ので出来栄えとの評していたが、なるほど1本通して観ると、この作り込みと自然な立体感と奥行は凄い。赤毛で天然パーマのメリダの髪を見るとまるで目の前で人形劇が行われているかの様な実在感がある。地面に生えている草の1本1本、森の木々の葉1枚1枚に立体感があり、その自然の中をキャラクター達が動き回っているのだ。
飛び出してくる派手な演出はないのでカスタマーレビューでの3D評価が低い理由は分かるが、この現実と見間違えそうな自然描写は他の3D CGアニメーションでは見られないこだわり様だ。後で2D版を観直したところ、4K解像度だから立体感はあるものの3Dで味わえる厚みまでは無かった。
本作は日本での興行成績は良くなかった様だが、その原因は話のスケールの小ささにあると思う。昔の小さな王国で起こった母と娘の親子喧嘩でたった2日間の出来事。人はどう運命と向かい合うかと言う大きなテーマを掲げているものの親子喧嘩を王国の興亡まで結び付けられてもどうかと思う。(苦笑)
もう少しメリダの痛みを伴う苦労話がないと彼女の成長が嘘くさく見えてしまう。おとぎ話的なストーリーを作るなら残酷さや怖さや毒があってもいい筈だがディズニー印付ではそんな内容にも出来ずこぢんまりとしたハッピーエンドで収まってしまい劇場版を観たと言う快感がないのが残念なところ。
もっともアニメとしてつまらないかというと、実はかなり面白く何度も笑わせてもらった。一番面白かったのは大熊になった王妃の慌てようとその事実を受け止めた後の仕草だったりする。王妃としての威厳と上品さを失わない態度の熊という設定が笑える。
その熊を仕留めようと言う父国王からの城脱出劇は見どころ。メリダには悪戯盛りの3つ子の弟たちがいるのだが、この3人が母熊を守ろうと大活躍。それまで単なるうるさいだけのキャラクターと思っていたらこんな活躍をするのだと感心させられた。もっとも案の定残っていたケーキを食べてしまい…というオチも付くのだが。(笑)
ディズニーアニメらしく王妃の「武器はテーブルに置かないで」というマナー話は何度も登場して伏線にもなっているのだが、お約束のマスコットキャラクターがいないのは寂しいところ。これがピクサー風なのだろうか?
3D版ということで日本語ドルビーデジタル5.1chで観たのでサラウンド的にはこれと言って印象的なシーンは無かったが、英語版ドルビーTrue HD 7.1chであればまた違った感想となるだろう。劇場ではドルビーアトモスで公開されたのだから、アトモス版BDが出ることを期待したい。
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