『七日間で"僕"は"君"に恋をする―…』
▼物凄い初代プレステ臭がするのだが、主人公がヒロインを攻略するのではなく、ヒロインが主人公を攻略するという設定が新しい。
逆攻略ヒロインと言われたフォトカノの新見遙佳を思い出す。ここまでは新しい設定なのだが、本作は新しさと古き良き要素が見事に同居している
ヒロインからアプローチしてくるということは即ち主人公はイケメンで、勿論ギャルゲーやラノベよろしく(ギャルゲーだが)、異様なほど女にモテる
金髪ハーフ設定なのだが、この設定が出てくる前にグラフィックが表示されるので、こいつ誰?となった
レトロギャルゲーよろしくヒロインは初日に全員出てくるし、最初から全員好意的
好意が漏れまくりで、主人公は鈍感なので気づかないが、プレイヤーには丸わかり
▼タイトルの通りゲーム期間は7日間と、ギャルゲーでは短め(学園フラットの3日よりは長いが)。
プレイタイムもワンプレイ20分程度と短いので、サクっとプレイできた。
システムもオーソドックスで、移動してヒロインと会い、会話し、好感度を上げていく(イレギュラーなのは主人公のヒロインへの好感度を上げる)
好感度の増減は親切なことに表示されるので、攻略は非常にスムーズ
現在の好感度は移動時と、夜に確認できる(夜というのが、ときメモやトゥルーラブストーリーみたいで、懐かしい要素)
▼キャラクターデザインは、とてもシンプルな絵で可愛い。これも古き良き漫画絵だ
やってみると余りにもトラッド過ぎて驚くのだが、こういう古典的なギャルゲーってもう絶滅危惧種じゃないだろうか
しかも更に驚いた事に、このゲームはデフォルトネームがありながら、ヒロインが名前を呼ぶ部分だけ音声が「あなた」や「あんた」になる
私はこの演出がされるシーンで、心底懐かしい気持ちにさせられた
90年代そのものじゃないか!と
昔のギャルゲーを知らない人にはピンとこないかもしれないが、90年代〜2000年代初頭のギャルゲーは、主人公の名前のみ音声が飛ばされるゲームがとても多かった。「きみ」などに変わっていることもよくあった
ギャルゲーだけではなく、昔はFF10などのRPGも、主人公の名前を変更可能なので、「ティーダ」とは呼ばれず、終始「きみ」とか、「お前」とか呼ばれていた
まさかこのパターンを、フリゲとはいえ、もうすぐ平成も終わる時代に目にするとは思わなかったので、感激してしまった
ストーリーも古典も古典で、安定して楽しめた。おかしな展開もない王道なので、誰がプレイしてもそれなりに楽しめるんじゃないかと思う
と、初回クリアの時は思っていた
だがヒロインの1人が、愕然とするストーリー展開だった
▼キャラクターはパートボイスなので掛け声だけだが(プロローグなどはフルボイス)、これも短いゲームなので、テンポを崩さず良かったと思う。
どのヒロインのボイスもマッチしている。でも、同じ掛け声が連発されるので、もう少しバリエーションがあるとよかった
▼私のおすすめ攻略順は、花梨→藍崎→心菜
以下シナリオレビュー。ネタバレあります。
・花梨ルート
▼本作のメインヒロイン
最初から主人公の事を知っており、もう明らかに過去の出来事で好意があることが見え見え。
だが主人公は例によって朴念仁なので気づかない
そして花梨に告白される
一週間前にあなたとはここで出会っていたと
一週間前って…
最近すぎィイイイイイイイイイイイイイイイ!!!
まあ7日間というテーマがあるので、過去に何かあったと匂わせるような思わせぶりな展開があっても、もっと昔の話かと思えばつい数日前の出来事でツッコみたくなるが、そういうゲームではある
とはいえ、空也と中1の時からの付き合いなので、接点もそこにあると思ったのに…
しかも再会した日から見れば、まだ本当に前日同然のことなのだが…
イメチェンつっても顔は同じだしね…
主人公は痴呆かよ
シナリオ評価C
60点
・藍崎ルート
▼クラスメートの悪友ポジション。だがそこまで仲がいいわけではなく、友達未満というのがやや新しい。
なぜか急激に主人公に近づいてくるのだが、なぜかに理由付けがあるとは…
中庭にて何やら体調が悪い藍崎を見かける
紳士の私はあっ…(察し)となったのだが、朴念仁の主人公は卑しくも保健室まで着いていこうとする
このスットコドッコイ!!気を利かせんかい!!!
私は激怒した。
▼徐々に親密になるふたり。
(この胸の校章、乳首みたいだよな)
好意がダダ漏れで、流石に当てられたのか、主人公も好意を寄せていく
▼そんな露骨に好意を匂わせる藍崎にデートに誘われる。
仲睦まじく楽しむふたりだったが、別れるところで神妙になる彼女
ほうほう、それでそれで?待ってましたよ、その告白を
だが飛び出したのは、空也に片思いしている女子のせいで、嫌がらせを受けているという話
ああ、なるほど、本当は主人公が好きなのにね…
勘違いされちゃったんだなあ…
そして回想シーン
▼女子「バキッ!ボキ!!」
藍崎「くわっ」
暴行はまだまだ続く
…えっ?
これ嫌がらせっていうか、リンチじゃねえか…
(;^ω^)
中庭で体調が悪そうにしてたのは、これだったのね。
生理じゃなかったのか
私は失望した。
▼そして衝撃の告白をされる。
空也の事は本当に好きで、主人公に言い寄ったのは彼を忘れる為の手段、自分を守るための嘘だったと…
なん…だと…?
だがそれでもいいと抱きしめる主人公。
なんやこれ、イケメンすぎるやろ…
自分と空也、どっちを選ぶか1日(毎度ながら短いな(笑))考えてくれと言う主人公は、その晩、空也に電話するのだった
翌日、ふたりが付き合うことを知らされる
なんやこのエンディング…悲しすぎるやろ…
だがどうやらこれ、バッドエンドだった模様。
好感度80%超えてた筈だが、足りないんだろうか…
▼やり直して、グッドエンドを見る。
空也と同じくらい主人公が好き、そしてもっと好きになれるかもと付き合うことになる。
どうもエピローグといい、バッドエンドの最後の台詞といい、明らかに尻が軽いヒロインだが、このゲームで浮いているリアルで異質な存在だった。後のふたりは、明らかにファンタジーだからね。
多分、作者は女性じゃないか、このリアリティは男には書けない。(まあNTRが好きな男性なんていくらでもいるから、書けるか)
先に花梨を攻略していると、「このゲームは王道なんだな…」という先入観を刷り込まれ、思わぬ変化球にやられるね
シナリオ評価B+
70点
・心菜ルート
▼素直になれない幼馴染。主人公を兄と呼ぶ妹ヒロインだが、扱い的には妹要素がないのが残念
一週間前だなんて阿呆な話ではなく、ストーリーが5年前に遡るのがよかった。
主人公に対して学校で他人行儀な態度を取っていた理由とかは、もう少しクローズアップして欲しかったな。
▼告白シーンから、主人公の名前の音声再生が「あなた」になっているのが、システムをよく理解しているなと感心した
▼好感度は最も高く、97%まで上がった。100%まで上がるのだろうか?
▼主人公の母親が、片言の外国人という珍しい設定には笑った
シナリオ評価C
60点
評価B+
75点
こういうのでいいんだよと言いたくなるような、今時、希少な王道ギャルゲー。
ラストシーンがヒロインの台詞だけだったり、そうそう、昔のギャルゲーってこうだったねって感じでプレイしてました(今でもそうなのは、杉山イチロウのゲームくらい?)。
選択肢も分岐があり、わざと好感度が下がる物を選ぶとストーリーの裏側が知れたり、より好感度を上げる選択肢が出てきたりで面白いです(好感度が低かったら、選択肢自体が出ないところも)
ハッキリいってシナリオ要素は藍崎ルート以外はあってないようなもので、ひとつのシーンは1分にも満たないくらいなのでガラケーアプリより短いんだけど、そこがまた遊び易いのですよね。
プレイヤーを泣かせにくるようなシーンもなければ、ファンタジー要素もない
プレステやサターンには、こういうギャルゲーが一杯あったのです。
ちなみに、主人公の一人称おすすめは「僕」
なぜかエンディングなど、一部の台詞では一人称が「僕」なので。
まあ別に「ワイ」でもいいんですけど。
【その後、エンディングコンプを目指す】
▼まずは心菜バッドエンド。
主人公がヒロインの想いに気づかない。ヒロインは挫けず、振り向いてもらえるまで頑張る…
藍崎バッドエンドのインパクトが強かったのでまた手酷くフラれるのかと思えば、なんと主人公のほうが振る(無意識とはいえ)という、これまた斬新な結末に…
想いという稀有なシステムをちゃんと生かしてる。
内容的にはノーマルエンド。いや寧ろ、結構いい結末じゃないか?素直になった心菜は、ツン状態より可愛い
▼花梨バッドエンド。
ヒロインのアップが出るのは、このシーンだけのような。他のシーンでは接近しても、アップにならない
それにしてもでかい(2つの意味で)。
▼一週間前に出会ったことすら思い出せない主人公
お前、マジで痴呆症かよ
心菜と同じ流れで、ノーマルエンド。俺たちも親友になれるかなと言われても想い続ける花梨が、いじらしくて可愛い。
▼ヒロインズへの好感度が低いまま男のほうがいいという選択肢で、ホモエンド
ホモまっしぐらかと思われたが、まさかのコロッケエンドだとは、思わず笑ってしまった
ヒロインのフラグもコロッケフラグも立てないノーマルエンド、これはコロッケエンドの途中で終わってしまう、もうちょっと何か欲しかったな
▼というわけでこれにて本作の完全クリア、達成
非常に面白かったです。ヒロインは全員好きだが、花梨が一番好きですね。ストーリーは藍崎。
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