ショップに置かれたラビは、誰にも買ってもらえない。
だがある時自分を気に入ってくれる幼女が現われる。彼女との物語が始まる…
まず主人公が、うさぎのぬいぐるみ、この設定が面白い。
あまりない設定だ、死体を主人公にしていた乙一でも書いてない。世界中の女の子に起こる物語(ただし途中まで)をぬいぐるみ視点で書くというのは面白い
この設定を見事に使いこなしており、主人公は思考以外の行動が一切できない。
何があっても指1本動かせない、叫ぶ事すらできない
よって、運命に身を任せるしかできない…という物語が非常にじれったく、切ないシナリオ展開となっている
ヒロインひまりは最初こそぬいぐるみ遊びをしているた5歳児だが、当然日々成長する。
その日々で新しい友達が出来たり、新しい趣味が出来たり、大事にしていたぬいぐるみのことなんてすっかり忘れてしまう…
放置されホコリを被っていくラビ
そして遂には好きな少年が出来て、家に連れてきて、自分の目の前で…という、人によってはNTRっぽく感じるような物語も切ない
少年の「汚いぬいぐるみ、耳が取れかかってる、未だにお人形遊びをしてるならドン引き」の一言で、ラビをゴミ箱に捨ててしまうひまり。このシーンは本当に悲しい
だがひまりは捨てたぬいぐるみの想い出を想い出し、涙ながらに謝罪。
恒例の謎の奇跡によって、ラビは喋れるようになり、一時的にひまりと会話するのだが、このシーンは安直なファンタジー展開でいらなかったように思う。
ぬいぐるみに意思がある世界というのは、もしも…感があるが、意思疎通までしてしまうと話は違ってくるし、声が出せないというコンセプトは崩さないで欲しかった
エンディングは大人になったひまりが、自分の娘にラビをプレゼントして終わり。
ひまりを貫いたのはラビを汚いと言った男なんでしょうか?
こ、こいつラビを差し置いてひまりと幸せになってガキまで作りおったでえぇぇ!!
旦那さん、あなたが汚いぬいぐるみと言ったこと、私、忘れてませんよ(低い声)
残念なのは絵の枚数が非常に少ないこと
立ち絵があるのはひまりだけ、キャラのスチルもたった1枚
しかも、幼女の成長を描く物語のハズなのに、なんと立ち絵がたったの2パターンしかない。(公式HPに書いてる他のキャラってのは、2パターン目のひまりのことだったのかな、ガッカリ)
幼稚園年長と小学校低学年が同じ絵なのはまだいいにしても、小学校高学年と中学生が同じなのはかなり変。
しかも、文章では「見違えるように大人になった」「キレイになった」とあるのに絵が同じなので、非常に手抜臭い違和感だった。
出かけてきた訳でも無い自室でバッグを持ってたり、季節に関係なく同じ服なのも変。
のび太かな?
このあたりのディティールに拘ればもっといいゲームになったかと
ともあれ全体的に丁寧なビジュアルノベルでした。
評価C
65点
しかしラビとなった主人公は、いつまで生きるんだろうね…。ひまりが三十路くらいになっても、何も変わらないし。
次は老婆になったひまりを看取るとか、最終的にはセカイ系っぽい
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