ネタバレ注意
▼まず先入観0情報0でプレイしたので、よくある夏の田舎を舞台にしたギャルゲーだと思ってたんですよ。
実際序盤はそんな感じで進む。
ボーイミーツガールで(ボーイというには主人公は25歳だが。ヒロインは10歳)、ヒロインは明らかに主人公が好きだが、主人公はクールな青年で、まあ大人だから子供のヒロインをまるで異性としては見ていない、という甘酸っぱい展開
ああ、これはタイトル通り、のんのん○よりをギャルゲーにしたようなゲームなんだなって思ってた矢先、
唐突に謎のバケモノ、登場
ファッ!?
そのままブチ殺されてバッドエンド。
え?これそういうゲームなの?
どうやら伝奇モノでもあるらしい…
▼気を取り直して再開。
引き続き夏のギャルゲー(ギャルというには10歳は幼すぎるが)と伝奇モノが交互に展開されていく
恋愛パートでは、少女の片思いをテーマにした、甘酸っぱい展開が続く
▼伝奇パートでは、記者の主人公はバケモノの調査を開始する。
町の不審者だった野本に殺されそうになったり、みのりの祖母であるかよから聞き込みをしたり、徐々に真相に迫っていく
バケモノの名前はどうやら水虎という神様らしい
ああ、有名なアレだね。ゲームやマンガで御馴染みなので誰しもが聞いた事くらいはあるでしょう
水虎は人間界に紛れ込んでいて、殺して食った人間に摩り替わっているらしい
▼正直この時点でみのりの正体は「あっ…(察し)」だったんだけど、このゲームはそんなベタながらに魅せ方が非常に上手い。
主人公がアンパンを買ってあげた日から、既に別人に摩り替わっていたみのり。
だが水虎はその性質として、食った人間の意志や感情を全て受け継いでしまう…
神様ながらに主人公を好きになってしまった水虎を、人の感情が支配する。水虎も悪い神様ではない
だが目の前の相手はみのりであってみのりではない、水虎というバケモノには違いないし、みのりを殺したのもまた事実
そんな愛憎劇が結構踏み込んだグロさで描かれるのだが、一連のシーンはショッキングかつインパクト絶大だった
▼完全に正体を現した水虎(みのり)が、一切デフォルメされてないデザインってのは、ヒロインの成れの果てとしては珍しい。普通は半分人間で描かれるからね
これもう100%バケモノだろ
そして水虎に食い殺されたみのりの遺体は、調査中に訪れた祠の中に…
買ってあげたアンパンに蟻が張ってるのが、また物凄い悲壮感あるね
子供が死んでるシーンは家庭用ゲームではかなり難しいので(表現規制的に)、これは同人ゲームならではのショックあるシーンだった
▼いよいよ大詰めだと身構えていたのだが、ここからの選択肢、なぜかどっちを選んでもバッドエンドになってしまった。
どうしてもみのりは完全にバケモノになってしまうか、主人公が自殺してしまう。何も救われない悲しい結末だ
どうやらかなり序盤の選択肢で川へ行くか行かないかというのがあり、それが原因のようだ。
正解は一見するとみのりに会いに川へ行くことなのだが、実際には行かない事が正解
そのルートで主人公は、正博からライターを貰う。
▼ライター所持でここまで来ると、主人公はナイフではなくライターを持ち、祠と遺体を燃やし、なんとたったそれだけで永久に続く殺人の輪廻を回避。
あ…
あっけなさすぎぃいいいいいいいいいいい!!
これまでの引きと数百年繰り返された犠牲はなんだったんだろう…
そもそもこんな火程度じゃ、まず人体は燃えないだろうし…
主人公もこの解決法に直感的に気づくんだけど、みのりたちの長年の苦悩も一体なんだったの???という肩透かしがかなりあった
みのりたちは犠牲になったのだ…犠牲の犠牲にな…
▼最後は半分人間、半分バケモノのようになった10才の少女、みのりへの恋愛感情に気付いた25歳の主人公(正確には1年後だから11才と26歳か)が、みのりとともに生きていくことを誓いエンディング。
俺もいつかみのりに食われてしまうのだろうか…と考えている時、みのりに唇を奪われる(食われる)のが、シャレた演出だ
▼クリア後にプレイ出来る記憶ルートサイドAではみのりの母親視点の話。
手帳達成率100%で出てくるサイドBでは、みのり視点の話。
どちらも悲壮感があり、サイドBのラストシーンは惨劇のまま終わる
この後、普通に水虎がみのりとして主人公と接していたというのは、少し怖いね。水虎がみのりとして目覚めてから、そこまでのシーンも、描いて欲しかった
▼しかし母親とみのり、似すぎ。
野本や母親が、これで自分の娘だと気付かないのは相当ムリがあるだろう(みのりですら直感的に「お姉さん」を母親だと気付いてたのに)
▼さて、総評すると、グラフィック、シナリオ、声優の上手さ、主題歌、総じてクオリティが高いが、余りにも酷いのがプレイ環境とシステムまわり。なんとこのゲーム、ADVの癖になぜかRPGツクールVXace
なので致命的にADVが遊びにくい
クイックセーブなしクイックロードなし、既読スキップなし、その他ないない尽くし。
特に面倒なのは、選択肢に最初から選択カーソルが入力されてしまっているので、ページ送りの最中、唐突に表示された選択肢をうっかりクリックしてしまう、という事故が発生してしまうこと。これは本当に面倒臭かった
▼シナリオも登場人物が少ない割に、宮里や野本の扱いが随分雑だったね。
宮里は主人公に片思いしてる設定がなんら意味を成さないし、活躍の場のない空気キャラ。多分余りにも使えない子だから田舎に左遷されたという設定があるんだろうけど、それも言及なし
野本はみのりに新しい父親が出来ても思い出される事すら無いし、死んだ後はまるでいなかったかのような扱い。ヒロインの実の父親なのに
田舎町が舞台になっているが、グラフィック枚数が少なすぎるためか、行動範囲が狭すぎるためか、町が死んでいるという感じが否めない。
普通こういう題材だと夏の田舎っぽい場所が舞台になるんだけど、ほぼ川と道しかない。
舞台に魅力が全然なかったなあ。別に田舎町じゃなくても成立する話だし
▼そんなマイナスファクターこそあれ、クオリティの高いゲームでした。
開発のしっぽロボはこれがデビュー作なんだろうか?新作でも年の差を題材にしたゲームを作って欲しいね
評価B
75点
▼しかし、「俺たちのギャルゲ」の最年少ヒロインは13才だったけど、それを大幅に超える10才というヒロインは、ゲーム史上でも最年少じゃないだろうか(勿論、ちゃんとした恋愛シナリオゲームの話ですよ。ヒロインが幼稚園児のゲーム、とかじゃなくて)。
主人公、開き直ってるけど、結局ただのロリコンだからね
しっぽロボには、次は8歳ヒロインに挑戦して欲しいね。
LOのこだわりは8歳らしいし、二桁は寧ろ邪道だろう
【このカテゴリーの最新記事】
みのりって草みたいな髪だけど、もう一つの草は生えてるんですかね