そこで見る不思議な夢、幼馴染との再会、新しい友達、母親とのすれ違い・・・
彼らの行きつく先はどこなのか・・・
▼んあーッ!!惜しい!!
クリアして真っ先に「惜しいゲームだ」と思った。
「アレンと秘密の庭園」はRPG型ADV。
マップを探索し、オブジェクトを調べ、人と会話し、謎を解き、ゲームを進展させていく
難易度は低いので、詰まることはないだろう
▼西洋風の世界観で、「煙突掃除夫」が存在した時代のお話
児童文学のような作風で、古い作品を出すと「世界名作劇場」のようだ
グラフィックは淡いタッチで、とても良い。かなり好きな絵だ。
冒頭のアレンがこちらを向いて微笑むアニメーションは、美少年キャラ萌えなら、胸キュンするかもしれない
どのキャラクターも台詞に芯があり、ストーリーの牽引力はなかなか。
「ごめんあそばせ」とか言いそうなお嬢様ヒロインのソフィがお気に入りだ
▼まず何が惜しいか言っちゃうと、どうもこのゲーム、ストーリーをまとめ切れてない印象が強い
序盤はアレンが自分の住む邸宅で起こった不思議な夢を見ながら、幼馴染ソフィとの再会や、貴族階級、格差のエピソード中心に進む
母親がアレンをソフィと結婚させたがっている理由など、時代背景を感じさせる「仕込み」も「インパクト」も強い
中でも学校へ行けない少年庭師レオナルドのエピソードが、とてもよかった
アレンは自立すべく、レオナルドを「僕と同じくらいの歳の子が働いてるんだよ」という説得のため母親に会わせるが、レオナルドは母親に差別されてしまう
アレンはこんなことになるとは思わなかったと謝罪するが……この時のレオナルドの対応力は、とても少年とは思えない。大人だね
他にも学歴社会に関する台詞など、現代社会にも通じる、なかなかにリアルな話だ
アレンが好意ではなく〇〇〇〇のため近づいてきたと知ったソフィとの関係は、「この後どうなってしまうのだろう…?」
…そうハラハラさせられた
▼…ところが終盤は伏線回収を中心にストーリーが進み、「少年少女の群像劇」というテーマは置き去りに、ファンタジー要素の強い「ミステリ」になってしまう…
エンディングもずいぶんと呆気なかった
ネタバレなので中盤からの展開については伏せるが、
プレゼントの件もスルーで終わってしまったし、もう少し作中のネタを拾い、上手く纏めることが出来たように思う
評価C+
60点
ストーリーはまとめ切れてない印象が強いですが、ゲームとしてのクオリティは非常に高いので、絵や世界観が好みなら、おすすめ
特に音楽。完璧に世界観にマッチしているのに、なんと自作らしい
音楽も作れる製作者は多いが、ここまで自作ゲームに世界観ピッタリな曲ともなれば、珍しいのでは
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庭園の入り口が隠されていた理由づけはなんとなくされていますが、
ゲーム的には、折角プレイヤーに探索させたからには、何か欲しかったところですね。
庭園の設定自体、活かせず終わってしまった印象があります。
本作のタイトルは「アレンと秘密の庭園」と「秘密の花園」のオマージュ風ですが、
それにしては庭園はメインステージではなかったなと…(庭師も登場するのに)。
他にも"格差"や"階級社会"がテーマになっているので、スラム(?)の住人に
関する描写があればインパクトが増したんじゃないかと。
スラムでモブに「ここはあなたのような人が来るところじゃない」と言われ波乱の予感がするも、何もないままでしたし…。
グラフィックや音楽のクオリティが高いだけに、やはりシナリオの「書きかけ」感が非常に惜しいです。クリアしても「読了」した気分になれないというか…。
余談ですがこのゲーム、なぜかキャラチップがホラーゲーム風なので、途中までホラーゲームなのかと思ってました(笑)。心霊系を思わせる展開ですしね。