『安全地帯アナザー・コレクション』十曲目「恋はDANCEではじめよう」です。「Friend」カップリングでした。
わたくし、とりわけリズムに関しては非常に弱く、すこしも説得力のない話を最初にしてしまって恐縮なのですが、こういう跳ねるリズムのことをシャッフルというんだと思います。ズッタ・ズッタ・ッタツ・ツッタ……ともの凄い速さで曲が跳び跳ねていきます。A面のどんよりしんみり感が見事に吹き飛ぶカップリングになっています。林家ペーの相方が&ロ愛子だったなみのビックリな組み合わせといえるでしょう。
いきなり歌で「Come on......」と入り、ズッタンズッタン!とスピード感満点なリズムが炸裂、「Danceがいいな」などと、通常の趣味嗜好をしていたら決して言わないであろうセリフをサラッと吐きます。ふう夜か、星がきれいだな、こんな夜は……DANCEがいいな……なにいってやがんだ頭が壊れる!(笑)恋はDANCEではじめようって、中国時代劇か!くるくる回って恋が芽生えるやつ(すぐ同じネタを使う)。とかなんとか思っているうちにレモンとかたぶんKissしてそうとかわけのわからないスウィートなセリフを一気に歌い、ギターのアオリで一番を終えます。ダンスの途中でうまく波長が合って、あっこいつら絶対Kissとかしてるぜ感のある雰囲気でビシッと抱きかかえる感じのポーズが決まったときにみんなが手を叩く……うーむ、わけわかんなくなかったすみません松井さん!でもわかんないです!気持ちが!
さていきなりサビっぽかった箇所を越えて、Aメロらしき箇所に入ります。ドラム、ベースの調子はそのまま、短音フレーズによるギターの掛け合いをバックに、韻を踏んだ(それゆえに意味はややイマイチ)玉置さんのボーカルが冴えます。クールとフール、嵐とジェラシー、といったところですね。「心はフール」ってもしかして悪口いってるのかと一瞬思いますが、たぶんそんな噂をしている人を内心バカにしているくらいの意味でしょう。玉置さんとDANCEなんかしてたらそりゃー噂とジェラシーで潰されそうになりますから、そういう腹の座った女性でなければならないわけです。
歌は短いBメロ(めちゃめちゃな可愛さ)のあとすぐサビに戻ります。「気分しだい」「疑問だらけ」とリズムの似通った言葉を用いてスピード感を落とさず突っ走ります。ここはリズムのためだけでなく、意味深さも抜群です。そう、疑問だらけなことがあるんですよ、気になる策を弄してくる女性というのがいたとして。慣れてるとかじゃないんでしょうね、たぶん自分を守るためにナチュラルにそうなんだと思います。
次のAメロも、思わせぶりワードの連発です。これはキレキレです。松井さんだいぶ調子が上がってきています!(笑)。「腰に」と「意固地に」なんて思いつくほうがどうかしています。そこに誘惑がはみ出してきて手がやけるなんて、すごく久しぶりな気のするスケコマシダンディー感満載です。わたくし、「ふたりで踊ろう」とかの頃に戻ったのかと一瞬思いました。実際その頃の曲なんで当たり前なんですけど、わたくしからすると五年くらい前のことのように思えます。
そして、何やら不思議な音色のメロディーがリードする間奏に入ります。間に入る玉置さんの「あれ?」は、レコーディング中に歌詞が見つからなかったから「あれ?歌詞がないよ?」と思った時の「あれ?」だと読んだ記憶があります(ソースはN.NOGUCHIさん、安全地帯レビューの大先輩というか、わたしがネットに接続したときにはもうあったと思いますこのサイト、一体いつから……と思ったらなんと開設は96年!ははー(平伏))。まだGoogleなかったんで、Lycos とかInfoseekとかで探したんだと思います。そのころから「安全地帯」で検索すると上位に表示されてた老舗中の老舗です。
そしてこの前後から歪んだギターの単音がキュイーン!とアオリを入れてきます。すっごい目立ちますよね、こんだけいろいろな音や声が入っているのに。安全地帯の音作りがいかに優れたものであるのか、こういう小技にいちいち唸らされます。
曲は最後のサビを駆け抜けて終わります。もともと二分くらいしかない曲なんであっという間なんですけど、それにしてもあっという間感が高いスピーディーさです。歌詞カードには自分勝手だって「なんたって」と書いてあるんですが、わたくし自分勝手だって「なんてったって」だと思います。私の耳が悪いか玉置さんの活舌が悪いか(それはない)、誤植か、もしくは、歌ってみたら「なんてったって」のほうがよいことが分かったからそう歌った、ということでしょう。うん、最後のケースが一番納得できます。歌い始めてから途中で「歌詞がないよ?」とか言ってるような慌てぶりのスケジュールでレコーディングしてますから、その場のノリで決まっていく、変わっていくようなスピード感が求められるというのが一番ありそうな話です。
アルバムに収録されないままだった二分程度の小曲ですし、おそらくシングルのカップリングとして急いで作ったんだとは思いますけど、急いだなりに新しいこと(シャッフルとか)をやってみよう!と楽しんでお作りになったのではと思います。この時期でなければこんなに急がされることはなく、こんなに急がされなければこのような試みをすることはなく、このような試みをしなければ生まれなかったような曲なのです。皮肉なことではあるのですが、だからこそ、わたしたちは安全地帯の様々な一面をみることができるわけです。
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Friendの雰囲気ぶち壊しオシャレ(笑)。なんと的確な!
オシャレな曲で好きです(*^^*)