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2017年07月28日

2017年のスラビア・プラハ(七月廿五日)



 サッカーのシーズンが始まる前に、移籍の情報なんかをまとめておこうと思っていたら、今週末からスポンサーがペンキ屋になったヘット・リーガが始まり、スラビアとプルゼニュはチャンピオンズリーグの予選三回戦の試合が行なわれるところまで来てしまった。とりあえず、今日の記事ではスラビア・プラハについて書くことにする。明日はプルゼニュで、明後日はスパルタかな。今週はスポーツねたばっかりになりそうである。きゅうりの季節だから仕方がないのである。
 去年の今頃、スラビアは中国資本に買収されたばかりで、手に入れた資金源の使い方になれていなかったのか、選手の放出も、獲得もちぐはぐで、ぎりぎりでシュコダの中国売却が破談になったり、スロバキアから緊急でファン・ケセルを獲得したりした影響もあってか、ヨーロッパリーグの予選で敗退してしまったのだった。

 今年は、若手の有望選手を計画的に売却すると同時に、積極的に経験のある外国人選手を獲得して、二度目のチャンピオンズリーグ進出を本気で狙っているようである。
 ゴールキーパーは、オストラバから獲得してA代表に選出されるまでになったパブレンカをドイツのブレーメンに一億コルナで売却。代役としてはこれも最初はオストラバで活躍してA代表に呼ばれるようになったベテランのラシュトゥーフカを獲得した。ラシュトゥーフカは長らくウクライナで活躍して去年カルビナーでチェコリーグに復帰して躍進の原動力となっていた選手である。それから16歳の将来を嘱望されるキーパーをリバプールに売ったというニュースもあったなあ。若くしてイングランドに行ったチェコ人選手、成功例ないんだよなあ。
 ディフェンスの選手としては、昨年テプリツェから獲得して、U21ヨーロッパ選手権でも活躍したセンターバックのリュフトネルが、デンマークのFCコペンハーゲンに、4000万コルナぐらいで買われていった。代役としては、今年ヨーロッパリーグに出場するズリーンからこの前代表にも呼ばれたユガスを獲得している。これでちょっとズリーンが心配。

 中盤の選手では、すでに一月の時点でイタリアのウディネーゼ移籍が決まっていたバラークがいなくなった。この移籍でスラビアには八千万コルナ入ってきたと言われる。また契約が終了したグルジアのケニヤは、契約を延長しなかったため、グルジアリーグに戻ったようである。この前の代表の試合で活躍したズムルハルにも移籍の噂はあるのだけど、現時点ではまだスラビアの選手である。
 入ってきたのは、まずイタリアのサンプドリアからプルゼニュにレンタルされていたスロバキア人のフロマダ。それに契約切れのベテランを経験を買って三人獲得している。ウクライナからロタニュ、ドイツのアウグスブルクから元トルコ代表のアルティントップ、ロシアのペテルスブルクから元ポルトガル代表のダニの三人である。それにリベレツにレンタルされていたソウチェクが帰ってきたのも忘れちゃいけないか、チェコ代表に定着しそうだし。
 あれ、移籍の収支黒じゃないか。中華資本は補強資金を出してくれるんじゃなかったのか?

 これらの移籍の結果、ただでさえチェコにしては多かった選手の国籍が、一段と増えることになってしまった。英語が共通語なんてことになるのだろうけど、チェコのサッカー選手、国内でしかプレーしたことのない選手の英語って、かなり微妙らしいからなあ。あとは監督のシルハビーの英語がどうかなってのも気になる。ベテランの監督だから英語が多少できなくても問題ないかな。
 逆にチェコに入ってきたばかりの選手にチェコ語で指示を出すのは無理がありすぎる。でも、十年ぐらい前のスラビアファンのアイドル、ブラジル人のアダウトなんかはがんばってたどたどしいチェコ語を使うことで、ファンに受け入れられていた面があったからなあ。調子がいいときはいいのだろうけど、結果が出なくなったときに英語しか使わない外国人選手に対してスラビアファンが我慢できるかどうか、ちょっと心配である。スパルタのファンよりはましだろうけどさ。

 それで、スラビアはチャンピオンズリーグの予選三回戦の優勝チームの部で、ベラルーシのバテ・ ボリソフと対戦することになった。初戦はスラビアの本拠地プラハのエデンスタジアムでの試合である。スラビアホームの試合だからチェコテレビが放送するかと思っていたら、携帯電話会社のO2が設立した有料チャンネルでの放送だった。うちのテレビで見られるO2 TV Freeじゃ、試合開始前の10分と、後半開始前後の10分しか見られないというふざけた状態であった。
 ボリソフは、プルゼニュがチャンピオンズリーグのグループステージで同組になったことがあるんじゃなかったかな。確かそのときはプルゼニュが三位でボリソフが四位だったはずである。スラビアも勝てる?
 出場メンバーは、ラシュトゥーフカ ― フリドリフ、ユガス、デリ、ボジル ― ヌガデウ ― ファン・ブレン、ロタニュ(66メシャノビチ)、フシュバウエル、ダニ(75ミンガゾフ)― シュコダ。新戦力としては、ラシュトゥーフカ、ユガス、ダニ、ロタニュの四人が先発で出場している。このうちチェコ人は六人だけである。

 試合は、前半20分ぐらいに、フリドリフが倒されてもらったPKをシュコダが決めて先制。このプレーで相手に退場者が出たのだけど、数的優位を生かすことはできずに、そのまま1‐0でスラビアが勝利した。フシュバウエルのシュートがゴールバーとポストを叩いたり、シュコダのシュートがゴールポストに嫌われれたりと、ニュースで見るかぎりチャンスは作っていたようだが、決め切れなかった。
 内容については何とも言えないのだけど、ホームで1‐0というのはどうなのかなあ。スラビアが前回予選を勝ち抜けたのは、ゴールキーパーのバニアクさまが、ほとんど神がかり的なセーブを連発してアヤックスを絶望の淵に叩き落したからだし、その働きが同じベテランのラシュトゥーフカに期待できるのかな。

 最低でもここは勝ち抜いて、ヨーロッパリーグ本戦の出場だけは勝ち取ってほしいところである。中堅国の優勝チーム枠での予選だから、ボリソフに勝てれば次も行けそうな気はするのだけど、プルゼニュではなく、スラビアなので期待はしないでおこう。シルハビーもヤブロネツ時代はヨーロッパの舞台でいいところがなかったしさ。
7月26日12時。







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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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