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2018年08月24日
「遺恨あり 明治十三年 最後の仇討」藤原竜也、北大路欣也、松下奈緒
慶応4年、秋月藩執政臼井亘理(豊原功補)は鳥羽伏見の戦いを見て、これまでの尊王攘夷は時代遅れと
感じて、これからの時代は開国して西洋文明を取り入れなくてはならないと、親族たちを自宅に招いて
熱く語った。しかしそんな臼井の考えを裏切りととった秋月藩尊皇派の干城隊の一派が臼井宅を襲撃する。
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首謀者の一瀬直久(小澤征悦)は就寝中の臼井を襲い日本刀で滅多切りにして殺害する。その上部下の萩谷伝
之進が臼井の妻の清まで斬殺してしまうのだ。
この凶変を偶然目撃していた下女のナカから、一瀬の名前を知った息子の六郎だったが幼少の身でどうする
こともできなかった。秋月藩庁もまた一瀬たちを罪に問うこともなく、この不条理に六郎は我慢するしか
なかったのである。そして時がたち成長した六郎はこの秋月で代用教員をして暮らしていたが、一日たり
とて仇討ちのことを忘れることはなかった。しかし明治政府は仇討ち禁止令を出してもはや六郎の願いが
かなえる環境ではなくなったのだ。そんなある日一瀬が上京することを聞いた六郎(藤原竜也)は下女
のなか(松下奈緒)に一瀬の上京前の仇討ちを決行することを打ち明ける。なかは思いとどまるよう
説得するが六郎は振り切って一瀬を待ち伏せする。しかし一瀬は剣の使い手でありスキを見せない。
六郎は断腸の思いで襲撃をあきらめるが・・・
吉村昭の小説集『敵討』収録の「最後の仇討」のドラマ化であるが、映画以上の出来でなかでも
主演の藤原竜也の演技は素晴らしく、無念の思いや悔しさが映像からびんびん伝わってくる。
また臼井六郎の剣を教えるのが山岡鉄舟で、幕末の三舟と呼ばれた剣豪を北大路欣也が演じている。
日本が封建時代から近代に移行する直前の時代のドラマだが、非常に面白く見応えがある作品だ。
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2018年08月19日
「少年時代」篠田正浩、柏原兵三、藤子不二雄Ⓐ、井上陽水
戦争が激しくなった昭和19年東京で小学校五年生だった風間進二は、富山の親戚に疎開することになった。
進二は勉強ができる子だったが、都会育ちでひ弱な少年だった。不安でいっぱいの疎開生活だったが地元の
がき大将で級長をつとめる武(堀岡裕二)という少年と仲良くなった。武は勉強もでき腕力もある少年で
進二がたくさん本を読んでいていろんな話を知ってることから好感をもったようだった。しかし二人だけで
遊んでいるときは親切だった武は学校で仲間といっしょにいると真逆に進二(藤田哲也)をなぐったり
いじめはじめるのだった。そのギャップに進二は戸惑いながら奴隷にように従っていた。
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そんなある日進二のもとに東京から隣町の駅に荷物が届いた。まちがって届いたようで進二はバスで
取りにゆくが地元の不良にからまれ殴られそうになった。しかし進二の身を案じた武は自転車で駆けつけ
不良を追い払った。進二はこんなに自分のことをかばってくれるのになんで武は自分をいじめるのか
わからなかった。そして春になったころ病欠していた副級長の須藤が学校に戻ってきた。須藤は病弱
だったが非常に賢く策略で武を打ちのめそうと考えていた。武に不満を持つ仲間を集めみんなで一斉に
武を痛めつけようというのだ。須藤は進二を誘い仲間に加わるように要請するが・・・
この映画の原作は芥川賞を受賞した柏原兵三の「長い道」でその原作を藤子不二雄が漫画にしたもので
ある。少年マガジンに連載されたが当時毎週楽しみに読んでいた。藤子の少年たちの画が非常にリアリティ
があってどろどろした人間関係と裏腹に立山の美しい自然が魅力的な漫画だった。
また都会から田舎へ移るというのは私も経験していてこの作品と同じような体験をしていて驚いたのも
あった。子供が純粋というのは嘘でそれはこの映画を見ればよくわかる。何回も見たくなる名作である。
原作者の柏原兵三は若くして亡くなっている。また主題歌は井上陽水が歌っている。
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2018年07月03日
「虹男」小林桂樹角田喜久彦伊福部昭
ソフト化されてそれも廃盤になっていたので幻の作品となっていたのだ。今はDVDになっているが
虹男のレーザーディスクのイラストが不気味でずっと気になっていた作品だった。
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映画は新聞記者の明石(小林桂樹)とライバル女性記者の鳥飼美々が摩耶家の謎の殺人事件を
追いかけるところから始まる。鳥飼美々は昔からの友人の由利枝の無実を晴らそうと奔走する。
由利枝は物理学者の摩耶龍三のメイだったのだ。そしょて摩耶家の本宅から突然由利枝のところへ
女中かねから「虹だ、虹男だ」と電話がかかってくる。かねは絶叫しながら死んでいた。
警察は由利枝を連続殺人の容疑者として捜査するが美々は納得しなかった。そして摩耶家の画家の
長男や正体不明の次男豊彦など怪しい人物がいたのだ・・・
モノクロ映画だが虹男のシーンだけカラーの虹が出るという作品だが、このシーン実は散逸していて
後から想像でソフト化したものだそうで元の映像がどういうものだったかは誰もわからないそうだ。
女の悲鳴ばかりが気になりいつまでたっても虹男が出てこないのでいささかがっかりした。
映画と原作もかなり異なるようで成功した作品とは言えないだろう。珍品映画好きの方ならものは試しと
鑑賞するのもいいだろう。
音楽はゴジラを手掛ける前の伊福部昭で独特の雰囲気は出ている。女中かねに浦辺粂子、監督は
牛原虚彦。特撮は円谷英二
2018年06月04日
「怪談乳房榎」新東宝1958年三遊亭円朝
今日紹介するのは新東宝が1958年に制作した作品である。江戸時代に菱川重信という絵師がいた。
菱川は幽霊の絵を描かせたら天下一品で、いろいろなところからお呼びがかかるほどであった。
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菱川には評判の美人の女房きせ(若杉嘉津子)がいたが、浪人の磯貝浪平が町で見かけて一目ぼれして
しまった。浪平菱川家出入りの商人の竹六をくどき、重信の弟子として菱川の家に住み込んだのだ。
ある日。重信が南蔵院に雌竜雄竜の絵をかくため、泊りがけで出掛けた隙に浪平はきせに言い寄り
無理やり強姦したのだ。しかも浪平の悪事はこれだけで済まなかったのだ。下男の正介を脅して菱川を蛍
見物におびき寄せ、、物陰に隠れていた浪平は刀で菱川をずたずたに切り裂き沼に投げ込んだのだ。
菱川は無念の思いを残しながら体中に蛇を巻き付けて死んでいった。
浪平はそのまま無理やりきせを妻にしたが、きせの心は晴れなかった。きせには菱川との間に一人息子が
いたがショックできせは乳が出なかったのだ。
そんなきせを心配した菱川(中村彰)の亡霊が現れ、きせを榎の木の下に連れていくのだが・・・
円朝の名作を映画化した作品だが、原作とはかなりストーリーは異なっている。
しかしおどろおどろしい太鼓の音や人魂が出てきて古き良き時代の怪談映画となっている。
新東宝は怪談映画をたくさん作っているが見世物小屋のような雰囲気がなかなかいい。
監督は加戸野五郎、製作は大蔵貢
2018年05月19日
「第八ジェット戦闘機隊」Men of the Fighting Lady 朝鮮戦争
の活躍を描いた戦争映画である。
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クリスマスの2、3日前のある日ポール・グレイスン少佐(フランク・ラヴジョイ)は、北朝鮮の鉄道
爆撃の任務に向かった。グレイソンは勇敢な男で敵の標的のぎりぎりまで降下して攻撃したが反撃されて
被弾し、海中にパラシュートで着水した。しかしグレイソンは着水時のショックで気絶しており、急いで
ヘリが現場に向かい救出した。
次にハワード・セイヤー大尉(ヴァン・ジョンソン)率いる中隊の一員テッド・ドッドスン大尉(キーナン
ウイン)が編隊を離脱したときに、敵の攻撃を受けて被弾し空母に引き返して着艦するが失敗し甲板に激突
して火だるまとなり死んでしまう。
戦闘機乗りの仕事は死と隣り合わせなのだ。
そしてクリスマスの当日、敵の攻撃に向かったケネス・シェクター少尉(デューウィ・マーティン)は
途中で被弾して目が見えなくなる。
シェクター機の異常に気付いたセイヤーは必死で追跡し、パニックに陥るシェクターを無線で落ち着かせて
近くの基地まで誘導しようとする。しかし基地は閉鎖されていて着陸することはできない。
燃料も残り少なく絶対絶命の危機を迎えたがセイヤーは、決してあきらめずにシェクターも見捨てなかった
・・・・・
派手な空中戦もなくどちらかと言えば地味な映画だが、戦争の厳しさは伝わってくる。
ただアメリカ映画だから仕方ないが、北朝鮮軍や中国軍が全く姿を現さないのは残念である。
この作品だけでは朝鮮戦争の全体像はわからない。しかし作品としての出来は悪くない。
国内DVDは未発売だが輸入盤がアマゾンジャパンで発売されている。監督はアンドリューマルトン。
音楽はベンハーのミクロスローザ。
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2018年05月16日
「戦闘機対戦車」ロイドブリッジス、ダグマクルーア、ドイツ軍
空中戦を織り交ぜながらのスペクタクルと思いきや、戦闘機は空をほとんど飛ばないのである。
少しは戦闘機が飛ぶシーンもあるが、地上をのろのろと走行しながら、戦車に追いかけられるという
予想外の展開に最初は驚く。しかしその分追うものと追われるものの心理も濃密に描き、見応えのある
戦争ドラマとなっている。
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1942年アメリカ軍のデルカルペッパー中尉は、燃料給油のためイギリス軍基地に降り立つ。
しかし休む間もなくウェーブリー少将から、ドイツ軍が設置した砂漠の地雷を処理するよう命令される。
デルカルペッパーはいやいやながら、イギリス軍のマクミラン少佐とともに任務に向かう。
しかし途中でドイツ軍の戦車と遭遇し、マクミランは攻撃するが反撃され、撃墜されてしまう。
マクミランはパラシュートで脱出し、デルカルペッパーは救出に向かうがデルカルペッパーの戦闘機も
戦車の大砲で被弾し飛ぶことができなくなってしまった。
実はドイツ軍も任務の途中で道に迷い砂漠で途方に暮れたいたのだが、部隊が全滅して生き残ったハンス・パイムラー将軍に発見され行動を共にしていたのだ。
だが生粋の軍人だったハンス・パイムラー(ロイドブリッジス)は戦闘機に攻撃された屈辱に我慢できず
部下を督戦して飛べない戦闘機に襲い掛かってきたのだ。
デルカルペッパー(ダグマクルーア)とマクミラン(ロイシネス)はのろのろと戦闘機を地上走行させて
逃げ回るのだが、容赦なくパイムラーは戦車の機関銃と大砲で攻撃してくる。
そして砂漠の地雷原に追い詰められて絶対絶命の危機を迎えるのだった・・・TVムービーとして製作
された映画であるが予想以上に面白く最後まで見てしまう映画である。日本では最初土曜映画劇場で放送
された。監督はデヴィッド・ローウェル・リッチ。
2018年05月13日
「 あゝ陸軍隼戦闘隊」佐藤允、本郷功次郎、藤巻潤、加藤建夫
描いた名作が「 あゝ陸軍隼戦闘隊」である。所沢飛行学校の教官となった加藤建夫中尉(佐藤允)は元聯隊旗手から航空に転じた木原少尉という優秀な部下がいた。
木原はしかし危険な飛行をするため、上官から叱られることが多かった。だが加藤はそれを咎めずむしろ
奨励すらしていた。
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加藤はまた中国からの留学生の趙英俊(藤巻潤)の世話もしていた。趙英俊は優秀な男で礼儀正しく加藤は
友人として遇していたのだ。
ある日酒席で 趙英俊にからむ右翼と加藤は乱闘になり一時謹慎になるぐらいであった。そんな趙も軍務のた
め祖国へ帰ることになり加藤は送別会を行って慰労した。
そんな人間味のある加藤だったが、陸軍上層部の頭の固さには手を焼いていた。時代遅れの97式戦闘機で
戦争すれば犠牲者が増えるだけだ。
加藤は上層部に強く進言して、乗り気ではない幹部を口説いて最新鋭戦闘機に隼の開発を急ぐように尻を
叩いた。また無骨な加藤だったが上官の引き合わせで加寿子(藤村志保)と結婚して平和な家庭を築きあげていた。
そうこうするうちに日本は中国とついに戦争状態になる。加藤は北支に出撃し、次々と敵機を落とすが
そのころ中国軍に龍のマークをつけた殺し屋戦闘機がいるという噂が流れた。
加藤の部下はその殺し屋に撃墜され、その仇討ちに加藤は殺し屋の機体を追いかけた。するとそのパイロットは自分が面倒みた趙英俊だった。加藤は死闘の末趙英俊を倒すが趙は火だるまになりながら、加藤に敬礼して
死んでいったのだ。
戦争のむごさに苦悩していた加藤だった陸軍はついに隼の開発に成功し、加藤は全機隼で編成された
第64戦隊の指揮官に就任する。しかし世界情勢は激変し加藤隼戦闘隊はマレーに進出し米英と激しい戦闘を
繰り返すのである・・
加藤建夫の人間味あふれる人格と戦争のむごさを描いた傑作で今こそ再評価する作品である。
主演の佐藤允は東宝のスターであるが、大映に招かれて主演となった。加藤役を非常に好演していて
部下役の本郷功次郎もいい。戦闘場面も模型を使っているのでリアリティがあって、急降下や編隊飛行
など迫力があり見応えもある。
いい作品なのにほとんど知られていないのが惜しい。監督は村山三男 1969年作品。
2018年05月12日
「太平洋戦争 謎の戦艦陸奥」菅原文太、天地茂、沼田曜一、新東宝
瀬戸内海に沈んだ。新東宝の「太平洋戦争謎の戦艦陸奥」はこのときの事故の顛末を映画化したもので
ある。
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1942年6月帝国海軍は、ミッドウェーで大敗北をして出動していた戦艦陸奥も撤退する。
何の活躍の場もなく屈辱の撤退である。陸奥の副長伏見少佐、神近兵曹は艦長に戦うことを進言するが
敗北が決まった以上艦長は受け入れなかった。
陸奥は呉へと帰還したが乗組員たちは出動の機会もなく悶々とした日々を送っていたのだ。
そのころ国際的スパイ団は陸奥を亡き者としようと画策していたのである。ドイツ大尉館員の
ルードリッヒは元陸奥の設計技師の娘の美佐子やアンナたちを取り込んで、陸奥に爆弾を仕掛けよう
としていたのだ。
そしてスパイ団は神近兵曹も抱き込んで爆弾を仕掛けようとしたが、神近は裏切って約束を反故に
する。スパイは怒って神近を捕まえて酒を飲ませて溺死させてしまう。
しかしスパイ団はこんなことで陸奥爆破をあきらめたわけではなかった・・
伏見少佐に天地茂、艦長役に沼田曜一と「地獄」のコンビが組み、松本中尉役を若き日の菅原文太が
扮している。文太の青年将校役は実によく似合っている。
陸奥の爆破事件に関しては諸説あって原因はよくわかっていない。スパイの工作説、下士官の放火や
新兵のいじめの報復など様々な説があるが、この映画ではスパイ説を基にしたわけである。
モノクロ映画でやや古臭いが陸奥の事件を描いた映画は他にないので、貴重な作品とは言える。
監督は小森白。
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2018年05月08日
「あゝ海軍」中村吉右衛門 峰岸隆之介
苦闘と成長を描いた1969年の大映映画である。
貧しい農家に生まれた平田一郎(中村吉右衛門)は、母の手ひとつで育てられたが成績優秀で将来は学問で身
を立てる夢をもっていた。しかし家計の苦しさを考えたら、母に言い出せず悩んでいた。一郎の親友の
本多勇( 峰岸隆之介)は時局非常のおり陸軍士官学校に入り、軍人になろうとしていた。
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一郎も気がすすまないものの、海軍兵学校に入れば月謝はただで報酬をもらえるので、しぶしぶ海軍兵学校
を受けることにした。そしてめでたく二人とも合格するのだが、一郎は兵学校の精神主義になじめず
学問の夢をあきらめきれず、一高を受験して合格した。合格を知って一郎は教官に退学を申し出るが
叱責されてついに海軍軍人として生きることにしたのだ。
そして母の危篤の時も実家に帰らず、歯を食いしばって訓練に耐えたのだ。
時もたちあれだけ嫌がっていた海軍にもなれ一郎は一人前の軍人となり兵学校を卒業していった。
卒業と同時に海軍士官になった平田はやがて海軍省航空本部へ移動になり、山本五十六長官と懇意になる。
山本のこれからの戦争は、航空戦力が勝負を決めるという考えにも共鳴するもがあった。
そのころ陸軍士官になっていた本田は、国内の貧しさに怒りを覚え革新運動に奔走していた。
しかし世界情勢は大きく動き、日本は真珠湾攻撃を行い太平洋戦争に突入していった・・・
主演の平田一郎を演じた中村吉右衛門は凛々しく、いかにも軍人然とした佇まいはよかった。
しかし最初の10代の兵学校生徒を演じたのは無理があった。こんな老けた生徒はいないだろう。
だが戦前の兵学校教育がかなり正確に描かれていたのはこの時代ならではあろう。
2018年05月02日
「燃えよ剣8」司馬遼太郎、土方歳三、函館戦争
蝦夷の地は松前藩が支配していたためまずこの連中を追い払う必要があった。
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その前に旧幕府軍は五稜郭を占領してここに拠点を置いた。戦闘となると土方の独壇場である。
土方は旧新選組を率いて松前城を攻撃、敵は城門を閉めようとしたが土方は間隙をぬって突入して
松前城は陥落した。幕府軍は土方さえいれば戦に勝てるとおおいに士気が上がった。だが不運なことに
おりからの台風で幕府の虎の子の軍艦の開陽が沈没、続いて神速丸も座礁して前途多難な状況となる。
ここで土方は最後までついてきた斉藤一(玉生司郎)を江戸の帰還させて、これまで死んだ隊士たちを
弔うよう命令した。そのころ京都時代の愛人のお雪が最後の別れに土方を追って訪ねてきた。
お雪の束の間の逢瀬を楽しむ土方の胸に去来するものは京の思い出だったのか。
さらに壬生の伝蔵も土方を訪ねてきたが、伝蔵は不運にも流れ弾を受けて死んでしまう。
土方はここに至り圧倒的な官軍の前に単独で切り込む。土方は官軍の十字砲火を浴びて絶命する。
闘神土方歳三の最後であった。
土方歳三を演じた栗塚旭のイメージが強すぎて、その後誰が土方を演じてもぴんとこない。
このテレビ版「燃えよ剣」は役者が無名の人が多かったのも成功の要因ではないか。
名のある俳優ならそれまでの役柄のイメージがあるので、純粋にドラマに感情移入できないからだ。
東映京都撮影所の大部屋俳優を使ったのは、そういう意味で成功だった。
「燃えよ剣」は新選組作品の最高傑作であり、新選組ファンなら一度は見ておくべき作品である。
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