2018年10月19日
揚げ物、炒め物は危険!糖尿病のハイリスク要因「AGE」ってなに?
タイトルにあるように、今回の話題は、「揚げる」「炒める」という調理法が糖尿病のリスクを上げる原因になるのでやめようという話だ。「それ、知ってる」という声も聞こえてきそうだが、皆さんが想像しているような「オイルを使うのでヘルシーな調理法でないから」という単純な話ではないのだ。
□糖尿病の原因に?「AGE」ってなんだ?
今回の話の重要なポイントになるのが、「AGE」という物質だ。「終末糖化産物」といって、タンパク質と糖が加熱されてできた物質のことだ。AGEはそもそも、しみやしわなどの老化の原因とされていたのだが、それだけではないことが分かってきた。糖尿病のリスクを上げる原因になるというのだ。
□加熱する温度が高いほどAGEが大発生!
まずはAGEについて知識を深めていただこう。AGEは加熱してこんがり焼けたキツネ色の部分に発生する。例えば、ホットケーキの表面やステーキなどの焼き色が付いた部分だ。逆に、生野菜や刺し身は加熱していないのでAGEが少ない食品だ。
注意したいのが、加熱する温度が高いほどAGEが多く発生するという点だ。加熱温度が高いのがオーブン料理や油を使う揚げ物や炒め物だ。揚げ物は油の温度が180度前後だし、オーブン焼きは200〜300度とかなり高い。
一方、加熱温度が低いのが、ゆでる、蒸す、煮るという調理法だ。これらは水分を使って調理するため、加熱温度が100度までに抑えられるのだ。専門家は、「揚げる」「炒める」ではなく、AGEの少ない「ゆでる」「蒸す」の調理法を勧めている。
□「ゆでる」「蒸す」は糖尿病予防にどれぐらい効果があるのか?
アメリカのマウント・サイナイ医科大学の研究チームは50歳以上の糖尿病のリスクが高い100人を対象に、半分のグループは通常の調理法で、半分は「ゆでる」「蒸す」の調理で食べるよう指導。「ゆでる」「蒸す」の低AGEの調理法が糖尿病のリスクを下げるかどうかを1年間にわたって調べた。
その結果、低AGEの調理法を続けたグループでは、インスリンが正常に働かなくなる「インスリン抵抗性」が下がっていた上、炎症のデータも改善していた。体重も減っていた。研究チームは、低AGE調理法は糖尿病の予防につながると考えている。
□高AGE食品、低AGE食品を知ろう
調理法を変えるだけでは糖尿病の予防にはつながらないと考える専門家もいる。食品そのものにAGEが多い場合があるからだ。
食品100グラムあたりのAGE値を比べてみよう。例えばサーモン。刺し身の場合は500kU。焼いたら3000kUに跳ね上がる。ところが、野菜は焼いてもたったの200kUにしかならない。加熱したにもかかわらず、加熱していないサーモンよりAGE値は低いということになる。調理法の違いだけでなく動物性食品はAGE値が高い傾向があり、野菜など植物性のものは低い傾向があることは覚えておくと参考になる。
運動、睡眠、食事の栄養バランスに加えて、健康になるために気を付けることはまだまだ山のようにあると、少々うんざりした人もいるかもしれない。一変に食生活を変える必要はない。少しずつ改善に取り組んでいただけたらと思う。