▼止マナイ雨ニ病ミナガラ、攻略しました。
でも完全攻略ではない…
なぜならこのゲームそのものが不完全だから。
まあそれは後々。
▼本作品は僕夏同様、VIP発のゲーム。ヒロイン全員がヤンデレのゲームを作ろうぜ!というコンセプトの元に作られた
僕夏が余りにも面白かったので次なるVIPゲーとしてこれを選びました
今回それをレビューしていきます
▼設定、世界観
前述の通りヒロインが全員ヤンデレで、舞台は過疎化の進む田舎町。緑豊かな、それだけが取り柄の山間の町という設定だが…
実写撮影の背景が妙に都会的で、田舎感は全然なかった。街も栄えててビッグサイトまで出てくるし、街中なんて歌舞伎町(笑)。田舎町の近隣の街に、あれはないでしょ
最初に大袈裟な注意書きも出るが、あやめ編以外大したデキではない。ネタかマジかわからない
▼グラフィック、キャラクターデザイン
同人ゲームとは思えないクオリティの高さと統一感。これには吃驚した。当時発売の商業ゲームと遜色ない完成度。
だがこのゲームの最大の欠点でもあるが、絵が綺麗な分、枚数は非常に少ない。明良なんて制服しか立ち絵がない。サブキャラは絵が全く無い。こんなゲーム今時フリゲでもないよ。
特に一枚絵が殆ど無い。立ち絵は同じポーズばかりだし、イベントシーンも殆ど一枚絵が無い。よって全体的に演出は非常に弱い
重要なシーンやエンディングにすらない。これは明らかにおかしい、もっと分量を考えるべき
▼システム
音声がないのでスキップは非常に速いが、まさかのまさか、一枚絵閲覧、音楽鑑賞などのモードが無い。
今時達成リストすらないゲームなんてこれくらいじゃないか。もっとも一枚絵は本当に少ないので、いらないのか?
セーブ、ロードを一括で出来ず、手間が掛かるのも鬱陶しい
▼音楽
いい曲もあるが、全体的に平凡
▼ストーリー
・朽無みそぎ
メインヒロインなのはいいとしても、とにかく無駄に長い。二転三転というより同じ様な話のループで完全に飽きる、もうグダグダ。
ヤンデレというよりはただの池沼っぽい。みそぎ編だけは一枚絵が結構多いので、もっと他に回せよと思った。20点。
・犬哭キリコ
みそぎを攻略中、すでにキリコに興味が傾いてた。中々面白いシナリオ。
飲酒したり、アダルトなシーンが多く、このゲームで唯一ヒロインとセックスする(それも青姦とホテルで、2度も。まあどっちも事後シーンだけだが)
みそぎ編では、付き合った後も他のヒロインが散々妨害してきたので今回もそうだと思えば、まさかのまさか、キリコ編ではあやめが味方になってくれる(よりにもよって一番闇の深いあやめが)
明らかにパワーバランスが一番強いキリコの扱いがどうなるかと思えば(権力で他のヒロインを排除してはい終わり、じゃかっこつかんし)、キリコ自体が弱体化したのは意外性があった。
ヤンデレというには弱く、せいぜい独占欲の強いツンデレ。みそぎ編で見せた狂気に比べるとシナリオもキャラクターも随分マイルドになっている。一番アレな奴が実は一番マトモだったっていう、よくある奴だった。
木戸零佳はこのシナリオでは命懸けでキリコを守ったのに、みそぎ編じゃあっさりキリコは殺されるしシナリオ間の矛盾を感じた
ストーリーは一応完結するがとても短い、それが残念。やはりこのゲームは分量ミスがかなり目立つ。80点
・雨宮しとね
短っ!!
もうそれしかいえない。短いにもいろいろあるがこれは本当に話にならないほどに短い。
何せしとねがヤンデレを発症する前に終わってしまう。バッドエンドすらない
そう、このゲームの、まさかの未完成打ち切りエンドである。
話には聞いていたが、メッセージウィンドウに現バージョンはここまでと出た時は吃驚したよ。
こんなんじゃとても評価できない、10点。
パッチ無しのボツシナリオもやったが、しとねと明良のキャラや設定が完全に本編と別人だし、しとねが演技とはいえ明良と恋人になってキスまでするのがあり得なくて、全く違う世界観のゲーム。まあだからボツシナリオなんだけど。
ただ、実の兄妹で恋愛関係になった二人のエピローグは気になる。ここだけは本編も同じオチにするんじゃないか
・首舘あやめ
間違いなく本作品で圧倒的に完成度が高い。そしてボリュームのあるシナリオにも関わらず、これもまさかの未完。無駄に長い前半を整理したらちゃんと完結出来たんじゃないか?
これまでのヤンデレに比べると、正統派のメンヘラストーカーもの。
しつこいあやめを鬱陶しいと思いながらも徐々に恋心を自覚し付き合うことになるが、それはあやめによって計算、操作された恋愛だった。明良の「攻略されちまったか」という台詞は、伏線だったのかな?
このシナリオは唯一恐怖感を感じた。底抜けに明るい後輩だったあやめが、その性格のまま狂気を露呈するのが、とても怖い。
なぜかって、みそぎのヤンデレはいかにも作られた「ゲームキャラのヤンデレ」だが、あやめのヤンデレは実際にただの犯罪者で異常者、ストーカーなので「現実に近しい存在」だからだ。
みそぎはいかにもって感じで「ゲーム的に」豹変したが、あやめは本当に「何ら変わらず」狂気を発症する。あ、現実のヤンデレってこうかな、って思う
前半日常パートがギャグ、パロディが多めで、ずっと明るい空気だから非日常への入り方とギャップもインパクトがあった。
主人公が何故かあやめの飼い猫の視点で昔の夢を見たり、ファンタジー要素があるのも特徴。そしてその変わりなのか、ヒロイン視点が存在しない。
計算された恋愛を強制された主人公の選ぶ決断とは?という結論とか、伏線を放置したままいいところで終わってしまうので本当に残念。もう8割は来てるだろうから、早く続きを遊びたい。
・木戸零佳
キリコ編から分岐。キリコ編で出会っていた少女は実は途中から影武者の木戸に摩り替っていた…な、なんだってーっ!?衝撃の事実。これは面白くなりそうだと思っていたら、まさかの例のあの画面…
現バージョンはここまでです
短ッッッッッ!!!!
大部分のテキストがキリコ編の使い回しだし、序盤どころか冒頭しか作られてない。これは入れる必要もなかったんじゃないか?????
▼結果ヒロイン5人中、3人が未完成。残り2人もどうにもバランスが悪いというあり得ないゲームに…
総括すると、何から何まで、このゲームは本当に分量を間違ってる。絵は綺麗だが少ないとか、一つのシナリオにコストを掛け過ぎて他がおざなりで未完成とか、本末転倒の極み
あやめの部屋に入るシーンも、部屋中に主人公の盗撮写真が貼られてるのはベタだから読めたが、まさか普通の背景の使い回しだとはね。こういうのも単純に萎えるよね。手抜きしてることが分かっちゃうし
▼シナリオライターが複数いるせいか、シナリオごとで設定が違うことも気になった。たとえばしとねは主人公に食事を作ることにかなり拘っているのに、あやめ編ではそこが軽視されていたり。まとめ役もいるだろうけど、目が行き届いてない
もっとバランスを考えて作ればいいゲームになり得たのに、空中分解し、体験版と何ら変わらない未完成のまま配信し、それから長期間経っても完全版が出ないことからも、まともにプランニングが出来ていなかったことは明白
そう思うと3年かけて完成させた僕夏って凄いね
優れた点もあり、惜しいゲームでした、70点
完全版出たらやります!
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