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良い機会なので、初代からのメモオフ信者が、メモオフシリーズを振り返ります。
大昔のゲームなので多少の記憶違いや印象の強弱もあるだろうが、それ含めてメモリーズなので、中途半端にググっただけの情報と違い、そんな「生の声」「経験談」のほうがリアルだと思い、その視点で解説します
もう初期作品はレトロゲームの域なので(1stなんて90年代…)、KID倒産により公式サイトは当然もう無いし、ファンサイトなど、リアルタイムでプレイした人間の情報発信も殆ど消えているので、このあたりで昔の信者がサルベージする意図もある
まず、発売年表がこうなります。分かり易くする為、廉価版などは除外し、メインタイトルを赤色にしました
1999 Memories Off
2000 Memories Off Pure
2001 Memories Off Festa、Memories Off 2nd
2002 想い出にかわる君 〜Memories Off〜
2003 Memories Off Duet、メモオフみっくす
2004 Memories Off 〜それから〜
2005 Memories Off After Rain、Memories Off #5 とぎれたフィルム
2006 Memories Off 〜それから again〜
2007 Memories Off #5 encore、Memories Off History
2008 ユア・メモリーズオフ〜Girl's Style〜、メモリーズオフ6 〜T-wave〜
2009 メモリーズオフ6 Next Relation
2010 メモリーズオフ ゆびきりの記憶
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018 メモリーズオフ -Innocent Fille-
……
改めて年表にすると、2011年からの空白期間が目立ちますね…
そうまるでニートの履歴書のように…
基礎知識として、メモリーズオフシリーズは1作が多数のハードで年代別に出ており、外伝ゲームなども非常に多く存在する
なんとギャルゲーなのに、なぜか今は亡きワンダースワンカラーやネオジオポケットカラーでも出ている。
ハード末期はギャルゲーが量産されるとはよくいうが、これには驚きだった
キッドはゲームボーイにすら、ポケットラブという謎ギャルゲーも出していた。しかもこれは続編のポケットラブ2まで出た
ゲームボーイというハードのスペック上ボイスが入らないので、ゲームをプレイしながらドラマCDを同時に流すという奇作だった
余談だが、メモオフシリーズは任天堂ハードでは出ていない(スタッフも、任天堂ハードとは縁が無いと言ってた)。
だがそれらは今回割愛し、この記事では主にメインタイトルのみに触れます。
というのも黄金期の2ndは、作品だけではなく、ヒロインごとの設定解説ファンブックが出ていた、今考えても凄い時代
そして私はそれらを買うくらいのかなりのメモオフ信者だったんですが、それでさえ、外伝ゲームはほぼプレイしていません。
明らかに手抜きで作られた過去のヒット作の焼き直し便乗ゲームで、信者視点ですらプレイする価値が無かったからです
多くのユーザーがそう思ったからこそ、外伝ゲームは売り上げ不振、結果KIDは倒産しました
なので激安100円でもない限り、外伝のプレイは必要ないかと
本編のみを語ります
▼伝説はここから始まった!
初代メモリーズオフ。1、1stとも呼ばれます。
・デビュー当時の田村ゆかり、間島淳司などが出ていて、初々しい演技が聞ける。特に間島は結構下手だ
・当時エロゲー移植やペプシマン、坂本龍馬などのキワモノゲーを出していた移植メーカーキッドによる、珍しいオリジナルタイトル
当初は「トラウマ」というタイトルだったが、メモリーズオフに改題。(トラウマじゃ絶対売れなかったよなあ…)
・ささきむつみのキャラデザによる繊細なヒロインたちを見て、お、これは切ない恋物語なんだな、と期待するも内容は非常にギャグや下品ネタが多く、電波ゆんゆん。
主人公の三上智也もかなり強烈な人物で、見た目に騙される怪物ゲーム
「アホゥ!!アホウ!!お前は正真正銘のアホだぞ!!脳をゆすげ!!脳を!!」
「バカタレェ!!バカタレェ!!脳を塩素漂白剤につけて洗え!!3日3晩は寝かせろ!!」
「あまりにも絶好調で体から薄桃色のエクトプラズムを放出しそうだぁぁあ!!」
などの明らかにジャケットの繊細な美少女キャラとは世界観が違う名台詞のオンパレード。
ライターも普通の主人公は書きたくない、とかいったそうな(やっぱり智也くんは普通じゃないんですね…)
・当時キッドが移植していた、タクティクスのONE~輝く季節へ~(後にビジュアルアーツやKEYにスタッフは移ったらしい)に似た部分があるのでキッドが移植のついでにネタをパクったと言われていたが、私はそうは思わなかった。全然似てないよ?実際。
・シナリオとしてはメインヒロインの彩花が既に死んでいるというのが一応トリックではあるが、まあバレバレである。
だがパッケージヒロインだったため、このキャラに釣られて買ったユーザーからはフルバッシングが行われていた。
確かにジャケット詐欺だ。だって攻略キャラですらないんだもん
・シナリオは極めて粗削りで、ヒロインごとにライターが違うので、完成度や長さがバラバラ。
中でもみなもシナリオは初代メモオフの一番人気で、舞台っぽいシナリオは、クオリティが桁違いに高い。シナリオライター佐々木智宏が舞台の脚本を手掛けていると聞いて、納得である
逆に小夜美シナリオはシリーズ屈指の短さで、なんと恋愛が始まる前に終わってしまう。
その後1stは何度もリメイクされたが、一向に追加シナリオが出なかったので、スタッフはもうこれを完成形としているのだろう。普段のKIDなら、小夜美シナリオ完全版が収録されたバージョンを絶対に売り出すだろう
映画のようで綺麗なラストシーンという意見もあった
・後年発売したDC版では大幅な修正が行われ、誤字脱字も減っている。追加要素もあるので、プレイするならこちらからがおすすめ。
ヒロインのBGMが入れ替わっているという、これまた奇想天外な修正がされている
▼前作を大幅に上回るクオリティ!
いまだにシリーズ最高傑作との呼び声も高い名作、メモリーズオフ2nd。
・メインヒロインのほたるは新人時代の水樹奈々が担当。初々しい演技と、演じるキャラクターとのギャップにビビるくらい上手い、美しい歌声が聞けます。
そして1stでは下手だった間島が、短期間でかなり上手くなっててビビル。間島の演技はここで一先ず完成されていた
・私はDC版でプレイしたが、KIDシステムと呼ばれるシステムのお陰で、プレイ環境が非常に快適に整えられている。
当時他のメーカーも真似をしろなんて言われていたくらい良かった
このシステムはインフィニティシリーズなども、改良、または改悪されたものが使われている
・前作はヒロインが死亡しており、主人公は彼女だったヒロインの思い出を振り切り、新しい恋に踏み出す…という設定だったのだが、今回はヒロインとは現役バリバリで付き合っている。しかもとってもいい子
よって、他のヒロインルートに進むためには恋人を捨てなければいけない。ヒロインたちには彼女の親友や姉もいる…という最高に盛り上がる題材
正直これはもう、最初から題材の勝利だった。話を聞くだけでも凄くプレイしたくなる
シナリオもさることながら、この恋人を捨てて新しい恋愛に踏み切るせつなさが非常に重々しい。
彼女がいい子なだけに、ゲームなのに修羅場に異常なプレッシャーがある
そんなシナリオの性質上、主人公のイナケンはとんでもないクズである
まあ浮気がテーマだからね、仕方ないね
・踏切姉妹と呼ばれる双子ヒロインの希望ルートでは、主人公が意識を失い、そして世界が再構成された…という、このシリーズで唯一のSFファンタジー描写がある。
当時キッドはインフィニティを作っていたので、その影響が出た
・水樹奈々は今でこそ声優としてもかなり上手い演技をするが、当時はまだ新人で、棒読みの部分もあった。
そして役柄が声を可愛く作ったキャラなので、声を荒げるシーンでは明らかに女子高生ではない野太い声になってしまった
その事を昔「ほたるのこのシーン、下手だよな。中の人、新人だし仕方ないけど」と書き込んだら、「声を変えたまま叫ぶのは難しいからね。実はあれが水樹の地声なんだよ、本人の声は野太い」「水樹奈々の地声は低いんだよな」
というレスがついて、「へぇ〜!」と思ったものだが、後年テレビ出演するようになった水樹。
そこで聞いた声はほたるのあの野太い声そのものだった
数年越しの衝撃だった
▼無難がテーマのメモリーズオフ〜それから〜(ナンバリングなしだが、メモオフ4)
・主人公が彼女であるいのりに捨てられるところからスタート。2の逆
原点回帰がテーマとかで、尖った魅力はないが欠けたものもないというコンセプトらしい。当時スタッフがHPに書いていた。主人公もクセがなく普通の少年。山場では格好いいところも見せる
・面白いのが、メインヒロインの「いのりシナリオがかつてないほど多い」という発売前情報。
オチとしては、他のヒロインのルートにいっても、主人公がまたいのりとヨリを戻すシナリオ、エンディングがある、というものだった。
シーンタイトルはヒロインごとに四字熟語だったりと特徴があるのだが、突然いのりルートのシーンタイトルである音楽絡みに戻るのはかつてないプレイ感覚
・シナリオはなかなか面白く、年上ヒロインのルートはカフェ編という名前がついている。
高校卒業後のフリーターになった主人公のシナリオなので、高校時代だけで終わる高校生ヒロインのルートとはまた違ったプレイ感覚で楽しめる
▼メモリーズオフ5、ここで久々のナンバリング
・最大の特徴はやはり、主人公が大学生であること。
映画制作サークルに入っており、それがテーマそのものとなっている
親友キャラもこれまで4作も稲穂信だったのに、小津修司に変更。その事もあって小津は随分叩かれてたが、私は嫌いじゃなかった。勿論信には遠く及ばないが…
・シナリオクリア後、リバースカットというヒロイン視点の物語になるが、見れるのはメインヒロインだけだし、ボリュームも少ないし余り完成度が高いとはいえない内容
・シリーズで初めて主人公に立ち絵と音声があり(正確にいうと雪蛍にもあるが)、物凄いイケメンで笑う。背も高いしガタイも良い。
スタッフによると、当初はもっと普通の顔だったが、「皆さんの分身ならかっこよく」、という理由で美化したらしい
絶対悪意あるだろ
・シリーズで唯一の幼馴染ヒロイン不在(幼馴染というには微妙なキャラなら2人いるが)
そしてKIDの作る最後のメモオフとなった…
完成度も売り上げも微妙だったもんなあ…
▼メモリーズオフ6。初代の澄空高校を舞台にした原点回帰っぽいゲームだったが…
・5pb.で心機一転したシリーズ6作目。T-waveはトライアングルウェーブと読み、三角関係を題材にした内容だったが、シナリオのクオリティは非常に低い
gdgd長いメインヒロインのルートよりサブヒロインのクロエのほうが人気があるという稀有な一作
・8のヒロイン、ノエルは6の外伝のキャラ
・親友キャラはまたも変更し、佐賀亨になる。ヒロインに横恋慕しているというパターンが1、5と同じ。
主人公は高校生にして社会人でもあるので、作中でもいわれてるが、妙に大人びた部分がある(それゆえキャラクター性が小さく纏まってしまった感もあるが)
だから社会人の信と、歳の離れた親友でもよかったんだけど
▼恋愛だけではなく、推理要素などを加えた意欲作メモオフ7
・サブタイトルは指きりの記憶
指きりというやや風変わりなシステムがあるが、ただの選択肢をグラフィカルにしただけで特に意味はなし。
公式でゆびきりしまくると大変な事が…とアオられていただけに何も無くて残念だ
・恋愛だけではなくミステリ要素があり、主人公やヒロインの過去を探っていくストーリー展開。主人公がルートによっては殺されてしまう
・2でも主人公が自殺するバッドエンドがあったが、事件に巻き込まれて死ぬ展開があるのは7だけ。他にも恋人になったヒロインを権力者に寝取られたり、ヒロインに捨てられて失踪されたり、かなりえぐいバッドエンドがある
・シナリオ、グラフィック、ムービー、総じてクオリティは非常に高く、シリーズ最高傑作との呼び声も高い
・シリーズと一切関係ない絵師が初めてキャラデザを担当したが、2nd以来本当に久々にキャラデザを良いと思ったし、違和感は全くなかった。
だがPSP版まではまだよかったが、PS4、PSVITA移植版からの絵の劣化が酷すぎる。
キャラデザ担当に何があったのだろうか…。ヒロインの顔も完全に別人で、これでは売り物にならないだろう
・主人公は見た目は大人しそうだが、ケンカが強く男らしいイケメンで、主観視点でもボイスつきで喋るシーンがある
・親友キャラは佐賀亨が続投。クラスメイトだった6の主人公と違い長年会ってなかった設定だが、それにしては活躍するし、なんとEDまである。
バッドエンドではヒロインと付き合う展開も…(NTRの鬱エンド。りりすのことはええんか?)
・EDコンプするとシーンタイトルにジャンプ出来るので達成率埋めは簡単だが、時代に着いていけなかったのか、システムが非常に悪い。
シーンスキップや次の選択肢までのスキップもないので(PS2のクラナドにすらあったのに…もう他社に負けてる…)、無駄に時間を浪費してしまう。
EDコンプに50時間以上かかったが、数時間はただスキップを眺めてるだけだった。
まとめ
結論からいうと、どれもそれぞれの良さがあるが、最高傑作は2か7と思っている。
2は大昔のゲームなので想い出補正がかかっているが、近年のゲームにも拘わらず、それと戦えるほど、7の面白さは図抜けている。
ミステリ要素もあって、「ギャルゲーユーザー以外がプレイしても面白い」のは7だろう
シリーズ初心者は、恋愛ゲームがやりたいなら2、他の要素もあるADVをやりたいなら7がおすすめ
次点で1st、それからが良作だった。
この2つも恋愛重視なので、好きな絵や題材でどちらか選ぶといい
残念ながら5,6は明らかに完成度が低い。
そして当時としては売上も低い。余程絵が好みとかじゃないなら、おすすめはし兼ねる
リアルな話、5は既に会社が倒産危機にあり開発がスムーズに行かず、6は新しく始めるのに躓いたのではと思う
では同じゲームでもイッパイ出てるけどどのバージョンがいいの?というと、殆どのケースでは後から発売したほうが追加修正が加えられているので、そちらをおすすめ
スーパーライト版は説明書が白黒で、商品としては簡易化されているが、オマケモードで見れる版権絵が、後発ということで増えています(小説版やテレカなどの絵が見れる)。
ただしメモリーズオフデュエットなど、背景がウネウネと気持ち悪く動いたり、同じシーンでも流れる音楽が違っていたり、スタッフロールの演出が劣化していたりと、後発にも拘わらず劣っている例もあります
後に5pb.が発売したPSP版はハンディにプレイできることがメリットだが、一枚絵によっては絵が潰れているという致命的なデメリットも(特に7はハードスペックの差が大きいので落差も酷い)
シリーズもイッパイあってどれを遊べばいいか迷う、という人は、メモオフシリーズは主人公と彼女(メインヒロイン)の設定がいつも凝った内容なので、その興味を基準に選ぶといいかも
1st 彼女に死なれてしまい、新たな恋に踏み出す(シリーズで唯一の故人)
2nd 彼女を捨てて他の女性に向かう(シリーズで唯一彼女あり)
それから 彼女に捨てられて他の女性に向かう(シリーズ唯一のメインヒロイン1人)
5 映画製作サークルの青年が、親友を殺した女と出会う(シリーズで唯一、メインヒロインと敵対した状態からスタート)
6 付き合ってくださいと告白され、仮の彼女が出来、他のヒロインとの三角関係に(シリーズで唯一のお試し期間彼女)
7 1人暮らしをしていた主人公、周りには内緒で、謎の女と同棲する事に(シリーズで唯一ヒロインと一つ屋根の下)
8 斬新な設定に期待
シリーズの皆勤賞キャラクターとして、1〜それからでは親友キャラとして、5〜7では隣人や上司として、稲穂信が登場
FFのシドのように大作感を意識したと言われるが、シドと違い、なんと初代から全作に登場する
主人公との年齢差があるせいか、親友キャラからは残念ながら降板し、出番も激減している。年上の親友でもよかったのに、非常に残念だ。
それからをプレイしていた頃は、信はずっとメモオフシリーズの親友キャラだと思っていた…
それからと5のみ何故か同じ絵が使い回されてるが、他のゲームではキャラデザが全くの別人になってて、その変貌ぶりに笑えます(特に1〜それからまでは完全に別人)。
どれからプレイしてもストーリーは分かるけど、信のストーリーも時系列で展開し(1stでは高校生だったのに、2ndではフリーター)、全ての物語が同じ世界観の話なので前作ネタもあり、1stから発売順にやるのも全体像が掴めて面白いかも
2ndで唯笑のBGMを着メロにしているので、お前未練タラタラじゃねえかとツッコめたり、前作をプレイしていると考えさせられるネタが色々ある
小林沙苗が「メモオフは新人声優の登竜門」と言っていたが、どれからやっても、その時代の新人が出ているので時代を感じられるのも面白いですね
メモリーズオフシリーズはなんだかんだで非常に面白いゲームだったので、8にも期待
え?
何か忘れてないかって???
あーこれなぁ…想い出にかわる君、なあ…
これはもう、黒歴史すぎるんだよ。
何せシリーズで唯一外伝ファンディスクが出ていないし
会社の看板ゲームなのに緑犬ふうとかいうズブの素人の謎のライターが書いてるし(スタッフの嫁という説あり)
そんな緑犬ふうが女性ということで無駄に男性キャラ押しの展開で、冒頭なんてヒロインが登場するまで30分くらい野郎だけの話が延々続くし
主人公はただのヘタレだし
メインヒロインのカナタは声優が下手過ぎてゴッドボイスなんて皮肉られてたし(余りの酷さにか、OVAで交代という前代未聞の内容。しかも後任の村田あゆみは素人なのに上手いという)
何より当時メモオフの絶対条件だったささきむつみが降板したことも大きい(今となっては、ささきむつみが描いてないゲームのが多いけどね)
ボリュームもないしクソゲー以上凡作未満くらいのデキでした
なのでこれはやらなくてもいいです
あ、テンチョー死ぬよ
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