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2019年03月14日
動詞の受身1(三月十二日)
最近チェコ語の文法のことを書いていないような気がする。何を書いたかはっきり覚えていないので、確実に書いていないことを書こう。それで真っ先に思いついたのが、チェコ語を勉強する日本の人には、このくらいまでは母語である日本語で勉強してほしいと思う受身形である。この受身、便利なんだけど、ついつい使いすぎて自分でもわけがわからなくなることがある。
動詞、現在形、過去形を勉強してきて、仮定形や受身形が使えるようになれば、チェコ語の動詞の勉強は終わりといってもいい。副動詞とも呼ばれるチェコ語のプシェホドニークはあるけど、チェコ人でも使う人は少ないし、正確に使える人もあまりいないらしい。古語扱いで学校でもあまり勉強しないのかな。プシェホドニークがもとになっているらしい動詞から作る形容詞はあるけれども、これも動詞から直接作ったと考えれば問題ない。
いきなり受身というと、身構える人もいるかもしれないが、我々チェコ語学習者は諸学のころから受身を使用している。正確には受身形からできた形容詞というべきなのかもしれないが、その境目はチェコ語の場合にはしばしばあいまいになる。それは、「疲れた」というときの「unavený」である。
この言葉はもともと動詞「unavit(疲れさせる)」からできたもので、その受身形「unaven(つかれさせられる)」に形容詞の語尾がついて「unavený(疲れた/疲れている)」となったものである。ここで厄介なのは、チェコ語の形容詞には短語尾形(これについてもいずれ)と言われる使い方があることで、ちょっと古めかしくは感じられるが「Jsem unaven」でも、「Jsem unavený」と意味は変わらないのである。
さて、すでに使っているよと例を挙げた「unavit」から「unaven」になるところからもわかるように、動詞の原形が「it」「et/ět」で終わる場合には、それを取り去って「en」を付ければ受身形が出来上がる。また原形が「it」で終わるものも、「otevřít(開ける)」「zavřít(閉める)」のようにこの形に含まれることが多く、それぞれ「otevřen」「zavřen」という受身形になる。
ここで、受身形の文中での使い方を先に説明しておくと、形容詞化させたもの以外は、必ず動詞「být」と共に使用される。その際、形容詞を述語として使う場合と同様に、主語と述語の性と単複を一致させなければならない。動詞「být」はいいとしても、また新たに活用語尾を覚えなければならないのである。名詞の代表的な活用語尾に倣うので簡単といえば簡単だけど。
男性名詞の単数の場合は、語尾無し、つまり「Hrad je zavřen」となり、女性単数は「Škola je zavřena」、中性単数は「Toto místo je zavřeno」となる。特に主語を指定しない場合は、中性扱いとなって「Je zavřeno」ということになるから、「zavřeno」という形を聞いたことのある人は多いだろう。複数になると男性名詞活動体が「Páni jsou unaveni」、不活動体と女性名詞が「Hrady/Školy jsou zavřeny」、中性名詞は「Všechna místa jsou zavřena」となる。ここにあげたのはわかりやすいんだけどねえ。
ということで、まとめに入ろう。まず動詞の受身形は、文中では原則として動詞「být」と組み合わせて述語として使用される。主語と述語で、性、単複が一致しなければならないのは、形容詞と同じ。語尾は以下の通り。
単数
男性名詞 語尾なし
女性名詞 –a
中性名詞 –o
複数
男性活動 –i
男性不活 –y
女性名詞 –y
中性名詞 –a
受身形には3種類(5種類にしてもいいけど)あって、原則として原形の語尾でどの形になるかを判断する。
A受身形の 語尾が-en/ěnとなるもの。
@原形が「-it」もしくは「-et/ět」で終わる動詞。
připravit → připraven
postavět → postaven
A原形が「ít」で終わる動詞の一部。
chtít → chtěn
B原形が子音二つ(-st/-ct)で終わる動詞の一部。子音交代を起すことが多い。
nést → nesen
péct → pečen
sníst → sněden
číst → čten(一人称単数čtuから)
říct → řečen(一人称単数řeknuから)
C原形が「子音+nout」で終わる動詞。子音交代を起すことが多い。
tisknout → tištěn
dosáhnout → dosažen
長くなってきたのでB以下は次回に回す。相変わらず構成がまずいよなあ。
2019年3月13日23時。
2019年02月26日
名字の話女性形(二月廿四日)
ちょっと時間がおしているので、簡単に書けて短くまとめられそうな話を探していたら、昨日のバーバという名字が男性の名字で、その女性形はバーボバーになるという話を書いたので思い出した。まだ名字の女性形について、正確には男性形の名字から女性形の名字の作り方を書いていなかった。先に例外的なことから書いておくと、チェコの名字の中にも男性形と女性形が同じものもないわけではないのだ。
最初は、一番多い例だが、男性の名詞が子音、短母音「a」か「o」で終わる場合は、女性形の末尾は「-ová」になる。子音で終わる男性名詞にはそのままつけ、母音で終わるものには、末尾の母音を取り去ってからつける。だから、日本人の名字の場合でも「a」で終わるもには、このルールが適用されることがある。タナカさんの、奥さんと娘さんはタナコバーさんになってしまうのである。
日本人の名字を扱う上で気をつけなければならないのは、長母音「ó」で終わるものである。かなで書くと「オウ」だけど、発音は「オー」に等しく、ヘボン式のローマ字でも最近は長音記号をつけないことが多いから、ローマ字で書くと「o」になる。その結果、サトーさんがサトさんになり、その奥さんたちはサトバーさんになってしまうのである。
これで気づいた人がいるかもしれないけど、サトバーさん、「サト婆さん」に聞こえない? チェコ語の名字の中には、いくつか女性形にすると女性の名前に「婆さん」をつけたように聞こえるものがあるのである。耳で聞いて一番びっくりしたのが、つづりも男性形もよくわからないのだけど、「美穂子婆さん」で、チェコ語だと「Michoková」になるのかなあ。男性形は「Michok」か「Michoka」か。ただし、三つともワードの校正機能で赤線が引かれているから、本来はチェコ語の名字ではないのかも知れない。
そうなると、ちょっと母音の長短はあるけど、ハナークさんの奥さんが「花子婆さん」になるというのが一番いい例だろうか。本当は「Hanáková」だから、「ハナーコ婆さん」なんだけど、ちょっと短くするぐらいは許されるだろう。これは自分で気づいたのではなくて、ある日系企業のかたがたが使っていた冗談である。何でも本人にまで伝わってしまって使えなくなったのだとか。探せば他にも日本人の名前になりそうな「婆さん」がいるとは思うのだけど、誰か探してみない?
閑話休題
二つ目は、形容詞硬変化形の名詞で、男性形の語尾は「-ý」だが、女性形は「-á」となる。格変化も名詞でありながら形容詞と同じになる。オロモウツの大学に名前が冠されているパラツキーの奥さんはパラツカーさんだったわけだ。コメンスカーとか、ロシツカーとか聞きなれていないせいか、どれも違和感があるのだけど、去年のオリンピックで金メダルを取ったレデツカーはさすがに耳に馴染んできたなあ。
三つ目は形容詞軟変化型の名字で、これは男性形と女性形が同じになる。ただし、格変化は男性と女性で異なるので注意が必要である。よく聞くこの形の名字としてはクレイチーがある。ただこれは仕立て屋を意味する名詞になってしまっているから、女性の名字としては女性の仕立て屋を意味するクレイチョバーという形を使うことも多い。でも、男性の形が長母音「í」で終わっている場合には、女性も例外的に同じ形になると考えて問題ないはずである。
最後の一番特別なのが名詞の、特に人名の複数二格が名字になっている場合である。この場合は男性形と女性形が同じであるだけでなく、格変化も全く同じである。男性形も女性形も格変化させようがないからさ。一番有名なのは作曲家のマルティヌーだろうか。これはマルティンの複数二格が名字になったものである。他にもヤンからヤヌー、ヤネクからヤンクーなんて名字ができあがる。
チェコの女性の名詞というのは「オバー」で終わるのが原則だけど、例外もあるのだということで、今日はお仕舞い。
2019年2月25日23時30分。
2019年02月18日
「コヴァジーク」の謎(二月十六日)
題名に「」をつけたのは、「コヴァジーク」という人物が謎の存在だというわけでも、「コヴァジーク」という人物に謎があるというわけでなもないからである。謎なのは「コヴァジーク」という表記そのものである。
これまで、日本のメディアにおけるチェコ人の人名表記に関しては、散々批判してきた。特にスポーツ選手の表記の中には、チェコ語の発音とかけ離れて誰なのかわからないものもままある。ほぼ確実におかしな表記になっているのが、チェコ人の誇りである「Ř」で、英語ではハーチェクを省略して表記されるために、日本のメディアでも「ラリルレロ」で処理されることが多い。それなのに、「Kovařík」が「コバジーク」と表記されていたのである。しかもヤフーのスポーツナビでである。
木曜日のサッカーのヨーロッパリーグでプルゼニュが、ディナモ・ザグレブに逆転勝ちしたので、日本語でも確認しようかと、ヤフーのスポーツナビのヨーロッパリーグのところのこの試合のページを開いたら、イエローもらった選手の名前が「ヤン・コヴァジーク」になっていてびっくりしてしまった。
これは、チェコ人の名前の表記の全面的な見直しが行われた結果かと期待したのだが、他は以前と変わっておらず、何でコバジークだけと首をかしげることになってしまった。外国人選手を除く人名表記がどうなっているかいくつか確認しておこう。
1妥当なもの
ミラン・ハヴェル Milan HAVEL
マレク・バコシュ Marek BAKOŠ
「ハヴェル」は、Vをどう書くかぐらいしか問題がないので、変な表記のしようもない。「バコシュ」は、 「Š」が直音表記されて「バコス」になるかと思ったが、意外なことにまともな表記である。それなのに他のところで「Š」の直音表記が出てくるのがよくわからない。
2長母音が無視されたもの
マトゥシュ・コザチク Matuš KOZÁČIK
ロマン・フブニク Roman HUBNÍK
それぞれ、「コザーチク」「フブニーク」が妥当な表記。とはいえこのぐらいなら文句は言わない。この二つの名前に関しては、これ以上はおかしくしようもないと言うところだけど。
3拗音の直音表記
パトリック・フロソフスキー Patrik HROŠOVSKÝ
ミラン・ペトルゼラ Milan PETRŽERA
「フロショフスキー」「ペトルジェラ」と比べると大差ないと思うかもしれないけど、違和感は大きいなあ。ハーチェクついてるんだからさ。
4Cの問題
ルデク・ペルニカ Luděk PERNICA
チェコ語のCの音は、日本語のツの音なので、「CA」は「ツァ」となる。「ペルニカ」と「ペルニツァ」、事情を知らない人は同一人物だと理解してくれるのだろうか。まあ、「パーニカ」になっていないだけマシか。
5CHの問題
ロマン・プロチャズカ Roman PROCHÁZKA
トーマス・ホリー Tomáš CHORÝ
チェコ語のCHは「チ」ではなく、「ヒ」に近い音なので、「プロハースカ」と書くのが普通である。有声子音の無声化については言うまい。「プロチャズカ」では実は「プロハースカ」だとわからないだろうなあ。
不思議なのは同じ「CH」が使われている「ホリー」が「チョリー」になっていないこと。どういう規準なんだろ。名前の「トーマス」は「トマーシュ」なんだけどね。同じ名前でも「トマス」と書かれる選手がいるのも不思議。
6Řの問題
トマス・ホラヴァ Tomáš HOŘAVA
ラディム・レズニク Radim ŘEZNÍK
特にこの「レズニク」を見ると、「Kovařík」が「コヴァリク」になってもおかしくはないような気がするのだけど、どうして「コヴァジーク」と書けたのだろうか。不思議で仕方がない。それが表題の謎なのである。同じ日に試合のあったスラビアの選手名にも問題ありありだったし。
「コヴァジーク」が日本でも知られているような有名選手であれば、チェコ語の発音に近づける努力が優先的になされてもおかしくないような気はするが、日本での知名度で言えば、同じU21のヨーロッパ選手権で活躍したホジャバと同じぐらいのはずである。そのホジャバは「ホラバ」と書かれているわけでね。
もしかしたら、他の分野で「コヴァジーク」という名前の人が知られているのかもしれないと、ヤフーで検索してみたら、絵本作家の「インドジフ・コバジーク」と作曲家の「クリストファー・コヴァジーク」が出てきた。絵本作家のほうはチェコの人のようだけど、作曲家は名前からしてチェコを出た人の子孫という感じである。どちらも知らない。この二人の影響で「コヴァジーク」と書かれるようになったというのも説得力に欠ける。
ちなみに、「コヴァリク」という表記を使っているメディアも、チェコの選手名に関して、ここにあげた表記よりもましな表記をしているメディアも存在しているはずである。知らない人はいくつかのメディアを見くらべて別人だと思ってしまうのだろうなあ。
2019年2月17日23時。
2019年01月16日
英語はチェコ語の学習に役立つか(正月十四日)
これも、頂いたコメントに対する回答になるのだけど、先に結論から言ってしまえば、我があるかなきかの英語力では、チェコ語の勉強に役に立たなかった。ある外国語を別の外国語の勉強に役に立てるためには、基本的な辞書に出てくる言葉の意味ぐらいはすべて覚えていて、文法の説明を理解できるレベルの能力が必要になる。大学に入ってすぐ忘れた我が受験英語ではそんなところまではたどり着けるわけがない。
チェコ語−英語の辞書をひいて出てきた英語の単語が理解できず、さらに英和辞典が必要になるぐらいなら、最初からチェコ語−日本語辞典をひいたほうがマシだし、ある程度チェコ語能力が付いてからならチェコ語−日本語辞典に載っていない単語は、チェコ語の辞典でひいた方が勉強にもなる。今なら、むしろ、チェコ語を使って英語を勉強する方が現実的である。今更そんな気はないけど。
英語に堪能な人であれば、チェコ英、英チェコの辞書も充実しているし、教科書もチェコで書かれた外国人向けのものも含めてたくさん存在するから、英語をチェコ語の学習に役立てることもできるだろう。それでも、外国語で外国語の文法の説明を理解するというのは、普通の人にとっては至難の業のはずだから、日本語の教材を使いながら、英語のものを補助的に使うというのがいいと思うけれども。
かつてサマースクールで勉強したときに使用した教材は、文法的な説明が英語で書かれたものだった。それでも何とかなったのは、日本語の教材で学習済みの内容だったのと、先生がチェコ語で丁寧に説明してくれたおかげである。練習問題の説明なんか英語で読んでもわからなかったけど、例があったので何とかなった。昔のサマースクール参加者は、英語話者でも、英語は使わずに必死でチェコ語で話していたから、皆で一緒につたないチェコ語で頑張れたという面もあるし。去年のサマースクールは、チェコ語がかなりできる人でも私的な会話は英語を使おうとする人が結構いて、ちょっと幻滅したけどね。
英語が我がチェコ語の学習に役に立ったとしたら、それはかつて失敗した英語学習を反面教師にできたことぐらいである。発音に関しては、英語がよくできる人が英語の発音に引きづられて、なかなかチェコ語の発音を身に付けることができないのを見て、自分がアルファベットの羅列を見て、自動的に英語風に発音してしまうところまでは英語ができるようになっていなかったことに感謝した。英語の単語の読み方にかつて苦労した分、チェコ語のほぼローマ字読みという発音のルールは、英語の影響で苦労している人には申し訳なかったけど、ありがたかった。
だから、日本人が、英語に頼らず、日本語、チェコ語のあわいで苦労しながらチェコ語を勉強するのは正しいと断言しておく。チェコ語を説明するのに英語を取り出してくるチェコ人の説明は、どこかずれていて、理解の妨げになることの方が多かったような気もする。そんな人に説明を求めることはほとんどなかったから、特殊な例かもしれないけど。
チェコ語の学習において気をつけるべきこととしては、何だろう。先ず、最初に教科書で文法的に正しいチェコを身につけることを勧めておこう。最近の日本の外国語の学習は、会話重視で文法的な正確さを軽視する嫌いがあるけど、先に崩れたチェコ語を身につけてしまうと、読み書きには使えないし、正しいチェコ語に訂正するのは難しい。
あとは、チェコ人の説明を信じすぎないことだろうか。プラハ方言(一般チェコ語とは言いたくない)が、テレビなどを通じてチェコ中に広まった結果、モラビアでも文法的に正しいチェコ語を使っていない、人によっては使えない人もいる。そんな人に説明させると、「by」の一人称複数が、「bysme」になったり、「mě」の発音が、「ムニェ」ではなく「ミェ」になったりする。地元の方言を教えてくれるのなら大歓迎なのだけどね。「sú」とか、「z kama」とかさ。
独学とはいえ、チェコ人の知り合いがいるのなら、そのチェコ人の中から自分のチェコ語の規範にする人を選ぶのも悪くない。理想はチェコ語の先生のチェコ語なんだけど。我がチェコ語も師匠のチェコ語を規範にして作り上げたものだし、こんなチェコ語で話したいという目標はあったほうがいい。特に発音とか、言葉遣いなんかに関してはね。
2019年1月14日23時35分。
2019年01月15日
ややこしいToの話続続(正月十三日)
前回は、細かいことを考えずに使えるという意味では便利だけど、文法的な正しさを意識して使おうとすると覿面ややこしくなってしまう「to」の厄介な面について説明したが、今回は「to」の使いやすい面について取り上げよう。とはいっても単純な文にはならないので、初級者向けというよりは、中上級者向けなのだけど。
「to」の後に「že」をつけて文をつなげることで、「〜(という)こと」という連体修飾節が作れるのである。いくつか例を挙げれば、
Problém je to, že nemám peníze.
問題はお金がないことです。
Vadí mi to, že se musím vstávat brzo ráno.
朝早く起きなければならないのが気に入らない。
過去にすると前者はまたちょっと悩むのだけど、こうかなあ。
Problémem bylo to, že nemám peníze.
Vadilo mi to, že se musím vstávat brzo ráno.
それから、こんな一見複雑な文もチェコ語にできてしまう。
To, že umíte česky, neznamená to, že můžete pracovat jako tlumočník.
チェコ語ができるということは、通訳として働けるという意味ではない。
ワードの校正機能で緑色の波線が引かれているから、自然なチェコ語というわけではないのだろうけど、言いたいことはわかってもらえるはずである。
使うのは1格でなくてもよくて、
2格
Kromě toho, že umím česky, jsem normální Japonec.
チェコ語ができること以外は、私は普通の日本人です。
4格
Jsem hrdý na to, že neumím anglicky.
私は英語ができないことが誇りです。
7格
Olomouc je známá tím, že je tam hodně kostelů.
オロモウツは教会がたくさんあることで有名です。
また「že」以外で受けることもできて、
6格
Diskutovali jsme o tom, kam půjdeme na pivo.
どこにビールを飲みに行くかについて議論した。
4格
Jde nám o to, jak vyřešíme tento problém.
この問題をどう解決するかを問題にしているのです。
といった具合なのだが、こういうのが使えるようになると、チェコ語ができるようになった気がして、ついつい濫用してしまうのが問題である。その結果、日本語で書く場合と同じように、長々と続く文を作ってしまって、後で読み返して自分でも何が書きたかったのかわからんという事態を引き起こしてしまう。最近はマシになったと思うのだけど、サマースクールの作文でも無駄に長い文作ってたからなあ。
ということで、まだ書くべきことはあるかもしれないけど、「to」についてはこのぐらいにしておこう。
2019年1月13日23時30分。
2019年01月14日
ややこしいToの話続(正月十二日)
ここからが本題なのだが、「ten/ta/to」の中で、例外なのが中性を指す「to」である。これ、特にあとに来る名詞を意識しない場合に、つまり単に「それ」という場合に、1格でも、4格でも使うことができる。名詞の性、単複を意識しない場合だから、前に出てきた名詞を受けることはできない。
まず簡単4格からいくと、例えば誰かが手に持っている本を、よこせと言うときに「Dej mi to」、見せろと言うときに「Ukaž mi to」という類である。具体的な名詞を使って「Dej mi tu knihu」と言ってもいいけど、「to」を使って済ませることのほうが多い。これは、原則として物をさすときに使う表現なので、人を指す場合には4格では使わない。
それに対して、1格の場合は厄介である。「これは何々だ」という文を作るときに動詞býtと組み合わせて使うのだが、チェコ語の文法の大原則から外れたような使い方をするのだ。チェコ語の勉強を始めたばかりのころに、嫌になるぐらい注意されるのが、実際よく間違えるから注意されるのも仕方がないのだけど、主語と述語の性と数の一致である。
話者が男性のときには「Já jsem Japonec」で、女性のときには「Já jsem Japonka」となるし、過去形にしたら、「Já jsem byl nemocný」「Já jsem byla nemocná」となる。複数の場合も「Oni jsou Češi」(男がいる)、「Ony jsou Češky」(女性のみ)と述語になる名詞の形に注意が必要である。být以外の動詞でも、「Já jsem jel do Prahy」(男)、「Naše dítě jelo do Prahy」(中)、「My jsme jely do Prahy」(女性のみ)と主語の性、単複に合わせて動詞の語尾を変えなければならない。
これを頭の中に叩き込まれたあとにやってしまう間違いが、「Ten je můj kamarád」「Ty jsou Japonci」のように、指示代名詞の「ten」を述語の性と数にあわせてしまうものである。どちらも何も考えずに、「to」を使えばいいらしい。かつて師匠にチェコ語を習っていたときに、一生懸命考えて、「Ti jsou mí kamarádi, kteří …」なんて文を作ったのだけど、「to」でいいと言われてがっかりしたことがある。性も数も完璧だぜと思ったのだけどね。
だから、知り合いを誰かに紹介するときも、弾性であれ女性であれ、単数であれ複数であれ、「to」を使う。例えばH先生に知り合いを紹介するときも、「Pane doktore, to je pan S z Japonska」「Pane doktore, to je paní S z Japonska」「Pane doktore, to jsou japonští komeniologové(コメンスキー研究者)」と言うことになる。動詞býtの形は名詞の単複に合わせる。
これは人の場合に限らない。「To je překvapení(そいつは驚きだねえ)」は、中性だから性と数が一致しているけど、「To je náhoda(そいつは偶然だ)」「To je zázrak(奇跡だ)」とやれば、述語になる名詞が女性でも、男性でも「To」が使われることはわかるだろう。「To jsou výsledky!(なんて結果だ!)」なんて複数にすることもある。
問題は、過去にしたときで、人なら「To byl můj kamarád」と述語の名詞に合わせて性と数を決めればいいと思うのだけど、「To byla náhoda」にするのがいいのか、「To bylo náhoda」がいいのか、正直よくわからない。チェコ人に聞いても、なんだかすっきりしない答えしか返ってこないので、いつまでたっても確信を持って使えるようにならないのである。
実はこれは、「To」を使わない文にも飛び火する問題で、例えば「Karel Gott je největší hvězda v České republice(カレル・ゴットはチェコ最大のスターだ)」と、主語は男性なのに、述語が女性名詞というのは、実は結構存在して、主語と述語の性と数の一致の原則というのは何だったんだといいたくなるのだけど、これを過去にしたときに、「Karel Gott byl největší hvězda」と「Karel Gott byla největší hvězda」なら前者が正しいと思うのだけど、語順を入れ替えた場合に「Největší hvězda byl Karel Gott」でいいのか、まったく自信がない。
以前、これについて、チェコ人の知り合いに相談したら、7格にしてしまえば、と言われた。名前のような一生ついて回るものは、7格にできないけれども、職業や肩書きのような、時期がくれば変わる可能性のある物は、「〜は〜だ」という文の中で7格にすることができるのである。なので、「Největší hvězdou byl Karel Gott」と1格になっている名詞に動詞を合わせればいいはずである。
この話、もう少し続く。
2019年1月12日22時35分。
2019年01月13日
ややこしいToの話(正月十一日)
久しぶりにコメントが増えていた。かなり前の記事へのコメントだったので、一瞬、例の何でこのブログに書くのかわからないコメントかと思ったのだが、これまで何度かコメントをいただいている、チェコ語学習者の方だった。「to とhoの使い分け」についてコメントされているのだが、そんなこと書いたっけと思わず自分が何を書いたか確認に行ってしまった。
九月の初めのサマースクールの名残でチェコ語についてあれこれ書き散らしていたころの記事で、語順を扱ったものだった。その中で、指示代名詞の「ten/ta/to」と人称代名詞の「ho」についてちょっとだけ触れていた。ちょっとだけ過ぎて申し訳ない気もするので、使いやすいのだけど、正確に使おうと思うと実はややこしいtoについて、もう少し詳しく説明しておく。
まず、一般に指示代名詞とされる「ten/ta/to」だが、実際には日本語の連体詞「その」と同様に名詞を伴って使われることが多い。単数だけ例示すれは、「ten pán(その男)」「ta žena(その女)」「to město(その町)」となる。確かに「ten」だけで使われることもなくはないのだが、それは後に来る名詞、指すものの性が明確に意識されているときで、そうでなければ、「ten/ta/to」のどれを使うのか決められないのだから、むしろ名詞が省略された形だと言いたくなるほどである。
正月に、またまた見てしまった「トルハーク」の名場面、郵便局でティハーチェク氏の姉の郵便局員が、窓の外の森林管理間のマトゥシュカに見とれて窓から離れられなくなるシーンで、ティハーチェク氏の姉が「Ten je ale fešák(あの男の人かっこいいよね)」と言っていた。「Ten」だけで使われているのは、男であることは目で見てはっきりわかっているからであろう。もちろん、ここは「on(彼)」を使ってもいいはずだ。
もう一つ例を挙げれば、会話の中である女性が話題に上がったのを受けて、「Ta je hezká(あの女はきれいだよ)」なんて使う。男性の場合には「ten」になるが、どちらも1格で使われているということである。これが、4格になると、「Znám ji(彼女を知っています)」か「Znám tu ženu」になって、「Znám tu」とはしにくいのである。
これに準じて、前に出てきた、人ではなく物を指す場合でも、4格の場合には、「ten/ta/to」の4格ではなく、人称代名詞の「on/ona/ono」の4格が使われることが多いし、「ten/ta/to」を使うのであれば、名詞も一緒に使うのである。複数の4格の「je」が正しく使えたときには、自分のチェコ語も進歩したものだと感慨を抱いてしまった。何せ、初めてこの「je」を見たときに、動詞býtの三人称単数の形だと思って、文が理解できずに頭を抱えたのだから。
会話をでっち上げてみる。
Koupil jsem si nový slovník.
新しい辞書、買ったんだ。
Ukážeš mi ho (ten slovník)?
それ(その辞書)、見せてくれる?
以上が、指示代名詞と人称代名詞を使う際に、気をつけていることである。ただし、これが正しいチェコ語の使い分けかどうかは知らない。無意識に使えるところまではきていないけど、これまで説明されたり、指摘されたりしてきたことから、帰納的に作り出したルールなのでである。
ところで、チェコの人の感覚で使い分けているというのはどうなんだろう。この辺は、チェコ人もある程度学校で勉強しないと正確には使いわけられないと思うんだけど。チェコ語であれ、日本語であれ言葉を自覚的に使っていない人には、文法的な説明は求めないで、不自然なところを直してもらう程度がいいということかな。黒田師の本にもそんなことが書いてあったし。
本題に入る前に1ページ越えたし、TOの説明は長くなりそうなのでまた明日。
2019年1月11日24時30分。
2018年12月28日
数詞の格変化1000(十二月廿三日)
100の次は1000(tisíc)である。この「tisíc」は日本語の万と同じような役割を持つので、100以上に前に数詞が来て、複数、いや複数2格で使うことの多い数詞、もしくは名詞である。子音の「c」で終わるので判別が難しいが、軟変化の男性名詞不活動体である。だから、1000は「jeden tisíc」ということになる。「jedno sto」よりは、数詞1を着けて使う機会は多い。これも念のために男性名詞不活動体軟変化の復習をしておこう。
1000
1 jeden tisíc
2 jednoho tisíce
3 jednomu tisíci
4 jeden tisíc
5 jeden tisíc
6 jednom tisíci
7 jedním tisícem
2000から4000は普通の複数の変化をさせればいいのだが、2格だけは注意が必要である。普通、男性名詞の複数2格の語尾は「ů」になるのだが、語尾なしの「tisíc」を使う。2000を例としてあげておく。
2000
1 dva tisíce
2 dvou tisíc
3 dvěma tisícům
4dvě stědva tisíce
5dvě stědva tisíce
6 dvou tisících
7 dvěma tisíci
5000以上は、1格、4格、5格で複数2格になることを忘れなければ、他は複数の格変化だから、問題ないはずである。
5000
1 pět tisíc
2 pěti tisíc
3 pěti tisícům
4 pět tisíc
5 pět tisíc
6 pěti tisících
7 pěti tisíci
問題は、数字が大きくなって「tisíc」の前に来る数詞が二桁、三桁になったときに、格変化させるべき数詞が増えて面倒くさくなることだが、チェコ人も同じように感じているのか、数字が大きくなると格変化をしない1格か4格でしか使わなくなる傾向があるように思われる。日本語では助数詞が厄介だが、数詞そのものは大した問題にはならない。それに対して、チェコ語では助数詞的に使える言葉がごく僅かしかない代わりに、数詞自体が滅茶苦茶厄介なのである。
ついでなので、1000の次も挙げておけば、100万は「milion」で男性名詞不活動体の硬変化である。100万の次は10億で、「miliarda」。こちらは女性名詞の硬変化になる。その上の1兆は男性名詞不活動体の「bilion」だったかな。いずれも前に来る数詞が5以上の場合には、1格なのに複数2格にしなければならないのは、同じである。
ということで、数詞関係はこれでおしまい。長々と、短い記事を続けたのは、年末恒例のクリスマス進行のせいである。これで、一日も落とさずに乗り切れるかどうかは、ふたを開けてのお楽しみということにしておこう。
2018年12月23日23時10分。
2018年12月27日
数詞の格変化100(十二月廿二日)
99の次は100、つまり「sto」なのだが、この言葉は数詞であると同時に、前に数詞を伴って名詞的に使用される。「sto」は「o」で終わるので、中性名詞扱いで、「město」と同じ格変化をすることになる。だから、理論上は、100は「jedno sto」となるのだが、実際には「sto」だけで使うことが多い。念のために単数の格変化を復習しておこう。
100
1 (jedno) sto
2 (jednoho) sta
3 (jednomu) stu
4 (jedno) sto
5 (jedno) sto
6 (jednom) stu
7 (jedním) stem
複数も原則として「město」と同じなのだが、200の場合だけ、特別に「stě」という形を取る。だから1格で複数形の「sta」を使うのは、300と400の場合だけである。500以上は複数2格で「set」を使わなければならないし。格変化はそれぞれ以下の通り。
200
1 dvě stě
2 dvou set
3 dvěma stům
4 dvě stě
5 dvě stě
6 dvou stech
7 dvěma sty
300+400
1 tři / čtyři sta
2 tří / čtyř set
3 třem / čtyřem stům
4 tři / čtyři sta
5 tři / čtyři sta
6 třech / čtyřech stech
7 třemi / čtyřmi sty
500
1 pět set
2 pěti set
3 pěti stům
4 pět set
5 pět set
6 pěti stech
7 pěti sty
切りのいい数字ならこれでおしまいなのだが、例えば535などの数字になると、「pět set třicet pět」として、「pět set」「třicet」「pět」という三つの部分に分けるか、「pět set pětatřicet」と二つの部分に分けるかして、それぞれの数詞を格変化させなければならない。「pět set pětatřicet」を使うと、百の位、一の位、十の位の順番で数字を読むのが嫌で自分では使えないので、「pět set třicet pět」として三つの数字を別々に格変化させることが多い。いや、細かい数字は格変化させたくないので、だいたい300とか、350とか切りのいい数字にしてごまかすことの方が多いかな。
またこの「sto」が使えるのは、900(devět set)でおしまいではなく、1100から1900までも、それぞれ「jedenáct set」「devatenáct set」という形で表せる。もちろん「tisíc」を使って、「tisíc sto」「tisíc devět set」としてもいいのだが、特に年号の場合に前者がよく用いられる。
500以上は、例えば「pět set žen」と100もその後の名詞も複数2格になるから問題はないのだが、200から400の場合に、「dvě stě žen」「tři sta žen」と100は複数1格、名詞は複数2格という組み合わせになってなんとも落ち着かないのである。
それはともかく、これで100は完璧だと言いたかったのだけど、ニュースを見ていたら、「před sto lety」というのが聞こえてきた。何で「sto」は7格になっていないのだろう。それに文にしたときに「Tři sta lidí byla」がいいのか、「Tři sta lidí bylo」なのかよくわからない。後者を使っているけど、「sto」が名詞的に使われることを考えると後者のほうがいいような気もしてくる。やはりチェコ語は難しい。
2018年12月22日22時10分。
2018年12月26日
数詞の格変化5以上(十二月廿一日)
5以上の数詞の格変化は、どうしてといいたくなるぐらい簡単である。これをもう少し難しくしてもいいから他の格変化を簡単にしてくれというのは、無理な相談だけど、ついついそんなことを言ってしまいたくなるほどである。
5以上、99以下の数詞は、1格が子音で終わる。ほとんどは「t」で終わるのだが、例外的に「sedm(7)」「osm(8)」の二つだけは「m」で終わる。その子音の後に「i」をつけるかつけないかの変化しかない。具体的に言えば、ほとんどの名詞の複数と同じで、4格、5格は1格と同じで、残りの2格、3格、6格、7格には語尾の「i」をつける。
5
1 pět
2 pěti
3 pěti
4 pět
5 pět
6 pěti
7 pěti
あえて言うなら、注意しなければならないのは、「kost」などの子音で終わる女性名詞の単数変化に引きずられて7格を「pětí」にしないことであろうか。
それから、9だけは例外的に、語幹が変化して、2格、3格、6格、7格が「devěti」ではなく、「devíti」になる。10は「deseti」「desíti」という二つの形があるのだが、20などとの整合性を考えると、変化させない前者を使ったほうがいい。
19まで、それから20、30など1の位が0で終わるものは、あらわし方が一つしかないので、この簡単な格変化でいいのだが、21のような20以上で1の位が0以外のものの場合には、あらわし方が二つあり、それぞれ格変化のさせ方が違う。
21を「dvacet jeden」と二つの単語に分けて読む場合には、「dvacet」と「jeden」をそれぞれ別々に格変化させなければならない。つまり「dvacet」は「i」をつけるだけだから簡単だけど、「jeden」は後に来る名詞の性に基づいて格変化しなければならなくなる。名詞を単数にするのか、複数にするのかでも悩むことになるので、それが嫌な場合にはもう一つの一単語化する方法を使うことになる。「jedenadvacet」にしてしまえば、格変化は20の場合とまったく同じである。ただしこの方法が使えるのは99までで、100を越えると、100の位を別に格変化させる必要が出てくる。
種類、組を表す数詞が形容詞の硬変化と同じ格変化をするのは4に準じるのだが、母音が微妙に変わるものがあるので注意が必要である。5は「paterý / patery」、以下「šesterý / šestery」「sedmerý / sedmery」「osmerý / osmery」「devaterý / devatery」「desaterý / desatery」と10まで挙げておく。「何重の」という意味の形容詞もありそうだけど、見たことも聞いたこともない。
さて、5以上の数詞の格変化そのものは簡単だが、使う際には気をつけなければならないことがある。それは5以上の数詞のついた名詞は、附属する形容詞などもふくめてすべて複数二格をとり、動詞と組み合わせるときには単数中性扱いにするというルールである。ここで、数詞と単複、性の関係についてまとめておくと、1は単数、性は名詞の性に基づく。2、3、4は複数、性は名詞の性に基づく。5以上は単数、性は名詞の性にかかわらす中性ということになる。
ただし、問題はこれで終わらない。1格で使う場合に、5以上の数詞につく名詞が複数2格になるからといって、すべての格で複数二格になるわけではない。数詞、名詞がともに1格と同じ形になるのは、4格と5格だけで、それ以外は普通の格変化をさせるのである。だから数詞に名詞を付けた状態で格変化させると以下のようになる。
9+hrad
1 devět hradů
2 devíti hradů
3 devíti hradům
4 devět hradů
5 devět hradů
6 devíti hradech
7 devíti hrady
これ、教科書では、5以上の後は複数2格というのが強調されるために、3格、6格、7格でも2格にしてしまいがちで、最初は間違いを指摘されても、ちゃんと2格にしているのに、何で間違いなんだと疑問に思っていたほどである。
昨日の例文を5以上の数詞に変えてみよう。
・Pět Japonců bylo v této hospodě.
飲み屋に五人の日本人がいました。
・Jel jsem do Prahy se šesti kamarádkami
六人の友達と一緒にプラハに行きました。
・Studoval jsem na sedmi univerzitách.
7つの大学で勉強しました。
まだ何か書くべきことがあるような気もするけれども、とりあえずこれでお仕舞い。次は100である。
2018年12月22日12時。