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2017年06月25日

止マナイ雨ニ病ミナガラ レビュー感想 未完成作品なのでクオリティ、ボリュームのバラつきが酷い













▼止マナイ雨ニ病ミナガラ、攻略しました。



でも完全攻略ではない…



なぜならこのゲームそのものが不完全だから。




まあそれは後々。






▼本作品は僕夏同様、VIP発のゲーム。ヒロイン全員がヤンデレのゲームを作ろうぜ!というコンセプトの元に作られた

僕夏が余りにも面白かったので次なるVIPゲーとしてこれを選びました

今回それをレビューしていきます





▼設定、世界観
前述の通りヒロインが全員ヤンデレで、舞台は過疎化の進む田舎町。緑豊かな、それだけが取り柄の山間の町という設定だが…



実写撮影の背景が妙に都会的で、田舎感は全然なかった。街も栄えててビッグサイトまで出てくるし、街中なんて歌舞伎町(笑)。田舎町の近隣の街に、あれはないでしょ



最初に大袈裟な注意書きも出るが、あやめ編以外大したデキではない。ネタかマジかわからない









▼グラフィック、キャラクターデザイン
同人ゲームとは思えないクオリティの高さと統一感。これには吃驚した。当時発売の商業ゲームと遜色ない完成度。

だがこのゲームの最大の欠点でもあるが、絵が綺麗な分、枚数は非常に少ない。明良なんて制服しか立ち絵がない。サブキャラは絵が全く無い。こんなゲーム今時フリゲでもないよ。


特に一枚絵が殆ど無い。立ち絵は同じポーズばかりだし、イベントシーンも殆ど一枚絵が無い。よって全体的に演出は非常に弱い

重要なシーンやエンディングにすらない。これは明らかにおかしい、もっと分量を考えるべき










▼システム
音声がないのでスキップは非常に速いが、まさかのまさか、一枚絵閲覧、音楽鑑賞などのモードが無い

今時達成リストすらないゲームなんてこれくらいじゃないか。もっとも一枚絵は本当に少ないので、いらないのか?

セーブ、ロードを一括で出来ず、手間が掛かるのも鬱陶しい








▼音楽
いい曲もあるが、全体的に平凡










▼ストーリー
・朽無みそぎ

メインヒロインなのはいいとしても、とにかく無駄に長い。二転三転というより同じ様な話のループで完全に飽きる、もうグダグダ。

ヤンデレというよりはただの池沼っぽい。みそぎ編だけは一枚絵が結構多いので、もっと他に回せよと思った。20点。




・犬哭キリコ

みそぎを攻略中、すでにキリコに興味が傾いてた。中々面白いシナリオ。

飲酒したり、アダルトなシーンが多く、このゲームで唯一ヒロインとセックスする(それも青姦とホテルで、2度も。まあどっちも事後シーンだけだが)

みそぎ編では、付き合った後も他のヒロインが散々妨害してきたので今回もそうだと思えば、まさかのまさか、キリコ編ではあやめが味方になってくれる(よりにもよって一番闇の深いあやめが)

明らかにパワーバランスが一番強いキリコの扱いがどうなるかと思えば(権力で他のヒロインを排除してはい終わり、じゃかっこつかんし)、キリコ自体が弱体化したのは意外性があった。

ヤンデレというには弱く、せいぜい独占欲の強いツンデレ。みそぎ編で見せた狂気に比べるとシナリオもキャラクターも随分マイルドになっている。一番アレな奴が実は一番マトモだったっていう、よくある奴だった。

木戸零佳はこのシナリオでは命懸けでキリコを守ったのに、みそぎ編じゃあっさりキリコは殺されるしシナリオ間の矛盾を感じた

ストーリーは一応完結するがとても短い、それが残念。やはりこのゲームは分量ミスがかなり目立つ。80点





・雨宮しとね




短っ!!


もうそれしかいえない。短いにもいろいろあるがこれは本当に話にならないほどに短い。

何せしとねがヤンデレを発症する前に終わってしまう。バッドエンドすらない

そう、このゲームの、まさかの未完成打ち切りエンドである。


話には聞いていたが、メッセージウィンドウに現バージョンはここまでと出た時は吃驚したよ。

優しい世界_No-0005.jpg







こんなんじゃとても評価できない、10点。

パッチ無しのボツシナリオもやったが、しとねと明良のキャラや設定が完全に本編と別人だし、しとねが演技とはいえ明良と恋人になってキスまでするのがあり得なくて、全く違う世界観のゲーム。まあだからボツシナリオなんだけど。

ただ、実の兄妹で恋愛関係になった二人のエピローグは気になる。ここだけは本編も同じオチにするんじゃないか







・首舘あやめ

間違いなく本作品で圧倒的に完成度が高い。そしてボリュームのあるシナリオにも関わらず、これもまさかの未完。無駄に長い前半を整理したらちゃんと完結出来たんじゃないか?

これまでのヤンデレに比べると、正統派のメンヘラストーカーもの。

しつこいあやめを鬱陶しいと思いながらも徐々に恋心を自覚し付き合うことになるが、それはあやめによって計算、操作された恋愛だった。明良の「攻略されちまったか」という台詞は、伏線だったのかな?

このシナリオは唯一恐怖感を感じた。底抜けに明るい後輩だったあやめが、その性格のまま狂気を露呈するのが、とても怖い。




なぜかって、みそぎのヤンデレはいかにも作られた「ゲームキャラのヤンデレ」だが、あやめのヤンデレは実際にただの犯罪者で異常者、ストーカーなので「現実に近しい存在」だからだ。

みそぎはいかにもって感じで「ゲーム的に」豹変したが、あやめは本当に「何ら変わらず」狂気を発症する。あ、現実のヤンデレってこうかな、って思う



前半日常パートがギャグ、パロディが多めで、ずっと明るい空気だから非日常への入り方とギャップもインパクトがあった。

主人公が何故かあやめの飼い猫の視点で昔の夢を見たり、ファンタジー要素があるのも特徴。そしてその変わりなのか、ヒロイン視点が存在しない。

計算された恋愛を強制された主人公の選ぶ決断とは?という結論とか、伏線を放置したままいいところで終わってしまうので本当に残念。もう8割は来てるだろうから、早く続きを遊びたい。






・木戸零佳

キリコ編から分岐。キリコ編で出会っていた少女は実は途中から影武者の木戸に摩り替っていた…な、なんだってーっ!?衝撃の事実。これは面白くなりそうだと思っていたら、まさかの例のあの画面…




現バージョンはここまでです


優しい世界_No-0005.jpg







短ッッッッッ!!!!





大部分のテキストがキリコ編の使い回しだし、序盤どころか冒頭しか作られてない。これは入れる必要もなかったんじゃないか?????






▼結果ヒロイン5人中、3人が未完成。残り2人もどうにもバランスが悪いというあり得ないゲームに…


総括すると、何から何まで、このゲームは本当に分量を間違ってる。絵は綺麗だが少ないとか、一つのシナリオにコストを掛け過ぎて他がおざなりで未完成とか、本末転倒の極み





あやめの部屋に入るシーンも、部屋中に主人公の盗撮写真が貼られてるのはベタだから読めたが、まさか普通の背景の使い回しだとはね。こういうのも単純に萎えるよね。手抜きしてることが分かっちゃうし






▼シナリオライターが複数いるせいか、シナリオごとで設定が違うことも気になった。たとえばしとねは主人公に食事を作ることにかなり拘っているのに、あやめ編ではそこが軽視されていたり。まとめ役もいるだろうけど、目が行き届いてない

もっとバランスを考えて作ればいいゲームになり得たのに、空中分解し、体験版と何ら変わらない未完成のまま配信し、それから長期間経っても完全版が出ないことからも、まともにプランニングが出来ていなかったことは明白

そう思うと3年かけて完成させた僕夏って凄いね

優れた点もあり、惜しいゲームでした、70点





完全版出たらやります!








2017年06月24日

僕と君の夏休み プレイ日記6 カオスエンド攻略

▼僕夏にはカオスエンドというオマケエンドがあるとのことで、出してみた。


意外なことに、これを紹介しているサイトも動画も全く無かったので、発売から数年経過しているが、だからこそ、UPしてみる










▼条件は簡単で全エンド達成した状態でノーマルエンドを見れば、確率で分岐するというもの。


だがこれが、何度やっても出ない





しばらく試して、ふと思い立ちシーンスキップではなく早送りにしたら、なんと一発で発生したよ

だから早送りが条件になってそう













▼で、本当に唐突に、本編とは明らかに雰囲気の違う絵日記が出てきて噴く



阿部さんがこのゲームじゃなくてくそみそテクニックのほうの阿部さんになっている

しかも本家ヤマジュンではなく二次創作であるウホキスのパロディ



だが無音…

いつもの日記シーンの明るい音楽は鳴らない…


そこに妙な不気味さを感じたが











▼次の瞬間、マップが…





ヒェェ〜〜〜!!

闇落ちしたようなグラフィックになっとる!!











しかもキャラクターに会うと、徐々に顔が崩れて画面にノイズがかかり、日記も壊れていくという更にホラー仕様。

正直ちょっと怖かった。


夏を舞台にしたハジけつつも爽やかなギャルゲーの最後のオマケがこれとか、怖すぎる


何よりついさっきまでヒロインたちとキャッキャウフフしてただけに、ギャップが怖い。画像だけ見てもピンと来ないかもしれないけどね


だから是非自分の目で見て欲しい















崩壊していく世界観





そしてヒロインたちは崩れた顔でこっちを見るだけで、台詞も一切無ければ、音楽も無い。実に不気味だ




で、更に怖いのが、タイトル画面に戻るとゲームが強制終了する。これはちょっとビクンとしたね










▼これは間違いなく、本家ぼくなつの有名なホラーバグエンド、恐怖の8/32、終わらない夏休みをパロディしているのだろう(強強制終了などはオリジナルだろうけど)。


ぼくなつのエロゲーとして開発しながらぼくなつが全然関係ないギャルゲーになったが、まさか最後の最後にこんなぼくなつな隠し玉を用意しているとは、本当にこのゲームには恐れ入った

2017年06月23日

僕と君の夏休み プレイ日記5と総評 常葉もも編 ただのロリキャラと思いきや…














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▼もも編攻略。

トラッドな妹ヒロインのシナリオかと思いきや意外性もあった

18歳と14歳の恋愛は別段おかしくないがももが明らかに年齢より幼い少女なので、主人公も最初は俺はそんな趣味はないと否定しながらもしっかりももを異性として見てたり、徐々に恋愛感情を抱いていく過程が面白い









▼楓の唐突な告白。このシナリオでは冗談として済まされるが、すでに楓を攻略しているとこれが事実だと知っているので、何かしら思うところがあった











▼母にまつわるストーリーというのがあやめと同じで、ゲーム的にいえばちょっと展開も被ってしまってる

せめて事故に遭う展開くらいは変えるべきだった。




唯一違うのがもも編ではこの一家が全員命がけの仕事をしているから、この程度ではそこまで心配しない、という設定が後々ももが溺れた時に出てきたこと。

でもこのシーンとかあやめシナリオだと、滅茶苦茶心配してんじゃん。この矛盾は一体?








▼完全に自分の気持ちに気づいた夏輝。母が討てなかった海の主(?)であるタコを倒したら告白すると約束する



このシーンで別れのシーンの曲が流れるんだけど、なんとなくそんな気がしてたね。流れそうな雰囲気だって。音楽もマッチして、これは凄くいいシーン







▼このあたりでプレイヤーとしても、最初は落書きにしか見えなかったももがもう、完全に可愛く見えてたね


ギャルゲーマジックなんだろうか。奇しくもプレイヤーが主人公と一緒にヒロインを好きになっていった。最後に後回ししたのは、ももが一番好きじゃなかったからなのに。だからこのシナリオは妙に感情移入した。








▼夏輝ともも、二人でタコを倒すと思いきや、ダメージを与えつつも惜しくも負けてしまい、ももは溺れてしまう。ここで救命措置ができない夏輝に代わって阿部さんがももに人工呼吸したり心臓マッサージをするんだけど、まさかロリヒロインのファーストキスとファーストタッチが阿部さんだとはね

これはかなりショッキングなシーンのはずなのに、なぜかこの後一切言及されないことが謎だった


もっと、あだち充のラフのような展開になるかと思ったのに。まあ相手が阿部さんだと、ノーカンなんだろうか









▼結局タコ倒せなかったけど、どうすんの?と思ってると、夏輝はかなりフライング的に告白とキスをする。

これはまあ予想外ですわ。「約束」をナチュラルに破って、それに言及すらしないとは思わなかった


30日も何のイベントも発生しないまま流れるし、ここらへんちょっとシナリオ改変したんだろうか?










▼このシナリオもあやめ同様、過去の回想が全然ないなと思いきや、

最終日、夏輝は夢でかなり唐突かつ強引に、過去の自分とももを思い出す


夢て


ももが自分をボクと呼ぶ理由が、かつて夏輝が「舎弟」にし、
ももが妹ではなく弟を演じていたという事実にびっくり。まあ実際には思いっきり兄に恋愛感情抱いてる妹キャラだけど




ボクっ娘がボクっ娘である理由付けをするゲームとは珍しい。このゲームでもパロディしている「うぐぅ」でかつてブレイクした、kanonのあゆだってただの萌え狙いで、設定はなかったはず


こういうところからも、僕夏がただの設定倒れではない、よくできたストーリー型ゲームであることがわかる









▼旅立ちのシーンでももへキスをして、紗耶に追いかけられて終わるEDはとてもきれい。もうこれ、青春映画のワンシーンだわ

もう付き合ってる事は周りも知ってるし別に悪いことはしてないのに、まだ諦めきれて無さそうな紗耶が可愛い。あやめも略奪愛すら考えてるしね


このシナリオでは清理と余り交流が無かったためか、もうこの島では会うこともないという会話なのがちょっと寂しい。


でも、でもね…本題は…


どういうわけか、マジで、ヒロイン集合に見えて

阿部さんやパパまでいるのに





なぜ楓だけいないのか。しかもももの親友だというのに


これはサッパリ意味が分からない









▼ED曲はもも専用で露骨に初音ミクっぽい、これもいい曲



ここで紗耶以来久々にエピローグの写真演出をするが、


なんと最後の最後で夏輝の顔が映って吃驚。ギャルゲー主人公にしてはイケメンじゃないね。トゥハートの藤田浩之に似てる



ももの髪飾りはモナーだったのか!ここで初めて気づいた



立ち絵は使い回しだが、髪型が違うというのがいいね。ここで髪をほどいたももを初めて見る事ができるし、紗耶編もそうだったが、最後にヒロインの成長した姿、または普段と違う姿を見れるというのはかなり印象的



でも、このエピローグは、やはりダイジェストのように簡素だし、意味不明過ぎてイマイチだ。別れのキスがピークだったね



しかもなぜかここでは楓が登場しているし、ホントチグハグ

しかも「お兄ちゃんと2人でアイツを倒す」んじゃなかったのかよ…


何勝手に討伐しようとしてんねん




支離滅裂さが際立って、疑問が先に浮かんで入り込めなかったね





▼さてここでまとめ。

あやめシナリオとテーマが被ってるので、もっと差別化して欲しかったが、85点の良作


僕夏を総評すると、95点のとてもよくできた良作。フリーゲームという範疇では名作といっても過言じゃない

もう完全にVIPナメてた。

これは凄いゲームだよ。

清理編以外はすごくよくて感動もした。




シナリオ
紗耶>>あやめ>楓>もも>>>清理

キャラは紗耶が一番好きで、後は甲乙つけがたい良さがあった

紗耶はシナリオ、キャラどっちもよくて、流石メインヒロインだった








▼もうシナリオは全部クリアしたが、まああとはカオスエンドを見よう。清理編が一つ埋まってないから、これも探したい


クリア後のオマケも見た。紗耶が夏輝と阿部さんの人形で遊んでるのが腐女子っぽくてそこだけは引いた



絵が下手過ぎる絵師(?)はやっぱりオマケ絵でも絵が描けてなかったのが印象的


2017年06月21日

僕と君の夏休み プレイ日記4 常葉あやめ編 トラッドなトラウマ抱えたヒロイン












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▼僕と君の夏休み常葉あやめ編クリア。

過去や心にトラウマを抱えたヒロインというのはこのゲームに共通しているが、それが一番顕著なヒロインだった。



▼あやめの職業が猟師というのが非常に斬新。

単に設定倒れじゃなくて銃の雑学が豊富で凄い。ライターがガンマニアなのかな?

これはなかなか為になった。

というか銃の説明に関するセリフ、長過ぎ。序盤のあやめシナリオで一番長い会話シーンだったよ







▼あやめは立ち絵はまだしも、一枚絵がめちゃくちゃへたくそ。もうね、作画崩壊ってレベルじゃない

しかもタッチが立ち絵とかなり違うが、描いたのは同じ人だろうか?

絵を全く描いたことがない人なんだろう。いわゆるネット絵師ですらない人がノリで描いた感じ


ギャルゲー以前にゲームとしても、ギリギリ成立するかしないかのレベルだろう。

あんまりにも酷いから、新しい絵が出そうなシーンになるたび、もっと酷いのが出てこないかってビクビクしちゃったよ。折角シナリオがいいだけにブチ壊しにならないか、ってね




むしろこれだけ汚い立ち絵でも、クリアしてみると一番マシで、一番可愛く見えてきたのだから、本当に不思議なゲームだよ









▼まあそんな具合に、絵が下手すぎなので、このシナリオのほかのヒロインの絵は、完全に別人。髪型まで違う





楓だけいない中、話が勝手に進んでいく…








▼ストーリーはよくある「素直になれない女の子」という路線かと思いきや、序盤の伏線通りあやめが「自分は望んではいけない」と主人公の交際を拒絶するのが、ベタながらに面白かった

あやめが酔っ払うと本音が出るのは、わざとタガを外してるのかな?これについて真相が描かれなかったのが残念だけどね



お互い交流をしながらも惹かれあい、夏輝はあやめに告白するんだけど、一瞬嬉しそうな表情を浮かべながらも、なぜか断られてしまう。

夏輝は意気消沈するが、まあプレイヤーとしては、大抵ここで謎が読めてしまうね。でも主人公が真相を突き止めるまでのミステリになってて面白かったね。









▼シナリオ突入。

シナリオに入った時のデモシーン、なぜかあやめのみ表情カットが変化しないことが残念。

OP冒頭のキャラ紹介でも、ももだけ表情が変化する演出がないが、手抜き?








ラブシーンで突然阿部さん乱入


パパが病院に担ぎ込まれたと言われ、我を失って狼狽するあやめ…


幸運にもケガはなかったのに、なぜか夏輝の言葉も届かないくらいに憔悴する


既にあやめのオチは読めてたんだけど、それでも、これまでのプレーでお姉さんキャラのあやめが突然幼児化したように臆病になって、それはもう、驚いた


これがベタでも面白いシナリオの見本だよね








▼素直になれないあやめだが、ももも姉が夏輝を好きだと知ってるからこそ、普段の仲良し姉妹を脱ぎ捨てて本音でぶつかり合う。っていうか、ほぼ殴り合う


ボクと紗耶ちゃんが可哀想だよ!…って、このシーン、楓と清理が置いてけ堀だな(楓はまたしても…)


そして火サスもびっくりな崖でもみ合う2人。止めようとする夏輝は崖からまっさかさま


ピューーー!!



…おお!凄い!ここで縦スクロールのムービーだ!このゲームは何気にこういう演出が上手い

落ちる最中、必死に枝を掴んで減速する夏輝


枝から光る物を入手。それが指輪。


指輪が入るような細い枝で減速ってありえないだろ、ってツッコみはあえてしない

もう既にね、指輪を入手する時点でありえないミラクルだからね


これがベタにもあやめの落とした指輪なんだけど、この際ご都合主義はスルー



夏輝は枝に掴まって減速したおかげでなんとか助かるが、あやめはショックで更に心を閉ざしてしまう。










▼あやめが昔、弟か妹が欲しいと望んだら母が死んだことや、欲しいと思った夏輝が死にかけて、そのままいなくなったことから、「自分が望むものが失われる」と信じ込んでいて、いまも苦しんでいる事に気付き、それは違うんだよと諭そうとするが、完全に心を閉ざしたあやめに銃口を向けられてしまう


いやあ、割とショッキングなシーン。

これまで夏輝を守る側のヒロインだったあやめが、まさか夏輝を殺そうとするなんてね。誰が予想できただろうか





ヒロインが猟師って設定もここで生きた。ナイフなんて向けられるのは、もう、ゲームじゃベッタベタだけど、猟銃はかなりインパクトがあるもの。びびっちゃうよ俺


ここで夏輝は指輪を手に、あやめの思い込みを粉砕しようと試みるが、一歩早くあやめにトリガーを引かれてしまう。


って、おい、撃つのかよ


まさか本当に撃つとは。


普通震えて撃てないって流れだろうに、おいこいつ、本当に撃ったよ



寸でのところで指輪に気付いたあやめが銃撃を外すんだけど、お前それ、ミラクルで指輪が入手できてなかったら、絶対撃ち殺してたろ



お前は何も悪くない(免許剥奪レベルでは済まない、殺人未遂なのに!?)、俺たちは恋人になってもいいんだ。と抱き合う2人。



しかし夏輝、凄いムッキムキの背筋やな








▼ここでいきなり年月が飛び2人はラブラブ。そのままFIN。エピローグはなし。


え?失恋したほかのヒロインたちとか、殴られたままのももとかはフォローなしっすか???




姉妹の仲直りまではやるべきだろうに…


中々感動的なエンディングだが、ちょっと唐突感があるかなあ。


過去の話が多い割に、主人公は結局記憶が戻らなかったしなー






▼紗耶と楓の人気、評価が高いのって、つまりはヒロイン全員出演のグランドフィナーレだからでしょ。ほぼすべての事件が解決し、ヒロインとの関係を他のヒロインも祝福してくれる…という流れだから後腐れがないんだよ。


でもあやめ編はそこがおざなりなのでちょっと違和感あったな



年上ヒロインお約束の呼び捨てにするシーンも欲しかった。あんなに酷い清理シナリオでさえ、ちゃんとやったのに






▼EDは清理編と同じく初音ミクの曲。



あらら不思議、前回プレーでは酷い曲と思ったのに、今回はちょっと泣けますよ?(涙目)


シナリオのデキでこうも変わるものなんだね


作詞のVIPPERって具体的には誰だろうね。








▼これは描くべきだろ、という消化不良感あれどいいシナリオでした。85点。



前回プレーしていたかたわ少女もそうだけど、このゲームも、音声がなくてもしっかり楽しめるね。それだけ文章が上手いんだろう。臨場感もある。初代久遠の絆も、そういうコンセプトだった


開発者サイトでフルボイス化計画があったが、流石に誰も乗らなかったようだ。

僕と君の夏休み:developers
http://developer.bokunatu.com/
http://developer.bokunatu.com/voice.html

たまにあるよね、フルボイス化したフリーゲームって。

上手くてピッタリな人がいるなら、興味あるなあ、フルボイス。


2017年06月19日

僕と君の夏休み プレイ日記3 八幡清理編 途中まで面白かったのに、まるで打ち切り漫画…
















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▼僕と君の夏休み清理編攻略。唯一主人公と幼馴染ではないヒロインなので、違うテイストのシナリオを期待してスタート


主人公が悪霊に憑りつかれて、ヒロインがそれを退治しよう、でも勝てない、じゃあ修行しよう、ってな導入部



彦磨を倒すための修行のテキストがAAになっているのが面白い。

流石にここまでは同人ゲームじゃないと出来ない芸当だ。

しかもこのAA、テキスト送りをするとパラパラ漫画のように動く。これ、かなり画期的な演出じゃないだろうか。結構びっくりだ











▼恋愛ゲームだから主人公とヒロインが修行といいながらも仲良くなるんだけど、その過程がとてもいいね。


毎日休みなく修業をしてきた清理。普通の女の子がしてきたことを何も知らない



夏輝は俺の修行に付き合ってくださいという建前で、清理をデートに誘う。清理もすぐに修行と称したデートであると気づくんだけど、ここで拒否せず素直に遊ぶのがとても性格のいい女の子で好感が持てる
(この後の展開で主人公に生き方を指摘されたときも、ヒスを起こさず素直に受け入れるし)



商店街で入った喫茶店で初めてパフェを食べて感激する清理。

今時そんな女の子がいるのかと驚く夏輝…

彼女の特殊な事情を知りながらも強く惹かれていく

うーん、王道だ









▼特殊な家系に生まれた人間だから、弱い自分を隠して必死に生きる清理。



でもそんな本心を夏輝だけは見抜いてて、本当の自分になろう、それが本当の成長になると諭す


そしてこれまで以上に強く惹かれる二人。


しかしこのシナリオ、他のヒロイン全く出てこないな…









▼告白のキスシーンは、バックで花火が打ちあがるのが、もうベタオブベタなんだけどすごくきれいな展開。


「初めて好きになれた男性が主人公でよかった」「多分俺は清理さんよりも前から清理さんが好きだった」の流れは特にきれい。


ループムービーが背景に流れるという、滅多に見ない演出を同人ゲームでやってるのが凄い。




私の知る限りだとこの演出をやったのは北へ。ダイヤモンドダストだけだ(実写背景ゲーム自体が少ないしね)










▼キスシーンの後、シナリオ突入。


おお、遂に入ったー。これから彼女になった清理とのラブラブイチャコラとかがあるんだな。


ここまでプレーして僕夏は、後半にヒロイン視点のシーンが入り、祭りの日に告白して付き合う(保留されるケースもあったが)シナリオが共通だと気づいた。なるほど、お約束って奴ね






なん…だと…





いきなりの事後で驚く。このゲームで主人公とヒロインが露骨にセックスした描写があるとは。いまのところ、唯一エロゲーの名残だ。



っていうかキスやセックス中、彦磨はどうしてたんだろうね。なんかこのシナリオ、他のヒロインがほぼ出てこないし、これまでのシナリオと雰囲気が悪い意味で違う部分がある…






▼そんなふうに、ん?と思ううちに、違和感を覚えながらも、かなり唐突な展開のあと、清理と彦磨のバトルスタート


え?いきなり?確かにもう31日が近いけど、展開早すぎる…


結構真面目なシーンの筈が、これスーファミ版キャプテン翼のパロディじゃねえか(笑)


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更にスーパーサイヤ人的に覚醒する清理


夏輝「スーパー清理さんだ!」


えっと…

このシーンマジで必要あった?もうすでにやりすぎで寒いんだが…



折角、清理が初めて夏輝を名前で呼ぶシーンなんだし、もっと感動的に出来たんだけど



そして戦いは引き分けに終わる。








▼更に唐突な展開で旅立ち。高校を休学し、修業の旅に同行すると言い出す夏輝


他のシナリオの感動シーンである友達との別れは、まさかの無し。しかも疎遠になって別れすら無しというあり得ない流れ。


えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ……



そりゃないよ。清理の台詞にも皆は夏輝のことが好きと2度もあったし、このゲームは夏休みをテーマにした恋愛友情ストーリーじゃないのかよ…


僕夏は、主人公が他のヒロインとくっ付いても三角関係とかドロドロにはならない。

主人公の事が相当好きなのに、フラれたらスッパリ諦めるというのが、ヒロインの株を上げていたし、ヒロイン間にも友情がある爽やかさが夏らしくて良かったのに、これじゃ台無し







ノーマルエンドでは夏輝はそんなに薄情じゃないと言ってたが、むしろおまえらが薄情じゃないかと






夏祭りは皆で過ごしたし、疎遠になるにも早すぎる。


っていうかなにこの唐突に唐突な展開は…シナリオ入ってからまだ10分くらいしか経ってねーよ…

別れのシーンの音楽を清理が泣くシーンで流しても、全然感動しない…

そしてアニメーションもエピローグもなく、夏輝のモノローグで唐突にFIN

これもキレが悪い









▼いやあビックリした…ビックリ…


途中までは本心を出せない女の子とそれを励ます少年、という、ボーイミーツガールのお約束ストーリーが凄く面白くて惹き付けられたんだけど、いくら何でも終盤が酷過ぎる。



もう一夏の思い出とか一夏の恋とか全然関係ねーよ。シナリオ入ってからは安っぽいバトル展開しかないし



ストーリー後半という認識の部分が完全に終盤だった事が驚き。シナリオ入ってから10分で終了。まさかこんなにあっけなく終わるとは思わなった。内容も酷いしね


彦麿にしても散々思わせぶりなことをいっておいて、特に活躍も言及もなく終わり。これも、夏輝のモノローグだけで終わり。まるで打ち切り漫画のよう


友達との別離は100歩譲って、別の道を夏輝が歩むことになった演出にしても、書き方が最低に雑。そもそもヒロインたちはそんな人間じゃないし、清理が楓を放置して去っていくとか、前の攻略が楓編だっただけに本当に有り得ない


これならまだ、楓EDの後に見たノーマルエンドのほうがずっといいEDだわ(というかノーマルEDはかなり綺麗なED)


評価。30点の駄作。前半が90点だけに落差が酷過ぎる…

絶対にもっと面白く出来たから、非常にもったいないシナリオ



シナリオライターは同じ人みたいだが、もう引き出しが尽きてしまったのだろうか


プロと素人の絶対的な違いは、やはり引き出しの量と質。だから同人ゲーム制作者は一発屋が多い


所詮同人ゲームは素人が作ったものなんだなあと思い知ってしまった。本当は格の違いを見せつけてほしかった




2017年06月17日

かたわ少女体験版をプレー 製品版との違いが多くて驚く






かたわ少女をコンプしたので体験版をプレーしたが、余りの違いの多さに驚いた。30時間近いプレーで慣れたので余計にギャップがある。

まずいきなりタイトル音楽が違う。しかも違うだけではなくて、この音楽は製品版には存在しない。サントラにも入ってなかった気がする。


これがまた凄い綺麗な音楽で、かたわ少女は体験版までクオリティが高いのかって感心した


(この時点でかなりの衝撃で、意外にもかたわ少女の体験版と製品版の違いをまとめたサイトがなかったので、ここに記してみる)


そんな、製品版未収録の音楽が非常に多い。琳にいたってはテーマBGMすら違うアレンジがされている。

ついでに、健二も

もしかしたら曲名も違うかもしれない。


これだけ大規模な変化のある体験版と製品版も珍しい







タイトル画面も違う。

体験版ではヒロインとサブキャラの設定画。なかなかかわいい。センターのリリーは今より幼く見えるが、どの設定画とも雰囲気が違う、強いて言うならミーシャがまだ綺麗だった頃の、作中の学園祭のシーンっぽい。男性キャラはイメージそのまま





製品版では攻略していった順番に下からACT画面の絵が並ぶ(でも最終的には同じ絵になるかも)








体験版デモ画面の、とても日本人には見えないバタ臭い久夫には笑った




だが製品版ではゲーム中同様、イケメンに変貌。表情もクールで、片手で傷ついたハート(ロゴ)を持つ







チャプタータイトルも微妙に変更。体験版の「残された時間」ってのは、主人公が死ぬこと前提みたいなニュアンスだから変更したのだろうか?


和訳の演出も製品版のみだ
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オプションに製品版にはない機能がある。これは逆に製品版が劣化してしまったのだろうか








クラスメイトに、露骨にどこかで見た人がいる

しかもなんかすごいこっち見てる

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自作ではなくキャプチャっぽいが、これはジャパンアニメに熱狂しすぎたスタッフが空気読まずにやったのだろうか?製品版では当然変更。製品版では消えた、まさに幻のクラスメイトである













製品版では知り合った直後から「久夫君」と親し気に呼んでくれる華子が、体験版ではなぜかずっと「中井君」と呼ぶ。距離、あるな…




これは製品版のプレー日記で、華子は「案外距離を詰めてくる」と言うような事を書いたが、製品版のほうが改善後なのだし、こちらのほうが好きだ。スタッフ的にもやはり考えるポイントだったことに納得した





その他にも細かい違いが多かった。体験版の優良な音楽の数々はぜひとも使って欲しかったなあ。






2017年06月16日

僕と君の夏休み プレイ日記2 一条楓編 ベタと斬新さと












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▼僕と君の夏休み楓編クリア。幽霊ヒロインとしてはベタもベタな展開だが、面白い。ベタ以外の何者もないヒロインとシナリオなんて稀じゃないかってくらいにベタ。楓がうっかり夏輝の中に入ったり、





幽霊であることなどから、他のヒロインへの劣等感と嫉妬に狂って暴走した楓が、他のヒロインを始末しようとしたり、危険と見做され強制的に処分するしかないという展開になったり…


だが主人公の愛で正気に戻ったり(正気に戻す為に何故か乳首を吸うというミラクルは新しい)、その後いっしょに記憶探しをしたり…



楓もまた、他のヒロインたちと同じで実は幼馴染だったり…


と余りにもベタだが、既に記憶喪失設定のある主人公が、再度記憶喪失になるというストーリーが新しい。

これは逆に、初めて見た気がする







▼でも、そこからのストーリー展開が急ぎ足で、成仏するまでの会話が冗長でダレたのが残念


泣けると評判だが、プレーしてて我に返ってしまった


お前らいつまで会話してんだよと


名残惜しいのは分かるけどさ


これでは折角の感動シーンが台無しである


ゲームの会話シーンはもっと簡潔にすべきだし、ここまでグダグダ喋ると、え?まだ逝かないの?とさえ思ってしまった






更に、終盤の演出がかなり弱い。スタッフロールの写真もエピローグのものがないし(これは意図的かもしれないが、驚きが無かった)、特に気になるのがラストシーン。



数年後、大人になった主人公。


かつてプレゼントした、もう海に捨てたはずのあの鈴の音が聞こえ、驚く


後を歩いていく、俯いた楓そっくりな女性…


年齢も主人公と同じくらいだし、赤ん坊からではなくリアルタイムで転生したの!?と茫然となった。

最後、プレゼントしたアクセサリが映ってFIN…って…



ちょっと尻切れトンボな気がしない?



いかにも映画でありそうなシーンだが、この後どうやってまた恋愛関係になるんだよとか、なぜ捨てた鈴を持ってるんだよとか(これはベタなら同じ物を偶然持ってたってのがありそう)そっちの疑問が感動を上回っちゃったよ。転生って同じ顔の生きてる女にでもしたの?ってのもね


そこがスッキリしない原因








▼幽霊ヒロインだとまぼろし月夜のあやめのEDが非常に良かった。


成仏し、転生するところまでは同じだが、ちゃんと0歳から15歳(あやめの年齢)になる15年後に再会する。


主人公はその間も、ヒロインを忘れられず、女性と付き合う事もなく、大人になっている


だから凄くストーリーが重いんだ。


もう良い大人になってて、他のヒロインたちも完全に独立した人生を歩んでる。しかもギャルゲーなのに、主人公以外の男と結婚までしてるというバツグンのリアリティ


15年ぶりに再会したヒロインは、前は着物を着ていたが(幽霊だからね)、今はかつて主人公が通っていた高校の制服を着ている。だが主人公の事は完全に忘れている


そしてそんなエンディングは、オープニングで主人公とヒロインが初めて出会うシーンを踏襲しており、最後の最後、ヒロインは主人公を思い出し、名前を呟く…


うわあ…泣いちゃうよこんなの


という私が見た中で一番感動的な幽霊ヒロインのエンディングなんだが、どうもそっちにイメージを引っ張られてたせいか、オチがないような、中途半端な幕切れに感じてしまった。


(楓編に感動したプレイヤーもまぼろし月夜のこのEDを見ていたら、物足りなく感じると思う)








▼僕夏のエンディングはメインヒロインの紗耶のそれを見ても思うが、割とアッサリしている。紗耶はそれが綺麗さに繋がったが、楓はどうにも中途半端で残念だ


評価 85点。面白いけどスッキリしない











▼あと…紗耶編と違って、EDが人間のボーカルじゃなくて、初音ミクというのがどうも…
製作が下手であまり綺麗に歌わせられてないし、作詞VIPPERってのもVIPPERのダレ?って我に返っちゃったよ

駅の名前がいちじょうなのも特に意味がないんだろうか…





2017年06月15日

かたわ少女 プレイ日記7と総評 手塚琳シナリオ 哲学ながらも帰結は極めてシンプル

▼かたわ少女、琳を攻略。大体6時間かかった。

トータル20時間後半のプレータイムで大ボリュームだった。凄いフリーゲームだ。

忙しかったこともあり、攻略に2カ月以上かかったが、これにてかたわ少女をハッピーエンド全制覇。進捗率は98%(コンプまでのプレー日記は最後に追記)








▼シナリオのテーマは間違いなく「理解」だと思われる



琳に対して一方通行な選択肢をするとバッドエンドになるので、あくまで琳を理解したいというスタンスでシナリオが展開する


琳が、自己表現とかもあるが、自分を他人に理解してもらいたいという思想で絵を描いていたり、正直オチとしては引っ張った割にありきたりだなと思った。





しかもシナリオの中盤、ラブロマンス展開は面白いが、ずっと琳を追いかけて付かず離れずを繰り返すので、正直ダレてしまった。拒絶するヒロインというのも骨が折れる





こないでといわれてもこらえ切れずに出向いてしまう久夫。そこで見たものは思いもよらず、薄暗い部屋でひとり自慰をする琳だった。そこから久夫が自慰を手伝うのだが、ここなんて最早シリアスな笑いですらあった


だがその後の2人が相互理解をしつつも、または出来ないながらも恋愛感情と精神的成長によって歩み寄る流れはとても綺麗で読ませた。


久夫も完全に琳の事を(シナリオテーマ的には他人のことを)理解できたわけではないが、美術教師が明らかに琳の事をまるで理解していないキャラクターとして描かれてるので(静音の父とポジションが被る)、ここに明確な違いがあった


琳の考えや人格、作中では物凄く深く、他人には理解できないものだと描かれてるが、私は案外本当に普通だなって思った。


最初の生理の話で、あ、なんだ割と普通の人じゃん、って思って、そのイメージがずっとあった。これが素顔なんだと

焦って物凄い早口で捲し立てるのも(画面中を埋め尽くすテキスト演出は地味に画期的)思いを言葉にするのが苦手だからだとすぐわかった


そして久夫に本心を打ち明けて泣いてしまう辺りでも、根本は素直な普通の少女なんだと


まあスピードワゴン小沢みたいに、新しい言葉を作りたがったりもするけれど


これだけ変人キャラとして設定されたヒロインの結末としては些か肩透かしだが、琳はこのゲームのヒロインでは闇が深くないほうだ。前にやったのが闇が深すぎる笑美だからかもしれない




素直になれないだけ、最悪、ただの厨2病とさえ取られかねない


特に腕がないという障害が意外にもクローズアップされないことが原因。琳もそれを障害として本当に捉えてるかは微妙だ。もしかしたら琳は腕があっても同じように変な人だったかもしれない

ただそれには琳の家族のエピソードが必要不可欠だが、何故か琳に限ってのみ、過去の話や家族の話が一切出てこない。両親を失っている華子を除くと、恐らくは存命なのに、両親が唯一登場しないヒロインなのが謎










▼終盤の展開は非常に綺麗。このかたわ少女で描かれるセックスや恋愛は本当に綺麗としかいいようがない。琳のイベント絵は綺麗なのが多かった




ラストシーンは結局のところ琳が変わらない琳らしくてよかった。やはり変な奴である。ここはなかなか感動した。最後の言葉は「幸せ」かと思った












▼ただ静音シナリオなどでもいわれてるが、久夫って結局何歳まで生きられるの?ヒロインと幸せな関係を築いたのに直後に死にましたじゃ余りにも悲しい。




他にも疑問や不満としては、笑美の私服が実は笑美シナリオで彼女になることとは一切関係なかったこと(笑美シナリオ終盤で割と衝撃の事実っぽく知らされる年上という事実も、さらっと言っちゃうし、久夫もほぼ無反応だし…)、琳は笑美を本当はどう思ってるのか分からなかったこと、琳の裸の立ち絵がなかったこと、琳、久夫に笑った顔を見た事ないと言ってるが、お前もシナリオ入ってからただの一度も笑ってないな…などが挙げられる









▼さて、これでかたわ少女はほぼ完クリしたが、本当に素晴らしい名作だった。




琳シナリオは90点、感動シーンも多いが中弛みが酷かった。ただ正直、華子シナリオと少し展開が似ているので、焼き直しっぽい。



展開も似てるが、お互いへの理解というテーマまで同じだ



優しく解釈するとこれは本作そのもののメインテーマでもあるのだが、華子と琳、どちらを先にやるかでこの2つののシナリオの評価は変わりそうだ






このかたわ少女というゲーム自体には、評価S+ 95点をつけたい。


本当は100点でもいいくらい好きになったが、障害をテーマにしてようがそこはエンタメ、ゲーム、やはり甲乙はある






【総評】
シナリオ
笑美>リリー>>華子>琳>静音

キャラクター
リリー>>華子>>笑美>琳>静音


で良かった順番。




静音はゲーム的にも選択肢が1つしか出ない箸休めラノベシナリオのヒロインだったり、不遇だな…







だが、名作の定義は後世に残るテーマや完成度のある良作だとしているが、かたわ少女はそのどちらにも当てはまるだろう。

だが残念ながら日本ではかたわ少女はそこまでヒットしなかったようだ。youtubeなどの国際的サイトでも日本語ファイルは殆どあがっていない。逆に海外からのアップロードはいまだに盛況している。様々な国からアップされているが、日本が一番少ない(ユーザー人口などももちろんあるが)


これはあまりにも勿体ない。折角無料でプレーできるフリーゲームなのに。









海外ゲーム、所謂洋ゲーはGTAなどのアクションゲームが圧倒的に主流だが、ADVでもこんな名作を作られたらもう国産ゲーの立場、勝ち目がないレベル。




というか今まで遊んだ洋ゲーで一番面白かったのがかたわ少女だ







かたわ少女の開発費はどのくらいだろうか。音声がない以外は商業作品以上のクオリティなので、500万円はしたかもしれない。

もう今後これ以上のフリーゲームが出ないことは間違いないだろう。このゲームが衰退した時代に商業ゲームを遥かに超えるクオリティの名作を遊べたことは非常に満足だ


















【翌日追記】
進捗率100%を目指す。

▼琳バッドエンドを見る。

明らかに琳への理解をブン投げてアホの子になり果てた久夫。

だが雨の中の琳との会話はなかなか感動的な方向に行く…が、やはり最後は破綻、別離してしまう。

これは最初ノーマルエンドと思ったが、内容的にはバッドエンドだろう。華子だけはEDがグッド、ノーマル、バッドと3種類あるが、琳はグッド、バッド1、バッド2だと思った。琳シナリオはなぜか選択肢が3つ出るのだが、殆ど意味が変わらない部分が多かった




▼バッドエンドを見る
これは酷いエンディングだ、まさかのまさか、久夫がこのゲームで唯一死んでしまう。しかも不整脈と関係なく、屋上から酔っぱらって落下だ。健二の責任は重いだろう。しかし健二のこのシーンでの台詞も意味不明だし、なんのために作ったシナリオかサッパリだった。


この時点で達成率99%。残りCGはその他の絵が3つ残っている


▼華子のシティランデブーの下のみが空白なので、ここを埋めるために模索する。

まずは図書室からシティランデブーに飛ぶ。そうしたらなぜか違う会話になる、1%刻みという時点であまり正確じゃないが、進捗率が少し埋まったのだろうか。


その後ゲームロードからシティランデブーに到達すると、ささやきと接触が解放。

これで100%達成だが、ささやきと達成は既に初回プレーで出ている…というかこれは普通にグッドルートのはず。

進捗率の仕様がよくわからないが、実は全てのテキストを読んだら初めて図書室に開放される仕様なんだろうか?


残りCGも確認したら一切増えてないのに埋まったことになっている。

結果最後のオマケCG(最後の最後だというのに、誰が描いたのか、へたくそ)が解放。これにて本当にかたわ少女をコンプ。だが前記の仕様ならまだまだ見てないテキストがあるかもしれない。ないかもしれない。もしくは進捗率一定以上とか他のヒロインを攻略してることが条件、ってパターンかもしれない。ここだけよくわからなかった。

2017年06月13日

僕と君の夏休み レビュー感想&プレイ日記1 小翠紗耶編 まさかの王道青春モノ(ネタバレ)





















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▼今更ながら僕と君の夏休みをプレー中。

やろうと思った動機というか、なぜこれまでやらなかったかというと、はっきりいって2chのVIP発ということで、バカにしてたから





でも4ch発のゲームであるかたわ少女があまりにも面白かったのでネット掲示板のゲームも良作があるのではないかと思ったから(もっとも、かたわ少女のことはバカにしてなかったが)



ただこのゲームの評価がやけに高い事は知っていた


そんな人による、現在からの視点によるレビュー感想を徒然と書いてみる


今更このゲームをやる人は少ないだろうから、ある意味貴重なレビューになると思う









▼まず特筆すべきは、かつてないほど2ちゃんねるスラングやアニメネタ、パロディを多用したゲームであるということ。

そして開発着手が2007年、それから3年開発で2010年配信ということで、まあ当然なんだけど、ネタが非常に古い


現在の2ちゃんねる、ネット界はなんJが主流に取って変わったが(でもなんJはあくまで野球ネタだし、ゲーム開発もしないから、VIPとは違うか)近年ブームの淫夢ネタが当然ながら、ない。

野獣先輩ではなくくそみそテクニックや阿部さんがホモネタのメインだったり、物凄く時代を感じた。



ネットネタ、オタクネタの乱発については、余りにも臭い内容だが、私は意外な程、そこまで違和感がなかった


理由は、あれからネット業界、サブカル業界も徐々に変化し、ネットの垣根が無くなったことが言えるだろう。

アニメやオタクが当時に比べ、市民権を得たことがいえる。

今では、邦画はアニメしかヒットしないしね(一応いうと私はアニオタでは全くないので、著名人の発言などから見た、客観的な分析)



リア充なんて言葉も今じゃ一般的になったし、オタク系のラノベ、アニメではこのゲームと同じくらいのネットネタ、アニメネタがある




2010年なら俺の妹がこんなに可愛いわけがないが強烈だったが、ネットカルチャー、オタクネタの頻度はそれらの作品と大体同程度であるので、悪く言えばこのゲームの独創性が開発が長引いたせいで霞んでしまった


リアルタイムでやっていたら、もっとインパクトがあったかもしれない。でもそれらの作品と違い、本作はオタクネタを乱発してこそいるが、主人公がネット、アニメ好きの少年程度の個性に抑えられていて、ヒロインが全員非オタなのが良かった。ここが決定的に違う








▼グラフィック
まず目につくのが、やはりキャラデザ。OPの時点で違和感が酷かったが(でもこのOP自体はあり得ないほどいいデキ)キャラデザの方向性だけではなく、画力に落差がありすぎる。


紗耶と楓は少年誌的で上手いし可愛いが、ももが余りにも酷い。他のキャラも、もう何系のキャラデザかも不明


公式HPの絵はそこそこ描けているが、実際の立ち絵は落書きみたい

並ぶとギャップも酷いので、これはもう少しなんとかして欲しかった










▼音楽
意外なことに(?)音楽がとてもいい。しかも全て自作だというのだから、驚きだ。


主題歌まであるし、王道の青春っぽい音楽。AIRに似た曲があるので、参考にしたのかもしれない


いや音楽はマジでいい…びっくりだ。







▼パロディ
前述したが現在では非常に古いネタばかりなので、今遊ぶと時代を感じ、逆に面白い。当時のユーザーなら尚更楽しめる。開発者も言ってるが、逆に知らないとサッパリ笑えないと思う。主人公の日記の表紙がひろゆきのAAで笑えたが、これも歴史が古い


そもそも本作はぼくのなつやすみのエロゲー版として開発されたのだが(略称がぼくなつと僕夏って紛らわしいな、検索するとどっちも出ちゃうし)、
ぼくなつっぽさは全然なかった。

せいぜい共通点は日記くらいで、ぼくなつのぼくくんの純粋な文章とはまるで違うけど、かなり笑えた


1ページで手抜きする主人公もね



しかも開発者によると大人の事情でエロはカットされてしまったらしい。名残でR16くらいだと言っているが、エロ要素がほぼなかったのが残念(正直)。セックスしたと思われる個所すらない







▼システム環境
シーンを丸ごとスキップ出来るし、オマケでシーン頭にジャンプ出来たり、非常に有能。フリゲとは思えない。ただ前の選択肢に戻るがそのセーブデータではなく、プレイ状況そのものに依存しているのが厄介だった。



攻略に関してはヒロインとの対話で選択肢が一切出ず、選べるのは移動場所のみ。これはヒロインとコミュニケートしている感が薄いので悪手







▼シナリオ
ギャグも笑えるし、ネットネタを多大に挟みつつも意外なことに王道ラブコメ。


最初なのでストーリーのコアを知るためにもメインヒロインの紗耶から攻略したのだが、本当に有り得ないことに、綺麗な青春物語でとても面白かった。







前半と打って変わって後半はネットネタがほぼなく、少し残念だが、アホな日記もなくなる。右上のモナーとダディクールが浮いていたほどだ、もうVIPが全然関係ない(そういえば俺の妹とかも後半はオタクネタが全然関係なかった)






EDでヒロインたちと別れるシーンでは、不覚にもグっときてしまった。


そして多分楓の絵師が描いてるので紗耶と楓以外のヒロインが、突然の美化。グっときながらも笑ってしまった


ピンポンパンポーン♪というアナウンスの音が、まるで前奏のようにナイスタイミングだね(BGM扱いでもないのに)。




「またねっ!」で半泣きだわ
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このシーンで流れる音楽が、またいいんだわ。









▼だが本当に感心したのはここからだった






紗耶から手を握られた際にこっそり渡された手紙を船の上で読み、そこで初めて、素直になれない彼女の本心を知る。(それがVIPクオリティ!のAAに噴く。しかもURLつき。シリアスシーンだしこれはいらなかったかもね)



主人公は必ず帰ってくると誓う




そのままエンドロール






なんだこの、サクラ大戦3みたいな別れの美学は…ちょっと泣けるやんけ




スタッフロールでは、紗耶との思い出の写真が映し出されていく





そして最後の1枚が、ロングヘアでスカートを履いた、まさに女の子に成長した、紗耶。こちらに向かって笑顔で手を振っている。これには正直驚いた。




フリゲでまさかこんな粋な演出をするとは。もう映画じゃん





そしてその後のエピローグでは、紗耶からの「最後の手紙」。




主人公の中の紗耶が、あの夏の思い出で止まっているのがポイント(今度は普通の封筒で良かった)




この後、先程の写真のシーンにつながることを予想しながら読み進めていくのだが、




それがまさかのアニメーションムービーとは予想外。













ひとり寂し気に主人公を待つ紗耶






主人公の存在に気づく


こちらに向かって笑顔で手を振る、女の子らしく成長した紗耶




セピア調になり





Fin










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……って…





うわあ…なんやこれ…






ものごっつ綺麗なエンディングやんけ…(半泣き)




沙耶の成長って、こういうことね(胸も少しだけ大きくなったしな)



もう別れのシーンから再会まで、全てが完璧過ぎる





主人公はなんで来るのにまた1年もかかってんだよとか、ってことは大学は違うのかとか(EDで進路の話もしたのに)、女の子になった紗耶はどんな性格なのかとかまあ疑問も多いが



もうね、アホかと、バカかと。




余りの青春ストーリーに、ちょっと感動しちゃったよ








▼まさかの連続でとても驚かされた。前半のアホな内容からこんな感動的なEDが待ってるとはとても想像できなかった。この記事でも、何度あり得ないとか、まさかとか書いてるんだろうね、本当に不意打ちの良作だった


ただピークはスタッフロールの写真だったので、エピローグはもっと違う見せ方がよかったと思った。


期待度が低かったこともあって、とても良作だ。VIPだからという偏見は完全にいらないフィルターだった。


90点の良作







▼逆にダメなところを纏めると



・表情パターンが多い割にポーズが少なすぎる。紗耶が終盤泣くシーンは、お前なんで腕組みしながら泣いてるんだよってシュールさで笑っちゃった(ちゃんと普通のポーズで泣くシーンもあるのに)



・SDキャラの雰囲気が実際の絵を再現できてない。紗耶、なぜ茶髪?最初誰かと思ったよ



・フラグ管理が非常に適当で、雑過ぎ。出てこないキャラの名前が出たり、知り合いという設定だったりする。EDにいきなり出てきた豪三郎にはマジでお前誰だった




・紗耶の部屋に入りたかった。引っ張った癖に、まさか入れないまま終わりだとは。多分バッドエンドで紗耶が隠れていたのは、灯台下暗し的に自分の部屋だと思うんだが…




・グッドエンド、バッドエンドの分岐フラグが意味不明。ももと会っているとグッド、あやめと会っているとなぜかバッドになるのだが、それが一切ストーリーに結び付いていない。これは攻略出来ずに困ったユーザーが数多くいるだろう。開発者が計算通りの反応だと書いてるが、何が計算か意味が分からない



公式サイトのブログが、海外からの荒らしに酷く荒らされている(悲)。コメントが数千件もあるので、うお、すげえ人気じゃん!って思ったら全部荒らしスパムで、ファンのレスが一つもなくて心底がっかりした。それが削除されてないのは管理人も面倒臭いのだろう。次の記事からこっそりコメント閉鎖されてるし、bbsも荒らされたまま









今遊んでもお勧めの良作です。



それが、VIPクオリティ!
(やはり、古いな…)






2017年06月06日

かたわ少女 プレー日記5 茨崎笑美シナリオ 〜ゲームの中の人生〜

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▼かたわ少女、笑美シナリオクリアしました。


いやあ、正直さほど期待してなかったし、キャラデザ的にも、どうせいかにもギャルゲエロゲのロリ系、妹系のシナリオだろ?わざとらしくツインテだしな。全部の話が暗いのもアレだから、これは箸休め的シナリオなんだろ?程度に思ってたんだが、とんでもなかったな。

いい意味で裏切ってくれた。

これはもう、本当に素晴らしい。

ゲームの中で茨崎笑美という、1人の人間とその人生を作ったのではというくらい凄い



まず最初に言っておくとこの笑美シナリオ、かたわ少女の何番目にプレーするかでかなり先入観と評価が変わるんじゃないか

キャラ紹介にはこうある


膝から下を切断するという障害を負ってなお、笑美は学校どころか世界でもっとも陽気で楽天的な少女の一人かも知れない。足を失う原因となった事故の後も決して絶望することなく、むしろ自分の障害を天の恵みと考え、その義足は永遠の重荷となるどころか、陸上部員としての彼女の能力を最大限に引き出している。



私は4週目なのでこのイメージが頭にあるし、これまでクリアしてきた華子、リリー、静音シナリオに断片的に登場する笑美はまさにその通りのキャラクターで、障害に負けない強い少女なんだなあと思ってた


まあフェイクだったわ



▼で、いざやってみると、笑美が設定やこれまでのシナリオ通りの性格ではないことにすぐに気付く。


まあハッキリいうと、かなり畜生度が高い。








ラノベまたはギャルゲー的な見た目通り、シナリオもギャルゲー的に展開されるので、障害の扱いが非常に軽い



笑美は完全に自分の障害を乗り越えてるし、他の障害者に対してもそういう、あっけらかんとした扱いをする(とその時点では思っていた。他の所感も同義)


他のシナリオでは、久夫の不整脈はヒロインにとても心配されるが、笑美にとっては非常に扱いが雑で、「私のせいで死んだら寝覚めが悪い」、とまで言われてしまう(ひでぇ)


他にも非常に強引かつハデな性格で、練習後「エッチみたいに気持ちいい」というこれまでのシナリオとは違うキャラクター性のセリフに驚く。


え?お前したことあんのか?1人エッチか?お?イキってんのか?




この時点で、あ、この人の本来の性格はこうなんだな。仲良くなるとこうなんだな、と気付く





▼ストーリーは本当にトラッドなギャルゲータイプで、久夫は笑美が陸上部の部長と付き合ってるのではないかとやきもきしながらも、笑美と徐々に親密になっていく





そしてかなり急激な展開で付き合う2人。

「キスするならチャイムが鳴るまでにしたほうがいいよ」


唇を重ねるふたり。「いちごの香りと味がする…」



オオッ!青春だあ!ギャルゲーだあ!


甘酸っぱいなあ、オイ!





▼その後の交際してるんだかしてないんだか分からない、もどかしい距離感がいい。実にフワっとしており、親友の琳にも交際したことを言わないし、主人公ですら、笑美が彼女なのか微妙ということを口にする



このあたりがACT1〜2のピークで、付き合う前後が一番面白かった。


付き合ってからは立ち絵が変わったり(これにはかなり驚き)、久夫と呼び捨てになり、特別感もかなりある





▼交際後、初めてデートをする2人。友達から恋人になったが、これまでとやってることが何も変わらないのでは?でも、友達同士はキスはしないでしょ?といういかにも青春モードで悩む



部屋で枕投げをして遊ぶシーンは子供っぽさも相俟ってとても微笑ましい(セックスしそうな流れだけど)

寝転がる笑美……可愛すぎィイイイイイ!




笑美の部屋で初めてセックスをする二人。驚いた事にアホなシーンで掛かるファニーな音楽が流れている(笑)

あ、やっぱりこのシナリオはこういう流れなんだな


と思うのも束の間…








▼だがこの後が名作シナリオの汚点過ぎる。


幾らなんでもこれ、付き合ってから中盤のターニングポイントまでの展開、雑すぎでしょ。



スポーツ少女ということで爽やかな恋愛を期待したのに、セックスしてセックスして…









アレッ!?他になんかやってたっけ???







特に練習しようと思ったのに倉庫でアナルファックしたのは呆れてしまった

しかもこのシーン、最早ギャグだろってくらいに絵がヘタクソ。アメリカのアニメの作画崩壊レベルで酷い。寝転がるシーンとは別人過ぎる


これまで、あれだけ走る事に熱心で、走れ走れと言ってたのに…



ゲイだとかアナルとか、ローションとか、ネタも汚い。


何かもう本当に単なるエロゲーにかたわ少女は成り下がってしまった。障害という大きなテーマはどこにいったのだ


ハッキリいって、あまりの劣化に失望し、このあたりで既に他のゲームをやろうとすら思ったのだが、続けていくうちにストーリーに暗雲たち込める。







▼笑美は何か大きな隠し事をしており、苦悩を抱えている。そして主人公の事を信頼していないのか、何も話してくれない。頼ってもくれない。恋人なのに


ずっとこのシナリオを箸休めだと思っていたから、おっ?と思うわけだ



ここからの急展開により強烈なギャップを生んだのは本当に見事で、一瞬の雰囲気の変化が凄い。

ここでイッキに引き込まれた(だからといってここまでの展開をこれほど下品にする必要性もないが)


ラブラブでセックスまでして、彼女と仲良くなって、素顔を知ったように見えても、それは意図的に笑美が引いた一線によるもの。その裏に隠された本当の素顔は見せていない。


まあ普通に考えて脚を切断されて平気なわけないよな(正論)






▼これまで見せたこともない笑美の潜んでいた邪悪さや、拭い去れない苦悩、悪夢との戦い。久夫をあっという間に切り捨てて別れようとしたり、女って怖いなと思わせる。ライターは女性だろうか。これまでの好き合った流れがウソのように「合わないから」とあっさりと別れを切り出され、その後話す事すらなかったというバッドエンドは本当に鬱だ。





致命的に関係が決裂しそうになる2人


周りのアドバイスもあり(実は最後のミーシャ以外のアドバイスは、受けなくてもハッピーエンドは見れる、この分岐も上手かった)、彼女とその悪夢に立ち向う久夫…


頑固だった笑美もそんな久夫に心を打たれ、更に隠された、弱い少女である本当の素顔を見せる…という一連のシナリオが本当に見事で引き込まれた

ド畜生だけど、後述のラストシーンなどでも反省してしっかり謝ってくるのも好印象







▼笑美はこのシナリオもそうだが、かたわ少女という1本の作品の中で何度も(表面に出ている)性格が変わる。その分、顔グラも多いんだが、本当に別の人間のようだ。だがそのどれもが笑美なのだろう




笑美がセックスやキスに慣れすぎているので処女ではない(かたわ少女は殆どヒロインからセックスしてくるけど)、彼氏がいたというのは間違いないと察していたが(「キスをして笑われたのなんて初めて」というセリフが最初の確信)、案の定長く付き合っていた彼氏がいたが笑美の引いた一線のせいで別れた事や、


実は事故のため留年していたため年上だったり、


周りの勝手なイメージではピンクが好きだと思われているが、本当は青色が好きだったりという一見どうでもいいことまでを告白されるパパのお墓参りをするシーンは、ショッキングながらもプレイヤー=久夫に笑美に対する強い思いを抱かせる名シーン。



その後のセックスやラストシーンに至るまでもとても綺麗な流れで、髪を下ろした笑美はここで初めて年上の女性に見えた



紆余曲折ありながらも、「今日はどうしよっか?」という本物の日常に戻るセリフで締めたのも、素晴らしい演出だ


笑美シナリオは、要約すると、主人公が必死になって日常に帰ろうとするストーリー。それがたった1つの短いセリフでこれほど表現出来るとは、本当にたまげた








▼笑美シナリオは他のルートに比べ、主人公が周りの人間に助けられているシーンがとても多い。なんと他のシナリオでは主人公の大きな悩みの種であった、あの岩魚子の手紙さえポジティブに変えてしまう(逆に、ルートによって岩魚子の手紙が登場しない唯一のシナリオでもある)



ナースはほぼ全面的に心強い味方だし、何よりリリー、華子ルートでは殆ど敵だった静音とミーシャが、主人公の友達ポジションなのが良い。


これは笑美シナリオに入るまでの生徒会に勧誘される共通ルートがよく反映されてて面白いなあと思った(ただここを通らなくても同じ展開にはなるだろう)。


先に静音を攻略していないと、ただのお節介に見えてしまうが、実際は久夫のことを本当に心配してくれての行動なので、まさか生徒会に入らなくてもこんなに助けてくれるとは…

と、この2人のイイヤツぶりが際立つ(しかも、笑美と静音自体は仲が良くないのに)。


ミーシャに至っては、いなかったら間違いなく笑美と別れてるレベルの活躍


笑美も同じく、主人公を励ます為に走ろうと提案してきたわけだが、他のシナリオで恋のアドバイザーにはならない。そこが違った








▼恐らくプレーした人間の大半が気付くが、笑美シナリオでは実は笑美に対する選択肢は殆どない。



その大部分が、他の人間に対する選択肢だ。


これはまず間違いなく、教師のいう他の角度からの観察という、化学理論に基づいてゲーム性も作ったんじゃない。

ただの紙芝居ゲームなのに実に上手いと感心した







▼評価 95点。中盤の下品な描き方以外は完璧なお話。恐らくギャップを持たせる為にハイテンションなシナリオにしたのだろうが、別に汚い描き方をする必要はなかった






▼-5点したが他にも気になる点はあって、ざっくり箇条書き


・他のヒロインが活躍するシナリオなのに、何故か華子だけ登場しない。前の記事にも書いたが華子の人生が、主人公が介入しない場合どうなるか?というのはとても気になるので、出して欲しかった。リリーの話によるとやはりダメなままのようだし…




・こそ泥の話はストーリーに必要が無い。テンポを悪くするだけだった




・久夫に愛してるとか、好きといわれてから笑美の氷が溶けるまで、幾らなんでも一瞬過ぎないか。まるでこの言葉自体が引き金になったようだが、イマイチ入り込めなかった。というか余りのスピード感に、笑ってしまった。「ごめん!」の連呼とかこの勢いは、リリーの告白シーンと被る




・ラストシーンのタイトルが靴下バンザイなのは意味が分からなかった。ドラッグ、セックス、ロックンロールはないというテキストも意味が分からない。何かのパロディ?まあミスマッチでしょ。きれいな歯もちょっとよくわからない






とにかく密度の濃い5時間でした。







▼残すところ、遂にヒロインは琳1人だけ。達成率79%なんで、長さに差があるように見えて、どのヒロインも実は同じ分量なんだろうか。

このシナリオをプレーして、今更かたわ少女が主人公&ヒロイン2人のスリーマンセルものだと気付いたが、笑美が琳シナリオではどのような役割を持つのか?どのようなキャラクター性なのか?というのが今ではとても気になる


キャラデザが好みじゃないので一番後回しになったが、この独自の価値観を持つキャラの恋愛観には期待



バッドエンドの健二は本当に最後の最後にやるけど




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