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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2022年03月17日

ひとりぼっちの虹


安全地帯アナザー・コレクション』十二曲目、「ひとりぼっちの虹」です。「じれったい」のカップリングでした。

「じれったい」の焦燥感はどこへやら、すでに穏やかなのかいまだ穏やかならずなのか、ちょっと不明瞭な心境で失われた恋人を思う歌です。演奏は基本シンセサイザーだけ、アコギも入ってますけど、これ玉置さん弾いたんじゃないですかね、たぶん玉置さんとBAnaNAだけでやってます。そんなわけでA面の「じれったい」でのフルバンドからは一転、とてもシンプルな演奏になっています。

ポポポポポッポ……と可愛らしい音で短い前奏があったあと、すぐに歌が始まります。何やらうすーく鍵盤が入っていますが、ポポポの存在感が強くてよく聴こえません。「古い住所へ〜」とAメロ二回目から美しいストリングスが入り、曲を盛り上げて一気にサビに行きます。サビからは何やらシンセがアオリに入ってストリングスときれいな絡みを聴かせてくれます。ここに、おそらくは玉置さんのアコギが一瞬打楽器かと思えるほど澄んだ音色でストロークを続け、演奏は最高潮に達します。最高潮ったってシンプルな美しさを保ったままですから、すこしもうるさく感じません。このアレンジセンスはほんとにどのJ-POPアーティストにも見習ってほしいと願ってやみません。せっかくの昆布出汁に固形ブイヨン入れやがって!みたいなのが多すぎましたし、今なんて昆布出汁の取り方すら知らないんじゃないかと思わされるものだらけです。

曲はもう一度Aメロを繰り返し、間奏へと続いてゆきます。この曲も安全地帯や玉置さんの曲によくある、AとかBとかサビとかそういうありきたりな構成思想で語るのが無粋に思われるような、説得力ある構成です。「Aメロとサビしかないじゃん」とか、控えめに言って追放刑です(笑)。

曲はトイピアノのような音色でAメロをなぞる間奏があって、大きくストリングスで最後のサビへとリードされてゆきます。「ポンワー・ポンワー」と跳ね上がるシンセをバックに、玉置さんが空にかかる虹を歌い上げます。低音を多めに含んだストリングスが一瞬だけ挿入され、いくぶん落ち着いていた気分を一気にスーパーブルーに急降下させます。その後、何事もなかったかのように落ち着いた気分の伴奏に戻るのがまた、癒しきれていない猛烈な悲しさを抱えたままの、かりそめの落ち着きであることを演出します。これは切ない……。

何事もなかったようで実はあったことがプンプンと臭う伴奏であることがわかります。これはBAnaNAのバラエティーあふれる音色を組み合わせたシンセと、それにズシーンと絡んでゆく星さんのストリングスの組み合わせによるものでしょう。『All I Do』で堪能できるパターンでもありますが、玉置さんソロだけでなく、安全地帯にとっても『安全地帯V』を経て生み出された重要なオプションとなっていたことが推察されます。

さて歌詞ですが……これは辛すぎます。どういう事情かは分かりませんが(安全地帯のことだから死別とかでなくて失恋だろうと思うのが自然といや自然ですが)、もう手紙を出しても宛先不明で帰ってくるであろうことが容易に予想される関係に陥っています。

彼女のいた街で朝を迎え、みるものきくものすべてが彼女を思い出させます。とりわけ「頬にかかる涙」が思いだされて、ひとりのときの心が千々に乱れます。それを思いだして胸が痛むうちはまだ彼女を忘れていないわけですから、いますぐに逢いたい、逢って涙の記憶を上書き保存したい、でもできない。まあ、できませんよね。大人たるもの、それはやっちゃいけないとわかっています。だってそれは自分の都合じゃないですか。たまたまうっかり向こうも同じ気持であった場合にだけ逢ってもいいとは思うんですが、そこは昭和末期、LINEで腹の探り合いなどできない時代なのです。なんとか連絡先を人づてに入手してイエデンにかける以外ありません。だから、あて先不明になることが濃厚な「手紙」でさえも、まだまだ重要な連絡手段候補となりえたのです。いまだったらそもそも検討すらしませんよね。

そんなことを考えているうちに眠り込んでしまいます。うん、寝たほうがいいですね。こういうときにはスマートフォンなどいじらずに頭をリセットしないといけません。当時はそんなものありませんから、悶々と眠るしかありませんでした。そんなとき、わたくし夜中に突然コンビニに散歩してカップ焼きそばを食べるという暴挙がマイブームになったことがありまして、すっかり体の具合が悪くなったことがあります。若い皆さんはくれぐれもマネをなさらぬよう。そんなことするならスマートフォンいじってるほうがいいかもしれません(笑)。

そして夢のような夢を見ます。夢のようにステキでうれしい夢です。なんと!「ほほえむ君」が「空にかかる虹」のたもとにいるんです。つまり、いないんです(笑)。君のいる虹のたもとに行こうとしたら当然辿りつきません。虹というのはみなさんご存じのとおり近くでは見ることができません。庭に水蒔いてるときにうまく角度を調節して虹ができているときにバシャバシャ手を触れて「虹にさわった」と思えるような気がするだけです。ああ夢か……夢の中に君がいたのに、夢の中でも君に追いつかないのか……と一層気分が暗くなります。さみしいからみてしまった夢なのに、いっそうさみしい気分にさせられるんですから、たまったものではありません。

そんなわけでこの曲は、一見かわいらしい、美しい曲の装いをもってはいるのですが、実は凶悪なくらいダウナー系の失恋ソングであるわけです。心の弱ったときにはあまり聴き入りたくない、けどいい曲だから聴きたくなっちゃう、そんな失恋モードの安全地帯ファンを虜にするいつものパターンといやいつものパターンではあります。ただ、これが「いつもの」である時代は間もなく終わりを告げようとしていたと、当時のわたしたちは知らずにいたのでした……と、こういう振り返りがピッタリはまる曲だなあ、と思います。

「安全地帯のシングルB面だと何が一番好き?」
「ひとりぼっちの虹」
「そうなんだ、よくわかるよ。じゃあ置き手紙も好きなんじゃないかな」
「ぜんぶ好き」
「そりゃそうだね」

安全地帯のことを話せる相手を求めて今はなきICQで、こんな会話をしたことが思いだされます。この『安全地帯アナザー・コレクション』がリリースされてからまだわずか数年のことでした。逢うひとなんかとっくにみんな街を去っていて、孤独な冬の寒さを一緒に耐えてくれる相手をネット回線の向こうに探すことのできる時代の、ごくごく初期のことでした。
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