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2023年03月17日

『School Ties (1992)』★Movies & TV series 2023(25)★

『School Ties (1992)』

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<個人的な評価:10点中8点

下記、個人的な感想。
ネタバレあり。


労働者階級でユダヤ人の17歳の少年 Davidは、ラグビーの才能を見出されて、奨学金で名門の私立進学校に転入する事となる。そこに通う生徒たちは、名家出身の裕福な御曹司たちだった。現代の私達の時代のアメリカの有名進学校は、世界各地の裕福な人達が集まるから、多民族、多文化な学校も多くなったけど、この映画の時代は、アメリカの私立進学校は、old money の白人層しかいなかったね。
Davidのラグビーの腕はほんものなので、仲間を勝利に導いて、奨学金生で裕福ではないとはいえ、すぐに仲間と打ち解けた。男子って、ある程度、コミュニケーション能力があり、運動能力が優れていれば、すぐに打ち解けるな〜と思う。
だが、David はユダヤ人が嫌われている事を知って、自分がユダヤ教である事を隠すのだった。

日本人には、ピンとこないかもしれないけど、今でもアメリカでは、ユダヤ人を嫌う人はいる。私の友達も、1人2人だけじゃなく、けっこうの人がユダヤ人を嫌っているんだよね。日本に例えると、日本人が、在日韓国人を嫌うようなものかな。しかも、ユダヤ人は、賢くて頭が良い人が多く、お金稼ぎが上手だから、逆に裕福なクリスチャンやold money の白人層は、ユダヤ人は金の亡者だの、狡猾でずる賢いだのといって、嫌う。見下しているようにユダヤ人をバカにするんだけど、内心は、恐れからくるものだと思う。ユダヤ人の成功者は多いからね。とくに金融業界は。

さすがに、現代社会で、特に差別が厳しくなった時代で、表立って差別する人はいないけど、親しくなると、本音がわかるから、その人がユダヤ人嫌いってのは、わかる。
私の家族も私も、ユダヤ人アンチではないけどね。友達(白人もアジア系も)に、ユダヤ人嫌いはけっこういる。アメリカのユダヤ人は、見た目でわかる人もいれば、David のように見た目ではわからない人もいる。
基本的に、白人だから、見た目の面では、他の白人とは変わらない事も多い。
だから、この映画でも、最初は、誰も、David がユダヤ人とは知らなかった。
David をスカウトした監督や校長は、ユダヤ系ってわかってたけどね。でも、いちいち他の生徒に言わなかったし、David 自身は、自らの意思で隠した。

で、このDavid だけど、私はあまり同情できないな。
ラグビーの腕はスゴイけど、新参者の癖に、調子のりすぎな面もある。
せっかく仲良くしてくれた Dillon の幼馴染の女の子を、略奪愛するのはマジで空気読めないし、どうかと思う。
Dillon と Sally は付き合ってなかったけど、恋人以上友達未満の幼馴染。
Sally は、ミーハー気質で、新しく入ったイケメンのDavid に惚れたけど、それでも、David は、Sally とは距離をおくべきだった。Dillon の顔をたてるべきだった。
うまく学園生活を送りたいなら、それぐらいの忖度はするべき。
新参者の癖に、配慮ができない人は、私は応援できない。
だから、Dillon が怒るのも無理はないし、恋愛の件はDavid が悪い。
せめて、まず、付き合う前に、Dillon に相談するべきだったよね。
Dillon からしたら、なんで、ぽっとでのDavid に、幼少時からの幼馴染の女を盗られるんだよって思うし。
仮に、Sally が、幼馴染じゃなくても、妹だったとしても、怒るだろうよ。
Sally も、David がユダヤ人と知って、彼とは距離を置いたし。結局、Sally もDillon と変わらない。
でも、そりゃそうだよね。隠したDavid が悪いのだから。宗教嫌いというか宗教に寛容な日本人には、ピンとこないけど、アメリカだけじゃなく、海外では、宗教の違いは、恋愛や結婚にも影響するよ。

とにかく、David は、Sally と距離をおくべきだった。
円満な学園生活を送りたかったのならね。
むしろ、そのせいで、仲間の和が荒れ始めた

Dillon は、David がユダヤ教である事をしってしまい、それを仲間にバラした。
そこから、差別がはじまるが...
そして、カンニングの犯人も、David のせいにされかかるが... (真犯人はDillon)

陰湿な集団イジメや集団暴行といった感じではなく、やはり、賢く育ちがいいのか、それぞれ自分の頭で考えようと奮闘しているんだよね
だから、David の味方も数人いる。そこが面白いところ。
仲間に、クズはいないんだよ。Dillon もDavid のせいにしたのは悪いけど、その動機も理解できるし、Sally の件でもDavid を恨んでいるし、ラグビーの件でも嫉妬しているし、一族のプレッシャーに押しつぶされそうになっているのもわかる。だから、別にDillon も、人格者ではないが、クズ中のクズでもない。

結局、学級委員の男子生徒が、校長に真実を語り、David は、退学を免れた。
そして、Dillon は退学となった。
退学になった、Dillon は可哀想だと思ったが、Dillon は貴族の家柄。退学になっても、他の進学校にいけるし、名門大学にも入れるんだろう。

しかし、David のような凡人が、のし上がっていくには、この学校の奨学金制度を利用して、ラグビーで頑張っていくしかない。David も腹をくくって、この世界で頑張っていくんだな。

ポリコレだのなんだのうるさくない時代では、凡人が上の社会的地位になるには、やはり才能がなければいけなかった。運動の才能だったり、音楽の才能だったり。
特に運動の才能は、高く買われる。運動で奨学金をえて、名門高校に進学して、名門大学に入る。
そしたら、社会的地位はあがる。
アメリカは日本より、はるかに階級社会だ。
今は、「あなたはあなたのままでいい、頑張らなくてもいいんだよ〜」のような、「ゆとり教育」で、逆に怠け者が増えたが、アメリカは本来は、アメリカンドリームの国で、努力すればするほどチャンスは増えるし、貧しくても、才能があれば、上にいける。
しかし、どんなに頑張って、社会的地位があがっても、Old money と New Money は違う
Great Gatsby のように、ビリオネアになっても、育ちは変えられない。血筋は変えられない。
アメリカは、イギリスではない。しかし、イギリスのように、貴族みたいな立ち位置の、アメリカ社会のトップ1%の人は存在するから。
ドラマ Gossip Girl に出てたような人達だ。それが、アメリカ社会のトップ1%の人達。

そういえば、Gossip Girl のシーズン1・12話のタイトルが、「School Lies 」なんだが、この映画をモチーフにしているね。内容も似てた。

この映画に似ている映画で、もっとダークなものは、『0』

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シェイクスピアのオセロを、舞台を現代の進学校にして書いたダークなストーリー。
私のお気に入りの映画のひとつ。
スポーツの才能がある労働者階級出身の奨学金少年と、名門一族出身なゆえにプレッシャーに押しつぶされる少年の歪な対比が面白い。


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