タイトルの抱きしめて〜〜が特徴的で、季節を抱きしめての続編かな?と最初思ったものだ
それを今回数年の時を経てやっとプレー
オリジナリティはほぼない。お約束過ぎる王道ストーリー
キャラデザは非常に美麗だが爬虫類系の絵柄なので人を選ぶ。シュタゲにも似てる。絵は上手いが描き分けが下手で、女性キャラは全員同じ顔をしている。特にレイナとキユはそっくりで髪型まで似ている
背景美術などは全て自作らしい。評価の高い同人ゲーでもこのあたりは素材を使うことが普通なので、こだわりが凄い。室内の絵に立ち絵のタッチとの違和感があるが屋外はどれも美麗
音楽は結構きれいで好感触
声優も特徴のない声ばかりだが結構上手い
さてノベルということで肝心のストーリーだが、これが王道も王道であまり特筆すべきポイントがないくらい普通
幼年期から隔離された生活を送っている少女、心を閉ざしている。大人の手で幼稚園に通うがそこで問題を起こしてしまい本格的に心を閉ざす。それから10年、少女は高校生になるが他人に一切心を開かない人間になっていた…
という類似作品が軽く100を超えそうなお約束だが、そんな少女が特殊能力を持ってて、かつそのせいで病気で短命、というところまでお約束で、オリジナリティらしいオリジナリティが正直全くない
展開も、そんな少女が周りに徐々に感化されて友達が出来て、心を開き、周りとも打ち解け…という超王道
だからつまらないかといえばそうではなく、一つ一つの出来事を非常に丁寧に描写しているおかげで、良質なストーリーとなっている
特に修学旅行からが面白い
死期を悟ったレイナ。人生の最後のイベントとして修学旅行に臨む
このまま平凡(?)に少女が死んで終わるかと思いきや、かなりご都合主義ではあるが唐突に大地震が発生。
少女はその特殊な力を使って、最後の命を散らして災害に瀕した友達を助ける…というね
ここまできたらもう、少女が死ぬのがパターンでお涙頂戴劇場なんだが、このゲームは王道ながらに何が凄いって、そんな陳腐な手を一切使わない
少女レイナはこれまで築いた友達の手によって生き残り、手術を受けようと決心する
ちゃんと前後が繋がっている綺麗な生存パターンだ
そして一番泣ける良いシーンは、やはりエピローグ。
渡米による別れが非常に感動的で、いいんちょが修学旅行の思い出アルバムを渡してくるシーンは正直半泣きだった。正直前章まではハイハイどうせこの後レイナは死ぬんでしょ?と冷めた目で見ていたというのに…
自分、涙いいすか…?
特に最後の寄せ書きが、素晴らしい演出だね。遠巻きにレイナを見てたクラスメイトたちも、実は孤立するレイナのことを心配して考えてくれてたんだな…
そういえばレイナは孤立こそすれ、いじめやいやがらせは一切受けてなかった…ってなことまで(ライターが考えてたかは知らないが)思い返して、胸が熱くなった
登場人物は本当にいい人ばかりで、悪人は序盤に出てきたDQNグループくらい
本当に優しい話だったね
残念なのは絵が上手い割に演出が下手な事。特に災害シーンは臨場感がなさすぎる。後ろで爆発が起こったなんて言われてもちっともピンとこない。ドカーン!!とSEを鳴らすような演出すらしていないし、お得意の背景美術もイマイチで緊張感が全くなかった。ガス漏れしてて死にそう、って流れの筈なのにね
エピローグの別れのシーンに、なぜか亜弥がいないことも気になる。それどころか、話にすら出てこない。亜弥もキユといいんちょに次いでレイナの大事な友達の筈なのに、まさか寄せ書きで一緒くたに纏められてしまうとは思わなかった。ライターの中では、亜弥はサブキャラ程度の扱いだったのかもしれない
そしてそんな寄せ書き、最大の見せ場、感動シーンなのに、声優が下手過ぎ。声優というか同人声優でさえない完全な発声の素人を使ってるんだろう。良いシーンながらに、ちょっと萎えてしまった。
欠点はそのくらいで凄い良作だった。フリゲ、同人ゲは自作ゲームとも呼ぶんだが、素材だらけの名ばかり自作ゲームが多い中、このゲームは本当に自作要素が高いのも評価すべき点。90点つけます
開発サークルのUHMAProjectはゲームをこれ1本しか作ってないみたいなので、そろそろ新作が欲しいね
しかしレイナ、春には既に瀕死だったのに、よく夏まで平然と生きられたな。非常階段で吐血してるシーンは、なぜかシュールで笑っちゃったよ
こういうご都合主義は結構酷いから、人を選びそうなゲームだけどね
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