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2015年08月15日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き9(第二重5)
第二重の三昧耶パーツ描き 5回目
降三世三昧耶会 第二重の三昧耶パーツ描きをしています。
今回は賢劫十六尊のうち西側の四尊(17〜20)です。
第二重 三昧耶パーツ B 賢劫十六尊西(黄色番号17〜20)
17)無量光菩薩
無量光明がはっきりとわかる。
無量光菩薩は無量の智慧の光によってあまねく十方世界を照らす菩薩。
無量の智慧の光を象徴する無量光明を三昧耶形(三形)とする。
18)賢護菩薩
独特のフォルムがしっかりと保存されている。
賢護菩薩の衆生救済を固く誓願し、魔性・煩悩から衆生を賢く護る菩薩。
煩悩を滅する智慧が入っている賢瓶を三形とする。
19)光網菩薩
細部まで色や形が明瞭。
光網菩薩は網明菩薩ともいい、苦海に溺れる衆生を智慧の光の網で救うことを誓願した菩薩。
衆生救済の方便の網である羅網を三形とする。
20)月光菩薩
三日月の形が美しい。
月光菩薩は暗夜の月の光のように衆生の迷闇を照らし菩提心の円満を導く菩薩。
清涼なる光にて煩悩炎を滅する境地へと導く月を三形とする。
以上です。
ほとんど剥離なく鮮明に色と形が残っている。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月14日
本紹介 No. 036『アショーカ王碑文』
『アショーカ王碑文』
中村先生の『古代インド』やコーサンビー氏の『インド古代史』を読んで、『アショーカ王碑文』に興味を持ちました。
塚本啓祥 著 『アショーカ王碑文』(第三文明社 1976)
今回はKindle版で読んでみました。
文字の大きさや明暗など変えられるのでなかなか読みやすいです。
書籍版『アショーカ王碑文』が高価な古本しか見つけられず、手が出なかったというだけなんですが・・・
構成
『アショーカ王碑文』Kindle版はリフロー形式なのでフォントサイズやページ表示幅の調節により1ページあたりの字数や行数が変わります。
そのため固定したページ番号がなく、その代わり行番号に相当する「ロケーション番号」が設定されています。
例えば第四章のはじめのページは「No.925/3116 - 28%」となっておりますが、この「No.925/3116」がロケーション番号です。
『アショーカ王碑文』Kindle版の総ロケーション数は3116。いくつかの白黒写真が掲載されています。
内容は以下の通り。
まえがき
凡例
目次
序説
一 碑文の所在地
二 政治と社会・経済
三 法による統治
四 仏教との関係
碑文
1 十四章摩崖法勅
2 別刻摩崖法勅
3 小摩崖法勅
4 七章石柱法勅
5 小石柱法勅
6 洞院刻文
7 皇后法勅
訳注
解説 参考文献
略年表
地図
索引
電子化クレジット
また、書籍の発行は1976年となりますが、電子化クレジットを見ると電子書式版は2013年の発行のようです。
内容
本書は大きく序説、碑文、訳注および解説 参考文献からなります。
序説では碑文の所在地や碑文成立時の政治や社会、碑文ではそれぞれの碑文の日本語訳、訳注に碑文の訳注、解説 参考文献に碑文の解説と参考文献が載っています。
メインとなる碑文の内容については思ったほど多くはなく、序説、訳注、解説 参考文献が充実しています。
アショーカ王碑文に興味を持った理由としては、なぜアショーカ王は法政へと方向転換したのか?についての納得のいく答えを得たいと思ったからでした。
まだ見ていないアショーカ王碑文のなかにそのヒントがあるかもしれないと思いました。
本書に十四章摩崖法勅 第一三章に「カリンガを征服した時の、天愛の悔恨」により「天愛の熱心な法の実修、法に対うる愛慕、および法の教誡が〔行なわれた〕。」とありるようにカリンガ征服を後悔し法政へと転換したことが知られます。
また、「私がどのような努力をなそうとも、〔それは〕有情に〔負うている義務の〕債務を履行するためであり、更に、彼らを現世において安楽ならしめ、また来世において天に到達せしめるためである。」(十四章摩崖法勅 第六章)という法政を司るものとしての立場を明らかにしています。
しかし、そのような意識の変化が実際にはどの段階から、何を理由として芽生え、具体的にどのような悔恨が引き金となり、どこまで真摯に、あるいは、どの程度政治的な配慮から離れて存在したのか?を知りたく思いました。
そして、残念ながら本書から望む答えは見つかりませんでした。
アショーカ王碑文についてもっと調べるべきか、あるいはアショーカ王の伝記や伝承文学に目を通した方がよかったかもしれないと思い始めています。
どのような「悔恨」が王の意識を大変換させたのか?
あるいは、その本質は釈尊の教えの真髄のなかにしか見入出せないのかもしれません。
曼荼羅作画とのかかわり
アショーカ王碑文の存在は紀元前において法政により大国を統治した王が実在したことを示しています。
アショーカ王に続く王朝が途絶えてしまい他の王朝がその意志を継がなかったことから、法政は現実的ではないのかもしれません。
密教曼荼羅と法政は直接結びつかないようにも思えますが、そこにある理想の追求、真髄の希求という意味では、ある大きな流れの一つの姿と見えなくもないと思ったりします。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月13日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き8(第二重4)
第二重の三昧耶形パーツ描き 4回目
降三世三昧耶会 第二重の三昧耶形パーツ描き中です。
今回は賢劫十六尊のうち南方の四尊(13〜16)。
第二重 三昧耶形パーツ B 賢劫十六尊南(黄色番号13〜16)
13)香象菩薩
香象というと象の形をした香器を表すこともあるとのことだが、ここでは丸い器が描かれている。
香象菩薩の香象とは発情期に芳香を放ち異性を誘引する象のことを示す。
清涼な香が身体を清め、仏の慈徳が心を清めることを象徴する香器を三昧耶形(三形)とする。
14)大精進菩薩
細部の形までよく保存されている。
大精進菩薩は勇猛菩薩ともいい、衆生の苦難を砕破する菩薩。
精進努力を怠らず、菩提心を貫くことを象徴する独鈷戟を三形とする。
15)虚空蔵菩薩
三瓣宝珠の赤い色。
虚空蔵菩薩は二徳(福徳と智慧)に富み、その広がりが虚空(宇宙)に等しいとされる。
あらゆる富喜を包含することを象徴する三瓣宝珠を三形とする。
16)智幢菩薩
金色の柄の色が鮮やかに残る。
智幢菩薩は智慧の幢幡を意味し、如意宝珠は智慧の象徴。
仏智と衆生済度を旗印とし衆生を鼓舞し仏の道を突き進むことを象徴する如意幢幡を三形とする。
以上、賢劫十六尊のうち南方の四尊は仏の慈悲・智慧・福徳を観得し精進に励むことを象徴する菩薩が見られます。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月12日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き7(第二重3)
第二重の三昧耶形パーツ描き 3回目
今回から降三世三昧耶会のB 賢劫十六尊の下絵を東南西北の四回に分けて描きます。
今回は賢劫十六尊のうち東側四尊(9〜12)です。
時間を過去・現在・未来に分け、現在に現れる千仏を賢劫千仏といい、その上位十六尊を賢劫十六尊と呼びます。
第二重 三昧耶形パーツ B 東方賢劫十六尊(黄色番号:9〜12)
9)慈氏菩薩
本当によく保存されていて喜ばしい。
慈氏菩薩は別名を弥勒菩薩といい、賢劫十六尊の筆頭菩薩。
慈徳をあらわし、衆生に智慧の水を注ぐ働きの象徴である軍持(ぐんじ=水差し、梵語のクンディの音訳)を三昧耶形(三形)とする。
10)不空見菩薩
独鈷杵および眼差しまではっきりとわかる。
不空見菩薩は仏眼(五眼)を開き遍く衆生を観察、済度する菩薩。不空見は「見逃さない」の意。
衆生をよく見、煩悩を砕破する働きの象徴とする仏眼独鈷杵(独鈷杵の左右に仏眼)を三形とする。
11)滅悪趣菩薩
梵篋の色が鮮やか。
滅悪趣菩薩は衆生を地獄道・餓鬼道・畜生道の三悪趣から離れさせることを誓願した菩薩。
法門(仏の教え)を象徴し、三悪趣に堕ちた衆生を法門により救済する働きの象徴である梵篋(経典の入った箱または経典)を三形とする。
12)除憂闇菩薩
五葉の緑が美しい。
除憂闇菩薩は衆生の一切の憂悩と心の闇(迷妄・暗愚)を砕破する智慧を象徴する菩薩。
衆生の憂悩や煩悩を払う働きの象徴である無憂樹五葉を三形とする。
以上、仏の智慧と煩悩砕破の働きにより、遍く衆生救済の誓願をする菩薩が見られる。
東方の賢劫四尊でした。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月11日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き6(第二重2)
第二重の三昧耶形パーツ描き 2回目
金剛界 降三世三昧耶会 第二重の三昧耶形パーツ描きをしています。
今回はA 四摂菩薩(番号:5〜8)です。
第二重 三昧耶形パーツ A 四摂菩薩(番号:5〜8)
5)金剛鉤菩薩
形色ともによく保存されていてわかりやすい。
金剛鉤菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重東門を守護、管理するの門衛。
衆生済度、諸尊集合の象徴である金剛三鈷鉤を三昧耶形(三形)とする。
6)金剛索菩薩
色と形が保存されていてわかりやすい。金剛龍索が緑だとは。
金剛索菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重南門を守護、管理するの門衛。
衆生を菩提にとらえ引き入れる働きの象徴である金剛龍索を三形とする。
7)金剛鎖菩薩
独特の造形。
金剛鎖菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重西門を守護、管理するの門衛。
衆生を菩提に繋ぎとめる働きの象徴である金剛鎖を三形とする。
8)金剛鈴菩薩
三昧耶会の金剛鈴菩薩三昧耶形とは少々イメージが異なる。
金剛鈴菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重北門を守護、管理するの門衛。
衆生を歓喜せしめ菩提に留めおく働きの象徴である金剛鈴を三形とする。
以上。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月10日
本紹介 No. 035『インド古代史』
『インド古代史』
以前、中村先生の『古代インド』を読みました。
他の視点からもインド古代史を見てみたいという気になりこの本を読んでみました。
コーサンビー 著 『インド古代史』(岩波書店 1966)
箱入り本なのでこれは箱の表紙です。
構成
B6版、箱入り、本文=337ページ、モノクロ図版26図
構成は以下の通り。
日本語版への序
序
第一章 歴史的省察
第二章 原始的生活と先史学
第三章 最初の都市
第四章 アーリヤ人
第五章 部族社会から階級社会へ
第六章 大マガダにおける国家と宗教
第七章 封建制へ
訳者あとがき
コーサンビー氏のインド史に関する著作
索引
内容
訳者あとがきによるとコーサンビー氏は世界的な数学者であり、また、統計学・サンスクリット文献学・歴史学・貨幣学・考古学・民俗学といった多方面でそれぞれ一流の研究をなしとげたインド人研究者ということです。
本書において広汎な知識・研究とともに論理的思考によるインド古代史の再構築が見られます。
それら再構築されたインド古代史が史実であるかどうかはその時点で論理的帰結として示された仮説に対してその後矛盾となる証拠が現れないことですが、訳者あとがきに「もしかれが長く生きていたならば、本書に見える説は多く書き改められるであろう。」とあり、、、どこまで内容を是としてよいか不安がありますが・・・
本書第一章 歴史的省察ではインド古代史を明らかにしようとする上での問題点と著者が用いた方法論を示し、また、本書での目的を「インドにおける文化の起源と発生の主要な特徴を追求することである。」と定めている。
第二章 原始的生活と先史学ではインドの先史時代における先住民の生活を考古学的知見(遺物・遺跡)とともに民族学的知見(現代における先史時代生活の痕跡)により読み解くことを試みている。
第三章 最初の都市でインダス文明の遺跡からその特徴や社会構造について再構築を試み、エジプト文明やメソポタミア文明と比較している。
第四章 アーリヤ人ではインドに侵入しインダス文明を終焉に導いたと考えられるアーリヤ人の移動の歴史と民族的特徴・生活様式および宗教的基盤等について言及している。
第五章 部族社会から階級社会へにおいては仏教を含む諸宗教の興りとともに、仏教の中心教義を概説し、一方で、インド部族社会の特徴とカーストに代表される階級社会の成り立ちを概観している。
第六章 大マガダにおける国家と宗教ではマガダ国の強大な軍事力を背景とした絶対君主制国家からマウリヤ王朝への拡大の歴史と『アルタシャーストラ(実利論)』およびアショーカ王の法政について述べている。
最後に第七章 封建制へでマウリヤ王朝崩壊後から封建制への移行と仏教の展開についてとサンスクリット文学についてまとめている。
以上、各章の内容のほんの一部を紹介しましたが、各章の内容を短くまとめることに意味があるかどうかが不明なほどの博覧強記、縦横無尽の知識と研究の集成であり、膨大な知識の波を感じました。
一方で、十分に確からしいと思われる思索の結果が見られますが、その根拠(物証や論拠)が明確ではない場合も少なくないので、類書との比較検討の必要がある。
中村先生の『古代インド』をさらに掘り下げて理解できることを期待して本書を読んだが、結果としてはさらに広範囲の事象を見ることになり、インドやインドの歴史、インドの宗教に対する知識や認識が不十分であることが十分に理解されることとなった。
曼荼羅作画とのかかわり
曼荼羅作画をする上で、仏教的尊格とともにヴェーダや土着の神々の存在についてもその意味合いを理解しておく必要があると考える。
梵天や帝釈天、那羅延天や自在天など多くの神々の存在をなくしては密教的、曼荼羅的広がりを理解できないと思っている。
『インド古代史』を読み解くことによって、仏教の尊格とともにバラモン教・ヒンドゥー教と土着の神々の起源と変遷を理解する一助となったと思う。
まだ全くの不十分・不完全だが進む方向と広がりを漠然とでも感じることができたと思っている。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月09日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き5(第二重1)
第二重の三昧耶形パーツ描き 1回目
次は第二重の三昧耶形パーツ描きです。
第二重の尊格の配置については三昧耶会のところでも説明しました(2015/05/07の記事参照)。
ここでは降三世三昧耶会の配置と番号をあげておきます。
第二重の二十四尊格は大きく三つに分類されます。
@ 外四供養菩薩(白番号:1〜4)
A 四摂菩薩 (水色番号:5〜8)
B 賢劫十六尊 (黄色番号:9〜24)
(カッコ内の色と数字は次の図の色番号に対応)
今回から第二重の三昧耶パーツを何回かに分けて描きます。
今回は@ 外四供養菩薩(1〜4)です。
第二重 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ @ 外四供養菩薩(1〜4)
1)金剛焼香菩薩
色や形が鮮やかに保存されている。
金剛焼香菩薩は阿閦如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、焼香を尊格化したもの。
宝香炉を三昧耶形(三形)とする。
2)金剛華菩薩
一部剥離が認められるが、色や形は理解可能。
金剛華菩薩は宝生如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、盛華を尊格化したもの。
盛華を載せた荷葉を三形とする。
3)金剛橙菩薩
これも色と形がよく保存されており描きやすい。
金剛橙菩薩は阿弥陀如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、橙燭を尊格化したもの。
橙燭を三形とする。
4)金剛塗香菩薩
細部までよく保存されている。
金剛塗香菩薩不空成就如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、塗香器を尊格化したもの。
塗香器を三形とする。
降三世三昧耶会 外四供養菩薩も三昧耶会 外四供養菩薩とほとんど同じ三形で違いはない。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月08日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き4(外周4)
降三世三昧耶会 外周 三昧耶形パーツ描き終了
今回の北方五天(16〜20)で降三世三昧耶会 外周のパーツ描き終了です。
降三世三昧耶会 北方五天
各尊格の位置がわかるように図に番号をつけておきます。
北門を守護する毘那夜迦の眷属である18を除く北方五天(16, 17, 19, 20)は地下天に属し、大地と地下世界の神々が住しています。
16)金剛面天(こんごうめんてん)
形、色ともほぼわからない。なぜこんなことになってしまうのだろうか?
金剛面天は別名を金剛猪頭天ともいい、猪頭人身のヴィシュヌ神の化身。ヒンドゥー教の神話では水中に没した大地を引き上げたことから、仏教では衆生救済の意味を持つ。
衆生済度の象徴である金剛鉤を三昧耶形(三形)とする。
17)炎摩天(えんまてん)
部分的に剥離があり細部はわかりにくいが全体としての構造は十分理解できる。
炎摩天は人類最初の死者にして死後世界の裁判官であるヤーマののこと。仏教では一切衆生の善悪の業を裁断し煩悩を滅する死と時間の神。
死後の衆生を裁く正義の象徴である人頭杖(檀拏;だんだ)を三形とする。
18)調伏天(ちょうぶくてん)
ここもまた三形の形などが見えにくくなっている。
調伏天は別名を拘刀毘那夜迦ともいい象頭人身の毘那夜迦の眷属で北門の守護天。
魔と闘い仏法を守護する三鈷剣を三形とする。
19)毘那夜迦(びなやか)
形だけだと日天と区別できないが、色が残っているのでどのように表現すれば良いかわかる。
毘那夜迦は象頭人身で大自在天(シヴァ神)と烏摩妃(パールヴァティ女神)の子とされる。障害を支配する智慧の神。
手にする歓喜丸を三形とする。
20)水天(すいてん)
色かたちとも比較的保存されているほうだと思う。
水天は水を支配する神。仏教では雨水が大地を潤して生命を生み出すように、衆生の渇いた心を潤し菩提心を生み出す力を持つとする。
龍索(龍を模し一端に独鈷杵の先をつけた縄)を三形とする。
以上、北方五天でした。三昧耶会と全くと言って良いほど同じ図像、構図でした。
これで降三世三昧耶会外周二十天の三昧耶パーツ描きが終了。
次回から第二重の三昧耶パーツ描きです。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月07日
金剛界 降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き3(外周3)
三昧耶パーツ描き3
降三世三昧耶会 三昧耶パーツ描き、外周の3回目。
降三世三昧耶会って名前が長いなあ。
今回は西方の五天について。
降三世三昧耶会 西方五天
外周西方には八護方天のうち西南、西北、東南、北を守る、地居天に属する四天が位置する。ただし中央の13は西門を守護する毘那夜迦の眷属。
11)羅刹天(らせつてん)
ほとんど何も書かれていないようにしか見えない。
羅刹はもと悪鬼、暴虐破壊の神。その力により煩悩を破壊し仏法を守護する西南の護法天となる。
煩悩を破壊する火焔棍棒を三昧耶形(三形)とする。
12)風天(ふうてん)
ここも、荷葉座は色、かたちともよく保存されているが、三昧耶形は全くと言って良いほど残っていない。何か剥離しやすい描き方をしたのか、もしくは描いていないのか、はたまた塗りつぶしてしまったのか・・・
風天は風を司り、雨雲をさそい黒雲を吹き払う。その大いなる力により西北の護法天となる。
風をはらみ煩悩の塵埃を吹き払い宝珠(菩提心)を顕わにする宝珠風幢を三形とする。
13)金剛衣天(こんごうえてん)
弓箭の墨書きの線がよく残る。
金剛衣天は弓箭毘那夜迦ともいい毘那夜迦の眷属。弓箭を手に持ち障害と戦うとともに愛欲の本性清浄をあらわす。
弓箭を三形とする。
西門の守護天。
14)火天(かてん)
非常によく保存されている。上で紹介した三つと保存条件の何が違うのかさっぱりわからない。
火天(アグニ)はバラモンの教えでは供物を天に運ぶ役割を担い天と人とを結ぶ。仏教においては煩悩を焼き尽くしほとけの智慧を与える東南の護法天。
三角火焔を三形とする。
15)毘沙門天(びしゃもんてん)
これも色、かたちとも細部まで非常によく保存されている。
毘沙門はヴァイシュラヴァナの音訳で、ヴァイシュラヴァナは多く聞く者の意で別名を多聞天という。
毘沙門天は元夜叉や羅刹の王。富と財宝の守護天。北方の護法天。
仏敵を打ち据える護法の宝棒を三形とする。
というわけで以上、西方五天でした。
西方五天も三昧耶会とほぼ同じイメージで区別がつかない。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年08月06日
本紹介 No. 034『アジャンタ − 石窟寺院と壁画』
『アジャンタ − 石窟寺院と壁画』
まだ見ていない壁画や天井画がたくさんありそうです。
全部の壁画や天井画をみることができる「バーチャル・アジャンタ」とかどっかで作らないかな・・・
高田 修 著 田枝 幹宏 写真
『アジャンタ − 石窟寺院と壁画』(平凡社 1971)
箱入りなのでこれは箱の表紙の写真です。
構成
B4変形、箱入布張り、カラー・モノクロ図版179図、本文115ページ
構成は以下の通り。
序 高田 修
図版 1 − 179
別図 1 − 29
本文
T 序説
1 アジャンタ石窟群
2 壁画とその重要性
U 沿革
1 石窟の造営
2 発見以後
V 石窟
1 第1期窟
2 第2期窟
3 彫刻
W 壁画
1 各窟の壁画の概要
2 壁画の主題
3 様式と技法
4 インド絵画史とアジャンタ
X 結び
註記
附載
アジャンタ壁画の材質 山崎一雄
図版解説 附・別図解説
参考文献
撮影雑感 田枝幹宏
図版・別図・挿図目録
索引
折込図版(石窟平面図・撮影見取図)
前半が図版、後半が本文(解説)の二部構成になっており、最後に附載として図版解説や参考文献等が掲載されている。
内容
写真は大村次郷氏のものとはまた異なった趣ではあるがどれも素晴らしく、特にモノクロで表現された石像の陰影などはカラーでは見落としてしまうかもしれない質感や奥行きを感じられる。
写真は通し番号が付けられているもので179枚あり、解説にも小さいもので38枚の写真が挿入されている。
I 序説の1 アジャンタ石窟群ではアジャンタ石窟群の概観や道のりなどについて解説し、2 壁画とその重要性でアジャンタ石窟群が造形美術の三ジャンル(建築・彫刻・絵画)からなる総合芸術であるこをを強調している。
U 沿革の1 石窟の造営では第1期と第2期に分け、いくつかの石窟について寄進銘を元に寄進者を特定し、造営された時期を同定している。2 発見以後ではアジャンタ石窟壁画や模写が被った様々なレベルでの不幸な出来事が述べられている。
つづいてV 石窟では1 第1期窟と2 第2期窟とに分けて詳しく解説し、また3 彫刻で石窟群に見られる彫刻の特徴をまとめている。
W 壁画の1 各窟の壁画の概要では壁画の見られる各窟での壁画の状態や内容について概説している。
2 壁画の主題では主要な壁画を尊像画と佛教説話画に分けてそれぞれを総括し、特に佛教説話画については、さらに本生図・譬喩物語図と佛伝図とに分けて各石窟の図像に合わせて一覧にまとめている。
3 様式と技法ではフレスコかテンペラ画かの問題や顔料の種類、描画および彩色の方法、下絵や型の有無などについて解説し、主要な壁画の彩画様式や技法上の特色について詳細に検討している。
最後に4 インド絵画史とアジャンタで他のインドの絵画遺品と比較することによりインド絵画史上におけるアジャンタ壁画の著しい重要性を示している。
・・・と、非常にざっくりと本文に書かれている内容を概説したが、実際には少しめまいがするくらいの情報量で読むのに少々難儀する。
しかし本文を図版と照らし合わせて理解することにより深くアジャンタ石窟寺院を理解する手助けとなることだろう。
附載には図版解説や参考文献一覧のほかに、壁画の材質についての概説や田枝幹宏氏による撮影雑感などが載せられている。
特に出色なのは折込図版(石窟平面図・撮影見取図)であり、図版に載っているほとんど全ての写真撮影位置や図像や彫刻の位置が石窟平面図とともに示されている。
このことによって本書図版の写真がどのような位置取りにより撮影されたのかが詳細にわかり、同時に、図版に掲載されていない石窟内部が当然ながら多く存在することが理解される。
図版写真はどれも素晴らしく見応えがあるが、ただ写真として眺めている時と、本文解説や図版解説を読み図像を理解する場合ではやはり見えかたが異なってくる。
本文は写真や図を参照しながら解説を読んだほうが理解しやすく、解説も写真を理解しやすいように考慮されている。
一方で大きく重い本なので、手に持って読むにしても、机に開いて読むにしても、物理的にも心理的にも少ならからず負担となる。
特に写真を参照しながら解説を読むのは何度も当該ページを往復することになり、それなりに面倒に感じる。
ここは写真部分と解説部分は分けて2分冊本として刊行していただけたらさらに良かったかと思う。
曼荼羅作画とのかかわり
両界曼荼羅を描くことを目的としていろいろ調べたりしているわけですが、ここに来てアジャンタ石窟壁画に少しのめり込んでいます。
エキゾチックなリアリティという意味では両界曼荼羅よりアジャンタ石窟壁画の方に軍配があがりそうです。
一方でアジャンタ石窟壁画の千体仏などは両界曼荼羅と似たような形式美のようなものを感じさせます。
他にも何冊かアジャンタ壁画関連の本で読んでみたいものがあるのだけど、ちと高い・・・
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ