2017年12月09日
運動せずに寝る前に間食 慢性腎臓病になりやすい
不健康な生活習慣が重なるほど、「慢性腎臓病(CKD)」発症リスクが高まるとした研究が、産業医科大学講師、道下竜馬氏らの研究チームによって発表された。
「慢性腎臓病」は、腎機能の低下やたんぱく尿などの腎障害が、3か月以上続いている状態のこと。心血管疾患リスクを高める要因として知られている。
日本腎臓学会のガイドラインでは、腎機能の低下は「糸球体濾過量(eGFR)が60ミリリットル/分/1.73平米以下」、腎障害は画像診断や血液検査、病理所見から判断されるとしている。
加齢によって腎機能は低下するため、CKDは高齢者に多く、喫煙やアルコール摂取、高血圧、脂質代謝異常、肥満などがリスク要因になることはわかっていたが、これらの要因が長期間積み重なっている場合、具体的にリスクにどのような変化があるのかは検証されていなかった。
研究チームは、福岡大学病院で2008〜2013年に間にメタボ健診を受診した中高齢の男性(平均年齢50.9歳)のうち、心血管疾患や透析治療の既往歴がなく、生活習慣病の治療薬を飲んでいない445人を対象に、生活習慣とCKD発症リスクの関係を調査した。
不健康な生活習慣として「中強度の運動習慣(週2回30分以上)がない」「1日1時間以上歩かない」「歩行速度が遅い」「食べるのが早い」「朝食を食べない」「夕食が深夜になる」「就寝前に間食する」の7項目を設定。
自己回答式の調査票に記入してもらい、当てはまる数に応じて「健康的(0〜1個)」「やや不健康(2個)」「不健康(3個)」「とても不健康(4個以上)」に分類している。
その結果、「健康的」な人に対し、「とても不健康」な人は慢性腎臓病有病率が4.6倍と有意に高くなっていることがわかった。
また、生活習慣別で特に発症リスクが高くなるものは、「中強度の運動習慣がない」の3.06倍、「夕食が深夜になる」の2.84倍、「就寝前に間食する」の2.87倍となった。研究チームは、CKD予防のためには食生活と運動の2点に特に留意して指導する必要があるとコメントしている。