2017年03月25日
最近聞く&Googleでも実践中と噂の「マインドフルネス」て何?
「マインドフルネス」という言葉をお聞きになったことはあるだろうか。
日本では、専門家を除いて、今までさほどなじみのない言葉だったが、アメリカではここ数年、大変注目されており、日本でも最近耳にする機会も増えた。「マインドフルネス」というのはひと言でいえば“心のエクササイズ”だ。GoogleやAppleなどが社員セミナーで導入しているという。
いったいどのようなエクササイズなのだろうか。
□マインドフルネスとは「瞬間の体験」に注意を向け、ただ観ること
日本では早稲田大学教授の心理学者が理事長を務める日本マインドフルネス学会が2013年に設立された。学会ホームページによると、マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」とある。
何のことやら、少々難しい。例えば、バスケットボールのパスを練習している6人の映像を30秒見て、そのうち特定の3人が何回パスをしたのか数えるよう指示される。多くの人は正しく答えるが、その後「他に途中起きたことに気づきましたか」と尋ねられて首をかしげる。映像では、1人退場して人数が5人になったり、ゴリラのきぐるみが通りがかったりしているが、多くの人が気付かないという。
特定のことに注意を集中せず、ゴリラの出現といった「瞬間瞬間に展開する体験」に注意を向けられる心の状態がマインドフルネスに近いという。
□出来事全体を冷静に観察することで創造性UP
出来事全体を冷静に観察できれば情報のインプット量も増え、それを様々に組み合わせることで創造性やイマジネーションが豊かになる。
確かに、会社での人間関係や、友人、夫婦関係に悩んでいるなどして特定の事象に心が占められていると、周りが見えなくなり、入ってくる情報が極端に少なくなる。視野も狭くなる。そんな経験は多かれ少なかれ誰にでもあるだろう。
このような状態を「嫌だ」「私は悪くない」とか「どうしてこうなるのだろう」などと評価をしたり、心をとらわれたりすることなく、ただその状態を観る、ということに徹底し、どのような状態でも心が開け放たれている状態をキープするのがマインドフルネスだ。
このような能力に対してGoogleなどが注目して、積極的に社員の研修などに取り込んでいるようだ。
□マインドフルネスには呼吸を基本とした瞑想(めいそう)を
マインドフルネスの状態を作るためには、トレーニングが必要であり、瞑想訓練が用いられている。座っても立ってもできるが、意識を向ける対象は自分の呼吸が基本となる。
加えて、五感で感じたことも意識の対象にするが、呼吸も含めて意識を向けた対象に何の評価もしないというのが原則だ。ただ、起こったことをありのままに受け入れる。音がしても「うるさくて集中できない。瞑想の意味がなくなるじゃないか」などと心配せず「音が鳴ったな」で良いのだ。
□マインドフルネスは睡眠の質改善にも一役
実は、マインドフルネスは睡眠の質の改善にも一役買っている。
アメリカの南カリフォルニア大学の研究チームは、ロサンゼルスにある小さな病院の約50人の高齢者を対象に睡眠の質を比べる実験を行った。半分のグループにはマインドフルネスの瞑想訓練を、残りの半分には一般的な睡眠教育を行った。寝付くまでの時間や昼間の眠気を感じる頻度などについて質問して結果を点数化する、ピッツバーグ睡眠質問票の評価に基づいて睡眠の質を比較した。
その結果、マインドフルネスの訓練を受けたグループの方が、睡眠の質がかなり改善されたことが分かった。睡眠障害の治療には投薬も行われるが、マインドフルネスは短期・長期的に有用であり、重大な禁忌がないため、薬物療法よりも優れているとされた。
今回の実験対象は高齢者。しかし、もっともっとステキなビジネスマンになるために、マインドフルネスの瞑想訓練から始めてみてはどうだろう。何かが変わり始めるかもしれない。