愛してるけど、心底気持ち悪い。
私には家族愛しか持ち合わせていないのだから、仕方ない。
嫌悪感を耐え、父のがさついた唇が離れると。
子どもの頃の私にやってくれたように、やわらかく私の頭を撫でてくれた。
▼うわぁぁーー……久しぶりに来たな……
…
フリーゲームでしか表現できないフリーゲームが…
「幸を運ぶ怪物」は久しぶりにフリゲ黎明期を思わせる怪作だわ。
▼最初に言ってしまうとこのゲーム…
ノベルゲームではあるが…
…
文章が、めちゃくちゃ。
表現が不自然だし、意味不明な言い回しが多すぎる。
しかも誤字脱字だらけで、ツッコミ出すとキリがない。
…しかし私は…これまで何度も書いたように、「キミはボクを」「流れ星に願いを」を筆頭とした文章こそ整っていなくとも熱量あるノベルゲームを、いっさい低評価していない。
なぜってそれこそがフリーゲームの、ひいてはアマチュア創作の神髄だから
▼昨今のフリーゲームは音楽まで自作!…だとか絵がプロ並に綺麗!…だけにはとどまらず、
キャラボイスや主題歌つきのムービーを搭載したりと商業ゲームに近いものが名作と持て囃されているが、私はそういったフリゲに余り魅力を感じていない(だが否定しているわけではない。むしろ自作要素を高評価している)
所詮素人がプロの真似事をしているだけだし、代替品じゃ意味がないから
わざわざ金と時間をかけたものを無料公開する以上、作者には思うがままに自己表現して欲しいし、
こちらも思うがままに批評し、それを受け入れたり、時として拒絶もしたいと思ってるから(というより、フリーゲームは本来思うがまま、我がままに作った作品だからこそ無料公開するもの…というのが順番だったはず)。
だから文章が拙かったり画力が低いというだけでフリゲを低評価する奴を見て、
こいつフリゲの何たるかもまるでわかってねえなと、いつも呆れていた
▼…そのような観点から「幸を運ぶ怪物」には、
まだネットが承認欲求や小遣い稼ぎに支配される前の、
創作で自己表現をしたり、自分の体験談を他人に知って欲しい…驚きや感動を共有したいという、
古き良き時代のインターネットやフリーゲームのイズムを感じた訳
▼話をレビュー感想に戻すと、結局「幸を運ぶ怪物」はどこまでいっても素晴らしい劣等感ノベルだと思った。
登場人物たちが、余りにも人から劣っている。
普通にはなれない。
フリーゲームでしか表現できない内容だし、ぶっちゃけこの内容で金は取れないだろう。
あまりにもエンタメから踏み外し過ぎている。
▼ストーリーはオムニバスで4人の主人公によって紡がれるが、共通のテーマとして「親の呪い」「親子の呪い」があると読んだ。
70歳までニートだった(ニートって34歳までだよな)米虫おじさんと、ある主人公の会話は痛烈に刺さった。
おじさんは本作の裏主人公だろう。
癖の強い作品だが、このテーマに惹かれるなら是非ともやって欲しいね。
評価B+
75点
美麗ではないもののフリゲらしい全力で描き殴ったような多量の熱いスチルからも、古き良きフリゲイズムを感じましたね。
優れた作品とはいえないが、記憶に残る一作でしょう。
…
…最後に自分の発言をひっくり返すけど…
…
これって本当にフリゲなんですかね?
なんか最初に、有料版がどうとか出るんですけど…
…
…えっ?
「散々フリゲ論を語っておいてそれなの?」…だって…?
…
そうですが、何か問題でも?
本音ではフリゲの裏話とか制作コンセプトなんて興味ねえよ!
…
だからこのゲームの詳細は、キミが私の代わりに調べてね☆
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何れ深掘りし、コラムに書くかもしれません。
以前にも「記憶に残る良作には印象的な台詞が多い」と書きましたが、本作もまさにそのような怪作でした。
「自分を適度に叱咤するならば、この言葉が必要な人もいるでしょう。けど、この言葉を自信満々に言う人ってだいたい………自分にはこの言葉を一切向けないわよね」
「……人の辛さは比べられるものではないわ。貴方も私も辛いなら辛いでいいの」
「辛かったら辛いでいいのよ。辛かったら辛いでよかったのよ……」
「そうじゃないと、苦しいでしょう?感情も感じ方も、自分以外に縛られることはないわ」
「貴方達の悲しみも苦しみも、貴方だけのもの。 貴方は貴方の感情を縛るのも自由にするのも貴方だけの権利」
「えぇ、甘んじてその言葉を受け入れるわ。私は自分のことを善人だと思い込むことに、力を入れてる偽善者よ」
「ただ、その偽善者という言葉が私だけではない他の人に向けられるならば……。話は別よ。人を助ける人に偽善者という言葉を投げかけて悦を見出す。行き過ぎた冷笑主義の人には言われたくないわね」
「勿論言うだけならば自由よ。ただ、下手に冷笑されると人手不足が深刻になってくるのよ。出来るだけ、見えない聞こえない所で言ってちょうだいね。偽善者が怪物ならば……。冷笑主義者は知らない間に人の首を絞めている悪魔かしらね?」
…
特にこの2つは、不器用ながらも必死で人になろうとし、ボランティアに邁進する夏鈴花の強い意思や主義思想が垣間見え、
世の中やネットに蔓延る諦めの境地の冷笑人間(能力の無い人が多い)への皮肉も効いており、実に愉快でした。作者の、かかしさんの言葉かとも思いました。
かかしさん、かつてない荒々しい良作をありがとうございました。
嬉しいです!!!
自分のやりたい放題やって大丈夫かなぁって思ってましたが、フリゲだからやっぱりやりたい放題やっていいんだ!
って勇気付けられました!
有料版どうのこうのは、フリゲを餌にお金稼ぎしてる人避けなのでちゃんとしたフリーゲームですよ!!!
「フリゲで金稼ぐなら、作者と素材主にも金をよこしなさい」
ってことです!!!
改めてありがとうございます!!!