▼最愛の人に先立たれ、死んだように生きる男の話。
…なんてのはファンタジーでもなんでもなくて、
人間、生きてればいつかは起こりえることで、
そういう意味じゃ、
誰もが死が身近にある生き物なんだよねえ、人間なんてのは。
ゲーム、漫画、小説、ドラマ、映画…などに於いては何百人と死のうが
「遺族のその後の人生」はどうあってもカットされてしまう要素だけど、
本作「すがれる4月」はまさに遺された者にスポットを当てた物語で、
最愛の人の死から進めない、悲しき男たちのお話だ。
▼…まぁなんつっても主人公が花屋ということで、
花に纏わる、悲しくも美しい話として纏めたのは上手だったな。
花をテーマにしたフリゲは「ぷらんちゅ」などがあるが、
このテーマだとどうあっても下品にはならないからね。
しかも「すがれる4月」は最愛の人の死というテーマが常に根底にある所為で、
美しくて、明るい花すらもダークトーンに合わせて悲しく感じてしまうんだよ。
画面や音楽から伝わってくる印象も相俟ってね
…でもそんな男がこれまで残してきた軌跡から人と人とのつながりが芽生え、
どん底から当たり前の日常に……
…
少しだけ戻れる……
そんなエンディングはタイトル回収も綺麗だし、とても清涼感があったね
▼作品的に、最大の評価点は作画だね。
ここまでグラフィックに拘ったフリゲ、そうはないだろう。
細かく動くし、ジブリや昔の名作劇場アニメのように飾り気がないキャラクターデザインも、作風にマッチしてる。
フリゲにありがちな萌え絵では、この独特の空気感は絶対に出せなかっただろう。
安易にプレイヤーを泣かせようとするシーンが無かったことも優れた点だね。
ヒロインの死というと決まって鼻につくシーンが多いが、「すがしが」にはそれがない。
「死」という存在が何かのビッグイベントやストーリーを盛り上げる小細工ではなく、
当たり前にあり、絶対逆らえない自然なものとして描写されている所為かもしれないね
人間以外の死(動物の死)を扱ったのも、一味違ったな
評価B+
75点
エンディングは3つありますが、フラグを立ててからは一発で行けました。
恐らく正解の花を選ぶことがトゥルーエンドの条件でしょうが、最悪、総当たりで攻略できるでしょう。
作画の美しさだけでも相当なものなので、
テーマ性(「探し屋トーコ」にこんな話あったな)が合わない、
暗い話は苦手だなんて思っても、
ぜひとも、彼の人生を色付かせてもらいたい。
おすすめです。
【フリゲレビューブログ小話】
▼5年も前に書いたコラム、「どんなフリゲが人気か、どんなフリゲを作れば人気が出るか…フリゲレビューブログ管理人が、裏側を少しだけ話します」のアクセスがなぜか微増している。
検索に引っかかるようなタイトルでもないし、ここまで古いコラムは読まれることがほとんどないのだが、誰かがtwitterとかで紹介してくれたんだろうか?
久しぶりに読み返したが、5年も前だというのに、フリーゲームを取り巻く時流が予想通りになっていることに驚く(余談として触れている戯画に至っては、ブランド終了)。
やっぱ俺頭良いな。
2022年版(もうすぐ2023年になるが)の「どんなフリゲが人気か、どんなフリゲを作れば人気が出るか…フリゲレビューブログ管理人が、裏側を少しだけ話します」を書いてもいいかもしれないが…
アクセスに極度の偏りが出てしまったため(”ノベルゲームとその他”状態)、逆に書けないかもしれない。
ならばいっそ、「どんなノベルゲームが人気か、どんなノベルゲームを作れば人気が出るか…フリゲレビューブログ管理人が、裏側を少しだけ話します」で書くか。
…まあ一番伸びるのが「実況でバズったフリゲ」なのは、言うまでもないが。
▼プレイ中のノベルゲーム
…
舞台設定だけではなく、絵もテイストも2010年代を強く主張する「夏の少女 〜boy meets girl this summer〜」…
「またギャルゲー版「僕らのノベルゲーム」ッ!?」という感じの「HoodMaker_DL版」…
相変わらず作画枚数がすごい「不香の花 - Snow Flower」…
…
などがあるが、一押しは「夏の少女 〜boy meets girl this summer〜」かな。
ヒロインの正体が実は〇〇という序盤の掴みが、かなり良い。
「ヒカリノチハレ」「人生にXXは必要なのだろうか?」同様に大好物の懐古ゲーだが、それだけでも気に入る人が一定数いるだろう。
…
このゲームの制服、強烈な既視感があるんだよなあ。
某作品の制服にそっくり(たぶん元ネタ)
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