『SHUTTER ISLAND (シャッターアイランド)(2010)』
下記、あくまでも個人的な感想です。
ネタバレありです。
ネタバレありです。
Netflixで観たけど、これはすごくおもしろかったですね。
孤島、精神病院、失踪した病人!!!!!これぞ、サスペンスの王道という感じでした。
まあ、全体の四分の一あたりから、展開が大体わかってしまいましたけどね。よく推理小説読んでるし、推理ものも好きなので、いつもの勘で。なんとなく、わかってたからこそ、自分の中の答え合わせのような感じで観れて良かったです。
まだ見てない人は、あらすじ以降は、堂々とネタバレするので、読まない方がいいです。
あらすじ
シャッターアイランド。ボストンの沖合に浮かぶその孤島には、精神を病んだ犯罪者を収容する施設アッシュクリフ病院がある。そこで、ある事件が。レイチェル・ソランドという女性患者が、「4の法則」と題した謎のメッセージを残して、鍵のかかった密室から忽然と姿を消したのだ!
1954年9月、連邦保安官のテディ・ダニエルズは、その失踪事件を捜査するべく、新しい相棒であるチャックとともにシャッターアイランドを訪れた...
テディとチャックは、病院の院長であるジョン・コーリーから事情を聞き捜査を開始。
二人は、自分たちと入れ違いで島を出たシーハン医師が事件に関係していると考え、関係者への聴取を行った...
そして、テディを次から次へと襲う不可解な謎。テディも現実と幻の境目で病んでいき...
最後に、驚きの真相が!
何も前情報なく、観ていたのですが、テディたちと入れ違いで島を出たシーハン医師、そのシーハン医師の名前が出た瞬間、私は、悟りました。すぐに悟りました。
あ、新しい相棒のチャックの正体は、シーハン医師で、テディは精神病棟の患者だな!と。
もうその時点で、わかった。
この手の作品というのは、どんでん返しがあって、主人公が、“信頼できない語り部”の場合が多いんですよ。どんでん返しされる前、もうすでに伏線がはじめから張り巡らされてるので、気づく人は、初っ端から気づきますね。推理もので、よくありますね。
テディが、患者で、チャックが医師。このカラクリは、もうすぐに気づいて、けっこう確信をしていました。ただ、その後、どう話が進むのか、ワクワクしました。二人の正体にすぐに気づいたからこそ、色んな目線で作品を楽しむことができました。
まず、私の予想では、この病院は人体実験を繰り返している悪魔的な場所で、テディは実験材料にされている被害者と思ってたんです。でも、最後らへんの展開で、病院側は悪い連中ではなく、テディを本当に救おうとしたけど、結果やっぱりダメだったので彼をロボトミー手術するという結論になってしまた。
一応、表向きの結末はそんな感じでした。
実は、テディというのは架空のキャラで、彼自身が現実から目を背けるために、作ったキャラ。
テディの本名は、アンドリュー・レディス。
最愛の妻と3人の子供達がいた。だが、仕事から帰ってきたら、精神を病んだ妻が子供3人を殺していた。それだけで普通の人なら正気を保てませんよね。そんな精神病んだ妻を、アンドリュー・レディスは、殺してしまい、自分も精神を病んでいった。そして、彼はアッシュクリフ病院に入院した。
とっても悲しい過去です。アンドリュー・レディスは悪人でも何でもなく、むしろ正義感あふれる連邦保安官で、夫であり、父親でもあった。
まさに彼の身におきた事、彼自身がしてしまった事は、悲劇としか言いようがない。精神を病んでしまうのも無理はない。
その現実から逃れるために、自分は、連邦保安官テディだ!レイチェル・ソランドの密室失踪事件を解き、そして妻を殺したレディスという醜い男に復讐してやるぞ!と勝手に使命感に燃えていたのです。レディスは自分自身なのに....
また子供を失った悲しみのあまり、自分に子供がいることも忘れてしまったんですね。
レイチェル・ソランドも彼が作った架空の人物で、彼女は過去に子供を殺した女だ!という彼自身が作った設定。
実は、彼は自分の作った設定の中をぐるぐると、リピートされるテープみたいに同じことの繰り返していたんです。周りの医師はそれに付き合っていただけ。彼に何とか真実と向き合ってもらうように。
そう、彼は9ヶ月前にも一度真実と向き合い回復したが、また元に戻って、同じ架空キャラでロールプレイをしていたんです。
悲しすぎる。
最後に彼は現実を受け入れたのでしょうか。
最後のセリフから察するに、彼は本当に現実を受け入れて回復をしたでしょう。
でも、切ない事に、彼は、回復していないふりをして、あえて、自らロボトミーを受けようとした。
それに、ちょっと気づいているようなシーハン医師。でも彼自身の決断に医師も何もいえなかった。
「どっちがマシなんだろうな。モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」
アンドリュー・レディスが最後に、シーアン医師にはなった言葉。
アンドリューが、既に現実を受け入れて、正常に戻ったからこそ、出たセリフ。
でも彼があえて、わざと治ってないふりをして、テディとして振舞った。
アンドリュー・レディスとして生きるというのは彼いわく、「モンスターのまま生きる」という事。
妻が子供を殺し、そして自分が妻を殺したというトラウマを持ったまま、生き続けるという事。
それは、彼が、妻と子供をとても愛していて、妻が子供を三人も殺し、そしてその妻を自分が射殺した記憶を持ち続けて生きるという事。それは彼の心には耐え切れない痛みであったからだと思います。
それに加えて彼の夢に出てきていた、戦争中に自分が殺した兵士や助けられなかった人々。それも彼にとってはトラウマ。そういった数々の人の死が、彼の心に重くのしかかっていた。
そして自分はモンスターなのだと、彼は思った。
(実際に戦争にいった人がかえってきてトラウマを持ったままなのは、よくある事です。まともな人は戦争であっても人殺しなんかしたくないし、心を殺して戦争にいっている人がほとんどだと思います。精神を病んでしまうのも不思議ではない。むしろ正常だからこそ、善良だからこそ、精神が病むのかも。)
だから彼は、モンスターとして生きるのは嫌だ、だから善人として死ぬ事を選んだんです。
善人として死ぬ、架空のキャラであるテディとして、ロボトミー手術を受けるということ。
ロボトミー手術=精神の死ですから。
彼の心は、もう疲れ果てていたんでしょう。もう終わらせたい。
だったら、「テディ」として死のう。
彼に想いはそうだったのでは?と思いました。
とても切ない話ですね。
医師たちは、なんとかロボトミー手術をせずに、彼を救おうとしたし、ロボトミー手術は本当に最終手段だったんですね...
さて、こういう感じの終わり方でしたが、視点を変えてみる事もできるのではないでしょうか?
そもそも、どこまでが本当でどこまでが幻なの?
実は私もわかりません。
最後は、医師たちの説明で、あーそうだったのかって納得したけど、いや?ん?ちょっと待って。
医師たちが本当のことを言っているとは限らないのでは?とも思いました。
この病院は、人体実験で知られていて、患者を別人格にする実験を行っていた。
または他人の記憶を入れ替える実験もしていた。
だから、実際はテディはテディで、病院側は、彼を、アンドリュー・レディスという別の人物にする実験をしたが、失敗したのでロボトミー手術で、さよなら〜って展開なのでは?
こういう展開もありえると思いました。
そして、謎の洞窟の元女医の正体は?彼は結局、レディス(テディ)の幻覚が生んだ架空の人物という事で解決されたけど、本当に?
彼女は実際は実在する人物だったりしない?
彼女があまりにもリアルっぽかったので、幻には見えなかったんですよね。
彼女は、もしかして、本当に病院側に不都合な人間となった元女医で病院が消そうとしたんじゃないの?
自分の中で少々モヤモヤが。
でも色んなとらえ方ができるから、そういう意味でもとっても良かった作品ですね。
サスペンス好きにはぜひおすすめしたいです。
おもしろそう。好きなジャンルだ〜!
管理人さんのテイストが好きなので、いつも参考にしてます。
自分の中でもお気に入りの作品の一つですね