2018年10月10日
アニサキスは噛めば大丈夫?欧米も寿司ブームで寄生虫が流行中
アニサキスが寄生している魚介類を私たちが食べると、急な腹痛を起こし食中毒になることがあります。
欧米でも近年、アニサキス症の症例が増加していることが報告されています。(参考)
今回は、アニサキスについて医師に詳しく解説していただきました。
アニサキスとは
白い糸のような2、3cmの寄生虫です。
サバ、サケ、アジ、いか、タラなどの魚介類に寄生し、 それを食べると、胃壁に噛みつき、 しばしば猛烈な痛みを起こしますが、時に無症状の場合もあります。
内臓だけでなく他のところにも住んでいるので、 お刺身やシメサバなどには潜んでいることがしばしばあります。
海外と日本でアニサキス症が増加した背景
海外では生魚を食べる習慣があまり無かったところに、 寿司ブームでアニサキス症が増えてきているようです。
日本では昔からアニサキスは多く、報告件数はこの数年は120〜130件とされています。
実際にはあまりにありふれており、内視鏡医にとっては当たり前すぎて1999年に食中毒として保健所に報告が必要になった後も、 いちいち報告していないのが現状と思われます。
アニサキスが多い魚
・サバ
・サケ
・ニシン
・スルメイカ
・イワシ
・サンマ
・ホッケ
・タラ
・マス
効果が期待できないアニサキス対策
良く噛む
細く、頑丈なのでかみ切れません。薄く切っても直径1mm程度なので発見しにくいです。
お酢でしめる
しめる程度の酢の濃度ではアニサキスは死にません。 しめ鯖からのアニサキス症はとても多いです。
生のイカを塩辛にする
塩そのものに埋めてもすぐに死なないぐらい頑丈で、 塩辛程度ではとても死なないと思われます。
ショウガ・わさび・ニンニク・酢じめ・塩しめなどでは死にません。
アニサキス症の症状
腹痛、嘔吐
魚の生食後3〜8時間程度で、アニサキスが胃の粘膜や腸の粘膜に噛みつくので、急激にお腹が痛くなったり、吐いたりするのが典型的な症状です。下痢はありません。
余りに痛いので、診断ができないまま「急性腹症」として手術することもあります。
アレルギー反応
2度目以降の場合、アレルギー反応を起こし、発疹や蕁麻疹などがでることもあります。これはアニサキスが生きていなくても(冷凍や加熱しても)起こりえます。
無症状
時に無症状で、検診の内視鏡で見つかる場合もあります。
アニサキス症の治療法
胃
胃のアニサキスの場合、内視鏡で摘出するのが原則で、 胃の壁に深く噛みついていたり貫通していたりすると内視鏡で取ることが難しく、 手術するときもあります。
小腸
小腸のアニサキスはなかなか診断が難しく、手術になることもあります。
ある種の造影剤で剥がれやすくなることはありますが、 薬で殺すことは基本的にはできません。
どうしても生で魚を食べたい時の注意点
焼いて食べる方が良いですが、生の際は-10℃で1日程度でアニサキスは死滅するとされ、日本では-20℃以下で24時間以上冷凍することを奨励しています。
家庭用の冷蔵庫でも-10℃くらいにはなると思いますので、魚を釣った場合は1日は冷凍するというのは感染を減らすことができる可能性があります。
オランダ、EUの規定も同じで、 1日以上しっかりと冷凍することが一番良いでしょう。
養殖の魚は通常の餌の管理をされていれば、アニサキスはいないと考えられます。
天然の鮭をさばくと、時にアニサキスがいることがあります。焼いても生でもおいしく、栄養豊富なサーモンですが、生食するときはしっかり凍らしたものを生で食べたいですね。