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2017年08月13日

チェック・サイクリング・トゥール2017(八月十日)



 仕事帰りにテレジア門の近くを通ったら、ナチスに焼き討ちされたシナゴーグの跡地の駐車場に、黒塗りのバスとトラックが停まっているのに気づいた。この炎天下に真っ黒とは、熱を吸収して中は暑いに違いないなんてことを考えながら眺めていたら、自転車チームのバスと機材を運ぶトラックだった。チェコ人、スロバキア人を数多く擁するドイツのチーム、ボラ・ハンズグローエである。金持ちチームの一つだから、外が真っ黒でもバスの中は冷房がしっかり効いて快適なのだろう。
 最近すっかり忘れていたのだが、オロモウツ地方を舞台に開催されれるチェコ最大の自転車のステージレースが行われる時期が近づいていた。今年の春ぐらいまでは、しばしば情報を求めて大会のHPを覗いていたのだが、全く情報の更新が行なわれなかったので、いつの間にか見なくなっていたのだ。

 去年はUCIのワールドツアーのチームが二つ来ていたから、今年はボラとどこが来るんだろうと期待して、久しぶりにHPを確認したら、残念ながら二年ぶり出場のボラだけだった。それだけでなく、去年の感じだと毎年出場しそうだった日本のアイサン・レーシング・チームも今年は出場しないようである。ちょっと残念。
 出場チームは、去年同様全部で18で、去年から継続して出ているチームは、7チームのようである。名前が変更になってわからないのもあるかもしれないけど、半分以下ということか。ヨーロッパのチームが中心で、一番多いのは、イタリアとオーストリアの3チーム。地元チェコは去年から数を減らしてポーランドと同じ2チームしか出ていない。
 一番遠くから来ているのは、カザフスタンのチームで、これってアジアのチームになるのかな。それともサッカーと同じでヨーロッパ扱い? 去年遠くアメリカから出場したチームは、日本のアイサンと同じで出場していない。このチームも長期的に出場するようなことをいっていたような気がするのだけどなあ。

 ボラが来るということは、チェコのタイムトライアルのエース、ヤン・バールタと、ロードレースのエースの一人レオポルト・ケーニクが来るということだろうと予想したのだが、バールタは来るけど、ケーニクは、ジロもツールもブエルタも棒に振る原因となった膝の状態がよくならないために欠場を余儀なくされたらしい。その代わりと言ってはなんだけど、サガンが来る。サガンはサガンでも世界的なスーパースター(トリックスターと呼びたくなるけど)のペテルではなくて、お兄ちゃんのユライ・サガンである。
 正直な話、出場選手の中で、名前を聞いたことがあるのは、ボラのバールタとサガン、ポーランドのCCCスプランディのチェコ人選手ヒルトぐらいで、誰が優勝候補になるのかもよくわからない。できればチェコ人のバールタかヒルトに勝ってほしいところだけど、二つ出ているチェコチームの無名の選手の中から優勝者が出てもいい。

 チェック・サイクリング・トゥールの初日は、チーム・タイムトライアルと決まっている。去年はフリーデク・ミーステクで行なわれたが、今年はいつものウニチョフに戻って約19kmのコースで行なわれた。ボラが圧倒的な優勝候補だったのだけど、勝ったのはチェコの自転車会社アウトルのチームだった。2位のボラとの差はわずか3秒以下、3位は6秒差でCCCスプランディ、この三チームの中から総合優勝が出るかな。
 二日目は、オロモウツからオパバを経てフリーデク・ミーステクへ向かう200キロ超のステージ。今年が初登場かもしれない。三日目は恒例のモヘルニツェからシュテルンベルクに向かって、エツェ・ホモのヒル・クライミングコースを三回登るステージ、最終日はオロモウツからシュテルンベルクなどを経てドラニに向かい、ドラニの周回コースを九周するステージである。

 一昨年は最終日が中継されたのだけど、去年はオリンピックのせいで中継されなかった。今年はまた中継されるだろうと期待していたのだけど、現在ロンドンで開催中の陸上の世界選手権にチェコテレビのスポーツチャンネルの放送枠を取られて、今年も中継はないようだ。競歩に負けてしまったのである。
 サッカーのチェコリーグの試合などはチェコテレビ第二で、特別に放送枠を取って中継されるのだけど、チェコ国内最大とはいえ、世界的にはまったく無名の自転車のステージレースを、そこまでして中継するわけにもいかないのだろう。人員も陸上の世界選手権に取られているだろうしね。ところで、去年のアイサンチームの出場を、日本で報じたスポーツ・メディアはあったのだろうか。
8月11日22時。





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