「人間が花の美しさに嫉妬してこんなに意地悪な名前をつけたのよ」
和洋入り乱れる大正時代、私と同じ女学校に通う親友が亡くなった。
本当に突然の出来事だった。
彼女は亡くなる少し前に『彼岸花は貴女のことよ』と私に言った。
それは彼女が私だけに残した解かれなくてもいい謎解きだった。
私は過去を振り返り、残された言葉の意味を見付けようとする。
▼いやーよかったよ「彼岸花に蜘蛛」。短編ノベルでは、久々にアタリだよ。絶賛するね
何をかって、物語と言うより、「文章」がいいんだよ。
文章力が高いというより、「表現力が高い」んだよ。
しっかり文章表現を使ってるし、終わってみりゃ物語というより、いい意味で文章を読んでたな。
流れるような「美しい文章」といい、これはフリゲじゃ近年まれにみるレベル
情景がありありと浮かぶんだよ。きらびやかで儚げな、その時代を生きる、少女たちの息遣いが。
▼主人公の「私」が、突如謎の自殺を遂げた「親友」が生前残した謎かけを解き明かす物語。
タイトルが露骨なので読めてしまうかもしれないが、タイトル回収も非常に綺麗。
是非「私」となって親友の残した謎を解き、その真意を悟って欲しい。
▼「揺りかごと棺」作者の新作だが、今回はジャンル百合ゲーになるんだろうか?
でもあまり女の子同士のキマシタワー的描写はなく、漫画雑誌「なかよし」くらいの湿度なので、自然体で読んで欲しいね。
▼絵も丁寧だし、それこそ昔の「なかよし」っぽい、少女漫画の絵柄。
絵に「癖が無い」ことも、百合風味なのに万人におすすめできる要素だね
事が済んだクリア後に〇〇出来なくなったりと、システム演出も良い
評価B+
75点
稀有な純文系でした。
欠点は、「これ本当に大正時代か?」「〇〇か?」という背景が出てくることくらいでしょうか。
まあ…「夜には月明りしかない」なんて描写をしながら
背景にシーリングライトが映っている「紅い秘めごと」ほどには、気になりませんが。
…ちなみにレビュー感想を読んで「「物語より文章が上手」ってあんま褒めてなくね?」と思った人が、きっといるでしょう。
そりゃそうだ、やしきたかじんも作詞家デビューする前の秋元康に「お前の歌詞は歌詞じゃなくて文章や」とダメ出ししたそうだし、一般的には小説を書いたのに「文章」では、無機質なイメージを与えるし、まるで一般書籍に対する評価だからね
しかし私がなぜあえてそう言うか……何を言いたいかは、このゲームをやることで、きっとわかるでしょう。
おすすめの良作です
【1年前の良作フリーゲーム、ピックアップ】
月1恒例。
1年前にレビューした良作フリゲの、ピックアップコーナー。
「鼓草」「TOWER of HANOI」「愛の監禁ごはんはXXXチャーハン」「かいきみなづき 半」「暖白のイルジオネ」に続き紹介する、2021年3月の良作フリーゲームは……
かわいいは壊せる
迷いなく選びました。
これはなあ…
プレイした…というかプレイ前の事をまだ鮮明に覚えてるんだが、
とにかく「面白そう」なオーラが凄かったな
作者のゲームは初めてプレイしたのに、一刻も早くクリックして、プレイしたいほどだったな
これを超える実績達成系SLGは、この1年出なかった。
今でも非常におすすめです。
【このカテゴリーの最新記事】