2018年10月20日
揺さぶられっこ症候群で脳に傷!? 子どものたかいたかいは要注意
生後3カ月に至る手前の子どもに対して、「たかいたかい」などの激しく揺さぶる行為が、原因の可能性にも繋がる「揺さぶられっ子症候群」。
毎日、懸命に育児に励んでいるつもりなのに、子どもに対してNG行為をしてしまっているかもしれません。
今回は、揺さぶられっ子症候群について詳しく解説していただきました。
揺さぶられっこ症候群とは?
子どもの体を激しく揺さぶることで起こる一連のけが・症状です。
身体的虐待で子どもを揺さぶった場合に揺さぶられっこ症候群(Shaken baby syndrome)と呼ぶことが多いですが、虐待としてではなく同様の力が加わった場合にも同じように呼ばれることもあるようです。
揺さぶられっこ症候群による体への影響
体を激しく揺さぶられる衝撃により、体の部位別に以下の影響が現れることがあります。
脳
首を支えずに胴体を持ち、胴体を前後左右に強く揺さぶると、首がぐらぐらし、頭蓋骨の中で脳が揺れ動き、頭蓋骨とぶつかります。
それにより脳本体が傷つく(脳挫傷)こともあれば、脳や脳を包む膜に通っている血管が破れて出血が起こることもあります。
眼球
衝撃によって眼球内の細い血管が切れ、網膜に血液が広がったり、眼球内の硝子体腔というスペースに血液が広がることもあります。
その他
首に通っている脊髄が傷ついたり、骨が折れることもあります。
揺さぶられっこ症候群の症状
・元気がない
・逆にちょっとしたことで泣く
・意識がもうろうとしており反応がない
・けいれんを起こす
・手足がふるえる
・嘔吐する
・食欲がない(ミルクの飲みが悪い)
・皮膚の色が青白い
・呼吸が不規則
自分の症状を口にできない乳幼児では、目の奥に出血があっても症状を訴えることはなく、頭蓋骨内での出血から揺さぶられっこ症候群を疑った医師が目の奥を検査することで出血が見つかる場合がほとんどです。
揺さぶられっこ症候群になりやすい年齢
特に命に係わる状態になるのは、首がすわるまでの生後3カ月程度までの時期が最も危険と考えられます。
現実的に、体重が10sを超えた子どもを勢いよく何度も揺さぶるのはかなり腕力がないと難しいでしょう。
また、首がすわると、子どもが衝撃に対して身構え、首に力をこめることで、頭や首にかかる衝撃は減ります。
揺さぶられっこ症候群の症状が出るまでの期間
けがの程度によりますが、脳本体に傷がついた場合は直後からけいれんなどの症状が現れる可能性もあります。
脳の周辺の血管が破れた場合は、時間をかけてじわじわと出血する場合もあり、出血が少量で収まれば症状に出ない・CTなどの画像検査をしても分からず、自然に出血が吸収されてしまうこともあると考えられます。
症状に現れる場合は、3日間程度以内に現れる可能性が高いと考えられます。
揺さぶられっこ症候群を防ぐために注意すること
子どもの泣き止ませ方を覚える
揺さぶられっこ症候群を起こすほどの虐待が起こる原因として、子どもが泣きつづけるストレスが挙げられています。
子どもの泣き止ませ方、泣き止まない時の対処法を知ることが、虐待を防ぐために重要です。
「たかいたかい」のやりすぎ、サイズの合わないチャイルドシート
「たかいたかい」のやりすぎや、月齢に合ったチャイルドシートを使用せずに長時間車に乗り続けることも、揺さぶられっこ症候群と似たような外力が頭・首に加わり、同様のけがの原因になることを知ることが重要でしょう。
「このようなことをしてしまったが、脳にダメージはあるでしょうか?」と相談されることがよくあります。
しかし「この程度の外力で何回揺さぶったらダメージが起きた」というような人体実験ができないため、なかなか具体的にどの程度までは大丈夫という線引きは難しいです。
海外では、企業が製作した揺さぶられっこ症候群のシミュレーター人形があり、実験が行われたりもしています。