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2023年08月06日

benediction レビュー感想 フリーゲームだからこそできた問題作。切ねぇ…

女の子は朱音に木箱を差し出し、去って行った。
去り際の女の子の表情。
あれは、彼女が朱音に最初に向けた表情によく似ている。
年齢にそぐわない、憎悪や恨みといった悪感情に染まりきった顔。
彼女にもなにか抱えているものがあるのだろう。
俺はその表情を見て、彼女のことをまったく知らなかったのだと思い知らされた。
ただの女の子のように見えた“少女”。
彼女の心の奥にも、人には見せられない闇が育っているのだろうか?


スクリーンショット (247)_compressed.jpg











▼いきなり確信に触れてしまうと、「benediction」は大人のジュヴナイルかなー……と。

エンディングコンプした今となっては…悪趣味すぎる。このゲームは。

どのエンディングも悲惨で、救いがない。

直感的に「面白そう」と期待したが、期待通りであることが恐ろしくもなった。
途中から、絶対救われない物語だとわかるからね…





▼だが最初から分かっていたことでもあり、(NORMAL1種 BAD3種)という説明文に惹かれたのは私自身。

つまり最初から気取ったトゥルーエンドやハッピーエンド、それどころかグッドエンドすらないと思っていたし、グッドエンドが無い事に興味を惹かれてプレイしたからね…

…しかし亘という主人公に乗り移り朱音という儚げなヒロインと物語を共有した今となっては、なんともやりきれず、自分の中に「benediction」が確かに遺ったのを感じる








▼主人公が現実世界とはどこか違う世界に足を踏み入れてしまう伝奇ミステリだが、古き良きマイナーノベル感がある。良くも悪くも、とても令和のフリゲとは思えない

「悪くも」というのはフリゲに今風の絵や流行のネタを求める人間には不向きという意味で、設定だけでいえば、使い古されてるからね。

主人公が足を踏み入れた謎の世界。そこで出会った謎の少女。果たして少女とこの世界の正体は…!?

…なんてのはそれこそ幾らでもある。

「流れ星に願いを」は主人公が「この村には子供がいない!」と気づいたが
「benediction」には子供が登場するなど、作品ごとの違いはあるけどね







▼久しぶりに主人公(の考え方)が面白いフリゲだった。

フリゲ主人公としては稀有な30代の成人で(8歳の娘がいてもおかしくないくらいの年齢)、大きな悩みを抱えて生きているから、非常にドライだ。冗談の1つもいわない。

調査のためにヒロインの朱音を利用する狡猾さもあるし、性格も珍しいタイプじゃないかな。
こういうキャラは、寧ろ主人公に敵対するキャラとして描かれることが多いからね







▼でも意外と…恋愛になると弱い。

結局この男は、自分に自信が無いだけ。ドライといっても所詮は屈折してるだけ。
能力もなく、拗ねてるだけの子供。

そんな亘と10代の純真な少女である朱音の恋愛模様は、このゲームで唯一ポップかもしれない。

スクリーンショット 2023-08-06 110250_compressed.jpg









朱音との交流で「彼女を守りたい」と変わっていく亘の成長物語は、面白かった。
たった数日の出来事ではあるが異常な空間で今までしてこなかった経験をしているから、ご都合主義とも思わなかった。

現実でも成長できるのは、少年少女だけではない







▼さて本題の「謎の村の正体」だが…


…隠しエンドでもない限りは…


何も解き明かされない。
謎のまま丸投げ、ブン投げで終わったといってもいいだろう




だが謎を解く鍵は鏤められていたと思う。



私はこの村の正体に、見当がついている



……

……

ただそれが余りにも…
余りにも…
〇〇だけに匂わせ、というか…



なんというかもうちょっと………



ねえ?




これってさぁ…
結局、ファンタジーに見えて実は〇〇〇だったってことだよなあ…?
割と禁じ手じゃねえ…?
有償ゲームなら炎上する奴じゃん。





▼最初から違和感があったんだよ。
そもそも「学校」が無さそうな世界で朱音が今風の制服を着ていたり(この事に終盤まで気づかなかった亘は洞察力0、ジャーナリストの才能が無い)、村の外の世界を知らないはずなのに一般常識や語彙を持ってることも……そういうことだよなあ…?

文字が無くても歌で伝承しているなんてのは、文字を知ってる奴の台詞だよなあ…?



……


この仮説ならば、およそ矛盾なく説明がついてしまう

…このフリゲは結末や世界観もかなり人を選ぶと、ひとり勝手に納得しているよ








評価B
70点

▼序盤から張られている伏線が露骨なのでオチには気づくかもしれませんが、
そこに向かって暴走する物語を止められない虚脱感、ヒロインを救えない無力感が、強かったです。

私の中に、「benediction」は爪痕を遺しました。


BGMが少なく臨場感はないし
文章が微妙で誤字脱字もとても多いが(「ずらい」のような初歩的なものまで…)、主人公の言葉はなかなかに読ませる…

「幸を運ぶ怪物」のレビューにも書きましたが私は文章が微妙でも熱量のあるフリゲが好きなので、「benediction」もかなり気に入ってます。




フリゲじゃなかったら、批判されるだけに終わったでしょう(この内容に金を払えるか?という意味も含む)。




だがこのようなトガった個性も受け入れられるのが、フリゲの良さ。








▼村の掟に縛られるヒロインと、
そんなヒロインを懸命に守ろうとする主人公に待ち受けるものは?




哀れな彼らの末路、あなたに見守って欲しい









▼ほかには「Ĉi tio estas...-人間改良計画-」を攻略(コンプはしていない)。

[END2・夏休み]が好き、ちょっとHで。


…でもこれって…


ババア無理すんなEND?



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