2014年07月27日
知っておきたい非常食の必要量
いつ大きな災害が起きてもおかしくない日本では、有事に備えて用意しておきたいのが「非常持出袋」です。その非常持出袋の中でもっとも大事なものが非常食ですが、適切な量を備えられている人は果たしてどれくらいいるでしょう?いざ災害が起こってから「もっと用意しておけば良かった」「これは失敗だった」などと反省するのでは遅いですよね。そこでここでは、緊急時にあわてなくてすむように、おすすめの非常食と必要な量を計算する方法についてご紹介します。
■ 非常食はとりあえず3日分・できれば1週間分
非常食は一般的には「3日分用意しておけば安心」と言われています。これは「3日以内には自衛隊などからの支援物資が届くはず」という考えによるもので、都心からそう離れていない地域に住んでいれば、このような考え方でも問題ないと思います。しかし、東日本大震災では原発の事故やガソリン不足が原因で、10日以上陸の孤島のようになってしまった地域がありました。ですので、特に「車が入りにくい山間部に住んでいる」「近くの川が氾濫すると孤立してしまうおそれがある」など、被災後すぐに支援が受けられない地域にお住まいなら、余裕を持って1週間分くらいの非常食の用意をしておくのがいいでしょう。
■ 3日分の非常食ってどれくらいの量?
ここでは栄養バランスを考えて、主食・主菜・副菜・汁物のメニューで計算します。
◎ 単身の場合
成人1人に1日に必要な量の目安は水は3Lと言われています。そして食事は1日3食しっかり摂るとして、
・水……2Lのペットボトル1.5本
・レトルトの主食3パック……缶入りのパンやパックのご飯など
・主菜3パック……サバの味噌煮などのお肉やお魚が調理されてパック詰めされたもの、缶詰
・副菜3パック……汁物に入れられるフリーズドライの野菜など
・汁物3パック……お味噌汁やたまごスープなどの個包装になっているもの
が1日に必要な非常食の量となります。この量を基準量として計算していきます。これが3日分だと基準量×3(日)で
・2Lの水のペットボトル4.5本
・レトルトの主食9パック
・主菜9パック
・副菜9パック
・汁物9パック
となります。
◎ ご夫婦の場合
ご夫婦だと、基準量×2人×3日になりますので
・2Lの水のペットボトル9本
・主食18パック
・主菜18パック
・副菜18パック
・汁物18パック
となります。
◎ お子さんがいる場合
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、小学校高学年以上のお子さんの1日の推定エネルギー必要量は成人とほぼ同じで、小学校低学年以下だと成人の約3分の2となっています。ですので小学校低学年以下のお子さんの食事は、成人の3分の2の量で計算するといいでしょう。例えばお父さん・お母さん・中学生のお子さん・小学校低学年のお子さんがいるご家庭での3日分の量は、基準量×3.7人(小学校低学年のお子さんは成人3分の2の量なので0.7として計算)×3日という計算になり、
・2Lの水のペットボトル17本
・主食33パック
・主菜33パック
・副菜33パック
・汁物33パック
がおおよその必要な量になります。その他赤ちゃんがいるときは、粉ミルクや離乳食の1日に必要な量×人数×日数の分を用意すれば大丈夫です。家族全員の分でも、カートやスーツケースに入れて分担すれば運べない量ではないですね。ただ非常食以外にもたくさん荷物を持つはずですので、なるべく軽く・コンパクトに準備できるように心がけましょう。
◎ 1週間分の用意をするなら
1週間の備えをするときは、基本量×人数(小学校低学年以下の場合は1ではなく0.7)×7(日)で計算すれば、必要な非常食の量が簡単に分かります。
■ 非常食におすすめなのはどんなもの?
◎ 身近な食材も非常食になる
以前は非常食といえばカンパンや缶詰でしたが、最近は美味しくて質感もいい非常食がたくさんあります。ただ「非常食」というくくりで販売されている商品はどうしても値が張ってしまいますので、手に入れやすいインスタント麺やレトルトカレーなどを非常食にするのもおすすめです。人数や日数が増えるほど非常食の量も増えていきますが、レトルトカレーなど容量が小さいものを選べば、荷物を少なくすることができますね。
◎ 非常食は調理方法別に分けて考える
非常食は、
・水も熱もいらないもの……缶入りのパン・レトルトのカレー・カロリーメイトなど
・水が必要なもの……発熱剤がついているお惣菜など
・お湯が必要なもの……アルファ米・インスタント麺など
など、被災状況によって食べられるものが変わってきます。災害からある程度の時間が経てば水やお湯も使えるようになるかもしれませんが、災害直後はかなり不自由な状況も考えられます。簡単に食べられるものからお湯や水が必要なものまで、複数の種類のものを用意しておくと安心です。
■ 備えあれば憂いなし!
実際に計算してみると、そんなに膨大な量という感じでもないですね。女性でも1人分ならなんとか運べそうです。日頃から「災害が起こるはずがない」ではなく「起こったらどうする?」と危機感を持つようにし、いざというときに慌てないように備えておきましょう!