シリーズに順位をつけると1=大2>3>検2>検1>6>大1>2>5>4かな。
このADV低迷期…というかゲーム低迷期にこれだけクオリティとボリュームの高さが合致した良作は、もう極めて稀でしょう。
5がイマイチで、やっぱり大逆転裁判に比べると本家はもう劣るなあ…
巧舟ほどのクリエイターはそうはいないな…と思っていたのだが、結果としてセンスは互角だとも感じた。
細かくレビューしていきます
▼オリジナリティ
大逆転裁判でも明治時代の日本とイギリスを舞台にしていたが、本作はファンタジー要素が極めて強い。
なぜなら舞台となるクライン王国がそもそも実在しない(しかも明らかに後付設定)
しかも6オリジナルの設定で、姫巫女レイファによる御霊の託宣によって有罪が決まってしまう
14才のミニスカ少女がえっちなダンスを踊って、水に浮かんだ被害者の最期の記憶で、有罪が決まる
傍聴人の半分くらいは、パンツと太股を見に来てるだろ
完全に卑弥呼の時代のノリ。本当に現代か?この国大丈夫か?
それに加え弁護士がいない国で、容疑者を弁護すると弁護罪という罪をかせられ、有罪になると問答無用で弁護士も死刑となる
初期の逆転裁判のネタを今更引っ張ってきたのかな。初期設定じゃ逆転裁判は有罪=即死刑だったからね
これにより、緊張感とアウェー感が凄まじかった。
4話は日本で普通の裁判をやるんだけど、本当に普通で、殺人事件なのに平和だなーって和んじゃった(笑)
▼ミステリ、推理モノとして
ということで間違いなく過去最大級のトンデモ。
だがここまで二転三転、逆転に次ぐ逆転を連鎖できるストーリーは、執筆がかなり困難だろう。そこは凄い。
そして逆転裁判は証拠品を集め、法廷で真相を追究、推理するのがお約束のスタイルだが、何せ今回はその情報量が極度に少ない。真犯人が全く分からないのも当たり前。証拠品が少ないのも当たり前。
真犯人もトリックも分からない状態から、極限の不利で戦う。これがゲームながらに本当にキツかった。
▼グラフィック
5より格段に進化してる。大逆転裁判と同じ2016年にリリースされているので、ほぼ同じクオリティ。
だがキャラクターの表示が1人のみで、処理落ちがかなり酷い
▼音楽
クライン王国が東南アジアっぽい世界観なので、民族音楽風のBGMがよかった。
岩垂、久々にいい仕事した
▼システム
御霊の宣託が、いつか来るとずっと思っていた映像のムジュンの指摘。
これが面白かった。だが無音なんだよね。
次回作では視覚だけではなく音を鳴らし、そのムジュンを突くなんてのはどうだろう。カプコンにネタ提供
そしてこれが重要だが、6では5でさぞや叩かれたのだろうね、廃止された背景クリックが復活された
お陰で久々に留置所の監視を調べられた。感無量だ
▼キャラクター命名
これは明確に大逆転裁判より優れてた。
大逆転裁判はネーミングが適当で萎えたのだが、6は逃亡犯の名前がダッツ・ディニゲルとか、ヒキコモリの名前がヒルネリア(ヒルネ)とか、センスバツグン
▼シナリオ感想
ここからはネタバレ
■第1話 逆転の異邦人
▼1話でいきなりクラインの洗礼を受ける。
だがシリーズもマンネリなので、滅茶苦茶なファンタジー裁判はアリだと思った。
アウェーということもあり、アウチがまさかの強さ
アウチを初めて強いと思った貴重な話
裁判長が存外マトモで感心したのだが、2話からはポンコツジジイに逆戻りしててガッカリ。
■第2話 逆転マジックショー
▼黒歴史だった4のザックたちが登場してビックリ。
ストーリーのテーマがマスゴミを倒すだと思えば、そのまま4の続きの話になってしまった。
にも関わらず、みぬきを助けるのがナルホドじゃないというのが、物凄い不満だ。
4のEDであの子の素顔を知ってるのはぼくだけなんだから…とナルホドがモノローグしていたので、5ではナルホドがみぬきをまた助ける話に期待するも、みぬきは空気。
6でこそやってくれると思いきや、まさかの不在中の事件だとは…
結局オドロキがみぬきの素顔を見ることになるが、どうもこのあたりでW主人公といいながらも、ナルホドの存在感が薄く、オドロキばかりがいいところを持って行く違和感があった
▼5でも思ったんだけど、ナルホドはいつの間に伝説の弁護士になったんだろう。
空白期間(ニート期間)のほうが長いフリーターのごとくキャリアは殆ど無いのに、プライドの高いレイやマスゴミでさえ、ナルホドだけは認めてたし。
まあ無敗だったミツルギやカルマを破ってるからかな
それにしては依頼人が全く居ないのが不思議なんだが…
▼みぬき、随分オドロキに好意的なんだが、どうも好きっぽいなあ。恋愛感情的な意味で。
4話やEDでもそんな感じだ…
まあ元々、主人公とヒロインの関係だからね。
でもオドロキとみぬきって異父兄妹で、ラミロアの息子と娘なんだよなあ。
ナルホドもそれを知ってて黙っているが、2人がいい雰囲気になってうっかり中出ししてしまったら、どうするんだろう
後々恨まれそう
■第3話 逆転の儀式
▼本当に懐かし過ぎる、逆転裁判3以来久々のマヨイとの再会
見た目は大人だが、中身が殆ど変わってなくて安心する
▼そして逆転裁判2以来、御馴染みの逮捕(14年振り3度目)
こいついつも逮捕されてんな
ここまで逮捕歴のあるヒロイン、なかなかいないだろう。
▼マヨイとペアで臨む裁判だが、スサトやアイリスのような有能パートナーに慣れた所為か、なんともマヨイが頼りない…
まあ法律家でも天才でもない、ただの霊媒師だからなあ
でも飽きれた顔をするのが昔と同じ表情で懐かしかった。これはCMでも使われてたので、ここで本当にマヨイが帰って来た感があった
▼歴代逆転裁判でも間違いなく1位の絶体絶命感。何せ本当に有罪にされてしまう。
これまで有罪になりそうなピンチは何度もあったが、決まって裁判長が木槌を叩く前に、待った!と誰かが乱入してくれた
だが今回初めて本当に有罪になってしまう
それ故、逆転無罪まで持って行った時のカタルシスは大きい
▼マヨイの霊媒も久々だったのだが…
まさかコレだとは
メガテンだかペルソナに、こんな悪魔いたよな
▼レイファを諭すマヨイがなんとも大人で、余りの成長にビックリ。
▼マヨイとアカネは初対面の筈だが、たった一言話しただけで終わってしまったな。
ぶっちゃけアカネはマヨイの代わりとして登場したキャラだから、何かあると思ったんだが
■第4話 逆転寄席
▼犯人のプーコが露骨に、1の松竹梅世なので犯人は分かりやすいんだが、結構気に入ったキャラなんで、本性がクズだとしてもショックだった。気に入ったキャラが犯人でショックってのは、初めてかも
バン刑事といい、ユガミの友達は犯罪者だらけだね
▼難易度も低くストーリーも短いんだけど…
ぶっちゃけこれ、無くても成立する話なんだよなあ。こっちのが余程1話っぽいけどねえ
▼明らかに老けてるココネが、5歳児におばちゃんと言われてて爆笑した。やはりココネは、とても少女には見えない。
▼ココネとユガミはどんな関係なのだろう。てっきり義理の兄妹くらいに思ったら、また他人行儀に戻ってる。呼び方も月の字に戻ってる。
そもそも5の時点で、ココネはユガミを助けるほどの関係には見えなかった。
だが、ココネが2回机を叩くのとか、明らかにユガミの影響を受けている。
事件が解決したラストで「ココネ」と呼び捨てにしてたが、ユガミは職業意識が高いから、弁護士とは相容れないのかしら…
そんなユガミが尊敬してそうな「ミツルギのダンナ」は、弁護士と親友なのに
■第5話 逆転への大革命
▼とにかく長い長い長い。
これ、6話に分けたほうがよかったでしょう。
逆転裁判6ってことで、語呂もいい。
▼本作のテーマは間違いなく親子愛なんだが、オドロキとドゥルク、ナユタの関係はとても泣かせる話だね。
母を助ける為に父を殺すとか、ドギツイテーマだわ
▼インディージョーンズのようなやたら肉体派の捜査に、主人公vs主人公によるシリーズ初の民事裁判、ナルホドとミツルギの合同捜査など、新しい点も多い
ナルホド、相変わらずホモストーカーの癖に、ミツルギに冷たい。
3でもミツルギがナルホドを「親友」と言ってたのに、ナルホドは「友達」だしな
▼逆転裁判のお約束として、最終話やその前の話で敵検事が交代する、というのがあるのだが、何せ今回は2話から全部ナユタ検事。
5話までナユタ検事とかもう飽きた…
と思いきやラスボスがガラン検事。
これがアツイ展開だね(ナユタとも戦うが)。
そんなラスボスのガランはお約束として黒幕だと分かるんだけど、真相に辿り付くまでに、アマラまでもが共犯者ってのは読めなかった。
バアヤの正体がアマラであることとドゥルクが既に死亡しており、マヨイの霊媒だったことにはオドロキより先に気づく事が出来たが、これはビックリした
▼そして途中で、実はアマラが真犯人で、ガランは守ろうとしているのか…?なんて思ったりもした
主人公が助けようとしているヒロイン側のキャラクターが真犯人というのは、まだ使ってないネタだからね。
「レイアース」がそんなオチだったな
▼回り道をしながらも、法廷を支配するガランを、革命のために、徐々に、徐々にと追い詰めていくのはシリーズで一番細い綱渡りだ
何せ3話同様、ここでも有罪判決を受けるしね
▼ガランのリアクションはもっと大袈裟にやって欲しかったな。親衛隊が吹っ飛ぶのに期待したのに、ただツメを折るだけだからね
▼霊媒がテーマになってて、ガランが霊媒できないことを立証し王座から引き摺り下ろすのもカッコいいが、指名手配犯のドゥルクが霊媒で日本に来てたのは、これまでで一番、霊媒トリックを生かしてるかも…
どうせまたご都合主義だと思って油断した
▼オドロキが亡き父の跡を継いでクラインで弁護士をやるのも、感動的なEDだ。
すっかり明るい少女になったレイファは、本作で一番成長したんじゃないかな(腐っても自分の親だったガランとインガを、あっさり切り捨てすぎだろとは思ったけどね…。義理の娘として可愛がってた事は確かなのに)
国民の前で、憑き物が落ちたかのような笑顔
来てる奴の半分くらいはレイファの腋を見に来てるだろ
▼そしてラストのラストに異議あり!
まさか今回は無いのかと思ってしまったが、本当に最後の最後だった。
5では主人公3人で叫んだが、6はオドロキのみ。
あれれ?W主人公では???
■不満点
▼面白いのだが、シリーズもこれだけ続くと、やはりパターン化されていてオチが読めてしまう。
何せシリーズが逆転検事を含めて10作以上、シナリオ本数はその数倍ある。
▼アマラの抱いてる子供がレイファなのも、ナユタと兄妹なのも、直感的に見た瞬間読めてしまった
ナユタとレイファの関係なんてプレイ前に思ったとおりだった
推理というより、ああ、どうせこういう話だろうなあ…という穿ちによりね
オドロキがナユタを「知ってるさ…」と意味有り気に呟くのも、ミツルギを知ってたナルホドそのもの
▼ナユタの裁判の因果が全て読めるという設定、一体何だったんだ?途中から完全に消えた、死に設定
そもそも法廷をトムライの場とする宗教観も意味不明で何の説明もなかった。
母親の事件の影響?
▼中でも酷いのは2話の、実は双子というトリック。
既に2でも3でも使われてるし、ミステリで双子はタブーでしょ。
3はナルホドの恋人が摩り替わっているというトリックで、プラスに働いたので面白かったが、6は本当にただ双子なだけ。トリックが考え付かなくて逃げただけ。
余りのお寒い展開に萎えてしまった。みぬきをハメようとしてた動機も意味不明だし(ツンデレだった?)。
▼テーマが親子にも関わらずナルホドとみぬきの関係が希薄。みぬきをまた助けるのはナルホドであって欲しかったな
少し前記したが、2話のアルマジキ一族の話は、明らかにナルホドでやるべき話でしょ
因縁の相手なんだから
オドロキにはそもそも無関係な話
▼ミツルギが昔はナルホドのように証拠品を突き付けまくっていたとか、アカネと捜査したことがあるとか、逆転検事のネタがあるが、例によってミクモの存在が無かった事にされてる。逆転検事はあってもミクモは黒歴史なのかしら…
■まとめ
▼そしてこれが一番重要だが、終わってみれば、W主人公といいながらも、主人公は完全にオドロキだね。
そもそも舞台になったクライン王国も、テロリストのドゥルクも、ナユタ検事も、全ての設定がオドロキのために用意されてるから
ナルホドは完全にサポート役なんだよね
マヨイの復活を売りにしてたので必然的にナルホドを主人公だと思ったし、タイトルロゴもナルホドなのに、出番はあっても役割が無いので、そこは不満
レイファもナルホドのパートナーとして一緒に事件を捜査したのに、5話ではオドロキのパートナーで、ナルホドはオマケに成り下がってるし…
どうも逆転裁判6はクオリティの高さの割に感想、評価が低い気がするのだが、ユーザーといっても色々で、ADVゲーム派は高い評価をしているが、キャラゲー派……有り体に言ってしまえばキャラオタがかなり評価を下げているようだ
確かに、明らかにオドロキを贔屓しているし、私自身が懐古なのでナルホドが好きでオドロキは嫌いだったが、6でやっとオドロキが主人公として覚醒したんじゃないか
5は4で失墜したナルホドの再生ストーリーだったし、6はオドロキが主役でもよかった
ゲームはゲーム、キャラクターはあくまでゲームの一部なんで、そこは切り離して考えないとダメだろう
ってことで、本作逆転裁判6は、かなり気に入った
評価A+
80点
逆転裁判7にも期待
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