2017年12月02日
アルツハイマー、パーキンソン病が輸血で伝染? 140万人以上のデータ解析から「ありえない」と判明
アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経、認知機能疾患が輸血によって伝染することはないと、スウェーデンのカロリンスカ研究所やウプサラ大学、デンマークのコペンハーゲン大学など複数の研究機関による研究チームが発表した。
近年、動物実験の結果から、アルツハイマー病やパーキンソン病の患者の血液を輸血すると、これらの疾患が伝染する可能性があるとするとした研究が発表され、人間でも同様の現象が起きるのではないか、との疑問が出ていた。
研究チームは実態を調査するため、スウェーデンとデンマークの国立血清研究所の協力のもと、1968〜2012年の間に実施された輸血記録146万5845人分を解析。
アルツハイマー病やパーキンソン病、認知症、その他の神経変性疾患の患者をドナーとする血液の輸血を受けた4万2510人を特定し、患者ではないドナーから輸血を受けた人とのアルツハイマー病やパーキンソン病の発症率を、最大で44年間比較した。
比較にあたって、性別や輸血時の年齢、居住地、他の疾患の既往歴などの条件は調整している。
その結果、患者のドナーから輸血していた人も、患者ではないドナーから輸血した人も、アルツハイマー病やパーキンソン病の発症率に違いはなく、これらの疾患が輸血によって伝染する明確な科学的証拠も確認できなかったという。
研究チームは、現在提供されている献血、輸血環境は極めて安全であるとし、「わずかなリスクでもないか、今後も検証は続けていくが、神経、認知障害が輸血によって伝染するのは極めて困難だろう」とコメントしている。