2013年07月17日
夜中に突然死 日本人の睡眠障害
平年より早く梅雨が明けた日本列島、夏本番を迎える前から熱帯夜の寝苦しさに悩まされている人も多いはずだ。しかし、“不眠”の原因は気温のせいばかりではないという。
睡眠に関する著書も多数ある、睡眠・呼吸器専門クリニック「リズム新横浜」の白濱龍太郎院長が警告する。
「夜中に寝苦しくてたまに目が覚める程度ならいいのですが、トイレの回数が増えると、それは本格的に眠れていないサインであるケースが多い。糖尿病や前立腺肥大といったほかの病気も考えられますが、自律神経のバランスが崩れて、脳のスイッチが上手に切り替えられなくなり、眠りが浅くなったり、中途覚醒(就寝中、何度も目が覚めてしまう)する“睡眠障害”かもしれないと疑うべきでしょう」
この睡眠障害で代表的なのが“不眠症”や、横になってじっとしていると脚が痛くなったりムズムズして眠れない“むずむず脚症候群”、そして睡眠中の呼吸が止まる“睡眠時無呼吸症候群”だ。
「無呼吸症候群は閉塞型と中枢型に分けられます。われわれは放っておいても自然に呼吸をしています。それは脳の中で呼吸をコントロールしている脳幹が指令を出しているからですが、中枢型は、例えば交通事故などで脳幹に問題が起きて呼吸自体が不安定になってしまう。一方、閉塞型の無呼吸は呼吸の通り道である気管が閉じてしまったり、狭くなってしまうことです」(白濱院長)
一般的によく取り上げられるのは閉塞型のほう。太っている人が無呼吸症候群になりやすいとよく言われるが……。
「いやいや、実は肥満が原因ではありません。われわれのようなアジア人の場合、骨格に起因するところが大きい。顎が狭くて奥に入っているとか、首が太くて短いとか、鼻が平べったいアジア人は、ノドの奥の部分が狭くなって、口呼吸に頼らざるを得ないような構造なんです。そのため3割から4割の人が標準体重で無呼吸症候群になってしまうのです」(白濱院長)
実際のところ、日本人の5人に1人の割合で無呼吸症候群になる可能性があると指摘する研究もあるようだ。
「無呼吸症候群になると、眠りが浅くなるだけでなく、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞を引き起こす原因にもなることがあります。また夜間に突然死するリスクは一般の人の約2.6倍に上ります」(白濱院長)
睡眠中に症状が出る無呼吸症候群に、自分で気づくのは難しい。「最近眠れなくて……」と悩んでいる人は、猛暑が原因ではない可能性もあるので、早めに専門医に診てもらうようにしよう。