2017年12月26日
西へ飛ぶほうが時差ボケは少ない! 人体メカニズムから解明
エキサイティングな海外旅行のはずなのに、時差ボケのせいでまったく楽しめなかった…。そんな苦い経験はありませんか? なんとか飛行機のなかで睡眠をしっかり補って、事前に対策を講じることはできても、いまだ究極の特効薬は誕生していないのが現状です。
このほどメリーランド大学の研究者チームにより、時差ボケのメカニズムを数学的に解明した最新調査レポートが、電子ジャーナルのChaosに掲載され話題をよんでいますよ。
どうやら人間の睡眠サイクルをつかさどる概日リズム(体内時計)は、1日24時間の長さよりも少し長い24.5時間になっているそうです。それゆえに、どちらの方向へタイムゾーンをまたいで飛行するかで、時差ボケへの対応度合いも異なってくると発表されていますね。
たとえば、西へ西へと飛ぶと、どんどん1日の長さは延びてしまうことになります。ですが元の概日リズムは1日24時間のサイクルよりも長めになっているわけで、人体は長く延びた日にはちょっとだけ対応しやすいんですね。
具体的には、西へ3つのタイムゾーンを飛び越えて移動すると、3日ほどで身体は時差ボケから立ち直って、新しいサイクルになじみます。6つのタイムゾーンを移動すると現地で完全適応するまでに平均6日、9つのタイムゾーンを移動すると平均8日を要するとの計算が発表されています。
一方、東へ東へと飛ぶなら、1日の長さは短くなってしまいます。通常でも1日24時間のサイクルより30分長い概日リズムには多大の負担となり、なかなか短くなった日への対応が進みにくいんだとか。
具体的には、東へ3つのタイムゾーンを飛び越えて移動すると、現地で時差ボケから身体が立ち直るまでに4日以上を要します。6つのタイムゾーンを移動するならば、新しいサイクルへの完全適応までに平均8日、9つのタイムゾーンを移動すると12日以上はかかってしまうとの計算結果になっていますね〜。
(本研究の)モデルケースでは、突如として人間が異なるタイムゾーンへ移動したとき、なにが生じるのかが検証されています。24.5時間という生来の概日リズムを有している人もいれば、この自然のリズムよりも(体内時計が)長かったり、短かったりする場合もあるでしょう。
今回の研究チームを率いた、メリーランド大学物理学部のMichelle Girvan助教授は、このようにコメントし、時差ボケ解消までにかかる時間の計算結果は、一概にすべての人に当てはまるものではないことを明らかにしています。とはいえ、西に飛ぶのか、東へ飛ぶのかで、時差ボケのひどさに違いが生じる原因が解明されたという意味で、なかなか興味深い研究発表になっていますよ。
なお、視床下部に存在する、概日リズムをつかさどる脳神経細胞は、通常は日光にさらされる時間帯で、人体のサイクルを調整しているそうです。つまり、旅行先へ到着しても、現地の昼の時間帯に日光に当たる生活スタイルにすればするほど、時差ボケを解消し、新しい睡眠サイクルに適応しやすくなることを意味してもいるようですね。海外旅行する人は、頭の片隅に置いておきたい豆知識です。