クラスの誰もが悲しんでいた
彼はもういないが机に花だけは手向けよう、そんなふうに決め事をした
最初は悲しむ素振りを見せていたクラスメイト。だが最後には先生だけが花の水を代えていた
そんな経験から命の価値、人間の価値が分からなくなった主人公、都は殺人計画を思い立つ
エロチャットで生計を立てる女、やまめと知り合い、それを実行に移していくが…
【とら婚】
作者サイト、死霊のすがわらwebで遊べます
PC98風の丁寧なグラフィックが最初に目につく
陰湿でエキセントリックな内容、キャラの思想といい、MINDCIRCUSや真昼の暗黒(非常に好きなゲームだ)を連想したが、クリアしてみると、中身にも近い物があったので、この2作が好きな人なら、ハマルのでは
グラフィックの雰囲気は主人公がヒロインの唇からゲロを吸い取る怪作、MINDCIRCUSに近いかな…
(一応言うと、パクリと言ってるのではないですよ。ICOとrainみたいに、雰囲気の近いゲームというだけ)
殺人計画を練る上で誰を殺るかという話になり、死んでからの価値を決めるには打ってつけの存在として、都に片思いする善良な女性、ケイを殺す事にする
だが、エロチャットレディであるやまめを付け狙うストーカーが現れ…
都が思いの外日和ってしまってなんだ結局ただの厨2病かという感じだが、それを上回るやまめの壊れ方がなかなか面白かった
本作は作者が感じている、平たく言えば人に価値はあるのか?という疑問を具現化したものらしいのだが、疑問に対する共感や解釈と言うよりは、私はエンディングを見て、また別の感覚を持ってしまった
このテーマが気になる人にはおすすめです
ネタバレ
なんだろうこの話、すげえ愛あるやん…だなんて思ってしまった
まずエンド1のやまめED。逮捕されるも会いに来ないやまめが都の子供を妊娠していて、しっかり産み育てていこうとするとは…
しかも他人を気付かうようになれたとは…
なんだろうね女は妊娠した時点で母になって人が変わるなんていうけど、ここに命があるんだよ!!とかマジキチスマイルでストーカーを殺そうとしてた女とは思えない慈愛だね
ここに命、あったやん…
エンド2のケイエンド。心が壊れた都をケイが真人間にさせるという、つまり誰かに必要な人間にさせるという、これまた優しいエンディング…
しかもラストで、都が笑ってるんだよね。表情パターンこそ無いゲームだが都は終始鉄面皮だろうから、驚いてしまった
このゲームにはバッドエンドしかないと思っていたので、まさかこんな結末だとは…
惜しいのはコンプしても30分くらいの短編なため、キャラクターの掘り下げが浅いこと。流石にやまめにはもう少しこうなった原因があったほうがいいんでは。やはり人の生死の価値の話なので、やまめの人格形成にも大事な人の死が絡んでいたほうがインパクトがある
ケイも過去がありそうだが、全部スルーで終わってしまった
澤田も登場しただけで、何一つ活躍の場がなかった
BGM、効果音がない為どうにも臨場感がなく、場面展開はどれも性急
…このあたりはバージョンアップに期待
【とら婚】
評価C
60点
個人的にテーマ性以外のことを読み解きましたが、ADVとしても良作でした。
おすすめ。
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