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2017年08月30日

チェコ・スロバキア・カップ(八月廿七日)



 昨日の土曜日の夕方、チェコテレビのスポーツチャンネルでハンドボールの中継が始まった。チェコの国内リーグもヨーロッパのカップ戦もまだ始まっていないこの時期に何の試合だろうかと思って見たら、チェコスロバキアカップという大会だった。名称からするに両国の優勝チームの対戦であるに違いない。

 対戦チームは、チェコのドゥクラ・プラハと、スロバキアのシャリャ。スロバキアでは最強チームとしてプレショウが君臨しているのに、シャリャが優勝とは意外だったと思っていたら、勘違いだった。この試合は準決勝で勝った方が日曜日の決勝に進出し、負けたほうは三位決定戦に回るのだという。
 つまり、チェコリーグとスロバキアリーグの上位二チームが出場する大会で、今年で三回目の開催なのだが、これまでの二回は、チェコにチームは二チームとも準決勝で破れ、決勝はスロバキアチーム同士の対戦となっていたらしい。ハンドボールでは、クラブチームレベルではスロバキアの方がチェコよりも上なのである。代表は多分チェコの方が上を行く。
 テレビで中継されたドゥクラ・プラハとシャリャの試合は、前半の最初からドゥクラが優勢で、最大で9点差を付け、前半終了時点では7点差で勝っていた。後半も点差は広がらなかったが、差をコントロールしている感じで、常に5点から7点差を維持して、最後はそのまま6点差、30-24で勝利していた。チェコチームとしては初めての決勝進出である。

 中継されなかった第二試合は、チェコリーグ二位のホームチームのプルゼニュと、スロバキア最強チームのプレショウの対戦だった。今年はチェコチーム同士の決勝にならないかなあというのはやはり実現せず、19-26でプルゼニュは負けてしまった。今季からチェコリーグに復帰するステフリークの姿は、一試合目終了後に二試合目に出場するチームがウォーミングアップをしている中で、見ることができたが、試合でどれだけ活躍できたのかは確認できていない。
 このステフリークのチェコ復帰が呼び水になって、サッカー界では定着しつつある現役の最後を母国のリーグでというのがハンドボール界にも流行しないかなあ。イーハとかホラークあたりの大型選手が帰ってきてくれれば、チェコリーグはさらに若手選手を鍛えて、代表に送り出すための場になると思うのだけど。

 ということで、日曜日の決勝は、両国の優勝チーム同士ドゥクラ・プラハ対タトラン・プレショウの対戦となった。準決勝の第一試合を中継するぐらいだから、決勝も中継があるだろうと思っていたら、そんなものはなかった。日曜日の夕方は、サッカーの一部リーグの試合が二試合連続で中継されていた。普段の週末は二日に分けて一試合ずつ中継するのに。
 チェコのハンドボール協会のページでこの大会のことを確認したら、チェコテレビで中継されるのは決勝だけになっていた。ということは、サッカーリーグの中継が、放映権の関係で日曜日の試合を二試合中継することに変更された結果、ハンドボールの決勝の中継ができなくなり、その代わりに準決勝の一試合を中継することになったということのようだ。
 マイナースポーツのハンドボール界としては、一試合中継してもらえただけでもありがたいと感じるしかないのだろう。今の国内リーグには聴衆をべるようなスーパースターはいないし、大きなスポンサーを握っているわけでもない。スロバキアとの共同リーグの設立にも失敗したし、今後のチェコリーグの見通しというものは決して明るいわけではない。チェコリーグから外国に移籍していく選手はいるけれども、かつてほどの大物は久しく生まれていないような気がする。

 ここはいっそ、ゼマン大統領に、以前中国にネドビェット同伴で出かけてサッカー界に中国の資金を持って帰ってきたのと同じように、イーハを連れてお金持ちでハンドボール好きの王族のいるアラブ諸国を歴訪してきてもらうのがよさそうだ。アラブの資本をチェコリーグに呼び込むことができたら、代表が上昇傾向にある今、チェコハンドボール界が発展できるのは間違いない。
 それができれば、少なくともハンドボール界からはアンチ・ゼマンが消えて、多少次の大統領選挙での当選確率が高くなると思うけど、やってくれんもんかねえ。まあ、ハンドボール界を結集したところで、大した票にならないと思われている可能性も低くはない。それに、共産党にシンパシーを感じるところがあるらしいゼマン大統領には、王政が幅をきかせたアラブ諸国に頭を下げるのは無理かなあ。

 試合の結果を書くのを忘れるところだった。誰も気にしていないかもしれないけど、予想通りプレショウが32-24でドゥクラに圧勝してチェコスロバキア杯を獲得していた。開始以来三年連続の優勝である。やはりプレショウは、女子のミハロフツェと並んで、チェコ・スロバキア最強チームである。

 女子はこのチェコスロバキアカップやらないのかなと思ったら、そもそもリーグが共同だから、改めてチェコとスロバキアの優勝チームが対戦する意味はないのだった。それを考えると、チェコとスロバキアの共同リーグよりも、このチェコスロバキアカップのほうが魅力的な気がする。まだ三年目でそれほど定着したとは言い難いようだが、8月のチェコとスロバキアの分離が決まった時期に行うというのも悪くないし、今後が楽しみなイベントである。
 今回は開催地がプルゼニュだったけれども、チェコとスロバキアの分離が決まったトゥーゲントハット邸でセレモニー的なことをやって、会場も近くのブルノのクラーロボ・ポレの体育館を使えば、スロバキアからも来やすいし、いいんじゃないかな。当てつけのためにクラウス、メチアル両氏を招待するというのは、さすがにやり過ぎか。
8月28日18時。





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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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