今回も「なんであの良作が無いの?あり得なくない!?」……という疑問は多くの人が持っただろうし、そうじゃなくても受賞から漏れたまだ見ぬフリーゲームへの探求心は持って貰いたいからね
▼それでは早速、始めよう。
前置きしておくが、今回レビューする「華やかな宴」…
このゲームはティラノゲームフェス2023選外作品の……
最大の傑作にして、最悪の問題作だ
色々と理由はあるんだけれど、「華やかな宴」は何れかにも入選しないと予想してた。
製作者は、なぜこれを応募したんだ?
そりゃ受賞は出来ないでしょ。
いや責めてる訳じゃないんだよ。
ましてや馬鹿にしてる訳では、断じて無い。
気を悪くしたなら、それは勘違いというものだ。怒らないでくれ。
ただ、「このような作品を作る精神性とノンプロ作家性を持つ製作者が、ああいったネットイベントに興味あんの?」「入賞したところで、どのような感情になるの?」……って疑問に思っただけ。
だって………
どういうつもりで作ったかは、知らないけどさ……
究極に人を選ぶフリーゲームじゃん。
これほどプレイヤーの持つ「価値観」と「共感性」で評価が左右される作品、そうはないでしょ
毒にも薬にもならないなんて言葉があるが、これは単なる劇薬なのよ。
誤解を恐れずに言及すると、「誰かを傷つける作品」だと思う。
俺、ラストシーンを見て、マジで変な声出たよ。
「ふぇ!?」
……
みたいな……
何あの、結末…
▼……核心に触れてしまうがこのフリーゲーム、はっきり言って、物語でもなんでもない
そこに存在するのは愚かな男女の愛憎と諍いだけで、主人公やヒロインが何かを手にし、何かを成すわけではない。
大学生の青春ものではあるが、甘酸っぱさは全くない
起承転結や序破急と呼べるものはあるが…メッセージ性がそれらを強く、打ち消している…
…
でもそれゆえ私はこのゲームから、濃密なゲーム体験が出来たと思うのよ。
主人公から彼女との思い出が風化してしまう感覚、感傷と同じものを、クリア後に得られた(喪失を得るとは、妙な表現だが)
こんなゲーム体験、最近めっきり出来なくなってた。
だからこのゲームは、俺の中の審査員特別賞だよ。
評価A+
80点
心を強く抉り取る傑作だ。
読了後に何かを残すのではなく、削り取り、奪い去る…稀に見るフリーゲームだ。
今風に言うと、「刺さる」。
刺さった大きな棘がちゃんと抜けるかは、保証しないけどね。
今回の記事はここまでにしよう。
ペラペラと説明したら、安っぽくなってしまうからね。
私の受けた強烈な刺激を読者に伝える事が、このレビュー感想とも言えない、感情の吐露の意義だよ。
伝わってるといいけどね。
…
▼といいつつ余談だが、本作が選考から漏れたのは、他にも「作画が微妙」という理由がありそう。
受賞作にはグランプリから佳作に至るまでグラフィックに富んだ作品が多いことや、
自作の汚いイラストで選外続きだった某作者が、絵師を雇った途端に受賞した事からの所感。
▼さておすすめの選外作品はまだまだあるので、今後もビシバシ紹介しますよ。
…
えっ?
「おまえ数年前にも同じような事やってたけど、結局1回で終わったよな?」
……だと……?
さぁ知りませんね
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