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■ストーリー
“人が自殺しようとしているのを目撃した場合、どうするか。
いくつかの答えがあるだろうが、俺には考える余裕も時間も無かった――。”
ある日、主人公“萩原 京介”は、
入水自殺をはかろうとしていた女子高生“三島 由香”と出会う。
京介は、彼女が死ぬ前にとある提案をするのだった…。
不器用な登場人物達が織りなす、「生きる」という普遍的なテーマを主軸においた物語[全2章構成]。
■ゲーム概要
『私は今日ここで死にます。』は、選択肢なしの一般向けビジュアルノベルです。総プレイ時間は2〜3時間程度。
1章はヒロインである“三島 由香”、2章は主人公“萩原 京介”を中心としたストーリーが描かれます。
ジャンル・ビジュアルノベルで萌え絵だが、かなりうまい。でも、コンセプト的にギャルゲーではない、ということで立ち絵はなし(ビジュアルというからにはあってもよさそうなもんだが)。ほぼ全てのシーンが背景のみで進むから、絵に期待してると裏切られるかも。
音楽はフリー素材だが総じてマッチしてる。特に、籠の街のエンディングでも使われてたモーニングが会話シーンで流れたのは驚いた。次の日の朝…って会話をしてるシーンだからセレクトしたのかしら、偶然か
※以下ネタバレあるよ
さて肝心のシナリオだが2部構成となっている。
1部は彼女と別れたダメオニートが自殺をしようとしていた女子高生と知り合うという話だが、これがまあ本当くっだらないことこの上ない。
まず何がダメかというと、このヒロインの由香の自殺動機が友達がいないから、周りに溶け込めないから、というあまりにも豆腐メンタル過ぎて、かつミステリ要素のかけらもないもの。
しかも自殺の名所で本物の死体を見てビビって自殺を止める、という更にショボさに拍車を掛けたおそまつな結末
この手のストーリーではヒロインが自殺する動機、というのがテーマになってるが、余りにもショッボくて拍子抜けもいいところだった。
ハンガーが当たっただけで殺しちゃったコナンの犯人くらいショボいよ
1部は本当につまらなかった。正直もう止めようと思った。
だがここまではヒロインのダメ子っぷりも含め全て伏線で、本番は2部からだった…
結論からいうと非常にいいゲームだったので、続けてよかった
2部ではそんな自殺をしなかった由香と主人公京介の物語だが、1部ではこのテの主人公にしてはヒロインに非恋愛的でクールな主人公だった京介にあった影が、本格的に浮き彫りとなる
ああまさか、元恋人の優花が既に自殺していて、精神病の主人公の見ている幻影だったとはね…。
幽霊じゃなくて幻覚ってのが、またリアルだ
他のキャラとの会話シーンがなかったり(モブキャラがいないゲームではあるが)、唐突に出てきて唐突に消えたり、いつも同じ部屋だったり、ずっと違和感はあったけど、あっ…(察し)となったのは、やっぱり優花が家にいるにも関わらず、由香が家に遊びに来るシーンだね。
京介、何事もなかったかのように由香と出かけてしまう。これは普通なら元カノと今カノ(候補)の接触、あるいは修羅場シーンになる筈なのに、おや?と思った
その後自殺した優花の妹綾音の叱責による京介の後悔と過去。
恋人はいるけど友達はいない人間の人間的限界と問題点
ブラック企業などの社会問題への描写、そしてそんな厳しくも冷たい現在社会じゃ生き残れないような弱い人間の成長についての物語が続くが、非常に清涼感のあるいいストーリーだった
京介の別れの美学、凄い分かる。また会うことが前提なら悲しくないハズだしね
エンディングでは歌もあるし泣けちゃうね。歌短いけど
エピローグでの、優香の人生が決して上手くいってないのもリアルでよかった。こういうパターンだといきなり一念発起して成功者になってることが多いが、現実はそんなに甘くないからね
ましてや人間的にマイナスだった女がいきなり、ちょっと成長のための刺激を受けただけで大躍進するとか、現実じゃありえないからね
だが不器用ながら必死なのが、またいい
京介は腐っても社会人なのでそれなりに上手くやってるが、それもまたリアルだ
最後の言葉は、優香の反応からしても、エンディングの告白の返事をしたんだろうな、「俺も好きだ」ってな
一つ惜しいのは綾音のストーリーはゲーム内で完結させてほしかった。
同梱のウェブテキストデータでちょっとしたSSが読めるが、まあ京介が好きだったのかなあ…と思わせる。
ギャルゲーなら確実にこのキャラがメインヒロインだろうな。死んだ恋人と同じ顔の妹とか、王道だし、そんな女性に何も思わないのは無理がある
絶望の中から小さな希望を見出して若者が成長する、いい物語でした。良作、80点
▼開発サークルのmint wingsは本作を持って残念ながら無期限活動休止を宣言しているが、同じく(?)オリジナル純愛系ビジュアルノベルを制作する同人サークル《GOOD DAYS MAKER》の中の人は、このように述べている
前回のブログで、活動の一時休止をお知らせしました。
「GoodDaysMaker、解散するなこれw」
皆さんの中で、こう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちなみに自分は少し思いました。聞いたことありませんか?
「解散します」というサークルは復活するが、「休止します」というサークルは戻ってこないと。
そして自分たちは後者だったわけで…。
もっといえば、自分たちも活動を始めて、今年でおよそ十年です。そろそろそういうのがある時期だろうと。
この定説でいえば、休止といえど帰ってこないんだろうか。でも、有終の美は飾れたかなと思う。
最後に一つ閑話だが、由香は月曜日のたわわのアイに似てるね
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