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2017年08月15日

コウノトリの巣続編(八月十二日)



 秋の下院の総選挙も間近に控えているうえに、夏休みであまり機能していない国会に対して、警察が国会議員を刑事事件の捜査の対象にする許可を求めたというニュースが流れた。対象となっているのは、秋の選挙で勝つのが現時点では確実視されているANOの党首で元財相のバビシュ氏と、ANOの副党首でバビシュ氏の片腕とも言うべきファルティーネク氏である。

 チェコの国会議員は、日本と同様不逮捕特権を有している。いや、以前は日本のものよりも遥に大きな特権だった。何せ、以前は一度国会議員になってしまえば、一生この特権に守られて警察の捜査の対象にならなかったのだから。現在は任期中という限定がついているはずである。ただ、任期中であっても、所属する議院、下院か上院の賛成があれば、警察は刑事事件として立件することができる。

 ただし、数年前に、社会民主党の国会議員兼中央ボヘミア地方の知事だったラート氏が、賄賂として手に入れた多額の現金を所持しているところを警察に拘束された場合には、逃亡を防ぐためか警察は身柄を押さえた上で、国会に捜査の許可を求めていた。ラート氏も警察の留置所から国会の審議に出席して長々と演説をして、自分を捜査の対象にする許可を与えるように求めていた。
 それを考えると、チェコの場合には不逮捕特権というよりは、逮捕されても刑事事件として送検されない特権なのかもしれない。いずれにしても、国会の審議で捜査の対象する許可が出れば、場合によっては刑事犯として起訴されることになる点では変らない。ラート氏も政敵の陰謀だから、警察の捜査が自分の無罪を明かしてくれるはずだとか何とかありえないことを主張していたなあ。

 それで、今回警察がこの権利を使って、バビシュ氏を捜査の対象にすることを求めたのだが、時期が悪いとしか言いようがない。一つは、すでに選挙戦が始まっているといってもいい秋の総選挙に影響を与える可能性が大きいことである。以前も書いたことがあるが、チェコの警察、検察のいいところは、政治家に対して手心を加えることなく捜査の対象にし、ときに逮捕にまでいたるところである。反対に悪いところは、その政治家への捜査が、しばしば政治的なものになってしまうところである。今回も、ANOを勝たせたくない勢力の手が動いていることが疑われそうなタイミングである。
 それから、この許可は、現在では議院の任期ごとに必要となっているらしく、今許可が出たとしても、秋の総選挙の後、バビシュ氏が当選するのは確実なので、改めて許可を取る必要があるらしい。二度手間になることを考えると、選挙の結果が出た後で請求したほうがましだっただろう。選挙までの短い時間で大したことができるとも思えないし。

 警察が刑事事件として立件したいといっているのが、以前も書いた半分バビシュ氏の住居として使われているらしい「コウノトリの巣(チャピー・フニーズド)」という農場のような施設に関する疑惑である。2008年にEUの助成金をもらってほとんど廃墟と化していたかつての農場を改装し始めたというこの施設は、名前からして北京オリンピックのメイン会場となった「鳥の巣(プタチー・フニーズド)」を模している。
 改修にかかった二億コルナのうち、五千万コルナをEUの助成金でまかなったらしいのだが、その助成金が対象としていたのは、中小企業だけだった。バビシュ氏は、助成金を得るためだけに、身内の名義でペーパーカンパニーを設立し、会計処理が終わった時点で、補助金の対象外だったアグロフェルトに買収させることで、本来は獲得できなかった助成金を詐取したという疑いがもたれている。

 疑い自体は以前から存在したのだし、手口も明らかだったのだから、それが犯罪に当たるのかどうかは、自明のことだったのではないのか。疑惑が表に出た時点で警察が動かなかったということは、犯罪とまでは言い切れなかったからではないのだろうか。だから、このタイミングで国会に許可を求めるというのは、何か意味があるはずである。刑事事件として立件するだけの新たな証拠を掴んだのか、選挙前の政策捜査なのかは。時間が明らかにすることになろう。明らかにならないかもしれないけれども。
 バビシュ氏は例によって、警察を傘下に収める内務省の大臣のホバネツ氏と、天敵カロウセク氏の仕掛けたバビシュつぶしの陰謀だと主張しているけれども、疑惑自体は自業自得というべきものなのだから、説得力はあまりない。

 結局、バビシュ氏側も、反バビシュ氏側も、どちらも信用できないというのが、正直なところである。世論調査の結果で、ANOが一番の地位を維持し続けているのは、どんなにバビシュ氏が批判されても、批判する側も同じ程度には信用できないことで、支持率があまり変化しないのではないかと考えている。

 助成金に関する問題があちこちで発覚して逮捕者を大量に出しているのは、EUの助成金のシステムそのものに問題があるからだろう。EUの助成金コーディネーターとか、コンサルタントなんて胡散臭い職業が存在できるほどなのだから。
8月13日22時。






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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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