この作品は2008年公開ディズニー・アニメーション制作のCGアニメーション映画だ。『アバター』が2009年公開なので3D効果に関して期待していなかったのだが、CGアニメと3Dの相性は良く最近の作品に見劣りしない出来だった。
ボルトはペニーと一緒に悪の組織と戦うスーパーヒーロードッグだ。もっともこれはテレビドラマでの設定、しかし撮影スタジオから一歩も外へ出たことのないボルトはそう信じ切っていた。ドラマの展開でペニーがさらわれる。心配したボルトは彼女を助け出そうとスタジオを飛び出してしまい偶然が重なりニューヨークへ運ばれてしまう。そこで野良猫のミトンズと出会い、現実と向い合いつつペニーのいるハリウッドまで向かうことになる。途中テレビ中毒のハムスターライノも加わり3匹は西へと向かが…というストーリー。
冒頭がテレビドラマシーンとなるが、ボルトのアクションと活躍がアニメらしいスーパーぶりで、コミカルなシーンも楽しい。さすがに100インチでは3D効果は大人しく戦闘ヘリの尾翼が鼻の頭にぶつかりそうになったり、ボルトの顔が飛び出したりはしなかったが、3Dの魅力は十分に伝わってくる。
エプソンの視聴会では気付かなかったが、何よりサウンドが凄い。最初にドン!と重く響く効果音に驚かされ、戦闘の激しさやスピード感も音の演出があっての賜物。細かな効果音がこのアニメにリアリティを与えている。
いつも感心するのはディズニーの脚本の良さで、途中途中にさりげなく伏線を張っておき最後にしっかり回収している。ボルトの「スーパー遠吠え」はドラマ中では敵軍団を一発で全滅させる威力を見せるが、現実で使える訳も無くボルトは自信喪失するが、ペニーの大ピンチでボルトは…といったラストの見せ場を作ってくれる。
登場するキャラクター達も勿論魅力的だ。現実主義で厳しいことを言うミトンズは世間知らずのボルトを心配してくれる優しさを持っているし、ライノはコメディーメーカーだが、その行動力が2匹の迷いを吹っ切ってくれる。
私的に一番気に入っているのは途中途中の街にいる鳩達。ボルトと会うと必ず「どこかで見掛けたような?」と首を傾げるのがお約束。いつも番組宣伝の看板の上にとまっているのに何故思い出さないとツッコみたくなる繰り返しギャグが笑える。
一方でライノと同じくテレビドラマ『ボルト』のファンの鳩がいて今後の展開について提案してくるのだが、これがラストのオチになっていて爆笑してしまった。本当に無駄の無いシナリオだ。
ボルトの生い立ちはジム・キャリーが主演した『トゥルーマン・ショー(1998年)』を思い出させるが、超英雄犬という設定が”中二病”ぽく世間知らずな言動で笑わせてくれる。彼が旅を通じてテレビのヒーローではない自分を探して成長していく訳だが、ラストの活躍は『魔女の宅急便』風でもある。
主人公は犬なので犬派は当然として、猫派も満足出来る動物アニメで、3D効果は高く音響的に優れているのでAV Phileにもお勧めだ。次はエプソンで推薦していた『メリダとおそろしの森』を買ったので正月休みにじっくりと鑑賞することにしよう。
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