2014年09月05日
のどの渇きを感じたときには 体重の2%の水分が失われている―熱中症にならないためには?
熱中症にかかるひとが急増している。7月4週だけでも全国で8千人以上が病院に運ばれ、消防庁でも注意を呼びかけている。
のどが渇いたら水分補給するから大丈夫!と思いがちだが、渇きを感じたときにはすでに遅く、減少したナトリウムが水分の吸収をジャマし、飲んでも尿として排出されてしまう。体重のわずか3%の水分を失うと汗の量が減り、体温が上がり続けてしまうから、のどが渇く前の水分補給が重要だ。
■吸収されない水分
一般的な成人は、1日2.5リットルほどの水分が必要で、およそ半分の1.2リットルを飲み物から、1リットルを食べ物から得ている。非常用の水は、ひとり1日2リットル必要と言われているのもこのためだ。
排出される水分も同じく2.5リットルで、そのうち1.6リットルは大小便として出てゆく。残り0.9リットルは吐く息に含まれる水蒸気や汗で、気づかないうちに失われているので不感蒸泄(ふかんじょうせつ)と呼ばれる。
おだやかに日常生活を送るだけでも、1リットル近くの水分が、知らぬ間に失われているのだ。
のどの渇きを感じる目安は、体重の2%の水分が失われたときで、60kgのひとならおよそ1.2リットルに相当する。この時点で水分補給しても、人間が吸収できる水は1時間に1リットル程度なので、もとの状態に戻るには1.2時間も要することになる。
また、汗と一緒に塩分が失われると、体内のナトリウム濃度を保つために利尿作用が働く。これ以上薄まらないようにと水分を排出してしまうのだから、いくら飲んでも補給できないのだ。のどが渇いてから水分補給しても手遅れなのはこのためで、渇きを感じなくても、時間を決めて水分補給するのが良いだろう。
気温35℃で運動すると、1時間に2リットル近くも汗をかく。不感蒸泄と合計すると、1日の水分の84%をわずか1時間で失うことになるので、水分を補給しないまま炎天下で激しい運動をすれば、具合が悪くなっても当然なのだ。
■3人にひとりは中〜重症!
さらに汗をかき続けるとどうなるのか? 体重に対する失う水分量(%)とおもな症状をあげると、
・3% … 汗が減りはじめる
・5% … 汗が止まる
・10% … 視力/聴力の低下
汗が出なくなるのは生命維持に必要な水分を確保するためだが、からだを冷やす仕組みを失い、体温が急上昇する。10%を超えるとからだの内部の温度も上がり、危険な状態となってしまう。
エアコンや扇風機で涼むのも効果的だが、のどの渇きと同様に「暑くなったら」ではなく、気温で判断するべきだ。とくに高齢者は暑さを感じにくく、子供は汗腺が未熟なため、気がついたら熱中症になっていたケースが多い。
消防庁の統計では、今年6月だけでも熱中症による緊急搬送は4,634件もあり、年齢層別にみると、
・乳幼児/少年 … 18.9%
・成人 … 33.5%
・高齢者(65歳以上) … 47.6%
程度別では、
・軽症(熱失神、けいれんなど) … 67.4%
・中等症(脱力感、おう吐など) … 29.3%
・重症(意識がない、言動がおかしいなど) … 2.1%
と、現場で処置できる軽症が多いものの、3人にひとりは病院への搬送や入院が必要な中等〜重症と診断されているので、バテただけと考えないほうが身のためだ。成人でも、なにかに夢中になっていると、からだの異変に気づきにくいのでご注意を。
■まとめ
・のどの渇きを感じたときには、体重の2%の水分が失われている
・35℃の環境で運動すると、2リットルもの汗をかく
・1リットルの水を飲んでも、吸収されるのは1時間後
・汗で塩分が失われると、水を飲んでも尿として排出されやすくなる
汗を気にするあまり水分を控える女性が多いが、熱中症のリスクは格段と高まる。
定期的な水分補給で、まだまだ続く猛暑を乗り切っていただきたい。
投稿者:タロウ|17:37
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